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相続手続きの流れと期限一覧|必要書類・費用相場・専門家への依頼判断まで完全解説

相続手続きの流れと期限一覧|必要書類・費用相場・専門家への依頼判断まで完全解説
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親が亡くなり、何から手をつければよいのか分からず途方に暮れていませんか。

相続手続きには7日・3ヶ月・10ヶ月といった厳格な期限があり、期限を過ぎると罰則が科されることもあります。

本記事では、相続手続きの全体像を時系列で解説し、必要書類のチェックリストから専門家への依頼判断まで網羅的にお伝えします。

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目次

遺産相続の3つの種類

ここでは、遺産を誰がどのように引き継ぐかという3つの方法を解説します。

まずは、故人が遺言書を残しているかを確認することが相続手続きの第一歩です。

①指定相続(遺言)

亡くなった方が遺言書で指定した内容に従い、法定相続分に関わらず優先的に財産を分ける方式です。

遺言書には、公正証書遺言・自筆証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。

各遺言書の特徴を、以下の表にまとめました。

遺言書の種類

作成方法

保管場所

検認の要否

メリット

デメリット

公正証書遺言

公証役場で公証人が作成

公証役場

不要

紛失・偽造のリスクなし

最も確実性が高い

作成に費用がかかる

証人2名が必要

自筆証書遺言

全文を自筆で作成

法務局または自宅

法務局保管:不要

自宅保管:必要

費用がかからない

いつでも作成できる

紛失・偽造のリスクあり

形式不備で無効になる可能性

秘密証書遺言

内容を秘密にして公証役場で存在を証明

自宅など

必要

内容を秘密にできる

作成の難易度が高い

実際の利用例は少ない

②協議相続(話し合い)

遺言書がない場合に、相続人全員で遺産の分け方を話し合って決める方式です。

全員が納得した内容で合意できれば、法定相続分と異なる割合で分けられます。

合意した内容は遺産分割協議書として書面に残し、相続人全員の署名と実印の捺印が必要です。

なお、この書類がなければ銀行口座の解約や不動産の名義変更ができないので注意しましょう。

③法定相続(法律に則る)

遺言書がなく話し合いでも決められない場合は、民法が定めた基準に従って遺産が分配されます。

相続人の優先順位は配偶者(常に相続人)・子ども(第1順位)・直系尊属(第2順位)・兄弟姉妹(第3順位)の順です。

法定相続分の目安は以下の表の通りで、配偶者と子どもの組み合わせでは配偶者が1/2、子どもが1/2を均等に分けます。

相続人の組み合わせ

配偶者

子ども

父母

兄弟姉妹

配偶者+子ども

1/2

1/2を均等

配偶者+父母

2/3

1/3を均等

配偶者+兄弟姉妹

3/4

1/4を均等

遺産相続の4つの方法

ここでは、遺産相続をおこなう具体的な4つの方法を解説します。

不動産のように分割しにくい財産が含まれる場合、どの方法を選ぶかで手続きの手間や税負担が大きく変わります

一つひとつみていきましょう。

①現物分割

不動産・預貯金・株式などの財産を、そのままの状態で個別に割り当てる方法です。

たとえば、長男が自宅・次男が預金・長女が株式、というように財産ごとに分けるイメージです。

売却や換金の手間がかからずシンプルに手続きが完了しますが、財産ごとの価値に差があると不公平になりやすいので注意しましょう。

②換価分割

不動産や貴金属などをすべて売却して現金化し、その代金を相続人間で分ける方法です。

1円単位で公平に分配できるため遺産分割の争いを避けやすいというメリットがあります。

ただし売却にかかる仲介手数料(不動産なら売却額の3%程度)や売却益に対する譲渡所得税が発生します。

思い出の詰まった実家を手放すことへの抵抗感から相続人間で意見が割れるケースもゼロではありません。

③代償分割

特定の相続人が現物(家や事業など)を相続する代わりに、自分の資金から他の相続人に代償金を支払う方法です。

たとえば、3,000万円の自宅を長男が相続し、法定相続分に相当する1,500万円を次男に支払うケースが該当します。

実家や家業を売却せずに守れますが、相続する本人にまとまった支払い能力が必要です。

なお、代償金の支払いが難しい場合は住宅ローンを組むか他の方法を検討する必要があります。

④共有分割

1つの不動産などを複数の相続人の名義で共同保有し、持分(割合)で所有権を分ける方法です。

たとえば、長男50%・次男50%のように登記します。

その場では揉めずに収まりやすく、すぐに結論を出せますが、将来の売却やリフォームに全員の合意が必要となります。

トラブルを先送りするだけになりがちで、共有者が亡くなるとさらに相続人が増えて権利関係が複雑化するので注意しましょう。

相続手続きの流れと期限のタイムライン

ここでは、相続手続きの全体像を期限ごとに解説します。

期限を過ぎるとペナルティが発生するものもあるので、全体像を把握しておくことが重要です。

以下では、主な手続き内容を期限ごとにまとめました。

期限

主な手続き

届出先

7日以内

死亡届の提出

市区町村役場

10〜14日以内

年金受給停止届

住民票の抹消・世帯主変更届

介護保険被保険者証の返却

年金事務所

市区町村役場

3ヶ月以内

相続放棄・限定承認の申述

家庭裁判所

4ヶ月以内

準確定申告

税務署

10ヶ月以内

相続税の申告・納付

税務署

3年以内

不動産の相続登記

法務局

相続手続きには法律で定められた期限があり、特に3ヶ月以内の相続放棄と10ヶ月以内の相続税申告は、期限を過ぎると取り返しがつかないので注意しましょう。

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【7日〜14日以内】死亡後すぐに着手すべき手続き

次に、故人が亡くなった直後に必要な公的な届出を解説します。

期限が短いものが多いので、葬儀社や親族と役割分担しながら対応するのがベストです。

具体的に解説します。

①遺言書の有無の確認

まずは、相続手続きの最優先事項は遺言書の有無を確認しましょう。

遺言書がある場合は、原則としてその内容が法定相続分や話し合いの結果よりも優先されます。

確認できる場所は、以下のとおりです。

  1. 公証役場(公正証書遺言の有無を照会)
  2. 法務局(自筆証書遺言保管制度の利用有無を照会)
  3. 自宅の金庫や仏壇など

なお、自宅で見つかった封印のある遺言書は勝手に開封せずに、家庭裁判所で検認の手続きを受ける必要があります。

②死亡診断書の受け取りと死亡届の提出(7日以内)

次に、医師から死亡診断書を受け取り、死亡を知った日から7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出します。

この届出が受理されないと火葬許可証が発行されず、その後の戸籍関連の手続きも進められません。

死亡届は死亡診断書と一体になったAサイズの用紙で提出し、左半分が死亡届で右半分が死亡診断書という構成です。

一般的に、届出は役所が24時間受け付けており葬儀社が代行してくれるケースが多いとされています。

③火葬許可申請書の提出(通常は死亡届と同時)

死亡届の提出と同時に、役所の窓口で火葬許可申請書を提出します。

火葬を行うために必要な火葬許可証は、この申請によって発行されます。

火葬許可証は火葬場で提出し、火葬後に埋葬許可証として返却され、納骨の際に墓地の管理者へ提出する書類となるので大切に保管してください。

④年金受給停止の手続き(国民年金:14日以内/厚生年金:10日以内)

亡くなった方が年金受給者だった場合、年金事務所または年金相談センターに届け出て受給を停止させます。

手続きが遅れて年金が過払いになった場合、後日一括で返還しなければなりません。

国民年金は14日以内に市区町村役場へ、厚生年金は10日以内に年金事務所へ届け出る必要があります。

未支給の年金がある場合は遺族が受給できる可能性があるので、併せて確認しておきましょう。

年金の種類

届出期限

届出先

国民年金

14日以内

市区町村役場

厚生年金

10日以内

年金事務所

⑤住民票の抹消・世帯主の変更届(14日以内)

死亡届が提出されると、住民票は自動的に抹消されます。

届出が必要なケースと不要なケースは以下のとおりです。

状況(残された世帯員の構成)

届出の要否

理由・備考

世帯員が2人以上残る

(例:母と成人した子)

必要

誰が新世帯主になるか選定が必要なため

世帯員が1人だけ残る

不要

残った人が自動的に世帯主となるため

母と15歳未満の子のみ残る

不要

15歳未満は世帯主になれず、母が確定するため

⑥介護保険被保険者証の返却(14日以内)

亡くなった方が介護保険の被保険者(主に65歳以上)だった場合、市区町村役場の窓口へ被保険者証を返却します。

併せて未払いの介護保険料の精算・納めすぎた保険料がある場合の還付申請・高額介護サービス費の未受給分の請求をおこないます。

介護保険負担割合証や介護保険負担限度額認定証を持っている場合はこれらも返却が必要です。

【3ヶ月以内】相続の方向性を決める調査と手続き

続いて、死亡後3ヶ月以内に行うべき相続の調査と手続きを解説します。

この期間を過ぎると自動的に単純承認したとみなされ、借金を含むすべての財産を引き継ぐことになります。

重要なポイントなので、しっかりと頭に入れておきましょう。

①相続人の調査と確定

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本をすべて集め、法的に誰が相続権を持つかを確定させます。

戸籍を遡ることで前婚の子や認知した子など、相続人自身も把握していなかった相続人が判明するケースがあります。

戸籍収集の手順は、以下のとおりです。

  • STEP①:被相続人の最後の本籍地で戸籍謄本を取得する
  • STEP②:転籍や婚姻による本籍の変更を遡って前の本籍地で戸籍を取得する
  • STEP③:出生まで遡って連続性を確認する

②財産目録の作成

プラスの財産(預貯金・不動産・株式など)とマイナスの財産(借金・未払金・連帯保証債務など)をすべて洗い出し、一覧表にまとめます。

区分

項目

具体的な確認手段・備考

プラスの財産

預貯金

通帳、キャッシュカード、ネットバンクの履歴

不動産

登記簿謄本、固定資産税の納税通知書、名寄帳

有価証券

株式、投資信託、債券、証券会社からの通知

生命保険金

保険証券。※受取人が相続人の場合は原則「みなし相続財産」

動産類

自動車、貴金属、骨董品、ゴルフ会員権など

マイナスの財産

借入金

住宅ローン、カードローン、消費者金融、キャッシング

未払金

未払いの税金、公共料金、医療費、介護費用

保証債務

連帯保証債務(故人が誰かの保証人になっていた借金)

③遺言書の有無の再確認と検認手続き

遺産分割協議を始める前に、遺言書の存在を見落としていないか改めて確認します。

確認すべきポイントは、次のとおりです。

  1. 公証役場への照会(公正証書遺言の有無)
  2. 法務局への照会(自筆証書遺言保管制度の利用有無)
  3. 故人の貸金庫の中身

なお、検認を経ずに遺言書を開封した場合は5万円以下の過料が科される可能性があります。

そのため、自宅などで見つかった封印のある遺言書は必ず家庭裁判所で検認を受けましょう。

④単純承認・相続放棄・限定承認の判断基準

相続の方法は3つあり、いずれも3ヶ月以内に決断する必要があります。

選択肢

内容

手続き

判断の目安

単純承認

財産も借金もすべて引き継ぐ

不要(期限経過で自動適用)

プラスの財産が明らかに多い場合

相続放棄

一切の権利義務を放棄する

家庭裁判所への申述

借金が財産を大幅に上回る場合

限定承認

相続財産の範囲内で借金を返済

相続人全員で家庭裁判所へ申述

借金総額が不明だが、守りたい家財等がある場合

具体的な判断基準は、以下のとおりです。

財産状況

選択すべき方法

プラス>マイナスが明らか

単純承認

マイナス>プラスが明らか

相続放棄

借金の全容が不明+守りたい財産あり

限定承認を検討

【4ヶ月以内】所得税の申告手続き

ここでは、亡くなった方に所得があった場合の確定申告について解説します。

相続人が代わりに行うこの手続きを、準確定申告と呼びます。

①亡くなった人の確定申告「準確定申告」とは

準確定申告とは、亡くなった方の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに行う所得税の精算手続きです。

通常の確定申告(翌年3月15日まで)とは異なり、相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内という独自の期限があります。

納税が必要な場合は、この期間内に申告と納付を完了させる必要があります。

②申告が必要なケース

亡くなった方が次のケースに当てはまっていた場合は、準確定申告が必要です。

  1. 自営業(事業所得)を営んでいた
  2. 賃貸経営(不動産所得)をおこなっていた
  3. 2ヶ所以上から給与を得ていた場合

また、公的年金等の収入が400万円を超えていた・株式の譲渡益があった・多額の医療費控除を適用して還付を受けたい場合も該当します。

給与所得者で年末調整が済んでいた場合や年金収入が400万円以下で他に所得がない場合は、原則として申告不要です。

③必要書類の準備

準確定申告に必要な主な書類は源泉徴収票(給与・年金)・社会保険料や生命保険料の控除証明書・事業にかかった経費の領収書などです。

医療費の領収書(死亡日まで)・確定申告書(準確定申告用)・準確定申告の付表も必要になります。

医療費控除を適用すれば還付金を受け取れるケースもあるため、入院や通院の領収書は漏れなく集めておきましょう。

書類

入手先

源泉徴収票(給与・年金)

勤務先・年金機構

社会保険料・生命保険料の控除証明書

各保険会社

事業にかかった経費の領収書

故人の保管書類

医療費の領収書(死亡日まで)

故人の保管書類

確定申告書(準確定申告用)

税務署・国税庁HP

準確定申告の付表

税務署・国税庁HP

④還付金が発生する場合の受取口座の指定方法

準確定申告で税金が戻ってくる場合、受取口座を準確定申告用の付表で指定します。

受取方法は代表者の口座に一括振込する方法と各相続人の口座に分割振込する方法の2パターンがあります。

受領方法

内容

備考

代表者の口座に一括振込

代表者1人の口座へまとめて振り込む

相続人全員の署名・捺印がある委任状」が必要

各相続人の口座に分割振込

法定相続分に応じて各口座へ振り込む

相続人それぞれの口座指定が必要

【早めに着手】遺産分割協議と名義変更の流れ

ここでは、相続税の申告期限(10ヶ月)までに行うべき遺産分割協議と名義変更を解説します。

協議が長引くと相続税の特例が適用できなくなるリスクがあるため、早めの着手をおすすめします。

①銀行預金の解約・名義変更手続き

相続発生後、金融機関が死亡の事実を知ると故人の口座は凍結されます。

凍結を解除して預金を引き出すには相続人の確定後に所定の手続きが必要です。

遺言書がある場合は、遺言書の内容に従って指定された相続人が手続きをおこないます。

もし遺言書がない場合は、遺産分割協議で預金の分け方を決定して遺産分割協議書を添えて手続きします。

主な必要書類は、以下の通りです。

書類名

用途

被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)

相続人の確定

相続人全員の戸籍謄本

生存確認

相続人全員の印鑑証明書

実印の証明

遺産分割協議書または遺言書

分割内容の証明

預金通帳・届出印・キャッシュカード

口座の特定

②不動産の相続登記(名義変更)

不動産は相続が発生しても自動で名義変更されないので、法務局への相続登記の申請が必要です。

申請の流れは、次のとおりです。

  1. 遺言書または遺産分割協議書を確認する
  2. 誰が不動産を受け継ぐかを確定する
  3. 必要書類を集めて登記申請書を作成する
  4. 不動産の所在地を管轄する法務局に申請する

相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料が科される可能性があるので、注意が必要です。

【10ヶ月以内】相続税の申告と納税

ここでは、相続税の申告・納付期限である10ヶ月以内におこなうべき手続きを解説します。

すべての相続に相続税がかかるわけではないため、まずは申告が必要かどうかを判断することから始めましょう。

具体的に解説します。

①相続税の基礎控除を計算し、申告が必要か判断する

相続税には基礎控除という非課税枠があり、遺産額がこの控除額を超えなければ申告も納税も不要です。

基礎控除額の計算式は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

法定相続人が1人なら3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円、4人なら5,400万円が基礎控除額となります。

遺産総額がこの控除額を下回れば申告不要ですが、配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例などを適用して非課税にする場合は、申告が必要です。

法定相続人の数

基礎控除額

1人

3,600万円

2人

4,200万円

3人

4,800万円

4人

5,400万円

②遺産分割協議書の作成

誰がどの財産をどれだけ引き継ぐかを相続人全員で合意し、以下の内容を書面にまとめます

  1. 被相続人の情報(氏名、死亡日、最後の住所)
  2. 相続人全員の情報と署名
  3. 財産の具体的な内容と取得者
  4. 相続人全員の実印の捺印
  5. 印鑑証明書の添付

協議書は相続人の人数分を作成して各自が1通ずつ保管し、銀行の名義変更や不動産登記の際に必ず求められる書類です。

相続人が1人でも欠けていたり署名が代筆だと無効になるので、慎重に作成しましょう。

③相続財産の評価

相続税を計算するためには、財産を相続税評価額で評価する必要があります。

財産の種類

評価方法

現金・預貯金

死亡日時点の残高

上場株式

死亡日の終値など4つの価格のうち最も低い価格

土地(市街地)

路線価方式(路線価 × 地積 × 各種補正率)

土地(郊外)

倍率方式(固定資産税評価額 × 国税庁の定めた倍率)

建物

固定資産税評価額

非上場株式

類似業種比準方式または純資産価額方式

④税務署への申告書の提出と納税の完了

相続税の申告書を作成し、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署に提出します。

納税方法

内容

備考

現金一括払い

原則的な納付方法

申告期限(死亡から10ヶ月以内)までに納付。

延納

年賦で分割して支払う

現金一括が困難な場合に選択。担保提供と利子税が必要。

物納

不動産などの現物で納付

延納でも支払いが困難な場合に限り、一定の順位の財産で納付。

10ヶ月の期限を過ぎると、本来の税額に加えて無申告加算税・延滞税が課されるので注意が必要です。

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相続手続きの主な必要書類一覧と取得場所

ここでは相続手続きで必要になる主な書類をまとめて解説します。

複数の届出や申請に同じ書類が必要になるため、まとめて取得しておくと効率的です。

相続手続きでは戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などを何度も提出する機会があります。

書類名

取得場所

主な用途

被相続人の戸籍謄本(出生〜死亡まで)

本籍地の市区町村役場

相続人を確定させるため

相続人全員の戸籍謄本

本籍地の市区町村役場

相続人が生存していることの証明

被相続人の住民票の除票

最後の住所地の市区町村役場

被相続人の最終住所の証明

相続人全員の住民票

各相続人の住所地の市区町村役場

名義変更や登記手続きに使用

相続人全員の印鑑登録証明書

各相続人の住所地の市区町村役場

遺産分割協議書への実印の証明

固定資産評価証明書

不動産所在地の市区町村役場

不動産の相続登記・評価額算出

登記事項証明書(登記簿謄本)

法務局

不動産の権利関係の確認

残高証明書・既経過利息計算書

各銀行・金融機関

預貯金額の確定・分割の基礎資料

自分でするか専門家に頼むか?判断基準と費用比較

ここでは、相続手続きを自分で進めるか専門家に依頼するかの判断基準を解説します。

詳しくみていきましょう。

①自分でおこなうべきケース

相続人が配偶者と子のみで全員の関係が良好な場合や、財産が預貯金のみまたは預貯金と自宅不動産のみの場合は、自分で手続きを進めることも可能です。

相続税の基礎控除内に収まる(申告不要)・借金や連帯保証債務がない・手続きに充てる時間的余裕がある場合も該当します。

自分でおこなう場合の費用目安は数千円〜数万円で、内訳は戸籍謄本などの書類取得費用(各数百円)が中心で、不動産がある場合は登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)が追加でかかります。

②専門家に依頼すべきケース

相続人間で意見が対立している、または対立しそうな場合や、相続人に連絡が取れない人がいる場合は専門家への依頼を強くおすすめします。

なお、次のようなケースに当てはまる方は専門家に依頼するのがベストです。

  • 不動産が複数ある
  • 評価が難しい土地がある
  • 相続税の申告が必要
  • 借金の有無や総額が不明
  • 故人が事業を営んでいた
  • 時間的余裕がなく手続きに割ける時間が少ない

専門家に依頼する場合の費用目安は10万円〜ですが、依頼先やサポート範囲によって大きく異なります。

どこまで依頼すべきかどうかは、一度専門家へ相談して判断するとよいでしょう。

【専門家別】相続手続きの依頼費用の目安

相続手続きは内容に応じて依頼先を使い分けるのが効率的です。

ここでは、各専門家の得意分野と費用相場について詳しく解説します。

①弁護士に依頼する場合|着手金30万円〜

弁護士への依頼費用は、着手金が約30万円〜、報酬金は得られた経済的利益の10〜20%程度が目安です。

その他に相談料・手数料・日当・実費がかかります。

弁護士に依頼するメリット
  • 相続トラブルの解決を一任できる
  • 他の相続人との交渉、調停・訴訟も任せられる
  • 法的紛争が発生した場合に代理人になってくれる
弁護士に依頼するデメリット
  • 他の専門家と比べて費用が最も高額になりやすい
  • 着手金だけで30万円以上かかるケースが多い

相続人間で揉めている場合や、遺産分割協議がまとまらない場合は、最初から弁護士に依頼するのがおすすめです。

②司法書士に依頼する場合|5万円〜

司法書士への依頼費用は、相続登記のみなら5万〜7万円前後、相続手続き一式(登記+預貯金解約など)なら20万円前後が目安です。

司法書士に依頼するメリット
  • 弁護士より費用を抑えられる
  • 不動産登記の専門家としてスピーディーに対応してくれる
  • 戸籍収集や遺産分割協議書の作成もサポートしてもらえる
司法書士に依頼するデメリット
  • 相続人間の交渉や調停の代理ができない
  • 相続税の申告は税理士への依頼が必要となる
  • 訴訟に発展した場合は弁護士に依頼し直す必要がある

相続人全員が協力的で、不動産の名義変更がメインなら、司法書士への依頼がコストパフォーマンスに優れています。

③税理士に依頼する場合|遺産総額の0.5〜3%

税理士への依頼費用は、遺産総額の0.5%〜3%が相場です。

遺産5,000万円なら25万〜150万円が目安になります。

税理士に依頼するメリット
  • 相続税申告が必要な場合、税理士への依頼がほぼ必須
  • 土地の評価減や各種特例の適用で税額を最小化できる
  • 税務調査への対応も任せられる
税理士に依頼するデメリット
  • 相続手続き全般(名義変更など)には対応できない
  • 相続人間の争いごとの解決はできない

相続税の申告が必要な場合は、相続専門の税理士に依頼することで、適正な節税対策が期待できます。

④行政書士に依頼する場合|2万〜4万円〜

行政書士への依頼費用は、遺産分割協議書作成が2万〜4.5万円程度、相続関係説明図の作成が1万〜3万円程度が目安です。

行政書士に依頼するメリット
  • 他の専門家に比べて費用が最も安い
  • 戸籍の収集や遺産分割協議書の作成を任せられる
  • 相続人が多くて書類収集が煩雑な場合に心強い
行政書士に依頼するデメリット
  • 相続人の調整・交渉には対応できない
  • 不動産の登記申請は司法書士への依頼が必要
  • 相続税の申告は税理士への依頼が必要

相続人間で揉めておらず、書類作成だけを安く外注したい場合は、行政書士への依頼が適しています。

⑤銀行に依頼する場合|110万円〜

銀行への依頼費用は、遺産整理業務の手数料が最低110万円〜です。

別途、登録免許税・司法書士や税理士への報酬・各種証明書の取得費用がかかります。

銀行に依頼するメリット
  • 預貯金の解約から不動産登記、相続税申告まで丸投げできる
  • 窓口が一本化され、複数の専門家とやり取りする手間が省ける
  • 大手銀行の安心感がある
銀行に依頼するデメリット
  • 費用が最も高額(最低110万円〜)
  • 実際の作業は提携する司法書士や税理士に外注される
  • 直接依頼するより割高になる

手間をかけたくない方には便利ですが、費用を抑えたい場合は各専門家に直接依頼するほうがおすすめです。

手続きを放置・期限超過した際のリスク

ここでは相続手続きを放置した場合のリスクを解説します。

金銭的なペナルティだけでなく、家族関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

①借金を背負うおそれがある

3ヶ月の期限を過ぎると単純承認したとみなされ、故人の借金や連帯保証債務をすべて引き継ぐ義務が生じます。

たとえば故人が友人の事業資金3,000万円の連帯保証人になっていた場合、その返済義務も相続人に引き継がれます。

また遺産の一部を使ってしまったり財産を処分したりすると、期限内であっても法定単純承認が成立し放棄が認められなくなります。

②無申告加算税や延滞税の罰則

相続税の申告期限(10ヶ月)を過ぎると、本来の税額に加えてペナルティが課されます

無申告加算税は本税の15〜20%、延滞税は年率2.4%〜8.7%、重加算税は本税の35〜40%です。

1,000万円の相続税を1年放置した場合、無申告加算税150万円+延滞税数十万円で総額1,200万円以上になるケースもあります。

ペナルティの種類

内容

無申告加算税

本税の15〜20%(自主的に申告すれば5%)

延滞税

年率2.4%〜8.7%(納付が遅れた日数に応じて加算)

重加算税

本税の35〜40%(意図的な隠蔽があった場合)

③相続登記放置による過料の過料

2024年4月から相続登記が義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に名義変更をおこなわなければ、10万円以下の過料を科される可能性があります。

過料だけでなく不動産を売却できない・リフォームローンが組めない・次世代の相続時に権利関係が複雑化するというデメリットも発生します。

「いずれ売るから」と放置していると、いざ売却しようとしたときに相続人が増えて収拾がつかなくなるケースが多いです。

④準確定申告遅延による追徴課税

準確定申告の期限(4ヶ月)を過ぎると、最大65万円の青色申告特別控除が適用できなくなります

さらに、延滞税や無申告加算税が課される・本来受け取れる還付金が減額されるというデメリットもあります。

故人が自営業や不動産賃貸を営んでいた場合は特に注意が必要です。

期限さえ守れば受けられる控除や還付を逃さないように、早めの準備を心がけましょう。

遺産相続手続きでよくあるトラブル事例

ここでは相続で起きやすいトラブルを事前に知り予防策を講じるための情報を解説します。

相続は、争族と呼ばれるほどトラブルが起きやすい場面です。

①遺産の使い込みや使途不明金への疑念

故人の通帳から生前や死亡直後に多額の出金がある場合、管理していた相続人による使い込みを疑われることがあります。

「介護費用に使った」と説明しても領収書や記録がなければ他の相続人は納得しません。

最悪の場合、不当利得返還請求として裁判に発展するため、予防策として生前から介護費用や生活費の支出を記録しておくことが重要です。

領収書やレシートを保管しておき、可能であれば複数の相続人で管理するのをおすすめします。

②不動産を誰が継ぐか・売るかの対立

実家などの不動産をめぐって、思い出の家を残したい派と売却して現金で分けたい派で意見が対立するケースは非常に多いです。

代償分割(家を継ぐ人が他の相続人にお金を払う方法)で解決できる場合もありますが、支払い能力がなければ協議は難航します。

共有名義にすると将来の売却や活用に全員の同意が必要となり問題を先送りするだけになりがちです。

③介護などの寄与分をめぐる主張の不一致

「長年介護に尽くしたから多くもらうべき」という主張は感情的には理解できますが、法律上の寄与分として認められるには厳しい要件があります。

被相続人の財産の維持・増加に貢献したこと、その貢献が特別の寄与といえること、金銭的に評価できることが必要です。

仕事を辞めて介護した・施設に入れずに自宅で看たといった事情も客観的な証拠がなければ、他の相続人の反発を招きやすいでしょう。

④生前贈与(特別受益)による不公平感

特定の相続人だけが住宅購入資金や教育資金の援助を受けていた場合、不公平を訴える相続人が現れます。

これらの生前贈与は、特別受益として相続財産に持ち戻して計算するルールがあります。

ただし、被相続人が持ち戻しを免除する意思表示をしていた場合は計算に含めなくてもよいケースもあります。

生前贈与の有無や金額について認識が食い違うと協議は長期化するため、注意が必要です。

⑤遺言書の内容が遺留分を侵害している

「全財産を長男に譲る」といった遺言があっても、他の相続人には遺留分という最低限の取り分が保障されています。

遺留分は、法定相続分の½(兄弟姉妹には遺留分なし)です。

遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額請求によって金銭の支払いを求めることができ、この請求権は相続の開始を知った日から1年で時効になります。

まとめ

相続手続きには、以下のように7日〜14日・3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月という厳格な期限があり、それぞれの期限で必要な対応が決まっています。

  • 7日〜14日:死亡届、年金停止、住民票抹消
  • 3ヶ月:相続放棄・限定承認の判断
  • 4ヶ月:準確定申告
  • 10ヶ月:相続税の申告・納付

特に3ヶ月以内の相続放棄の判断と10ヶ月以内の相続税申告は期限を過ぎると取り返しがつかないため、要注意です。

財産が預貯金のみで相続人間の関係が良好であれば、自身で手続きを進めることも可能です。

しかし不動産が複数あったり、相続税の申告が必要だったり、あるいは相続人間で意見が対立しているような場合は注意が必要です。

こうした状況では、早めに専門家へ相談することをおすすめします

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この記事の監修者
江戸川葛西相続法律事務所
菊地 正志 (第一東京弁護士会)
当職は、税理士、公認会計士準会員の資格をもつ、会計に強い弁護士です。相続で株式や不動産の扱いにお困りの方や、遺産分割協議でもめている方は、当職へご相談ください。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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