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遺産分割協議書の書き方と例文|相続人全員が納得できる遺産分割の方法

松島 達弥 弁護士
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遺産分割協議書を適切な方法で作成しておけば、遺産分割のトラブルを防ぐことができます。

しかし、具体的な書き方や手順がイメージできず、遺産分割協議書の作成に着手できていない方も多いのではないでしょうか。

そもそも遺産分割協議書を作成する必要があるのかさえ、判断できていない方もいるかもしれません。

そこで本記事では、遺産分割協議書の必要性や書き方、作成時のポイントなどを解説します。

遺産分割協議書の適正な作成方法を把握し、遺産相続に関する揉めごとを未然に防ぎたい方は参考にしてみてください。

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目次

遺産分割協議書とは|遺産分割協議の結果をまとめた書類のこと

遺産分割協議書とは、遺産分割協議の結果をまとめた書類のことです。

被相続人が亡くなった場合、法定相続人同士で誰が何を相続するかを決めなければなりません。

その際、口頭で確認し合うだけではあとでトラブルに発展しかねないので、遺産分割協議書を作成し、形あるものとして協議結果を残しておく必要があるのです。

法定相続人全員参加のもと、適切に作成された遺産分割協議書は法的効力を有します

万が一、遺産分割の方法に不満を申し立てる相続人が現れたとしても、相続人全員の同意がない限り、遺産分割協議書に記載された内容がくつがえることはありません

遺産分割協議書の作成例

遺産分割協議書には、決まった様式はありません。

以下に遺産分割協議書の作成例を示すので、参考にしてみてください。

遺産分割協議書

被相続人  山田太郎

生年月日  昭和●●年●●月●●日

死亡日   令和●●年●●月●●日

本籍地   東京都新宿区西新宿●-●●-●

最終住所地 東京都新宿区西新宿●-●●-●

前記被相続人の相続に関し、被相続人の法定相続人ら全員で遺産分割協議をおこなった結果、下記のとおりに遺産分割協議が成立したことを確認する。

1.相続人の特定

 相続人ら全員は、被相続人の相続人が、妻山田花子、長男山田一郎、長女山田和子および次男山田次郎の4名であることを確認する。

2.妻の取得財産

  相続人ら全員は、下記の不動産を妻山田花子が取得することに合意する。

  所在   東京都●●区●●

  家屋番号 ●●番●

  種類   ●●

  構造   ●●●●

  床面積  ●階 ●㎡

3.長男の取得財産

  相続人ら全員は、下記の預貯金を長男山田一郎が取得することに合意する。

  ●●銀行●●支店 

  普通預金 口座番号●●●●●●●

4.長女の取得財産

  相続人ら全員は、被相続人の一切の動産について、長女山田和子が取得することに合意する。

5.次男の取得財産

  相続人ら全員は、前記2項から4項を除く一切の財産(本遺産分割協議成立までに明らかとならなかったものも含む)について、次男山田次郎が取得することに合意する。

6.清算条項

 相続人ら全員は、各相互に、被相続人の相続に関し、本協議書に定めるもののほか何らの債権債務も存在しないことを確認する。

  以上の内容で、相続人全員による遺産分割協議が成立したため、本協議書を4通作成し、署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。

令和●●年●月●日

住所 東京都新宿区西新宿●-●●-●

生年月日 昭和●●年●●月●●日

相続人 (妻)山田花子  ㊞

住所 東京都新宿区西新宿●-●●-●

生年月日 平成●●年●●月●●日

相続人 (長男)山田一郎  ㊞

住所 東京都新宿区西新宿●-●●-●

生年月日 平成●●年●●月●●日

相続人 (長女)山田和子  ㊞

住所 東京都新宿区西新宿●-●●-●

生年月日 平成●●年●●月●●日

相続人 (次男)山田次郎  ㊞

なお、上記は、遺産の分割方法を記載しているだけの大まかな作成例です。

負の財産に関する分割方法や祭祀承継の条件など、相続時の状況にあわせて細かな事項を記載するケースもあります。

新たな相続財産が見つかった場合の取り扱いを、遺産分割協議書で定めておくことも可能です。

遺産分割協議書の基本事項|必ず記載する5つの項目

次に、遺産分割協議書に記載するべき5つの基本事項を紹介します。

1.タイトル

まずは、何に関する書類なのかを明確にするためにタイトルを記載する必要があります。

書面の中央上部に「遺産分割協議書」と記載するケースが一般的です。

2.被相続人の情報

被相続人の情報も遺産分割協議書に記載するべき項目のひとつです。

誰が相続するかも大切ですが、まずは誰の遺産を対象にした協議結果なのかを明らかにする必要があります。

被相続人の氏名・生年月日・死亡年月日・死亡時の住所は最低限記載しておきましょう。

3.取得財産の内容

取得財産の内容の記載も当然必要です。

誰が、どの財産をどの程度取得するのかを明確に記載しましょう。

特に名義変更をともなう不動産自動車などを取得する場合、財産の情報を正確に記載していなければ、名義変更手続をおこなう際に不備を指摘される可能性があります。

また、金融資産を遺産分割する場合は、個々の財産を特定できるような工夫も必要です。

たとえば、預貯金なら金融機関名・支店名・口座の種別・口座番号まで指定しておくとよいでしょう。

4.作成日付

遺産分割協議書には、作成した日付も記載しておかなければなりません。

遺産分割協議が終わった日、または相続人全員の署名が完了した日付を記載してください。

5.相続人全員の情報

遺産分割協議書の末尾には、相続人全員の情報を記載してください。

住所・生年月日・氏名を記載するケースが一般的です。

遺産分割協議書はパソコンで作成することも可能ですが、相続人の情報は各自手書きすることをおすすめします。

パソコンで入力するよりも手書きのほうが各相続人の意思表示を明らかにできるうえ、不正のリスクも抑えられるでしょう。また、氏名の隣には押印も必要です。

実印を利用することで、書面としての信頼度はより高まります。

また、印鑑証明書も添付しておけば、預貯金の解約手続や相続登記もスムーズに進められるでしょう。

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主な相続財産や分割方法などの遺産分割協議書の書き方

ここからは、遺産分割協議書における相続財産や分割方法などの書き方を解説します。

現預金

現預金を記載する際は、銀行名・支店名・口座種別・口座番号を記載する必要があります。

特に被相続人が複数の口座を持っている場合は、一つひとつ特定できるようにあいまいな表現は避けてください

【例文】

銀行預金

  • 〇〇銀行〇〇支店   普通預金 口座番号〇〇〇
  • 〇〇信用金庫〇〇支店 定期預金 口座番号〇〇〇

預金口座内の残高は利息などによって変動するため、記載しないことをおすすめします。

また、現預金を複数人で分割する際は、取得割合も指定しておくとよいでしょう。

名義財産

名義財産があるときは、「名義は異なるものの被相続人の遺産である」ことを明記し法定相続人全員で確認する旨の条項を設けたうえで、被相続人名義の遺産と同様に扱うのが一般的です。

【例文】

1.相続人全員は名義人の異なる以下の遺産が被相続人の遺産であることを確認する。

預貯金

  • 〇〇銀行〇〇支店   普通預金 口座番号〇〇(名義人 ▲▲)
  • 〇〇信用金庫〇〇支店 定期預金 口座番号〇〇(名義人 ◆◆)

2.相続人▲▲は以下の遺産を取得する。

預貯金

  • 〇〇銀行〇〇支店   普通預金 口座番号〇〇(名義人 ▲▲)

3.相続人◆◆は以下の遺産を取得する。

預貯金

  • 〇〇信用金庫〇〇支店 定期預金 口座番号〇〇(名義人 ◆◆)

預貯金だけでなく、株式や保険なども名義財産にあたるケースがあるので、名義人の記載漏れがないように注意してください。

不動産

不動産を表記する際は、相続登記手続に支障が生じないように必ず登記簿上の情報を書き写してください

具体的な表記方法は土地・建物・マンションごとに異なるため、それぞれ詳しく見ていきましょう。

一軒家

一軒家を相続する場合は土地と建物に分けて、以下の項目を遺産分割協議書に記載しましょう。

【土地の表記】

  • 所在
  • 地番
  • 地目
  • 地積

【建物の表記】

  • 所在
  • 家屋番号
  • 種類
  • 構造
  • 床面積

マンション

登記事項証明書には、「一棟の建物の表示」「敷地権の目的である土地の表示」 「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」の記載があります。

これらの情報をもとに、マンションの表記は 「一棟の建物の表示」「専有部分の建物の表示」「敷地権の表示」の3つに分けて記載するケースが一般的です。

【一棟の建物の表示】

  • 所在
  • 建物の名称

【専有部分の建物の表示】

  • 家屋番号
  • 建物の名称
  • 種類
  • 構造
  • 床面積

【敷地権の表示】

  • 符号
  • 所在及び地番
  • 地目
  • 地積
  • 敷地権の種類
  • 敷地権の割合

底地が敷地権化していない場合は、「一棟の建物の表示」「専有部分の建物の表示」の2つを記載すれば問題ありません

共有財産

被相続人が第三者(親族を含む)と共有している不動産の共有持分権も相続財産に含まれます。

そして、遺産分割協議書で不動産を表記する際には、被相続人の持分を明記しておかなければなりません

【例文】

土地

  • 所在   〇〇市〇〇町〇〇丁目
  • 地番   〇〇番〇〇
  • 地目   宅地
  • 地積   〇〇㎡(共有者 ▲▲ 持分〇分の〇)

建物

  • 所在   〇〇市〇〇町〇〇丁目
  • 家屋番号 〇〇番〇〇
  • 種類   〇〇
  • 構造   〇〇
  • 床面積  〇〇㎡(共有者 ▲▲ 持分〇分の〇)

配偶者居住権

配偶者居住権とは、被相続人が所有する建物に居住する配偶者が、引き続き無償で住み続けられる権利のことです。

遺産分割協議書には、誰がどの建物にいつまで住み続けるのかを記載しておく必要があります。

【例文】

被相続人◆◆の配偶者▲▲は、下記の建物の配偶者居住権を取得する。存続期間は遺産分割協議書の成立日から▲▲の死亡日までとする。

  • 所在   〇〇市〇〇町〇〇丁目
  • 家屋番号 〇〇番〇〇
  • 種類   〇〇
  • 構造   〇〇
  • 床面積  〇〇㎡

なお、配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に居住していることが成立要件のひとつです。

別の建物に住んでいた場合は、遺産分割協議書に記載された内容どおりの効果が認められなくなる場合もあるので注意してください。

上場株式・有価証券

上場株式・有価証券を相続する場合は、証券会社名・支店名・口座名・発行会社名・株式数を記載しておきましょう。

【例文】

有価証券など

  • 〇〇証券会社 〇〇支店 口座番号〇〇 〇〇株式会社〇株

なお、上場株式の保有状況は、証券保管振替機構への照会手続で明らかにすることができます。

ゴルフ会員権

ゴルフ会員権が相続財産に含まれる際は、発行会社名・ゴルフ場の名称・会員権の種類・会員番号を記載してください。

【例文】

ゴルフ会員権

  • 〇〇株式会社 〇〇ゴルフクラブ 預託金ゴルフ会員権 会員番号〇〇

ゴルフ会員権は目に見える財産ではなく、遺産として認識されづらいので注意しておきましょう。

葬式費用や債務

葬式費用に関する取り決めを遺産分割協議で定めることも可能です。

遺産分割協議書には、誰がいくら負担するのかを記載します。

また、相続財産には負の財産も含まれるため、被相続人に債務がある場合も遺産分割協議書で取り扱いを決めておくとよいでしょう。

まずは、誰がどの債務をいくら継承するのかを記載してください。

そして、新たな債務が見つかった場合の対応も補足しておけば、余計なトラブルを未然に防ぐことができます。

【例文】

  1. ◆◆は、葬祭費用を全額負担する。
  2. ▲▲は、〇〇銀行の借入金〇〇円を継承する。
  3. 新たな遺産及び債務が見つかった場合、▲▲が債務を全て負担し、ほかの相続人に対して債務の弁済を求償しないものとする。

代償分割をする場合

代償分割とは、特定の相続人が財産を一人で取得する代わりに、ほかの相続人に対して代償金を支払う方法を指します。

不動産など、分割が難しい財産を相続する際に用いられるケースが一般的です。

代償分割をおこなう際は、誰が誰に対していくら支払うのかを遺産分割協議書に記載します。

支払い方法や支払い期限などをあわせて記載しておくのもよいでしょう。

【例文】

▲▲は〇条の財産を取得する代償として、◆◆に対し〇〇円を〇年〇月〇日までに◆◆が指定した口座への振込によって支払うものとする。

換価分割をする場合

換価分割とは財産を現金化し、相続人同士で分け合う方法のことです。

一般的には、誰も取得を希望しない財産があった場合や、現金で公平に分割したい場合に用いられます。

換価分割をおこなう場合、誰がどの財産の換価金を、どの程度受け取るのかを遺産分割協議書に記載するとよいでしょう。

特に、不動産の売に関しては、いくつかの注意が必要です。

まず、不動産は、売却までは時間がかかるので、買主に引き渡すまでの間、共有登記と単独登記のどちらで登記するかを決めておくことも大切です。

そして、不動産は、売却や維持管理に関しても費用が必要です。さらに、売却に伴う登記費用や税金の問題も出てきます。

そうしたコストをいかに分担するかについても定めておくとよいでしょう。

【例文】

  1. ▲▲と◆◆は前項の不動産を共同で売却し、売却に要した一切の費用を換価金から差し引いた残金を共有持分割合に従って取得する。
  2. ▲▲と◆◆は第一項の不動産を買主に引き渡すまでの間、共同で管理する。管理費用は、第一項の共有持分割合に従い負担する。

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遺産分割協議書のトラブルを防ぐための5つのポイント

次に、遺産分割協議書のトラブルを防ぐためのポイントを紹介します。

1.捺印には実印を使うようにする

遺産分割協議書の捺印には、実印を使用するようにしましょう。

重要な場面で使用する実印が押されていれば、各相続人が遺産分割協議書に同意しているという意思がより明確になります。

また、預貯金の解約手続や登記名義の変更手続きでは、相続人全員の印鑑証明書を提出する必要があるので、あらかじめ遺産分割協議書に添付しておくのもよいでしょう。

2.遺産分割協議書が2ページ以上なら契印を押す

遺産分割協議書が2ページ以上にわたる場合は、契印を押すことも大切です。

遺産分割協議書の各ページが連続していることを証明できるため、偽造や抜き取りを防ぐことができます。

ホチキス止めの場合は見開きの境界線上、製本の場合は製本テープにまたがるように押印してください。

なお、契印には捺印と同じ印鑑を使用し、相続人全員が押印する必要があります。

3.遺産分割協議書を2通以上作るなら割印を押す

遺産分割協議書を2通以上作る場合は、割印も忘れずに押印しましょう。

それぞれの遺産分割協議書が同じ内容であることを証明できるため、偽造予防になります。

割印は全ての遺産分割協議書にまたがるように、書類を少しずつずらして押印してください。

また、契印と同様に、捺印と同じ実印を用いて相続人全員が押印しなければなりません。

4.遺産分割協議書は相続人全員が1通ずつ保管する

余計なトラブルを防ぐためには、遺産分割協議書を相続人全員が原本を1通ずつ保管しておくことも重要です。

誰かが紛失したり偽造したりした場合でも、ほかの相続人の遺産分割協議書を見れば正しい協議結果を確認できます。

当然、各相続人はコピーではなく原本を保管しておかなければなりません。

遺産分割協議書は全て、署名押印や印鑑証明書の添付などを漏れなくおこない、相続人全員に同じものが行き渡るようにしてください。

5.トラブルのリスクがあるなら公正証書にしておく

トラブルのリスクを抱えている場合は、公正証書で遺産分割協議書を作成しましょう。

公正証書とは、法務局に所属している公証人が作成する公文書のことです。

公証人は法律の専門家であるため、遺産分割協議書の内容についても的確なアドバイスを提案してくれます。

また、公正証書は通常の書面よりも高い証明力を有しているため、裁判所で争う場合には証拠として扱うことが可能です。

強制執行に関する文言を入れ込んでおけば、合意内容に反する相続人がいた場合に裁判を経ることなく強制執行できることもあります。

相続人同士の信頼関係が薄いときや、合意内容に不満を感じている相続人がいるときなどは、遺産分割協議書の公正証書化を検討してみてください。

遺産分割協議書を作成するまでの流れ|4つのステップ

ここからは、遺産分割協議書を作成するまでの流れを紹介します。

大きく4つのステップに分かれるので、ひとつずつ詳しく見ていきましょう。

1.相続人を確定させる

まずは、財産の相続人を確定させる必要があります。

遺産分割協議には相続人全員が参加する必要があり、1人でも欠けていれば遺産分割協議書を作成しても法的効力が否定されかねません。

遺産分割協議に参加するのは法定相続人であり、具体的には被相続人の配偶者・子・親・兄弟姉妹などが該当します。

もし相続人を全員把握できていない場合は、被相続人の戸籍を確認しなければなりません。

ただし、前本籍地の戸籍なども取得して相続人を洗い出す必要があるので、自力での対応が難しい場合は弁護士に調査を依頼するのもひとつの方法といえます。

2.相続財産を確定させる

次に、相続財産を確定させましょう。

あとで新たな財産が見つかった場合は遺産分割協議をやり直す必要があるので、全ての財産を確実にリストアップしてください。

預貯金や不動産は比較的把握しやすい一方、目に見えない有価証券やゴルフ会員権などは見逃してしまうことも多いため注意が必要です。

また、ローンや借金といったマイナスの財産も相続対象となるので、もれなく調べるようにしましょう。

相続財産の洗い出しは、できる限り相続人全員で協力し合いながら進めることも大切です。

特定の相続人しか気づいていない財産が残されているケースも少なくありません。

3.遺産分割協議をおこなう

相続人・相続財産が確定したら、遺産分割協議をおこないましょう。

相続人全員の参加が必須ですが、その場に来れない事情がある場合はメールや電話でやり取りしても問題ありません。

なお、相続人に未成年が含まれている場合は、親が代理人として出席します。

ただし、親と子がどちらも相続人となるケースも多く、その場合は家庭裁判所に特別代理人の選定を申し立てしなければなりません。

4.遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議で相続人全員の合意形成が確認できれば、遺産分割協議書の作成を進めます。

誰がどの財産をどの程度相続するのかを明確に記載し、相続人全員が署名押印をおこなってください。

遺産分割協議書の作成が難しい場合は弁護士に相談しよう

遺産分割協議書の作成が難しいと感じる場合は、弁護士に相談してみましょう。

万が一、遺産分割協議書に不備があると登記手続などが滞ったり、相続人同士の認識に違いが生じてトラブルになったりするおそれもあります。

弁護士に相談・依頼すれば、相続人全員が納得し、法的にも有効な遺産分割協議書を作成してもらうことが可能です。

公正証書化を希望する際も、必要な手続きを全て代行してもらえます。

しかし、遺産分割協議書に関する十分な知識と経験のない弁護士に依頼してしまうと、思うような成果を得られない可能性があるので注意してください。

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遺産分割協議書に関するよくある質問

最後に、遺産分割協議書に関するよくある質問を紹介します。

同様の疑問を感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。

Q.遺産分割協議書はパソコンで作成しても問題ないか?

遺産分割協議書は、パソコンで作成しても問題ありません。

様式が決まっているわけではないので、必要な項目さえ押さえておけば自由に作成できます。

ただし、遺産分割協議書は途中で変更が生じることも多いため、手軽に修正できるパソコンを使用するのがおすすめです。

Q.遺産分割協議書はどのようなシーンで必要になるか?

遺産分割協議書は、主に以下のようなシーンで必要になります。

  • 預金の名義変更及び払い戻し
  • 不動産の名義変更
  • 株式の名義変更
  • 自動車の名義変更
  • 相続税の申告

遺産分割協議書がなければ、上記の手続きが滞るおそれがあるので注意しておきましょう。

特に、相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内におこなう必要があるので、速やかに遺産分割協議書の作成を進めることが大切です。

Q.遺産分割協議書が不要なケースはどのようなときか?

主に以下のようなケースでは、遺産分割協議書の作成は不要です。

  • 相続人が1人だけの場合
  • 遺言書の内容に従う場合
  • 法定相続分どおりに分割する場合

相続人が1人だけなら財産を分ける必要がないので、当然、遺産分割協議書は必要ありません。

被相続人の子が1人だけで配偶者も死亡している場合などが該当します。

遺言書の内容に沿って遺産分割する際も、遺産分割協議書の作成は不要です。

もちろん相続人全員が賛成し、遺言書に示された以外の方法で相続する際は、遺産分割協議書を作成しておくことが望ましいといえます。

法定相続分どおりに遺産分割する際も、遺産分割協議書作成は必要ありません。

法定相続分の割合は民法で規定されているため、あえて遺産分割協議書で示し直す必要性は低いでしょう。

ただし、その場合でも、後々のもめ事を防ぐ効果はありますので、念のため遺産分割協議書を作成しておくという対応は効果的な対応といえます。

Q.遺産分割協議書に不備があった場合はどうなるのか?

遺産分割協議書に不備があった場合は、名義変更などの手続きができない可能性があります。

再度、遺産分割協議書を作成しなければならないので、必要な項目がもれなく記載されているかどうかは必ず確認しておきましょう。

さいごに|遺産分割協議書は自力で作ることもできる!

遺産分割協議書は自力で作成することもできます。

様式が定められているわけではないので、縦書き・横書きも自由に決められるほか、パソコン・手書きのどちらで作成しても問題ありません。

ただし、必要な項目の記載漏れがあった場合は、法的な効力を失ってしまう可能性があります。

そのため、相続財産の種類が多く遺産分割が複雑になる場合や、遺産分割協議書の作成に十分な時間をかけられない場合などは弁護士に依頼することも検討しましょう。

相続人全員の合意内容を正確に反映し、各種手続にも利用できる遺産分割協議書を確実に作成してもらえるはずです。

ただし、弁護士に遺産分割協議書を作成してもらうには10万円以上の費用がかかることもあります。

実際に依頼するかどうかは、作業量や相続財産の価値などを踏まえて慎重に判断しましょう。

誠実な弁護士であれば、しっかりと見積書を提示してくれますので、弁護士に依頼することを考える場合でも安易に依頼せず、まずは見積書の発行依頼から始めてみてください。

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この記事の監修者
いろどり法律事務所
松島 達弥 弁護士 (京都弁護士会)
生前の遺言書作成から遺産の分割・取り分についての話し合いまで幅広く対応。税理士、司法書士、不動産鑑定士など他の士業との連携も得意としており、正確な知識・情報に基づいた解決案の提示には信頼が厚い。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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