税理士費用とは、税理士に仕事を依頼する際に支払う料金のことで、税理士報酬や顧問料などが含まれます。
2002年以前は税理士法によって報酬額が決められていましたが、現在では撤廃されており、明確な報酬基準はありません。
そのため、「適正な税理士費用はいくらなのかわからない」という方も多いでしょう。
この記事では、税理士費用の内訳や相場などについて解説します。
*本記事の専門家による監修日は2023年6月28日です。
税理士の報酬規程が撤廃された現在では、税理士費用の相場を理解するのは非常に困難です。
会計事務所や税理士事務所はそれぞれ料金体系が大きく異なる場合が多く、セット料金を設定している事務所もあれば、作業ごとに細かく設定している事務所もあります。
ただし、ホームページなどで料金を掲載している事務所は多いので、それらの情報を総合すると、ある程度の料金の目安を知ることはできます。
ここでは、税理士費用の内訳や実態などを解説します。
税理士に依頼する際にかかる費用は、顧問料・各種作業料金・オプション費用などに分類されます。
顧問料とは毎月かかる費用で、税理士による訪問が組み込まれていたり税務署の監査に立ち会ったりなど、事務所によって対応範囲が異なります。
顧問料は必ず請求されるものではなく、「年に一度決まった時期(税務申告など)のみ依頼する場合は顧問料がかからない」というような契約もあります。
各種作業料金としては、記帳代行料金・確定申告や年末調整の代行費用などがあり、顧問料とは別に請求されるケースが多いようです。
また、各種届出の作成やコンサルティングなど、オプション費用を設定している事務所もあります。
税理士費用としては、下記の内容での契約が多いようです。
年間を通して、顧問契約を結んだ際の月額料金です。
領収書などの記帳を代行する業務で、こちらも月額です。
確定申告を依頼する場合の費用です。
消費税申告を依頼する場合の費用で、年商1,000万円を超える場合は申告義務が生じます。
年末調整や資料作成など税理士の業務は多岐にわたり、状況に応じて費用がかかります。
ただし、なかには顧問料に含まれている場合もあるので、詳しくは税理士に直接確認しましょう。
2014年4月に日本税理士連合会がおこなった調査によると、法人からの依頼で最も多かった月額顧問料は「1万円を超えて3万円以下」、決算料は「10万円を超えて20万円以下」でした。
また、個人からの依頼で最も多かった月額顧問料は「1万円を超えて3万円以下」、決算料は「5万円以下」でした。
2014年以前の税理士報酬は、税理士法によって、法人税は「2,000万円未満なら2万円」「1億円なら7万円超」などと決められており、今でもそのまま報酬として設定している事務所も多くあります。
しかし、現在は報酬規定が撤廃されているので、明確な基準はありません。
実態としては、月額顧問料は3万円以下、決算料は5万円~20万円程度と考えておくのがよいでしょう。
基本的に、税理士報酬は固定額・従量額・難易度加算のミックスであることが一般的です。
つまり、「売上高と作業量による報酬基準」と「取引量・難易度加算」といった観点から報酬が決定されます。
ここでは、税理士報酬の考え方について解説します。
まずは、税理士報酬の基本の考え方である「売上高」と「作業量」による報酬基準について解説します。
税理士の報酬を決めるにあたって、一般的に基準となるものが「売り上げの大きさ」です。
売り上げが大きくなるほど、税理士の作業量は増え、取り扱う税金も多くなります。
もうひとつが、税理士の作業量・作業時間です。
こちらはわかりやすい基準ではありますが、追加の依頼などをする場合は追加料金がかかるので、事前に税理士と話し合って確認しておくとよいでしょう。
「売上高による報酬基準」と「作業量による報酬基準」のどちらを重視する税理士であっても、必要のない作業を削れば税理士費用を削減できます。
ここでは、税理士による業務内容と報酬相場を紹介します。
年に一度おこなう代表的な業務と報酬相場は以下のとおりです。
ここでは、以下のケースにおける税理士の費用例について解説します。
まずは、個人と法人で顧問契約を結んだ場合の税理士費用例を確認しましょう。
なお、報酬内容は、顧問料(訪問料)+記帳代行料+確定申告代行費用とします。
個人事業主・フリーランスでの顧問税理士の費用例は次のとおりです。
項目 |
費用 |
顧問料 |
1万円程度/月 |
記帳代行料 |
1万円程度/月 |
確定申告代行費用 |
5万円程度 |
年間費用合計 |
29万円程度 |
法人での顧問税理士の費用例は次のとおりです。
項目 |
費用 |
顧問料 |
3万円程度/月 |
記帳代行料 |
2万円程度/月 |
確定申告代行費用 |
20万円程度 |
年間費用合計 |
80万円程度 |
相続税申告の税理士報酬は、遺産総額によって異なることが通常です。
費用例は次のとおりです。
遺産総額 |
費用 |
~5,000万円 |
25万円程度 |
5,000万円~7,000万円 |
40万円程度 |
7,000万円~1億円 |
50万円程度 |
1億円~1億5,000万円 |
65万円程度 |
1億5,000万円~2億円 |
80万円程度 |
2億円~2億5,000万円 |
100万円程度 |
2億5,000万円~3億円 |
120万円程度 |
3億円~4億円 |
150万円程度 |
4億円~5億円 |
180万円程度 |
5億円~ |
別途見積もり |
税理士を探す際、金額の安さだけをみて依頼先を決めるのは避けましょう。
また、金額設定が高いからといって必ずしも満足のいく結果になるともかぎらず、依頼する際は適正な税理士報酬を見極めることが非常に大切です。
以下のポイントを押さえておきましょう。
依頼する前に、どこまでの対応を税理士に依頼するのかをきちんと決めておきましょう。
当然ですが、予算も決めておくとよいでしょう。
何もわからないままとりあえず依頼してしまうと、予想以上の金額を請求されることも十分に考えられます。
税理士とは顧問契約を結ぶケースがほとんどですが、顧問契約の業務内容にどのような対応が含まれているのかも確認してください。
顧問料が安いところでも、あとから追加料金が発生するという場合もあります。
報酬について細かく確認することも大切です。
しつこいくらい税理士に尋ねてみてもよいでしょう。
税理士費用は必ずしも高額になるわけではなく、法人だけでなく個人による確定申告や相続税の相談などでも利用しやすい金額設定の事務所が増えています。
税金については複雑で理解が難しい分野なので、もし自力での解決が難しい場合は、速やかに税理士に相談しましょう。
相続税についてお調べの方へ |
相続時の税金をいかに減らすかなど、節税に関しては、税理士に聞くのが望ましいでしょう。
しかし、その相続にトラブルなどの問題が発生している場合、紛争を解決できる"弁護士"にご相談ください。
なお、相続を扱う弁護士の多くは税理士や司法書士とも連携しているため、良い相談先を紹介してくれることも多いです。
まずは、無料相談などを活用してあなたのお悩みが解決できそうか確かめてみましょう。 |
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