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2019年09月09日

遺産相続で換価分割を選ぶ前に知っておくべきこと

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Kankabunkatsu
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換価分割(かんかぶんかつ)とは、不動産や土地などの現物として残された相続財産をお金に「換金」し、その「価値」に応じて、相続人の間で分割する方法のことで、税負担を軽減する効果を大きくするメリットがある遺産分割の方法です。

 

遺産分割には3種類の方法があり、今回の記事では、そのうちのひとつである「換価分割(かんかぶんかつ)」についてご紹介します。換価とはなかなか聞き慣れない言葉ですが、遺産分割において換価分割を選ぶ場合に知っておくべきことについて、ご紹介していきます。

 

※相続した不動産の売却を考えている方は、こちらの記事もおすすめです。

【参考】

田舎の土地を売却する方法|売れない土地は所有し続けない方が良い?

相続不動産を売却した時にかかる税金の全知識とそのシミュレーション

 

不動産の相続でトラブルを起こさないためには事前弁護士へ相談するのがオススメです

不動産が関わる遺産相続は、トラブルになるケースが非常に多いです。

誰が不動産を相続するの?不動産はどうやって分ければいいのか?法定相続人の誰か一人に相続させるとしたら他の相続人の遺留分はどうなる

こういった些細な疑問が大きくなり、下記のようなトラブルに発展します。

  • そもそも不動産の分割方法がわからない
  • 借地権などの権利関係がどうなっているのか不明
  • 土地を相続したが小さすぎて分割や活用が困難
  • 相続登記が前の相続でされていなかった
  • 名義変更の際にトラブルになっている など

上記のような悩みは、弁護士に相談することで解決できるかもしれません。

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換価分割を含む3つの遺産相続方法について

まずは換価分割を含む3つの遺産相続の方法についてご紹介していきます。
 

現物分割

最も一般的な遺産分割の方法は、現物分割です。例えば、土地と建物と現金が遺産として残っていたとします。その遺産を3人の相続人で分割する場合、1人が土地、1人が建物、1人が現金とそれぞれが、現物を相続します。

この方法は分割がしやすいですが、その反面、遺産としての価値がそれぞれ異なる場合があり、公平な分配方法とならない可能性があります。
 

換価分割

今回メインでご紹介する換価分割では、まず土地や不動産などの遺産をすべて換金します。そして、その換金された金額を相続人で分配します。この方法では全ての相続人に平等に金銭という形で相続が行われます。

しかし、例えば住宅が遺産として残っているケースでは、その家に住み続けたい者がいると換金に反対する可能性があり、換価分割ができないおそれがあります。
 

代償分割

代償分割では、複数人いる中の特定の相続人が残された財産を相続します。その相続人が他の相続人に対して相応の金銭などを提供する方法です。例えば、相続人の一人が遺産である住宅を相続する代わりに、もう1人の相続人に代償金として2,000万円を支払うという方法です。

 

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換価分割を選ぶ理由

換価分割が遺産相続において選択されるケースは以下のような状況の場合が多いです。

 

  • 相続財産の中に、相続人の全員が取得を希望しない財産がある場合
  • 代償分割を行いたいが、代償金の支払いが難しい場合


換価分割によって、相続財産のすべてをお金に換金して、法定相続人でそれぞれが定められた割合によって、分割することは平等といえば平等でしょう。
 

換価分割のメリット

  • 財産を現金化するため相続人同士明確な遺産分割ができ、トラブルになりにくい
  • 現金化する際にかかる手数料が省け節税対策になる


相続人も不動産の取得を希望しない場合や、相続税納税資金を捻出する場合になどに換価分割は効力を発揮しますので、 相続人間で公平に分けることができます。
 

換価分割のデメリット

  • 不動産や株式等を手放さなければならない。
  • 売却による譲渡税や手数料等が発生する。
  • 譲渡所得税の対象になる
  • 売却に際して処分の手間や費用がかかる
  • 希望通りの売却ができない可能性がある


売却時期・売却価格・仲介手数料などの費用負担については、相続人全員の合意が必要となり手間もかかりますし、他人に貸している土地や自宅などは簡単に売却できないケースもあります。また、売却できたとしても、自分たちの希望した価格で売却できない場合もあるというデメリットもあります。

 

換価分割の手続きと注意点

次に、換価分割を行う際の手続きと注意点について解説していきます。
 

相続登記を行う

土地や不動産を換価分割する場合には、それらの現物をいったん相続登記しなければなりません。換価分割における登記方法は以下の2通りのパターンがあります。
 

  1. ①換価によって得た現金を、法定相続分に従って分配する場合

  2. ②換価によって得た現金を、法定相続分と異なる割合で分配する場合

 

換価分割を行う場合の前提条件として必要な相続登記は、どのような場合であっても共有とすることが目的の登記です。この2パターンの違いは以下の通りです。

  1. ①遺産分割前の相続共有登記とみなされるため、登記申請の際に遺産分割協議書を合わせて提出する必要がない

  2. ②相続財産を換価することによって得た現金を、どのような割合で分配するのか(不動産の共有割合)を記載した遺産分割協議書を添付して、登記申請を行う必要がある

 

換価分割の相続税について

そもそも、相続税の課税は、相続を開始した時点の相続財産の評価額をベースに、各相続人の取得金額に対して行われます。つまり、換価分割を選択した場合は、相続財産の売却価格は相続税とは無関係となり、その財産の評価額に対して、分配割合に応じた金額が、それぞれの相続人の課税価格算入額となるのです。
 

換価分割と譲渡所得税について

換価分割を選択した場合は、譲渡所得を得る可能性があり、その際は譲渡所得税が課せられる可能性があります。取得した人の条件によって状況が異なるため、詳しくは、例を示してご説明します。
 

相続が発生した場合の事例

被相続人の相続財産は不動産のみで、この不動産に長女Bと被相続人の母が一緒に暮らしていた。遺産相続の方法として換価分割を選択して、この不動産を売却することで得た現金を、相続人の長男Aと長女Bで折半することにしました。

遺産分割協議書には、「長男Aが単独で相続登記をした上で、該当不動産を売却し、その売却益を長男Aと長女Bで折半する」という取り決めを記載しました。
 

不動産売却の結果

相続財産の不動産が5,000万円で売却できたケースを考えてみましょう。
その結果、長男Aと長女Bはそれぞれ換価分割によって2,500万円の分配を受け取ります。
 

譲渡所得税の計算

長男Aが不動産を売却した際に、売却益が発生した場合ならば、譲渡所得税の課税が必要となります。つまり長男Aと長女Bはそれぞれ税金の申告義務を受けるのです。譲渡所得の算出には以下の計算式を用います。
 

売価-(取得費+譲渡費用)

 
相続財産の不動産の売価5,000万円の取得費と譲渡費用の合計が3,000万円でした。この場合、譲渡所得は以下のように求められます。
 

5,000万円-3,000万円=2,000万円


譲渡所得は2,000万円で、長男Aと長女Bはそれぞれ折半するため、1,000万円ずつの譲渡益を受けたことになります。譲渡益を受けると譲渡所得税の申告の必要が出てきます。
 

譲渡所得税が発生しないケース

今回の換価分割の例では、長女Bは被相続人と同居していたため、売却した不動産は長女Bの自宅でした。つまりこの不動産は、長女Bにとって居住用の不動産といえます。所得税法では、居住用財産について、譲渡益が3,000万円まで特別控除の範囲を設けています。

そのため、今回のケースで長女Bが手にした譲渡益は1,000万円であるため、譲渡所得税は発生しません。
 

譲渡所得税が発生するケース

今回の換価分割の例では、長男Aは被相続人の母とは同居していません。そのため、長男Aにとっては居住用財産には該当しません。そのため、譲渡益1,000万円に対して長期譲渡所得税の場合は、20%の税金を支払わなければなりません。
 
土地や不動産を売却した場合の税率は、その取得期間などによって異なります。
 

  • 長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日現在で、該当物の所有期間が5年を越える

  • 短期譲渡所得:譲渡した年の1月1日現在で、該当物の所有期間が5年以下


この場合の税率には所得税と住民税が課せられます。それぞれの税率は以下の通りです。

 

 

  • 長期譲渡所得金:所得税 15% 住民税5%
  • 短期譲渡所得金:所得税 30% 住民税9%
     

換価分割で贈与税を避けるために遺産分割協議書を作成する

先ほど挙げた例のように、2人の相続人で換価分割を行う場合には、売却手続きなどの都合によって、まずどちらか一方だけの名義で相続登記を行います。その後、売却益を得た一方が、もう一方に対して該当する金額を分配します。

この場合、名義のないもう一方が代金を受け取っているため、贈与になってしまう心配をする人がいます。しかし、換価分割でのこのような行為は贈与とみなされず、贈与税が発生することはありません。

念の為に、遺産分割協議書には、換価分割であることと、売却代金の分配割合を明記するようにしましょう。もし、遺産分割協議書になにも記載がなければ贈与税を課されてしまう可能性があるため注意しましょう。
参考:遺産分割協議書の全て|サンプルと正しい書き方

 

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まとめ


土地や不動産などの財産を全て売り払って、現金を相続人で分配するだけなら一見簡単そうな換価分割ですが、土地や不動産などを売却する場合には、相続登記や譲渡取得に関わる税金が課せられるなど注意する手続きがいつくかあります。

換価分割を選択する際は、この辺りを注意して行うようにしましょう。

 

※相続した不動産の売却を考えている方は、こちらの記事もおすすめです。

【参考】

田舎の土地を売却する方法|売れない土地は所有し続けない方が良い?

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相続トラブルを解決し遺産を多く受け取る方法とは?

相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。

 

これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。

 

相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。

 

相続トラブルの金額

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。

 

遺産分割に関する調停事件の推移

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

 

相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?

相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。

 

相続人の数

<参考資料:国税庁 統計年報>

 

相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。

 

トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。

 

弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。

 

 

相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例

相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
最大のメリットが得られる弁護士の選び方は、以下を参考にしてください。

 

 

  • 1、相続が得意な弁護士を選ぶ

    相続トラブルの解決実績が豊富だったり、相続問題に注力していたりする弁護士を選びましょう。

  • 例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。

  • 相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。

  • 2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ

    初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。

  • 件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)

  • 3、近隣の弁護士を選ぶ

    相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。

 

 

相続で弁護士が介入するデメリットは、あまりありません。

 

あえて挙げるなら、依頼に費用がかかる点でしょうか。

 

しかし、以下の費用対効果の例をご覧いただけば、実際には費用がデメリットとはならないことが、おわかりいただけると思います。

 

不公平な遺言書に対し弁護士を通じて遺留分を主張した例

3,000万円の遺産を遺して親が世を去った。全財産をほかの相続人に相続させる旨の遺言書があり、このままでは自分は一切遺産を受け取ることができない。

弁護士に依頼した結果

遺留分侵害額請求により、自分の遺留分割合である8分の1の遺産を受け取ることができた。

費用対効果

自分が受け取ることができた遺産は375万円。弁護士費用は84万円。そのまま泣き寝入りしていれば1円も受け取ることができなかったが、結果的に弁護士費用を差し引いても291万円を手にすることができた。

また、相続トラブルに関しては、初期費用(着手金)はかかるものの、費用の大部分は成果報酬方式です。


つまり依頼料はデメリットにならないのです。

 

>>費用対効果の高い弁護士とは?

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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