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相続欠格とは|相続権を失う5つの事由や相続廃除との違いを解説!

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民法に定める欠格事由に該当する行為に及んだ相続人は、相続欠格が適用され、相続権を失います

相続欠格は簡単に適用されるものではありませんが、遺産相続に関わる立場になったときに、問題となる可能性もゼロではありません。

実際、相続欠格の適用について検討しなければならない状況になり、悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、どのようなケースで相続欠格となるのか、そして、相続欠格になるとどうなってしまうのかについて詳しく解説します。

相続欠格と混同されやすい「相続廃除」との違いなども紹介するので、参考にしてみてください。

遺産を渡したくない人がいて、相続欠格になるか知りたい方へ

相続人に遺産を渡したくない人がいるが、相続欠格になるケースなのかわからない...とお困りではありませんか?

 

結論からいうと、遺言書を盗んだor隠蔽した、無理やり遺言書を書かせようとしてきたなどのケースでは、相続欠格になる可能性が高いです。

他にも相続欠格になるケースはあるので、一度相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。

 

弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットを得ることができます。

  • 相続人の行為が相続欠格事由に当てはまるかがわかる
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相続欠格とは

相続欠格とは、欠格事由にあたる重大な非行をおこなった相続人が、相続権を失う制度のことです。

主な欠格事由には、被相続人の殺害や、詐欺・強迫による遺言の妨害などがあります。

相続欠格が適用された相続人は、遺言で残された財産や遺留分などを含めて一切の遺産を相続できなくなります。

相続欠格に特別な手続きは不要で、欠格事由に該当する場合は自動的に適用されます。

そして、相続欠格によって失った相続権は基本的に取り戻せません。

相続欠格となる5つの要件

相続欠格となる5つの事由

相続欠格事由に当てはまれば相続欠格になります。

しかし、相続欠格事由は通常の素行の悪さ程度では当てはまらず、遺産を不正に手に入れるための行動を起こした人物に当てはまります

相続欠格事由は民法891条に明記されているので、わかりやすく解説していきます。

相続欠格になる事由は5つです。

1.故意に被相続人または同順位以上の相続人を殺害した、または殺害しようとした場合

故意に被相続人または同順位以上の相続人を殺害した、または殺害しようとした場合は欠格事由に当たり、相続欠格となります。

(相続人の欠格事由)

第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

引用元:民法|e-GOV法令検索

殺人罪や殺人未遂罪だけではなく、介護が必要な被相続人に食べ物を与えないなどの遺棄罪も上記の欠格事由に当てはまります。

たとえば、自分が父親の財産を多く取得できるように兄弟姉妹を殺害したり、早く財産を手に入れるために父親を殺害したりすると相続欠格になります。

なお、動機は関係なく、殺害や殺害を企てたこと自体が欠格事由に該当する点に注意してください。

ただし、あくまでも「故意」によるものである必要があり、「過失」によって死亡させてしまった場合などは欠格事由に該当しません

2.被相続人が殺害されたのを知りながら告発・告訴をおこなわなかった場合

被相続人が殺害されたことを知っていて、殺害者をかばうために告発・告訴をおこなわなかった人物も相続欠格になります。

(相続人の欠格事由)

第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

引用元:民法|e-GOV法令検索

ただし、判断能力に乏しい小さな子どもや精神疾患者が告発・告訴しなかったとしても、相続欠格になることはありません

また、殺害者が配偶者や親・子などの直系血族だった場合も相続欠格の対象外です。

3.詐欺や強迫によって遺言の作成・撤回・取消し・変更を妨げた場合

被相続人が遺言の作成・撤回・取消し・変更を考えていることを知り、それを詐欺や強迫で妨害すると、相続欠格になります。

(相続人の欠格事由)

第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

引用元:民法|e-GOV法令検索

たとえば、自分にとって有利な遺言内容が変更されそうになったときに、「変更すると遺言自体が無効になる」「変更すると痛い目にあわせる」などと言って阻止した場合は、上記の欠格事由に該当する可能性が高いといえるでしょう。

4.詐欺や強迫によって被相続人に遺言を作成・撤回・取消し・変更させた場合

詐欺や強迫によって、遺言を作成・撤回・取消し・変更させることも相続欠格になります。

(相続人の欠格事由)

第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

引用元:民法|e-GOV法令検索

たとえば、息子Aが父親に刃物を突き付け「『私の遺産の半分は息子Aに相続する』と書け」と、脅迫した場合は欠格事由に該当します。

5.被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合

被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿する行為も、相続欠格事由のひとつです。

(相続人の欠格事由)

第八百九十一条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

引用元:民法|e-GOV法令検索

遺言書を発見した際に、「この遺言書があると自分が不利になる」と考え、遺言書を破棄し、自分で新たな遺言書を作成する行為などが該当します。

なお、法的に無効な遺言書を偽造している場合などは、相続欠格になりません

相続欠格と相続廃除の違い

相続欠格と相続廃除の違い

一般的な遺産相続において、相続欠格が適用されるケースは多くありません。

では、被相続人が「こんな親不孝者に財産を渡したくない」と思っていても、相続人の権利を失わせることはできないのでしょうか。

そのような被相続人のために設けられている制度が「相続廃除」です。

ここでは、「相続欠格」と「相続廃除」の違いを詳しく解説します。

相続欠格人以外で財産を渡したくない場合は相続廃除をおこなう

財産を渡したくない相続人がいる場合は、相続廃除を検討してみましょう。

相続廃除をおこなえば、被相続人の意思で、特定の相続人の相続権を剥奪できます

もちろん、相続廃除は相続人の権利を奪う重大な手続きなので、簡単に進めることはできません。

相続廃除の対象とできる人物は限定されているほか、裁判所にも認めてもらわなければなりません。

しかし、相続欠格よりはハードルが低くなるため、親族間で揉めごとが生じている場合などは、選択肢のひとつに入れておくとよいでしょう。

相続廃除の対象となる人物の要点

相続廃除の対象となる人物は、遺留分が認められている推定相続人だけです。

具体的には、配偶者、子や孫などの直系卑属、父母や祖父母などの直系尊属が該当します。

そのため、兄弟姉妹を相続廃除することはできません。

そのうえで、推定相続人が以下のような著しい非行に及んでいる場合にのみ、相続廃除が認められます。

  • 被相続人を虐待した
  • 被相続人に対して、極度の屈辱を与えた
  • 被相続人の財産を不当に処分した
  • ギャンブルなどを繰り返し、被相続人に多額の借金を支払わせた
  • 浪費・遊興・犯罪・反社会団体への加入・異性問題を繰り返すなどの親不孝行為
  • 重大な犯罪を起こし、有罪判決を受けた
  • 愛人と同棲するなどの不貞行為
  • 財産目当ての婚姻
  • 財産目当ての養子縁組

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相続廃除の方法と手続き

さらに相続廃除は、家庭裁判所での手続きが必要になります。

相続廃除の手続きは、以下の2種類です。

生前の廃除申立て

生前に相続廃除をおこなう場合は、家庭裁判所に対して被相続人自身が廃除請求をおこないます。

住所地を管轄する裁判所に対して、相続廃除申立書と、被相続人および排除したい推定相続人の戸籍謄本を提出してください。

その後、審判により相続廃除が認められた場合には、市区町村役場にも届出をおこなう必要があります。

遺言による廃除

特定の相続人に対する相続廃除を希望する場合は、遺言を残しておくのもひとつの方法です。

被相続人が死亡して相続が開始されたあとに、遺言執行者が家庭裁判所に廃除請求をします。

そのため、遺言で相続廃除をする場合は、遺言執行者も決めていなければなりません。

また、相続廃除の明確な意思と理由が遺言書に記載されていなければ、裁判所に認めてもらえない可能性があるので注意しておきましょう。

遺言執行者に関しては、「遺言執行者(人)とは?弁護士はなれる?仕事内容や選び方などを解説!」で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。

相続欠格や相続廃除されてしまうとどうなる?

相続欠格や相続廃除されてしまうと

相続欠格や相続廃除がされると、相続人としての権利がなくなります。

詳しく説明すると、以下のようになります。

子どもがいる場合は、子どもが代襲相続人になる

相続欠格・相続廃除が適用された相続人に子どもがいた場合は、その子どもが代襲相続人になることができます。

代襲相続人とは、推定相続人が死亡・相続欠格・相続廃除により相続権を失った際に、代わりに相続する人のことです。

代襲相続人に関して詳しくは「代襲相続はどこまで続く?範囲や割合、基礎控除や相続放棄との関係を解説」を参照ください。

相続欠格は特定の被相続人との間だけで適用される

相続欠格は、特定の被相続人との間にのみ適用されるものです。

別の被相続人に対する相続権まで失うわけではありません。

たとえば、父親の相続の際に相続欠格になったとしても、母親の相続の際には、通常どおりの相続権を有することになります。

相続開始後に相続欠格事由が生じた場合は相続手続きをやり直す

もし、相続が開始したあとに相続欠格事由が生じた場合は相続手続きをやり直す必要があります。

相続欠格が適用された人物を、はじめから相続人ではないものとして扱わなければならないためです。

そのため、相続開始時まで遡り、相続欠格が適用された人物を除いたうえで、再度相続割合などを決めていくことになります。

相続欠格の撤回はできないが相続廃除は撤回可能

それでは、反対に相続欠格や相続廃除によって相続権を失ってしまった方は、相続権を再び回復させることはできないのでしょうか。

相続欠格と相続廃除に分けて、撤回の可能性を詳しく見ていきましょう。

相続欠格でも財産を受け取れることはある

相続欠格となった場合は、相続権を回復させることはできません。

ただし、被相続人との話し合いによって、財産を受け取ることは可能です。

たとえば、生前贈与や生命保険などの受取人に指定してもらう方法などが考えられます。

しかし、被相続人が生前に許し、なおかつ生前贈与等をしてもらわなくてはならないので、可能性としてはかなり低いでしょう。

なお、欠格者は受遺能力も失うとされているため、生前に許してもらったからといって遺言書で遺贈をしてもらうことはできません

相続廃除を撤回してもらうには廃除の取消請求・遺言での取消しが必要

相続廃除であれば、撤回してもらえる可能性があります。

相続廃除の場合の撤回方法は、大きく分けて2種類あります。

一つは、被相続人から家庭裁判所に対して、廃除の取消しを請求してもらう方法です。

もう一つは、遺言書によって相続廃除を取り消してもらう方法です。

遺言で相続廃除を取り消す場合も、被相続人の死後に遺言執行者が家庭裁判所で手続きをおこないます。

いずれにせよ、被相続人から過去の相続廃除に当てはまる非行を許してもらうしかありません。

まとめ

財産が関与してくると目先の利益を優先して、とんでもない行動をとってしまう人も出てきてしまいます。

または、昔から素行の悪い人物も家族の中にはいたりするものです。

そういった人物に財産を渡さないためにも、相続欠格相続廃除があります。

もし相続欠格や相続廃除に関する悩みや疑問があるなら、まずは弁護士に相談してください。

いずれも人の権利を奪う重大な手続きなので、自己判断で解決しようとせず、法的な観点からアドバイスを受けることが大切です。

遺産を渡したくない人がいて、相続欠格になるか知りたい方へ

相続人に遺産を渡したくない人がいるが、相続欠格になるケースなのかわからない...とお困りではありませんか?

 

結論からいうと、遺言書を盗んだor隠蔽した、無理やり遺言書を書かせようとしてきたなどのケースでは、相続欠格になる可能性が高いです。

他にも相続欠格になるケースはありますので、一度相続に強い弁護士に相談することをおすすめします。

 

弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットを得ることができます。

  • 相続人の行為が相続欠格事由に当てはまるかがわかる
  • 相続問題全般について相談できる
  • 依頼した場合、相続欠格の証明や相続排除に必要な手続きを一任できる

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この記事の監修者
弁護士法人IGT法律事務所
小林洋介 (東京弁護士会)
遺産分割トラブルなどの紛争案件はもちろん、生前対策にも力を注ぐ。 丁寧かつ具体的な解決策の提示に定評があり、一度だけでなくリピートで依頼する相談者もいるなど、厚い信頼を獲得している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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