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法定相続人はどこまでが範囲?順位・割合もパターン別に解説

リフト法律事務所
川村 勝之
監修記事
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親族が亡くなると、相続手続きをおこなうことになりますが、相続手続きの中でも「法定相続人」の範囲や順位については、複雑で難しいため悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。

本記事では、法定相続人とはどこまでの範囲を指すのか、また、相続分がどの程度になるのかを解説します。

あわせて、相続の際に役立つ法定相続人に関する知識も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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法定相続人とは

法定相続人(ほうていそうぞくにん)とは、民法が「相続の際に遺産を受け取れる権利がある人」と認めている一定の相続人のことをいいます。

被相続人の血縁者を、配偶者・子・親や祖父母・兄弟姉妹4つのグループに分けて相続の際の優先順位を決めています。

法定相続人を決める際、被相続人の法律上の配偶者は常に法定相続人になります。

配偶者と一緒に法定相続人になれるのは、残りの3グループの血縁者のうち最も順位が高い1グループのみとなるうえ、それぞれのグループによって民法の定める遺産の取り分(法定相続分)が異なります。

法定相続人の相続分と相続人の順位

民法では、相続の際に誰が相続人になるのかを民法886条~895条で規定してます。

遺言などで財産を分け与えない限りは、原則として民法で定められた範囲に含まれない人には相続権が認められないことになっています。

そして、法定相続人には「配偶者相続人」と「血族相続人」の2種類があり、順位や相続人の組み合わせによって相続分が変動します。

まずは法定相続人になれる人の範囲と、相続人の順位別の相続分について解説します。

法定相続分と順位別の相続分

配偶者相続人と血族相続人には、法定相続分という遺産の取り分に関する規定が民法900条にあります。

法定相続分は、被相続人が遺言を残していない場合や、遺言はあるものの相続分についての指定がなされていないまたは不十分である場合などに、遺産分割の基本になる相続割合です。

民法900条は、同順位の相続人が複数いる場合のルールとして、下記4点を定めています。

  1. 子及び配偶者が相続人の場合は、それぞれ2分の1ずつ
  2. 配偶者及び直系尊属が相続人の場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1
  3. 配偶者及び兄弟姉妹が相続人の場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
  4. 子・直系尊属・兄弟姉妹が複数人いるときは、各自の相続分は相等しいものとする(ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1とする)

これをわかりやすくまとめると、以下のような表になります。

法定相続人の組み合わせ

配偶者

直系尊属

兄弟姉妹

配偶者+子

1/2

1/2

配偶者のみ

100%

子のみ

100%

配偶者+直系尊属

2/3

1/3

直系尊属のみ

100%

配偶者+兄弟姉妹

3/4

1/4

兄弟姉妹のみ

100%

 

なお、子どもや兄弟姉妹が複数人いる場合は、法定相続分をその人数で分割した分が、1人あたりの取り分となります

たとえば、配偶者と子ども2人が相続する場合の1人当たりの取り分の割合は以下のとおりです。

  • 配偶者:1/2
  • 子ども(1人あたり):1/4(=1/2÷2)

また、代襲相続がある場合は、代襲相続人の相続分は被代襲者の相続分と同じになり、代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の相続分をその人数で割って遺産を分割します。

たとえば、配偶者と子ども2人が相続する際、2人の子どものうち1人がすでに亡くなっており、代わりに孫2名が代襲相続する場合の1人当たりの取り分は以下のとおりになります。

  • 配偶者:1/2
  • 子ども:1/4
  • 孫(1人あたり):1/8(1/4÷2)

より詳細な法定相続人の順位とその相続分については、以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。

必ず法定相続人になる配偶者:配偶者

被相続人の法律上の配偶者は、必ず法定相続人になり(民法890条)、相続の際に大きな権利を有します。配偶者とは、被相続人の法律上の妻や夫のことです。

民法では法律婚主義を採用しており(民法739条1項)、内縁関係や事実婚関係のカップルに対する一定の保護はあるものの、相続における「配偶者」は法律上の配偶者だけを指します。

事実上の配偶者に関しては法定相続人としての権利は保障されないので注意が必要です。

仮に被相続人の死亡当時に別居や離婚について争いが生じていたとしても、法的な婚姻関係が継続していれば、その配偶者は法定相続人になるということになります。

なお、配偶者は常に法定相続人になりますが、血族相続人のうち一番順位の高いグループの相続人と共に相続するのが原則です。

血族相続人第一順位:直系卑属(子や孫)

被相続人の子は、法定相続人の第一順位(民法887条1項)として数えられ、胎児(民法886条1項)や認知した非嫡出子、養子縁組をした養子なども相続権を有するとされています。

第一順位の相続人が1人でも存在する場合には、次の順位の相続人に相続権は与えられません。

子どもが複数いる場合には第一順位の権利を等分して分け合うことになりますが、血縁の有無や年齢などによる差別はなく、全員が等しい割合で相続権を獲得します。

たとえば、相続が発生した際に、まだ生まれていない胎児と、既に産まれている子と、被相続人の生前に養子縁組した養子の3人がいる場合には、それぞれ3分の1ずつ相続権を獲得するということになります。

また、被相続人の子が被相続人よりも前に死亡したなどの理由で相続権を失っており、その子にさらに子どもがいた場合には、この子ども(被相続人の孫)が相続権を失った子の権利を承継し、代わりに相続をするという代襲相続が発生します。

代襲相続が発生する場合には、この代襲相続人も第一順位の相続人として数えられることになるので、第二順位以下の相続人に相続権が与えられることはありません。

血族相続人第二順位:直系尊属(父母・祖父母)

被相続人の父母や祖父母などの直系尊属は、第二順位の血族相続人とされており、第一順位の相続人がいない場合に初めて相続権を獲得します(民法889条1項1号)。

たとえば子や孫がおらず、父母がいる場合などです。

このとき、被相続人の父母や祖父母も健在であるような場合には、被相続人により親等の近い父母の代だけが相続人となり、祖父母には相続権がありません。

また、ここでいう直系尊属には、実親のほか養親も含まれることになりますが、直系尊属に関しては代襲相続の権利はありません。

血族相続人第三順位:兄弟姉妹

血族相続人第三順位:兄弟姉妹

被相続人の兄弟姉妹は、被相続人に直系卑属と直系尊属がいない場合に初めて相続権を獲得します(民法889条1項2号)。

たとえば子や孫、父母、祖父母もいないような場合です。

このとき、被相続人の配偶者の兄弟など義理の兄弟姉妹には、原則として相続権がありません。

また、兄弟姉妹は直近一代に限って代襲相続が認められており、被相続人の甥姪までは相続人になる可能性がありますが、異母・異父の兄弟姉妹に関しては相続分が少なく設定されています。

法定相続人に関するよくある疑問

ここでは、法定相続人にまつわるよくある質問とその回答を紹介します。

養子は法定相続人になれる?

被相続人が生きている間に養子縁組をした場合、その養子は被相続人の子として血族相続人第一順位に数えられることになります。

相続では、実子と養子で相続分に差はなく、また養子の人数にも制限はありません(※相続税法上では控除の人数計算の際に制限があります)。

さらに、普通養子縁組の場合は、養子と実親の法定血族関係は切れないことから、養子は養親・実親双方の相続権を有することになります。

逆に、特別養子縁組の養子の場合は法律上養親の実子として扱われることから、養親の相続権はありますが実親の相続権はありません。

なお、被相続人の生前に養子縁組をしていない連れ子に関しては、法定相続人になれないので注意しましょう。

前妻や前夫は法定相続人になれる?

前妻や前夫など既に離婚が成立した元配偶者は、原則として法定相続人になりません。

例外的に、離婚後同じ相手と再婚が成立し婚姻関係が継続している場合には、死亡当時の配偶者に該当し配偶者が相続人となりますが、それ以外の場合では配偶者としての相続権は一切付与されません。

なお、別居や離婚調停中など婚姻関係が明らかに破綻していた場合でも、法律上婚姻関係が継続している場合には、片方が死亡した際に残された他方配偶者は配偶者相続人になります。

このとき、残された配偶者に既に恋人がいたり、新たなパートナーと事実婚状態であったなどの事情があっても、相続権には影響を及ぼしません。

死亡した配偶者に他のパートナーなどがいても、このパートナーは保護されないので注意してください。

前妻や前夫の子は相続人になれる?

子どもの相続権は、被相続人との関係性でその有無が決まります。

つまり、亡くなった方の前妻や前夫の子が実子であれば、現在の親権の所在にかかわらず、その子には相続権が付与されます。

しかし、あなたと配偶者の間に連れ子がいる状態で、あなたの配偶者が亡くなった場合の相続分については注意が必要です。

連れ子に相続権が認められるかどうかは、養子縁組の有無によって決まります。

被相続人の生前に養子縁組をしていた場合は、連れ子にも相続権が認められますが、養子縁組をしていない場合には相続権が認められないことを覚えておきましょう。

法定相続人が死亡しているとどうなる?

被相続人よりも前に法定相続人の1人が死亡している場合、代襲相続が発生する可能性があります。

代襲相続とは、本来相続人となる予定だった人が、相続時に死亡または相続放棄以外のその他の理由で相続権を失っている場合、相続人となる予定だった人の直系卑属(兄弟姉妹の場合は子のみ)がその相続分を相続する制度をいいます。

代襲相続は配偶者や直系尊属からは発生せず、兄弟姉妹の代襲相続は子の代までに限られるため複雑ではありません。

しかし、子の代襲相続の場合は代襲者である子の子が死亡しておりさらにその子がいる場合には、代襲が続くことになるため、相続人の調査が非常に重要になります。

死亡した法定相続人に代襲者がいない場合には、単にその順位の法定相続人が減るという扱いになるので、同順位の法定相続人がいなければ、次順位の法定相続人に相続権が移行します。

なお、被相続人の死後に法定相続人の1人が死亡した場合には、死亡した法定相続人の法定相続人がその権利を承継し、被相続人の相続に関わってきます(数次相続)。

法定相続人の1人が行方不明のときはどうする?

法定相続人の一人が行方不明の場合には、その方を省いて相続を進めることはおすすめしません。

遺産分割協議は相続人全員の合意によって成立し、1人でも相続人が欠けている状態でなされた遺産分割協議は無効になってしまうからです。

法定相続人の1人が行方不明の場合は、その人の戸籍を取り寄せて附票から現住所を調査したり、長期間の行方不明が明らかである場合には失踪宣告などの手続きを利用して、相続人を確定してから具体的な相続を進める必要があります。

代襲相続者の法定相続分はどれくらい?

法定相続人のうち、子と兄弟姉妹に関しては「代襲相続」が認められており、子の場合は孫の代でも代襲できるのに対し、兄弟姉妹は子の代(甥姪)までの代襲という制限があります。

代襲相続が発生すると、代襲される人を「被代襲者」、代襲する人を「代襲者/代襲相続人」と呼びますが、代襲相続人は被代襲者の権利をそのまま承継します。

一人の被代襲者に対して代襲相続人が複数人いる場合、たとえば被代襲者である子に子どもが三人いる場合には、代襲者である子の子はそれぞれ相続割合を按分し、3分の1ずつの権利を承継するという形になります。

相続欠格と相続人廃除された人は法定相続人になれない

相続欠格と相続人廃除された人は法定相続人になれない

法定相続人は、被相続人が存命中は「推定相続人」と呼ばれ、いずれ相続人になる予定の人として扱われるのが通常です。

しかし、推定相続人が必ず法定相続人になれるというわけではありません。

民法には、法定の事由に該当する行為をした相続人から相続権を剥奪するルールが設けられており、また被相続人の意思によって相続権を剥奪できる制度も定められています。

ここでは、相続人の相続権を剥奪する「相続欠格」と「相続人廃除」について、詳しく解説します。

相続欠格とは

相続欠格とは、相続人が民法891条に定められた行為をおこなった場合にその制裁として相続権を当然に剥奪する制度のことをいいます。

民法891条の相続欠格事由に該当すると、特別な手続きなしにその相続人の相続権が剥奪され、欠格者となった相続人は受遺能力も失うことから、被相続人の相続財産を手にすることは一切できません。

ただし、相続欠格者となった人に代襲者がいる場合には代襲相続が問題になります。

また、相続欠格の効果は、相対的・一身専属的で、その被相続人と欠格相続人との関係で相続権を喪失させるにすぎないため、他の人の相続では欠格にならない場合もあります。

なお、欠格事由は以下のとおりで、この事由を満たすと自動的に相続権が剥奪されるため、取り消しや撤回は問題になりません。

  1. 故意に被相続人、先順位・同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者
  2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者(ただし、その者に是非の弁別がないとき、殺害者が自己の配偶者・直系血族であったときは、この限りでない。)
  3. 詐欺・強迫により、被相続人が相続に関する遺言を作成・撤回・取消し・変更することを妨げた者(または変更させた者)
  4. 相続に関する被相続人の遺言書について偽造・変造・破棄・隠匿した者

相続人廃除とは

相続人廃除とは、被相続人の意思により遺留分を有する推定相続人の相続権を喪失させる制度のことをいいます。

民法892条に列挙された廃除原因に該当し、廃除請求の当否について裁判所が審査をして認めたときに廃除の効果が生じます。

相続人廃除は、被相続人の意思による相続権の剥奪であることから、被相続人はいつでも廃除の取り消しの審判を請求し、その効果を消滅させることが可能です。

ただし、廃除された相続人がその取り消しを求めることはできません。

また、相続欠格の場合と異なり、遺留分を有しない兄弟姉妹を廃除して相続権を奪うことはできず、相続人廃除・廃除の取り消しをおこなう場合は、生前もしくは遺言によって家庭裁判所にその旨を請求する必要があります。

廃除原因(民法892条)

  • ・被相続人に対する虐待
  • ・被相続人に対する重大な侮辱
  • ・その他の著しい非行

家庭裁判所への審判申し立て方法

  • ・生前に被相続人本人が請求する(民法892条)
  • ・遺言によって請求する(民法893条|遺言執行者が必要)

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法定相続分を理解する際は遺留分にも注意

法定相続分を理解する際は遺留分にも注意

法定相続分は「遺留分」を算出する際にも使用されます。

遺留分とは、兄弟姉妹を除く、法定相続人に保障された最低限の遺産の取り分のことをいいます。

全員の遺留分の合計割合に法定相続分を掛け合わせることで具体的な遺留分を計算することが可能です。

相続人

全員の遺留分の合計割合

相続財産に占める各相続人の具体的な遺留分

配偶者

子ども

父母

兄弟

配偶者のみ

1/2

1/2

×

×

×

配偶者と子ども

1/2

1/4

1/4

×

×

配偶者と父母

1/2

2/6

×

1/6

×

配偶者と兄弟

1/2

1/2

×

×

×

子どものみ

1/2

×

1/2

×

×

遺留分が問題になるのは、被相続人が特定の誰かに全財産を譲るというような内容の遺言を残している場合などです。

遺留分の対象となる財産

遺留分の計算をする際には、「被相続人が相続開始時において有した財産の価額に、その贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除」することになります。

具体的には、相続開始時点の財産に、

  1. 遺贈された財産
  2. 相続開始前1年間にした贈与(相続人に対する贈与は10年間)
  3. 遺留分を侵害すると知ってした贈与
  4. 特別受益にあたるもの

この4種類の財産全てを足したものが「相続開始の時において有した財産」となります。

なお、特別受益は、具体的相続分の算定の際には持ち戻し免除の意思表示によって除外して考えることができますが、遺留分算定の際には除外できないので注意してください。

遺留分の計算例

実際に遺留分を計算してみましょう。

被相続人が全財産を愛人に譲るという遺言を残しており、実際に愛人が既に全財産を取得していたというケースで計算します。

想定事例:被相続人が全財産を愛人に譲るという遺言を残しており、愛人が既に全財産を取得しているケース

【想定ケース】

相続人

配偶者と子ども3人

遺産総額

7,000万円

愛人への死亡一年前の生前贈与額

3,000万円

債務総額

4,000万円

この場合、まず遺留分算定基礎財産は以下のとおりとなります。

遺留分算定基礎財産=7,000万円+3,000万円-4,000万円=6,000万円

そのうえで、各相続人の遺留分は以下のとおりとなります。

配偶者の遺留分

6,000万円×1/2×1/2=1,500万円

子全員の遺留分

6,000万円×1/2×1/2=1,500万円

子ども1人あたりの遺留分

1,500万円×1/3=500万円

遺留分を侵害された場合

遺留分を侵害するような遺言があり、実際に遺留分が侵害されている場合には、侵害された相続人は侵害者に対して「遺留分侵害額請求」をおこなえば、遺留分を取り戻すことができます。

遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害している人に対して「私の遺留分を請求します」という旨を伝えて遺留分を回収するための手段で、下記の方法によって具体的な請求がなされます。

  1. 相手方に直接交渉をする:裁判外での話し合い手続き
  2. 調停(裁判)で請求する:裁判所を交えた交渉・請求

このとき、具体的な侵害額を算定したり、所定の期限内に請求に着手しなければならないといったハードルがあることから、弁護士などの専門家を挟んで確実に請求をおこなう方も多いです。

遺留分侵害額請求は1年で時効になる

遺留分侵害額請求は1年で時効になる

遺留分侵害額請求権は、「遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間」以内に行使しなければ、権利自体が消滅してしまいます。

また、「相続開始から10年間」を経過すると、有無を言わさず消滅してしまう権利でもあるので、遺留分侵害額請求をおこなう場合はこれらの期限に注意しなければなりません。

1年間の消滅時効に関しては、期限内に1度でも遺留分侵害額請求の意思表示をおこなっていれば問題ありませんが、10年間の期限に関しては起算点が「相続開始時」に固定されます。

意思表示をしたことで安心して放置せず、きちんと回収まで漕ぎ着けることが大切です。

法定相続人以外の人へ相続させたい場合に知っておくべきこと

もしも、あなたが被相続人の立場で自己の財産処分についてを考えるときに、法定相続人がいなかったり、法定相続人でない人に相続させたいといった事情が生じたりしたら、どのように行動するのがよいのでしょうか。

ここでは、法定相続人以外の人へ相続させたい場合に知っておくべきこととして、法定相続人が全くいないケースと、法定相続人以外に財産を与えたいケースの対処法を紹介します。

法定相続人が全くいない場合の対応

法定相続人が全くいない場合の対応

もしあなたに身寄りが全くおらず推定相続人が1人もいない場合には、相続財産の帰属先をあらかじめ指定しておかなければ、最終的に全財産が国庫に帰属することになってしまいます(民法959条)。

相続人が1人もいない相続では、相続財産自体が法人となり、家庭裁判所によって選任された相続財産管理人が相続人捜索と相続財産の管理をおこないます。

その後、何回かの公告を経て債権者や特別縁故者・共有者へ財産を分与し、残った財産が国庫に帰属するという流れで相続手続きが進んでいきます。

そのため、財産をあなたの希望通りに処分したいのであれば、生前贈与を活用してあらかじめ遺産を減らしておくか、遺言書を作成してお世話になった人などに遺産を渡すといった方法を取る必要があるでしょう。

法定相続人以外にも遺産を相続させたい場合

原則として、法定相続人以外の人は、遺産を受け取る権利がありません。

しかし、被相続人には、自己の財産処分を自由におこなう権利があることから、遺言により相続人でない方に遺産を渡すことが可能になります。

ただし、遺言が絶対の効力を有するわけではありません。また、遺言によっても遺留分を侵すことはできません。

遺言は法定の方式に沿って作成されなければ無効と判断される場合もあるので、法定相続人以外の人に遺産を相続させたい場合には、遺留分への配慮と、遺言の正しい作り方を知っておく必要があるでしょう。

さいごに|遺産相続トラブルは弁護士に相談を 

法定相続人といっても、被相続人との関係性や相続順位によって権利の内容が変わったり、具体的な相続分が変動したりします。

その相続において自分がどういった立場で関わることになるのかをきちんと理解するのが円滑な相続への第一歩となります。

遺産相続では、法定相続人の範囲や扱い以外にもさまざまな問題が関わります。

もし、遺産相続にお悩みなら、弁護士に相談することでスムーズに相続手続きを済ませられるかもしれません。

無料相談ができる弁護士も多くなっているので、ぜひ利用してくださいね。

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川村 勝之 (千葉県弁護士会)
相談者に選択肢を提示し、最も理想に近い解決法を共に考えることを心がけており、コミュニケーションの取りやすさに定評あり。税理士・司法書士・公認会計士などの他士業と連携したトータルサポートも魅力。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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