財産目録(ざいさんもくろく)とは、被相続人の財産が一覧で判別できるようにした表のことを言い、プラスとなる財産の他に、借金などのマイナスとなる財産もすべて記入しておくことで、相続財産の内容を明確にすることができるものです。
財産目録は必ず作成しなければならない法律上の義務はありませんが、相続税の申告の要否の判断、相続税の納付額の判断、相続対象財産の明確化などに役立ち、相続手続きがスムーズに進むため、作成されることをおすすめします。
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正確な財産目録を作成したいなら弁護士へ相談することをオススメします
- 財産目録の作成方法が分からない
- 相続財産の全てを把握しきれていない
- 財産目録を作成する手間を省きたい
- 他の相続人に財産目録を作成させたくない
いずれかのケースに当てはまるのであれば、弁護士に財産目録の作成代行の依頼を検討してみてください。
弁護士に依頼することで正確な財産目録を用意できるため遺産分割協議(遺産分配についての話し合い)の時にトラブルになりにくいです。
当サイト『相続弁護士ナビ』は下記の特徴を持つ、相続問題に特化した弁護士相談サイトです。
- 相続問題を得意とする経験豊富な弁護士を検索できる
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相続問題を得意としている弁護士を掲載しているため、迅速に正確な財産目録を作成してもらえます。
財産目録を作成する自信がない・遺産分割協議で揉めたくないなら、お近くの弁護士を探して相談してみてはいかがでしょうか。
【目次】
■財産目録は争いの無い遺産分割の実現に必要なもの
・相続で揉める家庭は全体の72%以上
・財産目録を作っておくと無用なトラブルを避けられる
・相続税申告のために必要
■財産目録の書式と作り方
・財産目録の書式サンプル
・押さえておくべき3つのポイント
■相続財産がどのくらいあるか調べる方法
・遺産分割の対象となるプラスの財産
・遺産分割の対象となるマイナスの財産
■相続における財産目録の作成が難しい場合は弁護士への相談がおすすめ
・相続財産の調べ方で悩むことがなくなる
・弁護士に依頼すれば書類作成の手間がなくなる
・財産目録の失敗がなくなる
・依頼するかどうかの判断基準
■まとめ
財産目録の作成をおすすめする一番の理由は、遺産分割協議の際の流れがスムーズになる点です。遺産相続の手続きでは、戸籍謄本などの様々な書類を集めて進めていくことになりますが、実は法律上の手続きでは財産目録を要求されることはほとんどありません。
では、なぜ財産目録を作成することをすすめるのか、その理由を解説していきます。
相続問題でトラブルになるのは一部の人間だけだと思われているようですが、それは大きな勘違いです。

引用元:「データで見る遺産相続トラブルの推移」
家庭裁判所が受け付けた「遺産分割審判の件数」はこの10年あまりで約30%も増加したことになります。また、審判となる遺産の額を見てみると、1000万円以下の相続で全体の約32%。5000万円以下になると約42%。全体の約74%もの相続争いが小額規模で行われているのがわかると思います。このデータを見る限り、資産の少ない家庭でももめているのが分かります。
ただでさえ遺産の少ない家庭でも起きる傾向が多い相続トラブルのなか、財産の内容がわからなければ、よりもめることになるのは明らかです。
そこで、被相続人の財産がどこにあるのかわからない、どれだけ財産があるかわからない、といったトラブルを防止するために「財産目録」を作っておくことが重要なります。
ただし、財産目録を作ったまま自宅に保管しておいた場合、親や息子などが詳しい財産の額を知ってしまうとその金をあてにする可能性があります。そのリスクを考えた時、第三者に預ける(隠す)、暗号化することも一考です。
遺産相続のトラブルにおいて多いのが、どれだけの遺産があるのかを相続人達が正確に把握しておらず、遺産分割の際に誰がどの財産を相続したのか、あるいはすべきなのかがわからないということがあります。
遺産分割の際は、相続人全員で「遺産分割協議」を行うのが一般的ですが、「被相続人の財産がどれだけあるか知っていた人」と、「被相続人の財産の全容を知らない人」が存在する場合に、「本当は隠し財産があるんだろ」「自分の取り分は少ないのではないか」といった疑いの心が生まれて、遺産分割協議がスムーズに進まなくなる可能性があります。

一度疑われると、後に財産目録を出しても納得されない可能性が出てきます。
相続人同士で争うのは故人にとっても回避したい事態かとは思います。しかし、最初からこじれてしまうと、調停や審判で解決せざる負えないケースも考えられます。したがって、相続財産(遺産)を実際に管理していた相続人は、財産を管理していた者の責任としてあらかじめ財産目録を作成することが、余計なトラブルを避けるためには有効です。
相続税の申告が必要となった場合、相続税の申告書には必ず財産目録を作成する必要があります。もし相続税の基礎控除を超える額の財産があることがわかっていれば、早めに作っておいた方が良いかと思います。
例えば・・・
・居住用のご自宅の評価額が20%になる小規模宅地等の特例を使う場合
・相続財産の評価額が基礎控除額以下になる場合
・配偶者の税額軽減措置(1億6千万円)の適用を受ける場合
財産目録を作成しておけば相続税の申告書を作るだけで済みますので、比較的楽にはなるかと思います。
「財産目録はどうやって書けば良いのか?」こういった疑問はよくありますが、財産目録には決まった書き方はありません。しかし、記載すると良いと思われる項目は幾つかありますので、覚えておきましょう。

引用元:東京地方裁判所の財産目録書式
財産目録|不動産の場合の書き方
財産目録(不動産)
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記入日 年 月 日
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所在地
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地番
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地目
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面積
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所有割合
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共有者
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評価額
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抵当権設定
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設定額
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東京都新宿区西新宿
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〇丁目〇番〇号
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〇
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〇〇㎡
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〇〇%
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〇
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〇〇万円
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有・無
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円
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財産目録|動産の場合の書き方
財産目録(動産)
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記入日 年 月 日
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所 在 場 所
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名称・詳細
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金 額
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備 考
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東京都新宿区西新宿
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〇〇〇
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〇〇〇円
|
|
同住所
〇〇〇〇
|
〇〇
|
〇〇〇円
|
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財産目録|現金・預貯金の場合の書き方
財産目録(現金)
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記入日 年 月 日
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金 融 機 関
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支 店
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種 類
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口座名義人
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残 高
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満 期 日
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口座番号
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◯◯銀行
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◯◯支店
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普通
定期
( )
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◯◯✖✖
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〇〇〇円
|
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〇〇〇〇
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財産目録|証券の場合の書き方
財産目録(現金)
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記入日 年 月 日
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証券会社
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銘柄名・社名
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証券番号など
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種類
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数量(単位)
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時価(金額)
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購入日
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満期日
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支店
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商品名など
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◯◯証券
◯◯支店
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◯◯自動車
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〇〇〇
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〇〇
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〇〇 株
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〇〇円
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◯年◯月◯◯日
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円
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口
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××証券
××支店
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××自薬品
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〇〇〇
|
〇〇
|
株
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〇〇円
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◯年◯月◯◯日
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|
円
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〇〇 口
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保険種類
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保険会社等
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証券番号
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保険金額
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備考
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〇〇保険
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◯◯保険
担当:◯◯様
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〇〇〇〇
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〇〇〇〇円
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財産目録|借金・負債の場合の書き方
財産目録(借金・債務)
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記入日 年 月 日
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会社名
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借入日
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返済日
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金利
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元本
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返済額
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保証人
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備考
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◯◯銀行
◯◯支店
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◯◯年◯月◯日
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◯年◯月◯日
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〇%
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〇〇〇円
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〇〇〇円
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◯◯◯◯
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▶︎裁判所|財産目録の書き方
▶財産目録のサンプルをダウンロード
(画像を印刷してお使いください。)
1:相続財産の種類は正確に
・不動産:土地、建物など
・動産:自動車やテレビ(家庭用財産)など
・債権:貸金など(債権とは人に対して行為を求めることができる権利のことをいいます。)
・預貯金:銀行などに預けているお金
・債務:債権の反対で、マイナスの財産(借金など)
このように、財産を大分類しておくと、財産の全体像がイメージしやすいかと思います。
2:相続財産の所在をはっきりさせる
・不動産:不動産の所在は地番(〇〇番地〇)まで表示
・建物:「家屋番号」があれば記載
・預金:銀行名・支店名・口座番号に加え、預金種目についても記載
・会員権・株式など:ゴルフ場の名前、運営会社、会員番号、株の銘柄など
3:数量・割合も正確に
不動産であれば全部事項証明書にある地積などの詳細も、銀行の預金であれば死亡日現在での残高を記載します。財産目録が正確に記載されていないとトラブルの元ですから、適当に書くのは避けましょう。もしわからない財産がある場合は、弁護士などの専門家に聞きながら進めていくのが安心です。
特に不動産や隠し預金の有無を調べるのはかなり骨の折れる作業ですので、専門家に任せた方が良い場合もあります。
財産目録の作成には、相続財産の調査を行います。どんな相続財産があるのかを把握しておかなければ、財産目録を作成することはできません。そのためにも、プラスの財産やマイナスの財産(借金など)を全て把握する必要があります。
遺産相続の対象となるプラスの財産
不動産
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建物、店舗、宅地、農地、居宅、借地権、借家権 など
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現金や有価証券
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現金、売掛金、小切手、貸付金、預貯金、株券など
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動産
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自動車、家財、宝石、貴金属、美術品、骨董品、など
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その他
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ゴルフ会員権、株式 など
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遺産相続の対象となるマイナスの財産
負債
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借金、住宅ローン、自動車ローン など
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税金など
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未払いの所得税、住民税、固定資産税 など
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その他
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家賃、地代、その他未払いの医療費 など
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それぞれどういった手順で確認していけば良いかは、「遺産相続の対象となる財産と金額の確認方法」を参照に、進めていただければと思います。
財産目録に記載すべき内容は上記の通りですが、もし正しく財産の評価ができないと思ったら、『弁護士に財産目録の作成を依頼する』ことをおすすめしています。
もちろんご自身で作成することもできますが、専門家の立場から、客観性を重視した目録を作成してもらったほうが、他の相続人も納得するでしょうし、結果的に遺産相続がスムーズに進むこともあるでしょう。
例えば土地の相続が発生していた場合、「被相続人の10歳前後から亡くなるまでの戸籍謄本」「除籍謄本全部とその方の相続人に当たる方の現在の戸籍謄本」「戸籍抄本、新たに名義人になる方の住民票」などを揃える必要があります。
銀行預金を調べる場合では「亡くなった当日の残高証明書」を取得して税務申告に利用するといった手順が出てきますが、こういった手間も弁護士に全て任せることができます。
「財産目録の書式と作り方」を見ていただければお分かりかと思いますが、財産目録の作成は相続財産の種類は正確に把握し、相続財産の所在を明らかにして、数量・割合もできるだけ正確に記述する必要があります。
これがどれほどの手間になるかは、実際に財産目録を作った人でないとわからないでしょう。弁護士への依頼は財産目録を作り始めてからでも大丈夫ですので、こう言った手間は全てなくなります。
財産目録を作成する時に最も気をつけなくてはいけないことは、財産を正確に記入できないことです。相続財産が正確にわからないということは、相続人同士のトラブルに発展していく可能性がでてきます。
弁護士が財産目録の作成に関わることで、法定相続分が正確に把握でき、今後のトラブルのリスクを予見することができ、また、余計なトラブルが発生することを抑えることができます。
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1:相続人同士の仲が悪い場合
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2:財産管理をしている人の信用が低い
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3:公平性と客観性を重視したい
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4:完全に揉めるのを避けたい
のちのちのことを考えれば、専門家への依頼を検討されても良いかと思います。
いかがでしたでしょうか?
財産目録ひとつで相続トラブルを完全に避けることは難しいですが、小さな積み重ねがのちのちの大きなトラブルを未然に防ぐことに繋がりますので、ぜひ実践していただければ幸いです。
相続トラブルを解決し遺産を多く受け取る方法とは?
相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。
これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。
相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。
<参考資料:平成25年度司法統計>
さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。
<参考資料:平成25年度司法統計>
相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?
相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。
<参考資料:国税庁 統計年報>
相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。
トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。
弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。
相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例
相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
最大のメリットが得られる弁護士の選び方は、以下を参考にしてください。
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1、相続が得意な弁護士を選ぶ
相続トラブルの解決実績が豊富だったり、相続問題に注力していたりする弁護士を選びましょう。
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例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。
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相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。
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2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ
初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。
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件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)
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3、近隣の弁護士を選ぶ
相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。
相続で弁護士が介入するデメリットは、あまりありません。
あえて挙げるなら、依頼に費用がかかる点でしょうか。
しかし、以下の費用対効果の例をご覧いただけば、実際には費用がデメリットとはならないことが、おわかりいただけると思います。
不公平な遺言書に対し弁護士を通じて遺留分を主張した例
3,000万円の遺産を遺して親が世を去った。全財産をほかの相続人に相続させる旨の遺言書があり、このままでは自分は一切遺産を受け取ることができない。
弁護士に依頼した結果
遺留分侵害額請求により、自分の遺留分割合である8分の1の遺産を受け取ることができた。
費用対効果
自分が受け取ることができた遺産は375万円。弁護士費用は84万円。そのまま泣き寝入りしていれば1円も受け取ることができなかったが、結果的に弁護士費用を差し引いても291万円を手にすることができた。
また、相続トラブルに関しては、初期費用(着手金)はかかるものの、費用の大部分は成果報酬方式です。
つまり依頼料はデメリットにならないのです。
>>費用対効果の高い弁護士とは?
簡単かつ早急に信頼できる弁護士を選ぶ方法
相続弁護士ナビは、相続問題の解決実績豊富な事務所を数多く掲載しています。
あなたのお住まいに近い事務所を選ぶことができ、ネット上の口コミに頼らず、相談に行きやすい優良な事務所を簡単に見つけられます。
使い方も簡単なので、近隣の事務所を確認だけでもしてみることをおすすめします。

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どれを選んでいいかわからない場合は、相続トラブルを選んでくされば対応できます。