親が亡くなり、実家をどうするか考えなければならない——そんな状況で、手続きの多さに戸惑う方は少なくありません。
名義変更や相続税の計算、兄弟姉妹間の分割方法。どれも期限があり、放置すると罰則や損失につながります。
2024年4月からは相続登記が義務化したので、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料が科される可能性があります。2024年4月以前に相続した不動産も対象で、期限は2027年3月末です。
本記事では、家の相続手続きの流れから費用・節税特例・兄弟間のトラブル対策まで、必要な情報をまとめて解説します。
家の相続手続きは、大きく4つのステップに分けられます。
具体的な流れは、次のとおりです。
どのステップにも期限が設けられており、後回しにするほど手続きが複雑になります。
まずは各ステップで何をすべきか、順番に確認しましょう。
相続が開始したら、まず遺言書の有無を確認しましょう。なぜなら、遺言書があるかどうかでその後の手続きの流れが大きく変わってくるからです。
一般的に、公正証書遺言は公証役場で確認できますが、自筆証書遺言の場合は法務局の保管制度を利用している場合もあります。
自宅で封がされた遺言書を発見した場合は、勝手に開封せずに家庭裁判所で検認を受けることが重要です。
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村役場で提出します。死亡診断書を添付し、届け出れば火葬許可証が交付されます。
遺産分割協議とは、相続人全員で誰がどの財産を相続するかを話し合うことです。
被相続人の財産と債務を全て洗い出してから始めることが重要です。預金・不動産・株式などのプラスの財産だけでなく、借金や住宅ローンなどのマイナスの財産も確認しましょう。
遺言書がある場合は、原則として遺言書どおりに分割します。手続きは比較的スムーズに進みます。
遺言書がない場合や、遺言書と異なる分割を希望する場合は、相続人全員の同意が必要です。
一人でも反対すれば協議はまとまらず、相続人が多いほど時間がかかるので、早めに着手しましょう。
協議がまとまったら、内容を遺産分割協議書として文書化し、相続人全員が署名・実印で押印します。
相続財産の合計が基礎控除額を超える場合のみ、相続税の申告が必要です。
具体的な基礎控除額は、以下の計算式で算出しましょう。
| 3,000万円+600万円×法定相続人の数 |
※例:法定相続人が3人であれば、4,800万円が基礎控除額になる
なお、小規模宅地等の特例などを活用して相続税額がゼロになる場合でも申告自体は必要です。申告しなければ適用されないので、抜け漏れには注意しましょう。
申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。
原則として延長できないため、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
遺産分割協議を終えた後におこなうのは、法務局の相続登記の申請です。
2024年4月から相続登記が義務化されており、相続で取得したことを知った日から3年以内に手続きを完了させる必要があります。
手続きで必要な書類は、次のとおりです。
必要書類の種類が多い分、準備に時間がかかることも珍しくないので、早めに収集を始めましょう。
書類の収集や申請書の作成に不安がある場合は、司法書士に依頼するのが確実です。
相続手続きを円滑に進めるには、法律の基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。
誰が相続人になるのか、相続割合はどう決まるのか、家を分ける方法にはどんな選択肢があるのか——これらを知っておけば、遺産分割協議でも冷静に話し合えるでしょう。
順番に解説します。
遺言書がない場合、法律で定められた法定相続人の間で、遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」をおこないます。
配偶者は常に相続人ですが、それ以外の親族は次のように優先順位が決まっています。
| 順位 | 相続人 | 備考 |
| 常に | 配偶者 | 夫または妻(内縁関係は含まない) |
| 第1順位 | 子 | 子が亡くなっている場合は孫(代襲相続) |
| 第2順位 | 直系尊属 | 父母。父母がいない場合は祖父母 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 | 兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪 |
相続割合の目安は、以下のとおりです。
| 相続人の組み合わせ | 配偶者 | それ以外 |
| 配偶者+子 | 1/2 | 子全員で1/2を均等分割 |
| 配偶者+直系尊属 | 2/3 | 直系尊属全員で1/3を均等分割 |
| 配偶者+兄弟姉妹 | 3/4 | 兄弟姉妹全員で1/4を均等分割 |
| 配偶者のみ | 全額 | — |
子が複数いる場合は、子の取り分(1/2)をさらに人数で均等に分けます。
将来のトラブルを避けるなら、代償分割や換価分割による単独所有がおすすめです。不動産は現金のようにきれいに分けるのが難しいため、状況に合わせた選択が重要です。
主な分割方法と、それぞれの特徴は以下のとおりです。
| 分割方法 | 方法 | メリット・注意点 |
| 代償分割 | 一人が家を相続し、ほかに現金を払う | もっとも揉めにくいが、支払い用の現金が必要 |
| 換価分割 | 家を売却して現金を分配する | 公平に分けられるが、買い手がつかないリスクがある |
| 現物分割 | 土地を物理的に切り分ける | 土地が広い場合に有効だが、家がある場合はおすすめできない |
| 共有 | 家を全員の共有名義にする | 平等に見えるが、将来の売却・改築が困難になるリスクがある |
一見平等に見える共有名義は、将来相続が発生するたびに権利者が増え、売却やリフォームの際に全員の同意が必要になるので、原則おすすめしません。
誰も住む予定がないなら換価分割、誰か一人が住み続けるなら代償分割がおすすめです。
特に代償分割を進めるときは、不動産の正確な査定評価が話し合いの鍵となります。
配偶者居住権は、2020年4月以降より民法改正によって新設された制度です。
具体的には、家の価値を居住権・所有権に分けて、異なる人が相続できる仕組みです。
具体例:
以前は家を相続すると生活費が不足するケースがありましたが、居住権と所有権を分ければ、住む場所と生活費の両方を確保できます。
ただし、配偶者居住権は登記が必要なので、相続登記と併せて手続きを進めましょう。
結論から言えば、相続した不動産の名義変更(相続登記)は取得を知った日から3年以内におこなうことが法律で義務化されました。
2024年4月の法改正により、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料(罰金)を科される可能性があります。
特に注意すべきは、法改正前(2024年3月以前)に相続した不動産も義務化の対象となる点です。
| 相続の発生時期 | 名義変更(相続登記)の期限 |
| 2024年4月1日以降 | 不動産の取得を知った日から3年以内 |
| 2024年4月1日より前 | 2027年3月31日まで |
これまで「急がなくてもよい」とされていた名義変更ですが、現在は明確なデッドラインが設定されています。
特に数代前の名義のまま放置されている物件は、戸籍の収集や遺産分割協議に時間がかかるため、2027年の期限を待たずに早めに着手することが重要です。
もし相続人が複数いて話し合いがまとまらない場合は、暫定的に相続人申告登記をおこなうことで義務を果たす方法もあります。
名義変更を放置すると、時間が経つほど問題が大きくなります。
過料のリスクだけでなく、売却不可・固定資産税の増額・相続人の増大など、実害が積み重なるので注意が必要です。
それぞれのリスクを具体的に確認します。
相続登記の期限を過ぎると、登記官から催告書が届きます。
催告書を無視し続けると、裁判所への通知を経て、最終的に10万円以下の過料が科される可能性があるので注意が必要です。
ただし、次のような正当な理由がある場合は免除される可能性もあります。
免除を受けるには、登記官への申し出と理由の説明が必要です。
放置したまま待つのではなく、状況に応じて対処することが重要なポイントです。
名義が亡くなった方のままの状態では、家の売却も担保設定もできません。
不動産の売買には、名義人本人(または代理人)の意思確認が必要です。故人は当然それができないため、名義変更を済ませなければ一切の取引が止まります。
固定資産税や維持管理費は名義に関係なくかかり続けます。売れない・担保にもできない状態でコストだけ発生する状況が続くので注意が必要です。
住む予定がない実家を相続した場合、早めに名義変更を済ませて売却を検討するのをおすすめします。
相続登記をしないまま時間が経つと、権利関係がどんどん複雑になります。
名義変更がされていない状態で相続人が亡くなると、さらにその相続人が増えます。数代にわたって放置すると、関係者の数が膨大になるので注意が必要です。
場合によっては、相続人の中に連絡のつかない方や行方不明の方が出てくることも珍しくありません。
その場合は家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てる必要があり、手続きは一層複雑になります。
相続登記を数代にわたって放置すると、相続人の数が数十人規模になることもあります。
それだけ多くの方の同意を得ることは、現実的にかなり難しくなります。同意が得られない方、話し合いに応じない方が一人でも出ると、協議そのものが止まってしまうでしょう。
さらに、相続人一人ひとりの出生から死亡までの戸籍や住民票、印鑑証明書といった必要書類の量も膨大になります。
放置する年数が長いほど、手続きの負担がどんどん増えていくと考えておいてください。
名義変更をしないまま相続人が亡くなると、二重の名義変更が必要になるケースがあります。
費用や手間が増えるだけでなく、司法書士への依頼費用も不動産の件数や相続人の人数に応じて加算されます。
また、空き家を管理しないまま放置すると、市区町村から特定空家に指定されるおそれがあるので注意が必要です。特定空家に指定されると、住宅用地特例の対象から外れ、固定資産税が最大6倍になります。
そのため、自分の代で手続きを完了させることが次の世代への最大の配慮になるでしょう。
相続手続きには、3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月という3つの大きな法的なデッドラインがあります。
これらを過ぎると、借金を背負うリスクや延滞税の発生、特例が使えなくなるなどの実害が生じるため、逆算して動くことが不可欠です。
以下では、期限別に必要な手続きと注意点をまとめました。
| 期間 | 手続き内容 | 期限・注意点 |
| 発生〜7日 | 死亡届の提出 | 葬儀や火葬の手続きに必須 |
| 〜3ヶ月 | 相続放棄の検討 | 借金が多い場合はこの期間内に判断 ※相続開始を知った日が起算点 |
| 〜4ヶ月 | 準確定申告 | 故人の所得税を相続人が代わりに申告 ※相続開始を知った日が起算点 |
| 〜10ヶ月 | 相続税の申告・納付 | 最重要期限。 1日でも過ぎると罰則対象 |
| 完了後 | 相続登記(名義変更) | 取得を知った日から3年以内(義務) |
特に見落としがちなのが、準確定申告です。故人が不動産所得や高額な医療費控除、多額の年金収入があった場合に必要となります。
また、相続税の申告と名義変更(登記)はまったく別の窓口です。税務署への申告が済んでも、法務局での名義変更を忘れると、将来の売却ができなかったり過料(罰金)を科されたりするため注意しましょう。
まずは、四十九日の法要をめどに遺言書の有無と財産目録の作成を完了させるのが理想的なペースです。
相続登記にかかる費用は、自分でやるか司法書士に頼むかによって大きく異なります。
ここでは、相続登記を自力で進める場合と司法書士に依頼する場合の費用を解説します。
費用感をつかんでから、どちらで進めるか判断してください。
相続登記を自分でおこなう場合のコストは、登録免許税(税金)と戸籍収集などの実費のみです。専門家への報酬(5万〜15万円程度)を浮かせられるのが最大のメリットです。
具体的な費用の内訳と計算例を、以下でまとめました。
| 費用の種類 | 計算方法・金額の目安 | 備考 |
| 登録免許税 | 固定資産税評価額 × 0.4% | 法務局に納める印紙代 |
| 戸籍謄本 | 1通 450円 | 現在の戸籍 |
| 除籍・改製原戸籍 | 1通 750円 | 故人の出生から死亡までを遡る |
| 住民票・印鑑証明 | 1通 300円前後 | 自治体により異なる |
| 計算式: 3,000万円×0.004 = 12万円 |
※登録免許税は不動産の価値に応じて決定
評価額は1,000円未満切り捨て、税額は100円未満切り捨てで算出
自力で手続きを進めるときは、これらの実費に加えて法務局へ通う交通費や郵送代のほか、そして何より書類を揃えて申請書を作成する時間が必要です。
まずは固定資産税の納税通知書で「評価額」を確認し、税金がいくらになるか計算してみましょう。
司法書士に依頼する際の総額は、登録免許税等の実費 + 報酬(5万〜15万円)が目安になります。
内訳と費用の目安は、次のとおりです。
| 費用の種類 | 金額の目安 | 備考 |
| 登録免許税 | 固定資産評価額の0.4% | 法務局に納める税金(必須) |
| 書類取得実費 | 数千円〜1万円程度 | 戸籍謄本や登記事項証明書などの代金 |
| 司法書士報酬 | 5万〜15万円 | 遺産分割協議書の作成や申請代行料 |
| 合計の目安 | 15万〜30万円前後 | 不動産の価値や筆数により変動 |
司法書士に依頼する最大のメリットは、単なる手続き代行だけでなく、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成まで一括して任せられる点です。
特に2024年4月からの義務化以降、不備のない迅速な申請が重要視されています。
報酬額は不動産の個数や相続人の人数、数代前の名義の書き換え(数次相続)などの難易度によって加算されるのが一般的です。
まずは固定資産税の納税通知書を手元に用意し、見積もりを依頼することをおすすめします。
司法書士に依頼すべきかを判断するときは、相続人の数と不動産の複雑さで判断しましょう。
自分一人で完結する単純な相続なら自力でも可能ですが、関係者が増えるほど書類不備のリスクが高まるからです。
特に重要な判断基準は、以下のとおりです。
| 依頼を検討すべきケース | 理由・メリット |
| 相続人が複数いる | 遺産分割協議書の作成や戸籍収集の代行が可能 |
| 不動産が複数ある | 各自治体への名義変更を一括でミスなく管理 |
| 数代前の名義のまま | 数十人単位になることもある相続人の特定を任せられる |
| 平日に動けない | 役所や法務局への訪問・郵送手配を全て丸投げできる |
自分で手続きをおこなう場合、戸籍謄本の読み解きや法務局での相談など、多大な時間と専門知識を要します。
特に2024年4月からの相続登記義務化により、期限内の正確な申請が求められるようになりました。
少しでも不安がある場合や手間を最小限に抑えたい場合は、最初から登記の専門家である司法書士に相談するのが確実です。
相続した家に対して相続税がかかるかどうかは、財産総額と基礎控除額の差で決まります。
特に注目したいのが、土地の評価額を大幅に下げられる特例です。条件を満たせば、相続税の負担をゼロにできるケースもあります。
特例の内容と適用条件を確認しておきましょう。
故人の自宅を相続する際、この特例を活用することで土地の相続税評価額を最大80%減額できます。節税効果が非常に高く、相続税がかかるかどうかの分かれ目になる重要な制度です。
特例の概要と主な適用ルールは、以下のとおりです。
| 項目 | 内容・条件 |
| 特例の名称 | 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等) |
| 減額内容 | 最大330㎡までの面積について、評価額を80%減 |
| 主な適用要件 | 配偶者、または同居していた親族が引き続き住み続けること |
| 申告の要否 | 税額がゼロになっても、税務署への申告は必須 |
たとえば評価額5,000万円の土地であれば、特例適用で評価額は1,000万円まで抑えられます。
配偶者は無条件で適用されますが、同居親族の場合は「相続税の申告期限まで居住・所有を継続する」といった要件があります。
また、別居している子でも「3年以上、自分や配偶者の持ち家に住んでいない」などの条件を満たせば家なき子特例として適用できるでしょう。ただし、2018年改正で要件が厳格化されているため、適用には税理士への相談が必須です。
自己判断で「無税だから申告不要」と放置せず、必ず期限内に申告手続きを進めましょう。
相続した空き家を売却する際は、空き家特例や取得費加算の特例を活用すれば、譲渡所得税を大幅に節税できる可能性があります。
売却時に検討すべき主な特例は、以下のとおりです。
| 特例の種類 | 主な要件 | 控除・節税効果 |
| 空き家特例 | 昭和56年以前の建物を耐震改修または解体して売却 | 譲渡所得から最大3,000万円控除 |
| 取得費加算の特例 | 相続開始から3年10か月以内に売却 | 相続税の一部を経費(取得費)に算入 |
特に空き家特例は、旧耐震基準の古い実家を相続した場合に極めて有効ですが、次のような条件を満たす必要があります。
また、取得費加算の特例は相続税を支払っている場合に有効で、売却益にかかる税金を抑えられます。
どちらの特例も売却時期が適用可否の鍵になるので、相続後は早めに不動産会社や税理士へ相談し、スケジュールを組むことが重要です。
家の相続でもっとも揉めやすいのが、兄弟姉妹間での分割問題。現金と違い、家は簡単に分けられません。
感情的な対立が生まれやすい場面でも、分割方法の知識があれば冷静に選択肢を検討できるでしょう。
それぞれの方法のポイントを解説します。
家を取得した相続人が、ほかの相続人に現金を支払う方法が代償分割です。
実家に住み続けながら、ほかの兄弟姉妹にも法的な取り分を渡せる点が最大のメリットといえます。
代償金の金額は、不動産鑑定士による鑑定額や不動産会社の査定額をもとに設定します。相続人全員が納得できる根拠を示せば、スムーズな合意につながりやすい傾向です。
高齢の親が存命の場合、配偶者居住権と代償分割を組み合わせる方法もあります。
たとえば、母に居住権を与えて子が所有権を相続し、子がほかの兄弟姉妹に代償金を支払う形にすれば、母の住まいを守りながら公平な分割が可能です。
ただし、代償分割を選ぶときは家を相続する側が代償金を支払える資産を持っていることが前提になります。
家を売却して現金化し、経費を差し引いた残りを相続分に応じて分配する方法が換価分割です。
1円単位まで正確に分けられるため、分配に関するトラブルが起きにくいメリットがあります。誰も実家に住む予定がない場合におすすめの選択肢です。
一方、次のようなデメリットも挙げられます。
売却を進めるうえで重要なのが、相続人間での事前合意です。売却時期や売出価格の下限、不動産会社の選定方法について、全員で合意を取ってから進めれば、後からの方針変更によるトラブルを防げるでしょう。
最後に、家の相続に関するよくある疑問をQ&A形式でまとめました。
あなたのケースに近いものがないか確認しておきましょう。
その場合、名義変更の前に現状の登記状態を正しく整理するための手続きが必須です。
放置すると2024年4月からの相続登記義務化による罰則(過料)対象となるほか、将来の売却も不可能になります。
物件の状態に応じた適切な対処法は、以下のとおりです。
| 状況 | 必要な対応 | 主な依頼先 |
| 未登記物件 | 「表題部登記」を新規申請し、記録を作る | 土地家屋調査士 |
| 数代前の名義 | 過去の相続人を遡り、現在の相続人まで繋ぐ | 司法書士 |
| 所有者不明 | 相続人調査や「不在者財産管理人」の選任 | 弁護士・司法書士 |
未登記物件は、まず土地家屋調査士に建物の調査を依頼し、表題部登記をおこなってから相続登記へ進みます。
数代前の名義で止まっている場合は、枝分かれした親族全員の同意が必要になるため、時間が経つほど難易度が跳ね上がるので注意が必要です。
まずは固定資産税の納税通知書で、現在の登記上の所有者が誰になっているかを確認することから始めましょう。
住宅ローンが残っている家の相続では、団体信用生命保険(団信)の加入有無で状況が大きく変わります。
具体的な違いは、次のとおりです。
| 状況 | ローンの扱い | 相続人の負担 | その後の主な手続き |
| 団信加入あり | 保険金でローンが完済される | ローンの返済義務なし | 抵当権抹消登記 |
| 団信加入なし | 相続人がローンを引き継ぐ | 残債の返済を継続する | 返済継続、売却・相続放棄の検討 |
ローンが完済されたら、金融機関から書類を受け取り、法務局で抵当権抹消手続きをおこなう必要があります。
もし抵当権が残ったままだと、家の売却ができないので注意しましょう。
特定の財産だけを選んで相続放棄することは、法律上できません。
相続放棄を選択した場合、預貯金などのプラスの財産だけでなく、不要な不動産などの負の財産も全て放棄することになります。
不要な土地だけを整理したい場合に検討すべき主な手段は、次のとおりです。
| 手段 | 内容 | 主な条件 |
| 相続放棄 | 全財産(預金・家等)を放棄 | 相続開始を知った日から3か月以内 |
| 相続土地国庫帰属制度 | 土地のみを国へ返還 | 建物がない・境界が明確・土壌汚染なし等 |
| 共有持分の放棄 | 自分の持分をほかの相続人へ移譲 | ほかの共有者(相続人)の同意が必要 |
もし建物がない更地であれば、相続土地国庫帰属制度を利用し、審査手数料と負担金を支払うことで国に引き取ってもらえる可能性があります。
ただし、建物が残っている場合や境界が不明瞭な土地は対象外です。
そのため、まずは不動産の実態を把握し、どの制度が適用できるか検討しましょう。
結論として、その噂は正しくありません。政治家であっても、個人として家を相続した場合は一般の方と同じ相続税のルールが適用されます。
混同の原因になっているのは、政治資金団体(法人)が資金を引き継ぐ場合の扱いです。政治資金については非課税枠が設けられており、個人の相続税とは仕組みが異なります。
| 対象となる財産 | 適用される法律 | 相続税の有無 |
| 個人の財産(自宅、預貯金、株式など) | 相続税法 | あり |
| 政治団体の資金(寄付金、政党交付金など) | 政治資金規正法 | なし(非課税) |
自宅や不動産はあくまで個人の遺産です。基礎控除の計算方法も、小規模宅地等の特例の要件も、一般の方と変わりません。
家の相続について調べる際に、政治家の資金継承に関する情報と混同しないよう注意しましょう。
相続手続きを自力でおこなうか、専門家に依頼するかは、手間・正確性・節税のどれを優先するかで決まります。
自分でおこなう最大のメリットは、数万〜数十万円の報酬を節約できる点です。相続人が1名のみであり、平日に役所や法務局へ行く時間が確保できるなら自力でも可能です。
一方、専門家に依頼すべきなのは確実性や節税を重視する場合です。特に不動産が複数ある場合や親族間で意見が分かれている場合、相続税が発生する場合は、プロの介入が不可欠です。
| 依頼先 | 向いているケース | 費用の目安 |
| 自分でする | 相続人が1名・時間がある | 実費のみ |
| 司法書士 | 不動産の名義変更を任せたい | 5万〜15万円 |
| 税理士 | 相続税の申告・節税したい | 遺産の0.5〜1% |
| 弁護士 | 親族間でもめている | 事案による |
迷ったら、まずは相続税がかかるか(基礎控除を超えるか)を確認しましょう。節税特例の適用ミスで数百万円損をすることもあるので、税金が絡むなら税理士への相談が安心です。
家の相続を円滑に進める鍵は、期限の遵守と適切な分割方法の選択にあります。特に2024年4月からの登記義務化により、放置による罰則リスクが現実のものとなりました。
節税面では、自宅の評価額を大幅に下げられる小規模宅地等の特例の適用可否を最優先で確認するのが重要です。
また、兄弟姉妹間でのトラブルを防ぐため、将来の売却や管理が困難になる共有名義は避け、現金で清算する手法を選びましょう。
手続きが複雑な場合や不動産が複数ある場合は、自己判断せず専門家へ相談することが結果的に安く・早く済ませる近道となるでしょう。
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