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遺言執行者とは?役割・報酬・選任すべきケースなどを解説

関口 英紀 弁護士
監修記事
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遺言執行者とは、遺言内容を正確に実現させるために必要な手続きなどをおこなう人のことです。

基本的に遺言執行者は誰でもなることができますが、仕事内容や選任方法などについてよくわからないという方も多いでしょう。

本記事では、遺言執行者の必要性や役割を詳しく解説します。

遺言執行者になれる人や選任方法なども紹介するので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

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遺言執行者とは|役割や仕事内容などの基礎知識

まずは、遺産相続における遺言執行者の基本的な知識を解説します。

遺言執行者は遺言内容の実現する役割を担う

遺言執行者の主な役割は、被相続人の遺言内容を実現することです。

被相続人が遺族のために遺言を残したとしても、正確に実行されなければ意味がありません。

実際、遺言が放置されたり、誰が執行していくのかで揉めたりするケースはよくあります。

そこで、リスク回避の手段として用いられるのが「遺言執行者」の制度です。

信頼できる人物を「遺言執行者」に指定することで、被相続人の死後、スムーズに遺言を執行できるようになります

遺言執行者がやるべき仕事内容

遺言執行者には以下のような手続きをおこなう権限が与えられ、相続人に対して進捗状況を報告する必要があります。

基本的には上記の手続きをこなしていくことになりますが、まずは下記の3点から始めるのがよいでしょう。

  1. 就任通知書の作成
  2. 相続人全員の戸籍などの収集
  3. 相続財産目録の作成

なお、就任通知書と財産目録は「遺言書の写し」とあわせて全ての相続人へ交付します。

遺言執行者の報酬

遺言執行者の報酬に、一律の決まりはありません。

相続人のいずれか一人を遺言執行者に指定する場合には、報酬が発生しないこともあります

弁護士・司法書士・信託銀行などに依頼した場合は、遺産総額の1%~3%を目安に考えておくとよいでしょう。

依頼先によって報酬は大きく変わるので、あらかじめしっかりと料金体系を確認しておくことが大切です。

なお、遺言執行者への報酬は、遺産のなかから相続人が支払うケースが一般的といえます。

遺言執行者になれる人・適している人

未成年者や破産者以外であれば、誰でも遺言執行者になることができます

しかし、遺言執行者の責任は重く、各種手続きを遅滞なく進めるには大きな負担を強いられます。

そのため、遺言執行者を適当に決めてしまうと、のちのちトラブルになる可能性も否定できません。

トラブルなくスムーズに遺言を実現させたいのであれば、弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。

遺言執行者を選任すべきケース・不要なケース

相続状況によっては、遺言執行者がいなくても問題なく相続できる場合もあります。

ここでは、どのような場合に遺言執行者が必要なのかを解説します。

遺言執行者を選任すべきケース

遺言執行者を選任すべきケースは、主に以下のとおりです。

  • 遺言による非摘出子の認知や相続人廃除などをおこなう場合
  • 相続手続に非協力的な相続人がいる場合
  • 相続に関する知識がなく自力で手続きを進めるのが困難な場合

なお、遺言による非摘出子の認知や相続人廃除は遺言執行者でなければできないので、選任は必須となります。

遺言執行者の選任が不要なケース

遺言執行者が不要なケースは、主に以下のとおりです。

  • 相続人全員が遺言内容に納得しており、相続手続きに協力的な場合
  • 遺言による子どもの認知や相続人廃除などがない場合
  • そもそも被相続人が遺言書を作成していない場合

上記に当てはまる場合でも、万が一のトラブルやミスが不安であれば、弁護士などにサポートを依頼することをおすすめします。

遺言執行者の選任する3つの方法

遺言執行者を選任する方法としては、以下の3つがあります。

  1. 被相続人が遺言書で指定する
  2. 被相続人が遺言書で指定する人を委託する
  3. 家庭裁判所に選任してもらう

1.被相続人が遺言書で指定する

遺言執行者は、被相続人が遺言書で指定することができます。

被相続人が遺言書のなかで「〇〇を遺言執行者に指定します」などと記載するだけで構いません。

ただし、遺言執行者に指定された人が困惑するようなことがないよう、あらかじめ相談したうえで作成したほうがよいでしょう。

この遺言の遺言執行者に下記の者を指定する。

住 所  東京都新宿区西新宿○−○−○
弁護士  アシロ 太郎

2.被相続人が遺言書で指定する人を委託する

遺言書では直接遺言執行者を指定せず、遺言執行者を指定することを委託するという方法もあります。

この場合、遺言書で委託された人が、別の誰かを遺言執行者として指定します。

3.家庭裁判所に選任してもらう

遺言で遺言執行者が指定されていない場合や、相続発生時に遺言執行者が亡くなっている場合などは、家庭裁判所にて決めてもらうこともできます。

申立人 相続人・遺言者の債権者・遺贈を受けた人などの利害関係人
申立先

遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所

(「裁判所の管轄区域|裁判所」で確認)

主な必要書類

・申立書(書式記入例

・遺言者の死亡の記載のある戸籍謄本

・遺言執行者候補者の住民票、または戸籍附票

・遺言書の写し、または遺言書の検認調書謄本の写し

・利害関係があることを証明できる資料

費用

・遺言書1通につき収入印紙800円分

・連絡用の郵便切手代(裁判所によって異なる)

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遺言執行者に指定された場合に就任を拒否する方法

自分が遺言執行者として指定された場合、拒否することもできます。

「遺言執行者になりたくない」という旨をすみやかに法定相続人に伝えてください

口頭で伝えても問題ありませんが、のちのち「言った言わない」などのトラブルを防ぐためにも書面で伝えることをおすすめします。

遺言執行者を解任する方法

一度就任した遺言執行者を解任する場合、家庭裁判所から許可をもらわなければなりません

以下のようなケースに当てはまる場合、遺言執行者の解任が認められる可能性があります。

  • 正当な理由なく相続財産目録の交付を怠った場合
  • 相続人から請求があったにもかかわらず、事務処理状況の報告を怠った場合
  • 相続財産の保管、管理の義務を怠った場合
  • 遺産を使い込んでいた場合 など

遺言執行者の解任には、「公正な遺言執行が期待できない」「遺言執行者としての義務をはたしていない」などの事情が必要になります。

単に「遺言の解釈をめぐって相続人と遺言執行者で争っている」というような場合は、解任が認められる可能性は低いといえます。

さいごに

被相続人の遺言を正確に実現するためには、遺言執行者の存在が重要になります。

ただし、法律的な知識のない人が遺言執行者になってしまうと、思うように手続きが進まないおそれがあります。

遺言執行者の選任を考えるのであれば、弁護士や司法書士などの専門家に依頼しましょう

法律事務所によっては初回相談無料のところもあるので、まずは一度相談してみることをおすすめします。

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この記事の監修者
川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士 (神奈川県弁護士会)
遺産分割など揉めやすい問題の交渉、調停、訴訟から、生前の相続対策として遺言や家族信託の活用についてまで幅広く対応。相談者の事情に合わせたオーダーメイドの解決を目指しており、多くの実績がある。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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