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【事例あり】遺産分割協議書の押印を拒否されたら?対処法も解説!

みらい総合法律事務所
山内 亘 弁護士
監修記事
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遺産分割協議は、相続人同士で遺産をどのように分配するかを決める話し合いのことです。

そして、話し合いで決定したことを書き留めておく証明書が、遺産分割協議書です。

遺産分割協議には、相続人全員の押印と署名が必要ですが、もし署名・押印を拒否する人がいる場合は、どうしたらよいでしょうか?

以下、その場合の対処法について詳しく解説していきます。

遺産分割協議書の署名・押印が拒否されてしまった方へ

遺産分割協議書への署名・押印を拒否されて、どう対処すればよいかわからずに困っていませんか?

 

結論からいうと、法律の知識が乏しい場合、話し合いでは解決しないケースがあります。

スムーズに相続問題を解決するためにも、相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。

 

弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットを得ることができます。

  • 遺産分割について法的アドバイスがもらえる
  • 依頼した場合、代理人として話し合ってもらえるため親族と会わずに済む
  • 依頼した場合、遺産分割協議書の作成など必要な手続きを一任できる

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遺産分割協議はトラブルになりやすい

複数の相続人がいる場合、遺産分割協議ではトラブルが起こりやすい傾向があります。

1人だけが遺産分割協議書に署名と押印を拒否し、話し合いが長引くケースも十分に考えられます。

その原因は次のとおりです。

  1. 相続する財産の大半が不動産であるために公平な分配が難しい
  2. 株などの金融資産や不動産、借金などがあるため整理が難しい
  3. 相続人に前妻の子や養子などがいる
  4. 身勝手な理由で多額の分配を主張する相続人がいる

上記のような原因で分配される遺産が1人だけ少なくなったり、予期せぬ相続人の登場によって分配が少なくなったりすると、署名と押印をしない相続人が出てくる事態に陥るのです。

トラブル例(モデルケース1)

両親が亡くなり、子供3人が相続人になっていたため、平等に三等分する予定でした。

しかし、両親を献身的に介護していた長男が「遺産を多くもらうことは当然」と言い出し、トラブルになりました。

他2人の子供は、長男に遺産が多く分配されることに不満を感じ、平等に三等分することで話を強引に進めようとしましたが、長男は遺産分割協議書に署名と押印をしませんでした。

トラブル例(モデルケース2)

3人兄弟が相続人で、自宅と事務所の2つの不動産がありました。

不動産は分割することが難しく、1軒ずつ分配しようにも1人の子供には分配できません。

自宅と事務所のどちらかの建物を取り壊し、3等分して土地を分配する方法がありますが、建物の取り壊しにも費用がかかります。

いずれの不動産についても、3分の1ずつの持分を設定することも考えられますが、売却時には面倒です。

長男と次男は、年功序列で三男には不動産を分配しないことで合意しましたが、三男は納得しませんでした。

三男は遺産分割協議書にも署名・押印しないため、話し合いが長引くこととなりました。

遺産分割協議書には全員の署名・押印が必須

遺産分割協議書には、相続人全員の署名とが必要です。

誰か1人でも署名・捺印がなければ、遺産分割を実行することができません

そのため、相続人全員が納得できるように遺産の分配について話し合う必要があるのです。

署名・押印は拒否してもいい

遺産相続分割協議書は、遺産分割協議において遺産分割の内容に相続人全員が合意したことを証明するものです。

遺産分割協議書に合意できない部分がある場合には、署名・押印を拒否できます。

例えば、相続人同士の関係において立場が強い・弱いがある場合、半ば強引に合意を求められることがあります。

このような場合、遺産分割協議書への署名・押印を拒否することで、不当な内容による相続を防ぐことができるのです。

協議書の内容が不当なら見直しを

遺産分割協議書の内容が不当な場合には、相続人全員で再度話し合うことが大切です。

誰か1人でも遺産分割協議書に押印しなければ、遺産分割を実行することができません。

これは、他の相続人にとっても得なことではないため、全員が納得できるように再び話し合った方がいいでしょう。

納得できない理由が正当なものである場合は、他の相続人に譲歩する姿勢が求められます。

遺産分割協議書を拒否されたら弁護士に相談

遺産分割協議書への署名・押印を拒否された場合は、法律の専門家である弁護士に相談しましょう

法律の知識に乏しい場合、話し合いでは解決しないケースがあります。

弁護士に相談することで、ご自身の予想以上に早くあるいは納得のいく結果で解決する可能性があるのです。

弁護士に相談する理由は次のようにさまざまなので、前向きに検討することをおすすめします。

相手も弁護士を雇っている可能性

遺産分割協議書への押印を拒否した相続人も弁護士を雇っている可能性があります

この場合、代理人として弁護士と話し合うことになるのですが、これまでさまざまな事例を経験している弁護士は説得や提案も上手く、丸め込まれてしまうことも予想されます。

気がつくと、相手にとって有利な条件で合意することになっていたということにもなりかねません。

そのため、こちらも弁護士を雇って対策することが大切なのです。

親族と会わなくて済む

遺産分割協議でトラブルになった場合、相続人と直接話し合いたくないという方もいます。

感情的になり、冷静に話し合いができない方もいれば、話し合いの時間にプライベートな時間を奪われたくないという方もいるでしょう。

弁護士を雇えば、代理人として代わりに相続人と話し合ってもらえるため、話し合いの場に出る必要がなくなるのです。

非協力的な親族の対応をしてくれる

遺産分割協議書への署名・押印を拒否する相続人は、その後の話し合いに参加しなくなることがあります

一歩も譲らず協力しない姿勢を保つことで、他の相続人を困らせるのです。

このような相続人の対応も弁護士に任せられます。

いがみ合っている相続人が話し合いへの協力を求めるよりも、弁護士が協力を求めた方が心を開いてくれる可能性もあります。

手続きを一任できる

遺産相続の際には、遺産分割協議書の作成や遺産の分配 など、さまざまな手続きが必要です。

弁護士に依頼すれば、手間がかかる手続きを一任できます。

必要に応じて税理士などとも連携してもらえるため、その場合には、相続税申告などの手続きのミスによってトラブルが起こる心配もありません。

手続きの期限が気になり、相続の話し合いが進まないといった事態も防げます。

客観的な視点で提案してくれる

弁護士は、相続人とは関係がない人物であるため、客観的な視点での提案ができます。

お互いに譲歩すべきポイントについてアドバイスをもらえるため、話し合いがスムーズに進みやすくなるでしょう。

また、過去の事例に基づいたアドバイスをもらえることで、新しい考え方ができるようになり、全員が納得できる結果になる可能性もあります。

アドバイスは相続人以外の親族や友人などからも得られますが、どうしても意見に偏りが生じてしまいますし、法律の専門家でない人からのアドバイスは安易に参考にすべきではありません。

相続人の誰が悪いかという話になってしまう可能性もあります。

遺産分割協議の案件を担当してきた弁護士であれば、全員が納得できる打開策を提案してもらえる可能性もあるでしょう。

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良い弁護士の探し方

弁護士には、得意分野があります

遺産分割協議を得意とする弁護士もいれば、相続とは関係がないIT関係や交通事故関係の案件を得意とする弁護士もいます。

良い弁護士とは、依頼の内容によって変わるものです。

料金も弁護士によって変わるため、予算に合わせて選ぶことが大切です。

ただ、遺産分割協議では、ある程度まとまったお金が相続によって入ってくる可能性があるため、あまり予算について節約せずに、本当に信頼できる弁護士に依頼したほうがよいかもしれません。

それでは、良い弁護士の探し方についてみていきましょう。

料金体系に注意

弁護士費用の計算方法は、弁護士によって異なります。

多くの弁護士は、着手金+報酬金という料金体系になっています

以下、どのような料金体系があるのか解説します。

なお、着手金とは弁護士に依頼するときに最初に必要になる費用で、原則として、その後弁護士との契約を解除した場合や、結果に納得いかなかった場合でも返金されないので注意が必要です。

(1)着手金と報酬金を共に固定あるいは一定の割合に定めているケース

例えば、争う内容や金額にかかわらず、着手金を30万円、報酬金を得られた経済的利益の10%としているような場合です。

遺産総額が高いような場合には、着手金は低額に抑えられるかもしれませんが、報酬金は高めになってしまう可能性がありますので、注意が必要です。

(2)着手金と報酬金を共に経済的利益に対する一定の割合に定めているケース

旧日弁連報酬基準に従って、以下の表のように設定している弁護士事務所は比較的多いようです。

経済的利益の額

着手金

報酬金

300万円以下の部分

8%

16%

300万円を超え、3000万円以下の部分

5%

10%

3000万円を超え、3億円以下の部分

3%

6%

3億円を超える部分

2%

4%

このような場合でも、経済的利益をどのように捉えるかや、交渉のみなのか調停・審判なのかによって料金基準を変えている場合もありますので、料金についてわからない点や希望がある場合には、率直に弁護士に相談してみるべきでしょう。

(3)着手金を0円とし、報酬金を高めに設定するケース

中には着手金を0円として、その分報酬金を経済的利益の20%など高めに設定している弁護士もいます。

依頼はしやすいかもしれませんが、最終的な支払総額は高くなる可能性もありますので、注意が必要です。

弁護士費用の一例

経済的利益を3000万円とした場合、上記(1)〜(3)のケースに基づき計算した弁護士費用は、それぞれ以下のようになります。

(1)着手金30万円+報酬金300万円[3000万円×0.1]=330万円

(2)着手金159万円[300万円×0.08+2700万円×0.05]+報酬金318万円[300万円×0.16+2700万円×0.1]=477万円

(3)着手金0円+報酬金600万円[3000万円×0.2]=600万円

相談にも料金が発生する

実際に弁護士に依頼をしなくても、相談する際には、料金が発生するケースがあります。

相談料を無料としている弁護士もいますが、多くは30分までが無料で、そこからは1時間5,000円かかるといった料金体系となっています。

1回の相談で依頼するかどうかが決まるとは限りません。

弁護士にアドバイスをもらったことで新たな問題に気付き、一度持ち帰って再び相談することも考えられます。

そうなれば、相談料だけで数万円以上かかることもあるでしょう。

なお、その後実際にその弁護士に依頼した場合には、着手金から相談料分を差し引くという扱いをしている弁護士もいます。

上記のように弁護士によって費用がさまざまなので、よく考えて選ぶことが大切です。

解決実績を確認

遺産分割協議のトラブルを解決するためには、十分な能力を持つ弁護士に依頼する必要があります。

過去の解決実績を確認したうえで、弁護士を選びましょう。

普段から遺産分割協議の案件を請け負っており、ブランクが少ない弁護士を選ぶことが大切です。

遺産分割協議では、代理人として他の相続人と話し合ってもらうことになるため、相手の感情を逆撫ですることなく解決に導く能力が求められます。

コミュニケーション能力の高い弁護士の方が、話し合いはスムーズに進むでしょう。

まとめ|それでもダメなら調停に

弁護士に依頼することで、遺産分割協議書に相続人全員が署名・押印し、丸く収まる可能性が高まります。

しかし、弁護士に依頼したからといって、必ずしもトラブルが解決するとはかぎりません。

場合によっては、弁護士に依頼したことでかえって怒りを買い、話し合いが進まなくなることもあります。

このように、弁護士に依頼しても交渉で解決しない場合は、家庭裁判所での遺産分割調停を検討することになります。

遺産分割調停では、家事審判官と調停委員が相続人の言い分を聞いた上で、全員が納得して遺産分割協議書に署名・押印できるようにアドバイスしてもらえます。

もっとも、調停はあくまで話し合いですので、調停委員は何とか全員が納得するよう、無理矢理解決に導こうとする場合もあります。

弁護士をつけていないと調停委員から理不尽なことを言われても気付かず、そのまま遺産分割協議が成立してしまう場合がありますので、やはり弁護士をつけることが重要です。

このように、遺産分割協議でトラブルが起きた場合は、まず弁護士に相談することをおすすめします。

ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)では、相続問題に強い弁護士を多く紹介していますので、ぜひ検索してご活用ください。

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この記事の監修者
みらい総合法律事務所
山内 亘 弁護士 (東京弁護士会)
遺産分割の方法や妥当な割合が分からず、知らない間に損をすることが無いよう、ご依頼者様の取り分が最大限確保される解決を目指している。著書に「相続のことがマンガで3時間でわかる本」(明日香出版)。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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