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不動産取得税の還付で払い過ぎ税金を返還してもらう軽減要件まとめ

伊藤祐基(司法書士)
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不動産取得税は不動産(土地や家屋)を得たときに課税されるもので、所有者がそのままであれば、何度も課されるようなものではありません。

不動産取得税についても、税金の軽減措置により、納税した額から払い過ぎた分の還付を受けることができます

宅地も要件さえ満たせれば不動産取得税の軽減ができますが、軽減の要件がどのようなものであり、どの程度軽減できるのかが気になる部分ではないでしょうか?

今回は、不動産取得税の還付を受ける方法と、還付への理解を深めるための知識を紹介していきます。

※相続した不動産の売却を考えている方は、こちらの記事もおすすめです。

*本記事の専門家による監修日は2023年6月28日です。

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この記事に記載の情報は2024年11月22日時点のものです

不動産を取得したら期限内に不動産取得申告をしましょう

不動産を手にしたときから60日以内に、「不動産取得申告」を管轄の市役所や町村役場もしくは都道府県税事務所へ提出することで還付を受けられます。

期限を守らないとその他の条件が揃っていても還付を受けられない可能性があるので注意が必要です。

課税標準額を下げる特例措置と住宅や宅地の減税措置

不動産取得税の軽減措置にはいくつかの種類があります。

対象が土地か建物であるか、新築か中古であるかによっても変わるので、確認しましょう。

不動産取得税は各都道府県によって若干数字に開きがありますが、下記では「東京都主税局の不動産取得税」を参考にしています。

宅地等に関する特例措置

不動産取得税は、対象の不動産の価格に税率をかけることで算出されます。

  • 不動産取得税=不動産の価格(=課税標準額)×税率

令和6年3月31日までに宅地を取得した場合、この宅地等に関する特例措置が適用され、課税標準が下がるのでお得です。

後述の還付とは異なり、特例措置を受けるための申告は不要です。

具体的な内容は下記のとおりです。

  • 課税標準 宅地等価格の2分の1
  • 宅地を取得した日 平成20年4月1日~令和6年3月31日
宅地等に関する特例措置が適用された場合の不動産取得税の式
  • 不動産取得税=不動産の価格×2分の1×税率

※税率は令和6年3月31日までは3%です。

つまり令和6年3月31日までに取得した不動産であれば、実質的に課される不動産取得税は少なくなります。

しかし、還付を受けることでさらに不動産取得税を減らすことができるのです。

  • 宅地等に関する特例措置は、課税標準額を2分の1にすること
  • 特例措置の適用申告はいらない
  • 平成20年4月1日から令和6年3月31日までに取得した不動産に限る
  • 税率は令和6年3月31日までは3%

新築の場合の減税措置

建物と土地でそれぞれ条件が異なります。

新築住宅とその下の土地への不動産取得税の減税条件と減税額はどのようなものでしょうか。

建物の場合

減税に必要な条件
  • 貸家、貸家以外の一戸建住宅は、課税床面積が50㎡以上かつ240㎡以下であること
  • 一戸建ではない住宅で貸家の場合、40㎡以上かつ240㎡以下であること
減税額はどのように算出されるのか

不動産の価格から1200万円を引いたものに税率をかけることで算出できます。

  • 不動産取得税=(不動産の価格-1,200万円)×税率3%

土地の場合

減税に必要な条件
  • 土地の取得から3年以内に対象の土地の上に特例適用住宅が建てられていること
  • 特例適用住宅をつくったあと、1年以内に対象の土地を取得していること
  • 未使用の特例適用住宅および土地の両方を建築後、1年以内に同一人物が取得していること
  • *特例適用住宅:床面積50㎡から240㎡
減税額はどのように算出されるのか

下記A,Bのどちらか高い金額が不動産取得税より減額されます。

  • A:45,000円
  • B:1㎡あたりの対象の土地の価格×住宅の床面積×2倍(上限200㎡まで)×税率3%

令和6年3月31日までに宅地を取得していれば、宅地等に関する特例措置が適用されるので土地の価格を2分の1にして計算できます。

中古の場合の減税措置

中古の建物の場合、不動産取得税の減税条件と減税額はどのようになるのでしょうか。

建物の場合

減税に必要な条件
  • 50㎡以上240㎡以下であること
  • 居住用に個人が取得をしたものであること
  • 下記の3ついずれか1つに該当すること 
  • A:昭和57年1月1日以降に建設された建物
  • B:新耐震基準に適合していること
  • C:新耐震基準に不適合の建物かつ入居前に適合のための改修工事をおこなうこと
減税額はどのように算出されるのか
  • 不動産取得税額=(不動産の価格-控除額)×税額3%

上記の控除額は、対象の建物がいつ建築されたものかによって変わります。

新築された日

控除額

平成9年4月1日以降 ~

1,200万円

平成元年4月1日 ~ 平成9年3月31日

1,000万円

昭和60年7月1日 ~ 平成元年3月31日

450万円

昭和56年7月1日 ~ 昭和60年6月30日

420万円

昭和51年1月1日 ~ 昭和56年6月30日

350万円

昭和48年1月1日 ~ 昭和50年12月31日

230万円

昭和39年1月1日 ~ 昭和47年12月31日

150万円

昭和29年7月1日 ~ 昭和38年12月31日

100万円

引用:都税:不動産取得税|京都主税局

土地の場合

中古住宅を取得した際の土地の場合です。

条件と算出方法をみていきましょう。

減税に必要な条件
  • 土地の取得日から1年以内に対象の土地上の住居を取得すること
  • 住宅の取得日から1年以内にその下の土地を取得すること
減税額はどのように計算されるのか

下記A,Bのどちらか高い金額が不動産取得税より減額されます。

  • A:45,000円
  • B:1㎡あたりの対象の土地の価格×住宅の床面積×2倍(上限200㎡)×税率3%

令和6年3月31日までに宅地を取得していれば、宅地等に関する特例措置が適用されるので、土地の価格を2分の1にして計算できます。

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不動産取得税の還付を受けるための手続き

還付を受けるまでにどのような流れがあるのでしょうか

①不動産を取得したら不動産取得申請書を提出

まずは不動産取得日から60日以内に不動産取得申告書と必要書類を、管轄の市役所や町村役場もしくは都道府県税事務所へ提出しましょう。

②不動産取得税減額申請書を提出

都道府県税事務所から納税通知書が届くので、まずは本来の不動産取得税の支払いをし、その後不動産取得税減額申請書と添付書類を提出して還付を受ける形となります。

必要な書類はケースによって異なりますので、詳しくは都道府県税事務所に問い合わせください。

不動産取得税が免税されるとき

不動産取得税が免税されるケースもあります。

それが下記の場合です。

  • 土地の取得が10万円に満たないとき
  • 建築した場合、1戸につき23万円に満たないとき
  • 建築以外で取得(売買など)した場合、1戸につき12万円に満たないとき

しかし、上記の条件を満たしていても下記の2つの状況が加わった場合、それは1つの土地、1つの家屋とみなされそのうえで判断されます。

  • 対象の土地を取得後、一年以内にその土地に隣接する土地を取得した場合
  • 対象の家屋を取得後、一年以内にその家屋と一構となる家屋を取得した場合

地方税法(不動産取得税の免税点)

第七十三条の十五の二  道府県は、不動産取得税の課税標準となるべき額が、土地の取得にあつては十万円、家屋の取得のうち建築に係るものにあつては一戸(共同住宅等にあつては、居住の用に供するために独立的に区画された一の部分をいう。以下本条において同じ。)につき二十三万円、その他のものにあつては一戸につき十二万円に満たない場合においては、不動産取得税を課することができない。

2  土地を取得した者が当該土地を取得した日から一年以内に当該土地に隣接する土地を取得した場合又は家屋を取得した者が当該家屋を取得した日から一年以内に当該家屋と一構となるべき家屋を取得した場合においては、それぞれその前後の取得に係る土地又は家屋の取得をもつて一の土地の取得又は一戸の家屋の取得とみなして、前項の規定を適用する。

引用:地方税法|e-Gov法令検索

まとめ

期限を守った上で不動産取得申告を行えば、減税措置を受けることで還付されます。

場合によって不動産取得税課税額を0円にすることもできるので、60日の期限はしっかりと守ったほうが断然お得です。

※相続した不動産の売却を考えている方は、こちらの記事もおすすめです。

【参考】

田舎の土地を売却する5つのコツ|売れない理由も併せて解説

相続不動産を売却した時にかかる税金の全知識とそのシミュレーション

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この記事の監修者
いとう法務事務所
伊藤祐基(司法書士)
司法書士という職業で、法律と感情の部分で円満相続を提案し、少しでも紛争を少なくすることができると確信し、2021年に相続コンサルティング会社を設立。円満な相続を提案している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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