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代襲相続はどこまで続く?範囲や割合、基礎控除や相続放棄との関係を解説

川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士
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代襲相続(だいしゅうそうぞく)とは、被相続人の死亡以前に被相続人の子や兄弟姉妹が死亡等により相続権を失っていた場合に発生する相続で、簡単にいえばすでに死亡してしまったこれらの人の代わりに、その子(被相続人から見て孫や甥姪)がこれらの人の相続権を承継する制度のことをいいます。

このとき、本来相続人になるはずだった人のことを「被代襲者」、代わりに相続人になった孫や甥姪を「代襲者」または「代襲相続人」と呼びます。

図のように、被相続人の死亡よりも前に長男が死亡しているケースで、長男に子(被相続人の孫)がいる場合には、この孫が長男の相続分をそのまま承継して被相続人の相続人に数えられることになります。

今回は、代襲相続の全知識と題して、代襲相続の範囲(誰が対象で、どこまで続くのか)や代襲相続人の相続割合、相続税法と代襲相続の関係、相続放棄との関係などをご紹介していきます。

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被相続人の遺産を、できるだけ早く、円滑に分割したいと思ったなら、法定相続分の知識はもちろん、代襲相続の正しい理解が必須になります。

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代襲相続人となる5つの開始要件

代襲相続は、被相続人の子および兄弟姉妹にのみ認められたもので、これらの人が相続放棄以外の理由で相続権を失った場合にその直系卑属(※)が代わりに相続分を相続する制度です。

※直系卑属とは子や孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族のこと

代襲相続が開始される原因(代襲原因)は、相続人の、

  1. 「死亡」
  2. 「相続廃除(相続人廃除)」
  3. 「相続欠格」

の3つに限られており、それ以外の要因(相続放棄など)によって始まることはありません(民法887条2項)。

相続廃除(相続人廃除)とは、相続人による虐待や重大な侮辱行為がある場合に被相続人の申請によりおこなわれるもので、相続廃除の申し立てを家庭裁判所におこない、審判が確定すると相続人としての権利は失われます。

一方、相続欠格とは犯罪などによる相続の欠格事由に該当する行為をした場合に相続人の資格が剥奪されることをいいます。

代襲相続の要件は以下の5つとなっており、すべてを満たすと代襲相続が開始されます。

  1. 被代襲者が被相続人の子または兄弟姉妹であること(民法887条2項、889条2項)
  2. 被代襲者が相続開始前の死亡・欠格・廃除によって相続権を失っていること(887条2項)
  3. 代襲者が相続開始時に被代襲者の直系卑属であること
  4. 代襲者は被相続人からの廃除者・欠格者にあたらないこと
  5. 代襲者が被相続人の直系卑属であること(887条2項ただし書き)

①被代襲者が被相続人の子または兄弟姉妹であること

被代襲者になれるのは、被相続人の子または兄弟姉妹に限られており、配偶者や直系尊属からの代襲相続は起こりません。

このとき、被相続人の養子からの代襲相続が問題になりますが、被相続人の養子も被代襲者になることはできる一方で、養子の子(被相続人から見て義理の孫)についてはその出生時期が縁組の前か後かで代襲者になれるかどうかが変わってきます。(民法887条2項、889条2項)

養子の代襲相続に関する詳細はこちら

 

②被代襲者が相続開始前の死亡・欠格・廃除によって相続権を失っていること

代襲原因に相続放棄は含まれておらず、被代襲者が相続開始以前に死亡・欠格・廃除によって相続権を失っていた場合に限って代襲相続が開始することになります。

ただし、相続欠格・廃除に関しては、相続開始後になされた場合であっても遡ってその効果が生じることから、被相続人の相続開始後に被代襲者が欠格・廃除に該当した場合にも代襲相続は生じます(891条、893条)。

なお、被相続人と被代襲者が同時に死亡した場合(32条の2)であっても、代襲相続は肯定されます。

③代襲者が相続開始時に被代襲者の直系卑属であること

代襲者になれるのは、被相続人の子の子または兄弟姉妹の子(887条2項、889条2項)に限られ、兄弟姉妹の子(甥姪)以外は何代でも代襲ができるようになっています。

これを「再代襲」といい、要件は代襲相続と同じになります。

例えば被相続人が100歳で大往生したケースで、子はすでに亡くなっており、孫も早逝してしまってひ孫が再代襲して相続人になる場合などが考えられます。

ひ孫が既に亡くなっている場合には玄孫が代襲相続人になるといったように、被相続人の子からの代襲は何代でも続いていくのが特徴です。

また、相続において胎児は「生まれたものとみなす」(886条1項)ので、胎児にも代襲相続権は認められますが、死体で生まれてきた場合には相続権が認められないことになっています(886条2項)。

④代襲者は被相続人からの廃除者・欠格者にあたらないこと

代襲者は被相続人を相続する人になりますから、被相続人の相続において廃除・欠格にあたる場合は代襲相続人になれません。

また、被代襲者から廃除・欠格とされている場合も同様になります。

⑤代襲者が被相続人の直系卑属であること(887条2項ただし書き)

代襲者が被相続人と血族関係にあることが要件になりますので、養子の連れ子は代襲相続権をもちません。

例外的に、養子の連れ子と被相続人が養子縁組をしていた場合には連れ子も相続権を有するといえますが、このケースは代襲相続人ではなく通常の法定相続人に数えられるに過ぎないので、代襲相続人になる余地はないといえるでしょう。

注意①:相続放棄では代襲相続が生じない

繰り返しになりますが、代襲相続は被代襲者が「相続放棄以外の理由で」相続権を失った場合に発生するものなので、例えば被相続人の子が単に相続放棄をした場合には、孫が代わりに相続することはできません。

法定相続人全員が相続放棄をした場合には、最終的に被相続人の相続財産は国庫に帰属することになりますが、このようなケースであっても代襲相続が生じることはないのです。

孫や甥姪がいるのに被相続人の財産が国庫に帰属してしまうのは納得いかないかもしれませんが、もしこれらの人が被相続人と生計を同じくしていたり、療養看護に努めたなど特別の縁故が認められれば、「特別縁故者に対する相続財産の分与」(958条の3)がなされる可能性がありますので、諦めずに手続きするのがよいでしょう。

注意②:被相続人の配偶者に代襲相続は生じない

注意しなければならないのは、死亡した被代襲者の配偶者は代襲相続人にはなれないということです。

具体的には「被代襲者の子供の配偶者」や「被代襲者の兄弟・姉妹の配偶者」は代襲相続人になれません。

被相続人の配偶者は常に相続人となれますが、その部分と混乱しないようにしましょう。

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一目でわかる代襲相続の相続分

代襲相続がおこなわれた場合、代襲相続人の相続分は被代襲者の相続分をそのまま引き継ぐことになります。

とはいえ、被代襲者は一人しかいませんから、代襲相続人が複数人いる場合には、当然権利も等分して分け合うことになります。

ここでは、具体的な例をもとに、代襲相続の相続分をご紹介していきたいと思います。

実子の代襲相続

図の例のように、被相続人が平成29年7月1日に死亡し相続が始まった場合で考えてみましょう。

被相続人の相続財産は1,200万円で、法定相続人は配偶者と子A~Cだったところ、Cは平成25年4月16日に死亡しており、孫D・Eへの代襲相続が発生しているケースです。

このとき、各相続人の法定相続分は以下のようになります。

  • 配偶者:1/2
  • 子:それぞれ1/6(1/2÷3人)

子Cについては、孫Dと孫Eが代襲相続人となって相続分6分の1を承継するため、孫らの相続分は6分の1を2分割したものとなります。

  • 孫D・E:それぞれ1/12(1/6÷2人)

したがって、各相続人の具体的な相続分をまとめると、次のようになります。 

被相続人:夫

【1,200万円】

妻(配偶者)…法定相続分1/2、取得金額600万円

子A(長男)…法定相続分1/6、取得金額200万円

子B(次男)…法定相続分1/6、取得金額200万円

子C(三男)…本来の法定相続分1/6⇒代襲相続

孫D…代襲相続での相続分1/12、取得金額100万円

孫E…代襲相続での相続分1/12、取得金額100万円

兄弟姉妹の代襲相続

図の例のように、被相続人が平成29年7月20日に死亡し相続が始まった場合で考えてみましょう。

被相続人の相続財産は1,200万円で、Aには配偶者も子もいないうえ、直系尊属も既に死亡していることから、B・Cが法定相続人になるケースです。

ただ、BもCもAよりも先に死亡していますから、Bの子とCの子らが相続できるかが問題になります。

ここで、Bの子は既に亡くなっているためBの代襲相続が終了し、Cの子Dも亡くなっていることから、この相続ではCの子Eだけが法定相続人になるというのがおわかりいただけたかと思います。

以上から、EがAの財産1,200万円すべてを取得するという結果になります。 

被相続人:長男A【1,200万円】

父母:死亡

B…本来の法定相続分1/2⇒代襲相続

Bの子…死亡⇒代襲相続×

C…本来の法定相続分1/2⇒代襲相続

甥D…死亡⇒代襲相続×

姪E…他に相続人がいないため、代襲相続により全財産を取得

養子の代襲相続

図の例のように、被相続人が平成29年7月1日に死亡し相続が始まった場合で考えてみましょう。

被相続人の相続財産は1,200万円で、法定相続人は配偶者と実子A、養子B・Cだったところ、B・Cが既に死亡してしまっていることから、B・Cの子の代襲相続が問題になります。

このとき、各相続人の法定相続分は以下のようになります。

  • 配偶者:1/2
  • 子:それぞれ1/6(1/2÷3人)

子Bについては、連れ子Dが代襲相続人になれるか問題になりますが、Dは被相続人の直系血族ではないので、代襲相続権を持たないことがわかります。

したがって、子Bには代襲相続が発生せず、第一順位の相続人が減った結果、子A・Cの相続分が増加します。

子Cについては、Cの実子Eが代襲相続人となって本来の相続分1/6を承継するところですが、Bに代襲相続が発生しないので、相続分が1/6(1/2÷3人)から1/4(1/2÷2人)へ増加します。

したがって、各相続人の具体的な相続分をまとめると、次のようになります。 

被相続人:夫

【1,200万円】

妻(配偶者)…法定相続分1/2、取得金額600万円

 

子A(長男)…法定相続分1/6⇒1/4に増加、取得金額300万円

子B(養子)…本来の法定相続分1/6⇒代襲相続

Bの連れ子D…代襲相続なし

子C(養子)…本来の法定相続分1/6⇒代襲相続

E…法定相続分1/6⇒1/4に増加、取得金額300万円

代襲相続と養子縁組

被相続人の養子は被代襲者になることができますが、養子の子については出生時期によって代襲相続権の有無が変わってきます。

代襲相続の要件として「代襲者が被相続人の直系卑属であること」が求められている以上、養子の子が代襲相続をする際にもこの要件を満たさなければなりません。

したがって、養子の子が代襲相続できるか否かは、以下の基準で判断します。

  • 養子縁組に生まれた養子の子(連れ子)…被相続人の直系卑属にならない=代襲相続ができない
  • 養子縁組に生まれた養子の子(実子)…被相続人の直系卑属になる=代襲相続ができる

原則として連れ子には代襲相続権がないと考えていただければよいと思いますが、連れ子と被相続人が養子縁組をしていた場合には、別途法定相続人として相続に関わっていくことになります。

これらはあくまで「連れ子は代襲相続において代襲相続権を持たない」という話に過ぎないので、連れ子と被相続人の関係性(養子縁組や遺贈の有無)によっては相続に関わる可能性があることにはご注意ください。

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代襲相続と基礎控除の注意点|法定相続人の数に注目する

相続が発生すると、相続税の問題に頭を悩ませる方も少なくありません

相続税は相続開始から10ヶ月以内に申告・納税を済ませなければならず、この期限を過ぎてしまうと延滞税などのペナルティが課されてしまうため、特例や控除を利用する場合は早めに手続きする必要があります。

相続における基礎控除とは?

ところで、相続税には法定相続人の数に応じた基礎控除が設定されているため、法定相続人の数が多いほど控除額が上がるという特徴があります。

そこで気になるのが代襲相続における基礎控除の計算方法で、果たして代襲相続人を含めた法定相続人の数え方はどうなっているのか、という点です。

基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数

結論からいえば、代襲相続における基礎控除の算定方法は、現存する法定相続人+代襲相続人を法定相続人として数えることになります。

例えば相続人が配偶者A・子B・子C(死亡)の代襲相続人である孫D&Eだった場合、すでに死亡した子Cを除いたA・B・D・Eの4人が法定相続人の数として基礎控除の算定の基礎になります。

以上のように、代襲相続が発生すると基礎控除の額が大きくなる可能性が高いのですが、基礎控除における法定相続人の数を考えるにあたり、以下の2点にも注意が必要です。

養子の数の制限

民法上は養子の数に制限はないのですが、相続税法上は基礎控除の計算の際に数えられる養子の数が決まっています。

すなわち、被相続人に実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人までしか、養子の数はカウントできません。

例えば被相続人に養子が3人いた場合で考えてみましょう。

相続財産が6,000万円、相続人は配偶者と養子3人として、ほかに実子がいる場合とそうでない場合とでの計算方法の違いをご覧ください。

 

配偶者

養子A

養子B

養子C

実子D

実子E

実子あり

法定相続分

1/2

1/10

1/10

1/10

1/10

1/10

取得額

3,000万円

600万円

600万円

600万円

600万円

600万円

基礎控除の計算式

3,000万円+600万円×4人(配偶者・実子2人・養子1人)=5,400万円

⇒課税される相続財産:6,000万円―5,400万円=600万円

実子なし

法定相続分

1/2

1/6

1/6

1/6

取得額

3,000万円

1,000万円

1,000万円

1,000万円

基礎控除の計算式

3,000万円+600万円×3人(配偶者・養子2人)=4,800万円

⇒課税される相続財産:6,000万円―4,800万円=1,200万円

なお、配偶者の連れ子を養子とした場合や特別養子縁組をした場合には、その子は養子でなく実子として扱われることになります。

したがって、養子Aが配偶者の連れ子だった場合には、以下のように計算が変化します。

 

配偶者

養子A

養子B

養子C

実子D

実子E

実子あり

法定相続分

1/2

1/10

1/10

1/10

1/10

1/10

取得額

3,000万円

600万円

600万円

600万円

600万円

600万円

基礎控除の計算式

3,000万円+600万円×5人(配偶者・実子3人[A・D・E]・養子1人)=6,000万円

⇒課税される相続財産:6,000万円―6,000万円=0円

相続放棄者がいる場合

民法上の相続放棄者は、放棄申述が認められればその相続において初めから相続人でなかったものとして扱われることになりますが、相続税法上は放棄がなかったものとして、法定相続人の数に含めて各種の計算をおこなうことになっています。

ただし、ここで注意が必要なのが、上位の法定相続人が相続放棄した際の法定相続人の数え方です。

民法上、配偶者は常に法定相続人になりますが、そのほかの法定相続人は順位付けがなされているため、上位の法定相続人がいる間は下位の法定相続人に相続権がありません。

【参考】法定相続人の順位

 第一順位…子(直系卑属)

 第二順位…直系尊属

 第三順位…兄弟姉妹

しかし、上位者が全員相続放棄をした場合には下位のグループへ相続権が移るため、例えば被相続人の子が全員相続放棄をすれば、次は被相続人の直系尊属が相続人になり、この直系卑属も全員相続放棄をした場合には兄弟姉妹が相続人になるということになります。

このとき、配偶者、被相続人の子が1人、直系尊属が2人、兄弟姉妹が2人いたとすると、放棄者すべてを含めて法定相続人の数をカウントすれば6人で、3,600万円(+3,000万円)の控除になるのではないか?という問題が生じます。

ところが、こういったことを認めてしまうと形式的に相続放棄をすることで基礎控除を増やすことができるようになってしまうため、このようなケースでは最初に相続権を有していた人たちを法定相続人として数えることになっています。

つまり、子の相続放棄がなかったものとして、配偶者+子の2人が法定相続人の数となり、基礎控除は1,200万円(+3,000万円)となります。

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代襲相続における「相続人廃除」と「相続欠格」

代襲相続は、被代襲者の「相続開始前の死亡」「相続人廃除」「相続欠格」のどれかによって発生しますので、ここで簡単にこれらの概要を整理しておきましょう。

相続開始前の死亡

相続開始前の死亡は、被代襲者が被相続人よりも前に死んでいることを意味します。

ただし、被相続人と被代襲者が同じタイミングで死に至り、どちらが先に死亡したか定かでない場合(同時死亡の場合)でも、代襲相続は発生するとされています。

相続人廃除(民法892条以下)

相続人廃除とは、被相続人の意思によって相続人の相続権を奪う制度で、遺留分の権利を有する相続人(兄弟姉妹を除く配偶者、子、直系尊属)だけに利用できる制度でもあります。

ただし、廃除が認められるためには家庭裁判所の審査が必要で、被相続人が好き勝手に廃除できるというわけではありません。

なお、廃除するためには、具体的には以下のような原因が必要になります。

  1. 廃除を望む相続人の被相続人に対する虐待もしくは重大な侮辱
  2. 廃除を望む相続人の著しい非行(被相続人に間接的な損害が発生する程度の非行)

相続欠格(民法891条)

相続欠格とは、相続人が一定の不正行為をおこなった場合に、相続資格を法律上当然に剥奪する制度で、誰かが申し立てなくても欠格の効果が生じるという点で相続人廃除とは異なります。

具体的には以下のような行動をすると相続欠格に該当するとされています。

  1. 被相続人等への生命侵害(故意に被相続人や相続人を殺した・殺そうとした場合など)
  2. 被相続人の遺言の妨害(詐欺や強迫によって被相続人の遺言の作成を妨害した場合など)

代襲相続はどこまで続く?代襲相続と再代襲相続について

子からの代襲相続は、子から孫、孫から曾孫(ひまご)、曾孫から玄孫(やしゃご)、玄孫から來孫(らいそん)といったように、脈々と続くことが認められています。

代襲が重なった場合、2回目以降の代襲を「再代襲」と呼び、通常の代襲相続と区別することがありますが、再代襲が認められる要件も代襲相続と基本的には同じです。

ただし、兄弟姉妹に関してはその子(甥姪)の代までしか代襲ができないので、再代襲も当然できません。

昭和55年までは兄弟姉妹も再代襲が認められていましたが、血の繋がりの薄い「笑う相続人」を出さないように改正された結果、現在はこれが認められていませんから、混同しないように注意しましょう。

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代襲相続では数次相続にも注意

代襲相続に似た制度で「数次相続」というものがあります。

数次相続とは、立て続けに相続が起こった場合に問題になる相続類型で、例えば父が亡くなり遺産分割協議がまとまらないうちに相続人だった母も亡くなってしまったケースが典型例です。

代襲相続と数次相続は、死亡した相続人の相続権をほかの人が承継するという点で共通しますが、死亡した相続人の相続権を承継できる人の範囲に違いがありますので、ここで改めてご紹介いたします。

数次相続とは

数次相続とは、相続が2回以上重なって発生してしまった状態のことをいい、例えば父の相続の最中に配偶者である母が死亡して、母の相続も発生してしまったようなケースをいいます。

このとき、最初に発生した父の相続を一次相続、次に発生した母の相続を二次相続と呼んで区別することがありますが、例えばここでさらに子が死亡すると三次相続が発生すると考えていただければ、数次相続がなんとなくわかるのではないかと思います。

さて、数次相続の場合は、相続人の確定が非常に厄介な問題となります。

というのも、数次相続の処理方法には色々なものが考えられますが、スタンダードな方法としては「最初の相続から順に相続内容を確定していく」ことになるからです。

例えば父の相続が終わらないうちに母が死亡したケースで、父の相続の当事者は配偶者である母、子A、子Bとし、母には父と養子縁組していない連れ子Cがいた場合で考えてみましょう。

まず、各相続の相続人が誰になるかを整理してみます。

 

配偶者(母)

子A

子B

連れ子C

の相続で相続人になれるか

×

の相続で相続人になれるか

父と養子縁組をしていない連れ子Cは、父の相続では法定相続人になりませんが、血の繋がりのある母の相続では相続人になります。

これが何を意味するかというと、父の相続(一次相続)を処理するにあたり、母の相続権を承継した連れ子Cも相続に関わる必要が出てくるということです。

したがって、父母どちらの相続についてもA・B・C3人での協議が必要になり、連れ子Cは父の相続でもある程度の権利が付与されるというのが数次相続の特徴になります。

とはいえ、上記の例で連れ子Cがいなかった場合には、父母どちらの相続でもA・Bだけが相続人になりますので、相続人の確定はさほど難しくはありません。

このように、数次相続が発生すると各相続における相続人が誰であるかが重要な意味を持ちますので、丁寧かつ慎重に相続人を確定していく作業が必要になります。

数次相続と代襲相続の見分け方

数次相続と代襲相続の見分け方としては、「死亡した相続人と被相続人との関係」と「相続人の死亡日と被相続人の死亡日の先後」で判断するのが簡単です。

①死亡した相続人と被相続人との関係

死亡した相続人が配偶者または直系尊属の場合、代襲相続の問題は生じません。

しかし、死亡した相続人が被相続人の子または兄弟姉妹だった場合には、②の判断次第で代襲相続が発生する可能性があります。

②相続人の死亡日と被相続人の死亡日の先後

  • 相続人の死亡日が被相続人の死亡日より前の場合

⇒死亡した相続人が被相続人の子または兄弟姉妹の場合、代襲相続が発生する

 死亡した相続人が配偶者または直系尊属の場合、単なる相続(一次相続)となる

  • 相続人の死亡日が被相続人の死亡日より後の場合

⇒数次相続が発生する(被相続人の相続=一次相続、相続人の相続=二次相続と呼んで区別することがあります)

代襲相続や数次相続が発生した場合は、通常の相続と異なり非常に複雑ですので、弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。

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代襲相続における甥と姪の遺留分割合

代襲相続における「遺留分(※)」は、基本的に被代襲者の遺留分割合がそのまま適用されます。

※遺留分とは相続において最低限法律によって保障されている相続分のことです。

例えば、被相続人に配偶者と子供がいる場合、4分の1が遺留分となり子供の人数で按分されます。

このうちの子供の一人が被代襲者となった場合、代襲相続人の遺留分は同じく8分の1となります。

ただし、代襲相続人が複数いる場合には遺留分もその人数で按分されます。

また、兄弟・姉妹にはもともと遺留分はありませんので、兄弟・姉妹の代襲者である甥・姪には遺留分はありません。

代襲相続に必要な書類

代襲相続が発生すると、各相続手続き(相続の承認や放棄、各種名義変更手続きなど)において、被代襲者と代襲相続人の戸籍謄本類も必要になります。

  • 被代襲者の出生から死亡までの戸籍(戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本)
  • 襲相続人全員の戸籍(戸籍謄本、戸籍全部事項証明書)

被相続人の戸籍と重複する部分は1通の戸籍で兼用できますが、再代襲が発生した場合は、代襲相続の場合と同じ要領で足りない戸籍を取得していく必要があります。

もし1つでも必要な戸籍書類が足りないと、銀行などの手続き先の機関は応じてくれず、銀行預金や保険金、不動産などの相続手続きを完了させることができない場合がありますから、漏れのないようにきちんと確認するのが大切です。

これらの戸籍類はすべてそれぞれ本籍の役所でしか取得できず、本籍が市外や県外などの遠方の場合には、郵送等による請求が必要になります。

郵送請求となると返送されてくるにも日数がかかりますし、面倒な作業となりますので、職権でこれらを集めることができる弁護士などに相談される方も多くいらっしゃいます。

自力での手続きを目指してみて、「面倒だな」と感じたら弁護士などに相談してみるのがおすすめです。

さいごに

代襲相続は、単純に考えれば明確であまり難しくはないのですが、相続税の算定という観点からは通常とやや異なる考え方をしなければならないので、両者を混同しないように注意が必要になります。

また、相続放棄と代襲相続など他の相続制度との関係も踏まえた上で、本当に代襲相続が起こっているのかを判断していく姿勢が大切といえるでしょう。

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この記事の監修者
川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士 (神奈川県弁護士会)
遺産分割など揉めやすい問題の交渉、調停、訴訟から、生前の相続対策として遺言や家族信託の活用についてまで幅広く対応。相談者の事情に合わせたオーダーメイドの解決を目指しており、多くの実績がある。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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