不動産取得税は不動産(土地や家屋)を得たときに課税されるもので、所有者がそのままであれば、何度も課されるようなものではありません。
不動産取得税についても、税金の軽減措置により、納税した額から払い過ぎた分の還付を受けることができます。
宅地も要件さえ満たせれば不動産取得税の軽減ができますが、軽減の要件がどのようなものであり、どの程度軽減できるのかが気になる部分ではないでしょうか?
今回は、不動産取得税の還付を受ける方法と、還付への理解を深めるための知識を紹介していきます。
※相続した不動産の売却を考えている方は、こちらの記事もおすすめです。
*本記事の専門家による監修日は2023年6月28日です。
不動産を手にしたときから60日以内に、「不動産取得申告」を管轄の市役所や町村役場もしくは都道府県税事務所へ提出することで還付を受けられます。
期限を守らないとその他の条件が揃っていても還付を受けられない可能性があるので注意が必要です。
不動産取得税の軽減措置にはいくつかの種類があります。
対象が土地か建物であるか、新築か中古であるかによっても変わるので、確認しましょう。
不動産取得税は各都道府県によって若干数字に開きがありますが、下記では「東京都主税局の不動産取得税」を参考にしています。
不動産取得税は、対象の不動産の価格に税率をかけることで算出されます。
令和6年3月31日までに宅地を取得した場合、この宅地等に関する特例措置が適用され、課税標準が下がるのでお得です。
後述の還付とは異なり、特例措置を受けるための申告は不要です。
具体的な内容は下記のとおりです。
※税率は令和6年3月31日までは3%です。
つまり令和6年3月31日までに取得した不動産であれば、実質的に課される不動産取得税は少なくなります。
しかし、還付を受けることでさらに不動産取得税を減らすことができるのです。
建物と土地でそれぞれ条件が異なります。
新築住宅とその下の土地への不動産取得税の減税条件と減税額はどのようなものでしょうか。
不動産の価格から1200万円を引いたものに税率をかけることで算出できます。
下記A,Bのどちらか高い金額が不動産取得税より減額されます。
令和6年3月31日までに宅地を取得していれば、宅地等に関する特例措置が適用されるので土地の価格を2分の1にして計算できます。
中古の建物の場合、不動産取得税の減税条件と減税額はどのようになるのでしょうか。
上記の控除額は、対象の建物がいつ建築されたものかによって変わります。
新築された日
控除額
平成9年4月1日以降 ~
1,200万円
平成元年4月1日 ~ 平成9年3月31日
1,000万円
昭和60年7月1日 ~ 平成元年3月31日
450万円
昭和56年7月1日 ~ 昭和60年6月30日
420万円
昭和51年1月1日 ~ 昭和56年6月30日
350万円
昭和48年1月1日 ~ 昭和50年12月31日
230万円
昭和39年1月1日 ~ 昭和47年12月31日
150万円
昭和29年7月1日 ~ 昭和38年12月31日
100万円
中古住宅を取得した際の土地の場合です。
条件と算出方法をみていきましょう。
下記A,Bのどちらか高い金額が不動産取得税より減額されます。
令和6年3月31日までに宅地を取得していれば、宅地等に関する特例措置が適用されるので、土地の価格を2分の1にして計算できます。
還付を受けるまでにどのような流れがあるのでしょうか
まずは不動産取得日から60日以内に不動産取得申告書と必要書類を、管轄の市役所や町村役場もしくは都道府県税事務所へ提出しましょう。
都道府県税事務所から納税通知書が届くので、まずは本来の不動産取得税の支払いをし、その後不動産取得税減額申請書と添付書類を提出して還付を受ける形となります。
必要な書類はケースによって異なりますので、詳しくは都道府県税事務所に問い合わせください。
不動産取得税が免税されるケースもあります。
それが下記の場合です。
しかし、上記の条件を満たしていても下記の2つの状況が加わった場合、それは1つの土地、1つの家屋とみなされそのうえで判断されます。
地方税法(不動産取得税の免税点)
第七十三条の十五の二 道府県は、不動産取得税の課税標準となるべき額が、土地の取得にあつては十万円、家屋の取得のうち建築に係るものにあつては一戸(共同住宅等にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分をいう。以下本条において同じ。)につき二十三万円、その他のものにあつては一戸につき十二万円に満たない場合においては、不動産取得税を課することができない。
2 土地を取得した者が当該土地を取得した日から一年以内に当該土地に隣接する土地を取得した場合又は家屋を取得した者が当該家屋を取得した日から一年以内に当該家屋と一構となるべき家屋を取得した場合においては、それぞれその前後の取得に係る土地又は家屋の取得をもつて一の土地の取得又は一戸の家屋の取得とみなして、前項の規定を適用する。
期限を守った上で不動産取得申告を行えば、減税措置を受けることで還付されます。
場合によって不動産取得税課税額を0円にすることもできるので、60日の期限はしっかりと守ったほうが断然お得です。
※相続した不動産の売却を考えている方は、こちらの記事もおすすめです。
【参考】
▶相続不動産を売却した時にかかる税金の全知識とそのシミュレーション
兄弟姉妹が亡くなり、兄弟姉妹に親や子どもがいない場合には、残された兄弟姉妹が遺産を相続することになります。そこで、本記事では相続における兄弟姉妹の相続順位や割合...
不動産取得税については、計算方法や課税対象の不動産などがわからない人も多いでしょう。この記事では、不動産取得税の計算方法のほか、非課税になるケースや申告方法など...
遺族厚生年金とは、会社員や公務員などの厚生年金保険に加入している被保険者が死亡した際、遺族が受け取れる年金です。この記事では、遺族厚生年金の支給要件・受給できる...
親の遺産を相続してしまったあとに、親が連帯保証人だったと判明することは少なくありません。もし遺産を相続した場合は、連帯保証人を放棄できるのか?それとも相続しない...
生前贈与(せいぜんぞうよ)とは、その名のとおり『生きている間に財産を誰かに贈る』法律行為です。贈与はいつでも・誰でもできるものですが、その中でも特に利用しやすく...
エンディングノートの書き方で悩んでいませんか?この記事では、エンディングノートに書いておきたい内容を書き方の例と一緒にご紹介しています。オリジナルのエンディング...
登録免許税はどの程度の軽減をされたのか、登録免許税の軽減を受けるにはどのような手順を踏めば良いのかをご紹介していこうと思います。
不動産取得税は土地や家屋を得たときに課税されるもので、手続きをしっかりおこなうと還付できる可能性もあります。不動産取得税の還付を受ける方法と、還付への理解を深め...
夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取る前に死亡した場合、その妻は寡婦年金を受給できます。夫の死亡後に妻の収入が途絶えることへの救済措置として、寡婦年金は設けら...
相続に関連して多くの方が直面する問題のひとつに、「親が亡くなったものの相続の知識がない」ということがあります。本記事では「被相続人」の基本情報をはじめとした、相...
本記事では、相続で自社株を承継させたいと考えている経営者の方に向けて、相続で自社株を承継させるメリット・デメリット、相続で自社株を承継させる際のトラブル事例、円...
会社を相続する際の流れがわからず戸惑っている方もいるでしょう。本記事では、会社を相続する方法や会社を相続する際に注意すべきリスクを解説します。会社の相続について...
亡くなった方が金を所有していた場合は、金も相続税の課税対象となります。本記事では、金の相続が税務署にバレないと考えるのは危険である理由や、金を相続する際の注意点...
兄弟の中に養子がいることが原因で相続をめぐる不安が生じることもあるでしょう。 今回は、養子の兄弟がいる場合の相続関係をパターン別に解説します。
本来、孫は代襲相続を除いて法定相続人になれません。しかし、祖父母と養子縁組することで法律上の親子関係が生じ、孫も相続人になることができます。今回は、孫と養子縁組...
被相続人が死亡した時、相続によって被相続人の財産を承継するのは、法定相続人や受遺者・受贈者です。 今回は、自身が健康なうちに将来的に必ず発生する相続問題の準備...
財産の取り扱いについて迷った場合、相続が得意な弁護士に相談するのがおすすめです。相続か遺贈かによって、手続きや受取人が異なる可能性があります。本記事では、相続と...
本記事では銀行口座の名義人が亡くなっている場合に、銀行口座が凍結されているかどうか確認する方法について解説します。口座が凍結されていると招じる可能性のあるトラブ...
本記事では、養子縁組を検討している方に向けて、相続における養子縁組の基本ルールや養子縁組が原因で起こる相続トラブル、防止策を説明します。また、養子縁組以外の方法...
亡くなった人の借金に時効があるのか気になっている方もいるでしょう。借金には時効がありますが、それだけで返済義務を免れることはできません。本記事では、亡くなった人...