遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)とは、全ての相続人が遺産分割協議で合意した内容を書面に取りまとめた文書のこと。
遺産分割協議書を作らないと“不動産の相続登記”や“預貯金・株式・自動車の名義変更の手続き”はできません。
また1度決めた内容の変更は基本的にはできませんので、「やっぱりこの財産の分配じゃ納得いかない」などのトラブルを回避する効果もあります。
ここでは、遺産分割協議書のひな型・注意点を参考にしてもらい、無効にされない書類の書き方を身につけていただければ幸いです。
遺産分割協議について詳しく知りたい方はこちらの記事もチェックしてみてください。
→遺産分割協議とは財産分配の話し合い|手続き方法や不動産の分け方
遺産分割協議書を作る手間を省きたい・作成に自信がないなら弁護士へ依頼してください
遺産分割協議書を作成することで、遺産分割協議で決めた証拠を残せる・不動産などの名義変更手続きが可能です。
遺産分割協議するならトラブルを回避するためにも遺産分割協議書を作成してください。
弁護士に作成の代行依頼をすれば、手間を省ける・書き方のミスを起こさないのでオススメです。
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相続問題を得意としている弁護士を掲載しているため、遺産分割協議書を迅速に正確に作成できます。
まずは下記からお近くの弁護士を探して相談してみてください。
目次
■遺産分割協議書の書式・サンプル
■遺産分割協議書の書き方と注意すべきポイント
・遺産分割協議書の基本形
■遺産分割協議書には必ず割印・捨印・契印を押す
・印鑑を押す意味
・遺産分割協議書で実印を使用する重要性は?
・遺産分割協議書が2ページ以上なら契印を押す
・遺産分割協議書が2通以上なら割印が必要になる
■遺産分割協議書は必ず作成したほうが良い
・遺産分割協議書はなぜ必要なのか?
・作成を後回しにするデメリット
■遺産分割協議書を公正証書にすべき理由
・公正証書にするメリット
・公正証書のデメリット
・公正証書にする為の書類
・費用
・遺産分割協議書を公正証書にすべき人
■遺産分割協議全体の流れを再確認しておく
・遺産分割の流れ
■まとめ
遺産分割協議書がどういったものかを確認する為に、遺産分割協議書のサンプルから見ていきましょう。
遺 産 分 割 協 議 書 記 |
遺産分割協議書は手書きでもワードなどのパソコンでも作成が可能ですので、パソコンを使用する場合はコピーしてご利用頂いても結構です。
ただ、遺産分割の対象となる財産はケースバイケースであり、必ずしも上記事例がそのまま適用されるということもないと思います。上記の記載例は協議書の書き方のイメージとして、ご参考として頂ければと思います。
もしあなたが、
上記のいずれかに当てはまるのであれば、法律の専門家である弁護士に相談することを強くオススメします。
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遺産分割協議書の書き方には特定の決まりはありませんが、以下のことに気をつけて頂くと良いかと思います。
・書く際は手書き、パソコンのどちらでも作成が可能
・相続人の名前・住所だけは手書きの方が望ましい
・住所、署名は自筆の方が適切・押印は実印
・相続人の数と同じ通数を作成し、相続人全員が各自一通ずつ原本を保管
・タイトルは「遺産分割協議書」とすると良い
・被相続人の名前、相続日(死亡日)、協議した相続人は明記すること
・相続財産の処分内容を具体的に記載
・不動産の記載は登記簿謄本や権利証により、自動車は登録証により、正確に特定する
(土地なら所在と地番。建物なら所在と家屋番号)
・預貯金、株式、生命保険解約金等の金融商品は証券や通帳に照らして正確に特定する
・代償分割の場合は代償内容と支払期限を明確にする
相続人が2名の場合は以下のように書かれるのが良いかと思いますが、相続人が増えればその分記載する相続人の名前が増えていくことになりますが、長くなる場合は2枚になっても構いません。
遺産分割協議書を作成したら、割印や契印などを必ず押印する様にしましょう。
印鑑とはもともと、判子を押したときにできる印章のことですが、この印章を市役所に登録することで「実印」になり、「実印」を押してあることでその書類は印鑑登録証明書になります。役所に届け出ているため、本人確認や住所登録の意味を踏まえたものになりますので、印鑑登録証明は大変重要な証明になります。
遺産分割協議書は、相続人同士の話し合いの結果を単純にまとめたものではありますが、「遺産分割をちゃんとしました、この内奥で遺産分割をします」と書き残す以上、全ての相続人がその内容を守ってもらう必要があります。
つまり、一種の契約書のようなものになりますから、実印の署名捺印があることで、のちのち話し合ったことを反故にされないようにする意味と、相続人の存在証明を踏まえた意味合いがあります。
そのため、遺産分割協議書で利用するのは「実印」であり、必ずすべての相続人の印鑑登録証明書が必要になってくるわけです。
遺産分割協議書がA4サイズまたはA3サイズ1枚なら署名捺印のみでも結構ですが、もし協議書が2枚以上になったら、一つの遺産分割協議書として見せるために、ページのつなぎ目に契印が必要になります。
遺産分割協議書が1通だけなら割印は不要ですが、すべての相続人が原本として遺産分割協議書を保管する場合(というか持つべきです)には、すべての遺産分割協議書が同じものであるという証明が必要になりますので、その際には「割印」が必要になります。
不動産の所有権を移転させる為だけに必要だから、一通しか作成しないケースもあるかもしれませんが、これは、後々の争いになったときにそれぞれが持っていたほうが争点は少なくなり、早期解決にもつながりますので、持っておくことおすすめします。
ちなみに製本テープで作成された遺産分割協議書が複数通ある場合には、表紙または裏表紙において同じように割印をすることになるでしょう。
被相続人が亡くなった場合、まずは相続人全員で協議して、誰が、どんな財産を相続するのかを決めるというのが通常です。もしも相続の際に不動産や預貯金の名義変更は必要ないということであれば、遺産分割協議書は必須とまでは言えません。
しかし、相続発生直後は必要ないと考えていても、後々相続でトラブルになった際に「あの時ちゃんと協議して取り決めておけばよかった」と後悔しても後の祭りです。したがって、遺産分割協議書は基本的には作成する方がベターといえます。
参考:「遺産分割協議を円滑に進める手引き」
遺産分割協議が遅れるということは、相続財産についての処理が遅れることを意味します。当然、相続財産で負担されるべき費用(葬儀代や納骨にかかる費用)についても未精算のまま残存することも有り得ます。
また、一定期間経過しても遺産分割協議がまとまらないと、相続税の優遇措置を受けられず、本来払う必要のない余分な税金を支払うことになる可能性もあります。また、時間の経過により事実関係や権利関係の調査が難しくなるにつれ、相続トラブルに発展する可能性も増大します。
こういった、「あとあと面倒になる事態」を避ける為にも、「先にやっておくことで大きなトラブルを回避できるもの」になるのが遺産分割協議書ですので、今面倒でもやっておくことをおすすめします。
参考:「遺産相続には期限あり|遺産相続の期限別で行う7個の手続き一覧」
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公正証書とは、公証人法に基づいて法務大臣が任命した公証人が作成する、公文書のことです。公証人は、裁判官や検察官、法務局長など元々法律の専門家であった者が就任することが多いため、的確なアドバイスを受けることができます。
また、公証人が作成した「公正証書」は通常の合意書面に比して証明力が強く、また裁判に依らずに強制執行可能となるなど、特別な効力もあります。
遺産分割協議公正証書は、内容の正確性が担保されているとされるため、自主的に作成した協議書に比して信頼性が高いといえます。したがって、遺産分割協議公正証書の方が、不動産の登記、預貯金口座の名義変更、相続税の申告など各種手続がスムーズといえます。
遺産分割協議公正証書は、公証人が間に入り、相続人全員の意思を確認して作成します。そのため、協議書の内容について後々争いとなる可能性はまずありません。
遺産分割協議公正証書の原本は、公証役場に20年間もの間保管されますので、紛失の心配も皆無です。
1:目的価格に応じた費用がかかる
2:公証人が間に入るため作成まで時間がかかる など
もっとも、費用はそれほど高額のものではありませんし、時間も後々トラブルになる可能性を考えればそれほど負担となるものではありません。そうすると、これらデメリットを踏まえても、遺産分割協議書を作成するのであれば公証人に依頼することは検討に値すると思われます。
・相続人全員の印鑑証明書と戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本・改正原戸籍、除籍謄本など
・不動産登記簿謄本と固定資産税評価証明書(不動産がある場合)
・預貯金の通帳または残高証明書
・有価証券の残高証明書、生命保険の解約返戻金証明書
・借入先の残高証明書
これらを用意して、お近くの公正役場を尋ねれば、必要な手順を教えてくれます。
目的の価格 |
手数料 |
100万円以下 |
5,000円 |
100万円を超え 200万円以下 |
7,000円 |
200万円を超え 500万円以下 |
11,000円 |
500万円を超え 1,000万円以下 |
17,000円 |
1,000万円を超え 3,000万円以下 |
23,000円 |
3,000万円を超え 5,000万円以下 |
29,000円 |
5,000万円を超え 1億円以下 |
43,000円 |
1億円を超え 3億円以下 |
43,000円に5,000万円ごとに13,000円を加算 |
3億円を超え 10億円以下 |
95,000円に5,000万円ごとに11,000円を加算 |
10億円を超える場合 |
249,000円に5,000万円ごとに8,000円を加算 |
証書の枚数が4枚を超える場合、1枚ごとに250円が費用に加算されます。
以下の項目に該当する方は遺産分割公正証書にしてみても良いかもしれません。
・遺産分割協議後のあらゆるトラブルを避けたい
・相続の手続きで万が一にも手間取る可能性を排除しておきたい
・遺産分割協議書の紛失を避けたい
・費用をかけてもいいので安心が欲しい
このようにお考えの方は遺産分割協議公正証書にすることをおすすめいたします。なお、公正証書は法的な妥当性があるかを厳密に判断されますので、遺産分割協議書を公正証書に残すことを検討されているのであれば、一度弁護士に相談しておくことも合わせておすすめします。
関連記事:遺産相続の無料相談先と相談事例|弁護士などの専門家を選ぶ基準
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遺産分割協議書を書くことも大事ですが、相続をスムーズに行うには、遺産分割協議そのものの流れを把握しておくことも大事になります。
「相続人全員と遺産をどう分け合うのか?」この段階から相続人とトラブルになることは本当に多く存在します。遺産分割協議は「いつまでにしなければならない」という期限もなく、遺言書で遺産分割を禁止していなければいつでも自由に行うことが可能です。
しかし、遺産分割協議に期限はなくても「遺産相続に期限のあるもの」もありますので、できれば早め早めの対応を心がけていただくのが良いでしょう。
時間が経つと記憶も曖昧になり、遺産分割協議で話した内容とは違うことを言いだす相続人が出てくる可能性もあります。早めに遺産分割協議書を作成すれば、精神的なストレスを軽くすることもできますので、あの時やっておけばよかったとならないように、事前の対応を心がけてみてはいかがでしょうか?
【監修】プラム綜合法律事務所 梅澤康二弁護士
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遺産分割協議書を作る手間を省きたい・作成に自信がないなら弁護士へ依頼してください
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2:通話料無料で弁護士へ連絡できる(一部無料面談相談も対応)
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