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2020年07月20日

相続財産の調査方法|相談できる専門家の違いと費用

リフト法律事務所
川村 勝之 弁護士
監修記事
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相続が発生した場合、まずは『遺産(相続財産)』と『相続人』の2点を調査して、「誰」「何(対象)」「いくら(どのように)」相続できるのか把握することが重要です。

遺産調査(相続財産調査)」とは、上記の相続対象である「何(対象)」の部分を調査することです。

具体的には、相続財産の調査とは「遺産(相続財産)の有無を調査する」ことと「遺産(相続財産)を評価する」ことです。

相続財産調査を行わないと、後日予想もしていなかった大きな負債が見つかり、相続により想定外の不利益を受ける可能性がありますし、新たな預貯金等の財産が発覚した結果、正しい相続税の計算ができず、修正申告に伴う延滞加算されるということもあり得ます。

この記事では、相続財産の調査方法や基礎知識、相続財産の調査についての相談先をイラストとともに分かりやすくご紹介します。

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相続財産調査で行う具体的な2つのこと

相続財産調査では、冒頭でお伝えしたとおり、「何(対象)」があるのかを調査します。具体的には、以下のようなことです。

相続財産の有無・内容を調査する

まず、相続手続は、相続の対象になる遺産(相続財産)を調査する必要があります。対象となるのは、被相続人(亡くなられた方)のプラス財産とマイナス財産を含めた全ての財産です。

例えば、土地、預貯金、保険金積立金などのプラス財産から、住宅ローン、借金などマイナスの財産まで全てです。詳しくは「各相続財産の調査方法」で詳しく解説します。

遺産(相続財産)を評価する

相続税の申告や公平な相続のためにも、不動産や株式などの財産は適正に評価・査定してもらうことが重要です。

不動産や株式の査定方法は様々ですが、不動産については、いくつかの評価・算出方法があります。固定資産税、路線価方式、倍率方式、実際の取引相場価格、不動産鑑定士の鑑定など様々な算出基準があります。実際の取引相場価格の算定の際には、不動産業者の査定サービスを複数利用してみて平均値を算出する方法が一般的です。

株式についての評価の仕方も様々です。なお、財産評価の仕方は相続税にも関係しますので、節税したい場合は税理士や公認会計士等に相談してみてください。

相続財産調査で見つかる可能性のある財産

財産調査で見つかる可能性のある財産

相続財産調査を行うことで、以下のような遺産(相続財産)が見つかる可能性があります。

動産

動産とは、通帳をはじめ、自動車、貴金属、家財道具、趣味で集めた美術品(書画・骨董品など)など、不動産以外の財産です。最も一般的なのはやはり自動車でしょう。

不動産

不動産は、土地や土地に定着している建物等を意味しますが、所有権だけでなく、賃借権や地上権などが含まれる場合もあります。

有価証券その他権利

株式、債券などの有価証券も財産の一つですし、FXオプション、仮想通貨、投資信託、保険金積立金などの金融商品も相続の対象です。また、ゴルフの会員権や電話加入権も相続対象となり得ます。

借金などのマイナス財産

相続は、上記のようなプラスの財産だけでなく、借金、住宅ローン、奨学金ローン、消費者ローンなどのマイナス財産も対象となります

この負債は、各相続人が相続分に応じて当然に負担することになりますので、いつ、誰から、いくら借入があるのかをしっかり把握することが重要です。

各相続財産の調査方法

各相続財産は、以下のような方法を用いて調査します。弁護士が行った場合、相続人の協力度合いや相続調査先にもよりますが、調査期間はおおむね1か月~2か月程度です

預貯金を調査する方法

預貯金を調査する際、まずどこの金融機関を利用していたか調査しなければなりません。

基本的に、金融機関のカードや通帳、金融機関からの手紙、メールなどから利用していた金融機関を特定します。

カードや通帳がなく金融機関を利用しているもののどこの金融機関かわからない場合、弁護士等に依頼して、各金融機関に対して照会をかけてもらうことも可能です。

利用している金融機関が判明したら、窓口や郵送で残高証明書の発行を依頼しましょう。残高証明書では、普通預金・定期預金・投資信託などのすべての残高や利用状況を把握できます。

残高証明書は口座のある支店に依頼し、所定の書類を提出すればスムーズに出してもらえます。

所定の書類としては、例えば、被相続人の印鑑証明や戸籍謄本などですが状況によって必要な書類が異なりますので、各金融機関のホームページや問い合わせをして確認しましょう。また、書類発行費用として、500~1,000円の手数料がかかることがあります

申請から発行までは、金融機関によって異なりますが、1~2週間前後、長くて1か月程度と見ておけばよいでしょう。

不動産を調査する方法

不動産を調査する方法として家に「登記識別情報(登記済権利書)」と「固定資産税の課税通知書」という2つの書類があれば話は早いです。

登記識別情報は図1のように「登記識別情報通知」と記載されており、下部に法務局と登記官の押印がされています。なお権利書の場合、冊子となっており、表紙に司法書士等の事務所名が記載されているでしょう。

(図1)

課税通知書は不動産を所有している場合、市区町村から発行されます。地域によって、課税明細書や納付書などと記載されているケースもあるので、ご注意ください。

ただ、これらの書類がなくても調査は可能です。例えば、固定資産税の支払先となっている市区町村役場へ行き、「固定資産台帳(名寄帳、資産明細、課税台帳ともいう)」の申請を行って、所有不動産を調べる方法もあります。固定資産台帳は、税金を申請するために各市区町民が保有している課税対象に不動産をまとめたものです。

ここで注意すべきは、名寄帳に記載されるのは課税主体となっている市区町村にある不動産に限られることです。

複数の市区町村で課税されている場合、それぞれについて申請が必要です。

また、非課税の不動産(私道や学校・福祉施設を設立している土地)かつ書類もない場合は、調べるのがそもそも困難な場合もあります。

不動産の登記情報を調べる

不動産の所在地がわかっていれば、法務局に出向くか、インターネットで「登記情報提供サービス」を利用することで、不動産登記情報を簡単に調べることができます。

ただし、不動産登記の地番と住所は必ずしも一致しませんので、注意しましょう。

株式・FX・国債を調査する方法

株式やFX、国債を調査する場合、株式やFX、国債に関する書類(口座開設や事業を紹介する書類など)やメール等がないか探します。

例えば、国債であれば証券、FXや株式や保険金であれば残高通知・取引案内などが考えられます。書類から、口座のある証券会社やFX会社が分かれば、当該会社に依頼をして取引残高報告書を発行してもらいます。

この報告書は、預貯金の残高証明書のようなもので、預金の残高調査と同じように発行にあたり所定の書類が必要です。各会社のホームページや問い合わせをして確認しましょう。

家に古い株券があった場合

家にある古い株券(図2)でも、権利自体は有効であることがあります。この場合、まずは株式を有する会社に連絡して、株主として登録があるかどうかを確認しましょう。

(図2)

借金などのマイナス財産を調査する方法

借金などのマイナス財産も必ず調査しましょう。まず、家で金融機関からの督促状や返済の明細書、消費者金融のキャッシュカードがないか調査します。

調査をする方法として、各信用情報機関(CIC・JICC・JBA)に対して、被相続人(亡くなった方)の信用情報の情報開示を求めて、過去のローンやキャッシングの契約等を把握するという方法もあります。

また、債務整理をしていないか、弁護士や司法書士が作成した委任状や返済計画などを探しましょう。住宅ローンも、相続対象となりますので、見過ごさないように注意が必要です。

マイナス財産が見つかった場合、相続人は、相続してマイナス財産を返済するのか、相続を放棄するのか判断しなければなりません。

プラスの財産とマイナスの財産を比較して、明らかにマイナスの財産の方が大きい場合は、特に残したい財産がない場合には、相続放棄を活用することをおすすめします。相続放棄すれば、相続人の財産の一切を承継しなくなりますので、借金などの負債を返済する必要がなくなります。

また、プラスの財産とマイナスの財産の大小が不明であり、相続を放棄するべきか単純承認するべきか分からないという場合は、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を承継する限定承認という方法もあります。

限定承認は、被相続人の財産状況が不透明である場合やマイナス財産があるものの相続財産の中に手放したくない財産があるような場合に活用できます。ただし、相続人全員の同意が必要です。

保証債務の調査も重要!

被相続人(亡くなられた方)が誰かの保証人になっていた場合の保証債務もマイナスの財産として相続人に相続されます。そのため、マイナス財産の調査にあたっては、被相続人を当事者とする保証人契約書がないかも調査しましょう。

【危険】財産調査を怠った場合のリスク

「うちには財産なんてないから…」と財産調査を怠ってしまうと、以下のようなリスクがあります。

税金の滞納・未払いとして損害金を含め請求される

一定以上の相続財産を相続した場合、相続税の納付義務があります。相続財産を調査しないと、そもそも相続税の納付義務があるのか、納付義務があるとしていくら税金を納めればよいのか正確に計算できません。

仮に納付義務がある場合に、適正な納付がされなかった場合、ケースによっては延滞日数に応じて延滞税の支払いを求められることもありえるでしょう。この他にも、税金を少なく申告した場合「過少申告加算税」、申告期限を超過しても申告しない場合「無申告加算税」などのペナルティもあります。

延滞税と加算税

【おすすめ:相続税の申告・納税はいつまで?期限を過ぎた場合の罰則とは

借金の返済を請求される

相続手続が終わったと思っていた後に被相続人(亡くなられた方)の借金が発覚するケースもあります。被相続人(亡くなられた方)の借金などの債務は、相続放棄しない限り、各法定相続人が相続割合に従って承継します。この場合、債権者から、相続分に応じた支払いをするよう求められるかもしれません。

金額が少額であれば問題ないのかもしれませんが、返済に困るような金額であれば、相続により大きな不利益を受けることになりかねません。場合によっては、自己破産を検討しなければならなくなったりする可能性も否定できません。

財産放棄は、被相続人(亡くなられた方)の相続開始を知ってから3か月以内に行うのが原則です。早めの相続財産調査の重要性がよくわかります。

後日多額の借金が発覚した場合でも相続放棄ができるケースもありますが、できれば相続財産の調査をして対応をしておくのが得策でしょう。

相続財産調査を依頼できる相談先

財産調査は、時間をかければご自身で行うことも可能ですが、自ら調査する時間がない人も少なくないでしょう。

相続財産調査は、主に弁護士・行政書士・司法書士に依頼することができます。大まかな特徴を以下の表にまとめました。

弁護士

行政書士

司法書士

相続財産調査

戸籍収集

不動産の名義変更

×

相続放棄

遺産(相続財産)分割協議書作成

遺産(相続財産)分割によるトラブル解決・仲介

×

×

どこまでのサービスを望むのかによって相談先を選びましょう。具体的な特徴についてご紹介します。

弁護士

弁護士の最大の特徴は、制限なく法的なサービスを行うことができる点です。そのため、相続人や相続財産調査から、争いがない場合には遺産整理業務を行えますし、遺産(相続財産)分割でもめそうな場合や既に何らかのトラブルとなっている場合にも、弁護士は調停や裁判も含めてのトータルな対応が可能です。そのため、争いがあるかないか問わず、相続にご不安がある場合には、弁護士への相談を積極的に検討するべきでしょう。万が一裁判に発展したときにも、すべての手続を一任できます。

相続財産調査を相談できる弁護士を探すのであれば、当サイト「相続弁護士ナビ」がおすすめです。相続弁護士ナビでは、初回無料相談、休日相談可能な事務所を多数掲載しております。相続発生前の相談に対応してくれる弁護士も多数おりますので、まずはお気軽にご相談ください。

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行政書士

行政書士も、一定の範囲で相続財産の調査が可能ですし、相続放棄や遺産(相続財産)分割協議に必要な書類の作成のみを依頼することも可能です。

しかし、弁護士法72条にて、弁護士以外の者が法律事件に関する法律事務を行って報酬を得ることが禁止されていますので、行政書士は、有償で他人の法律事務を取り扱うことはできません。そのため、基本的に、行政書士は、トラブルに対して法的アドバイスをしたり、トラブルを仲介したりということはできません。

司法書士

司法書士も、一定の範囲で相続財産調査が可能ですし、行政書士と同様に書類の作成を依頼することも可能です。また、不動産登記などの、不動産登記実務を処理するのは非常に得意です。

他方、司法書士は、行政書士と同様、他人の法律事務を取り扱うことは一定のもの以外、原則として許されません。したがって、相続人間でトラブルとなりそう、又は既にトラブルとなっている場合は、司法書士が対応できる範囲は少ないでしょう。

弁護士・行政書士・司法書士の費用相場

弁護士・行政書士・司法書士の費用は、事務所の料金体系や事案の業務量によって、調査に必要な費用が異なりますのであくまで目安です。

また、金融機関が遺産整理業務として相続財産調査を行っていることもありますが、報酬が弁護士・行政書士・司法書士より高額になるケースも多いです。

弁護士だから高い、行政書士や司法書士だから安いというわけではありません。一見すると、弁護士費用が高い場合もありますが、全てのサポートをできることを考慮すると、実際は専門家にバラバラに依頼するより安いというケースもあります。

費用については、相続調査だけでなく、その後の相続が終了するまでの間、どの範囲まで対応をしてもらえるのかという点も考慮して、よくご検討ください。

 

費用
(調査の数等にもよります)

弁護士

10~30万円

行政書士

数万円~

司法書士

10~30万円

金融機関

100万円~

まとめ

相続財産の調査とは、「遺産(相続財産)の有無を調査する」ことと「遺産(相続財産)を評価する」ことです。

この相続財産の調査を元に、遺産分割協議を行うことで公平な遺産分割が望めます。相続財産の調査は、相続手続の出発点でありますし、税金の未納や隠れ債務の請求トラブルの面からも必ず行うべきでしょう。

相続財産の調査は、ご自身でも行えますが、多数の戸籍収集や金融機関等の紹介先ごとの手続が必要となります。そのため、手続きがよくわからない方や相続財産調査にお困りの方、プロに任せたい方、遺産分割協議も含めてトータルサポートを希望される方は、迷わず弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事の監修者
リフト法律事務所
川村 勝之 弁護士 (千葉県弁護士会)
相談者に選択肢を提示し、最も理想に近い解決法を共に考えることを心がけており、コミュニケーションの取りやすさに定評あり。税理士・司法書士・公認会計士などの他士業と連携したトータルサポートも魅力。

相続トラブルに巻き込まれてしまった方へ

何かと相続トラブルに発展するのは遺産の割合に不満がある・納得いかないケースです。

例えば、下記などが該当します。

・思ったより相続される遺産が少なかった
・揉めたくないので、泣く泣く遺産の配分に納得した
・遺言書に他の兄弟姉妹に遺産を多く渡す旨が書かれていた

遺産相続では法定相続分といって、民法で定められている割合の通りに遺産を公平に分割しましょうという一応の定めがありますが、生前に被相続人(亡くなった人)の介護をしていた、被相続人の事業を手伝っていれば寄与分という制度で多くの財産をもらう権利があります。

また、他の相続人が生前に財産を多く受け取っていたのであれば、遺産分割協議の際に相続財産を減らすこともできます。ただ、こういったルールは相続人全員が知っているわけではありませんから、あなたが主張しても聞く耳をもたれない可能性もあります。

その場合、弁護士に相談することで法的な観点から主張をしてくれますし、トラブルになっている場合はその仲裁に一役買ってくれるでしょう。当サイトでは、相続トラブルを1人で解決できるか悩んでいる方へ無料電話・無料相談(一部)を行い、不安解消できるように努めています。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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