親族が亡くなり遺産相続をおこなう場合、手続きに戸籍謄本が必要になります。
しかし、普段はなじみの薄い戸籍謄本についてどのように取得したらよいかわからず、不安を覚える方も多いでしょう。
そこで本記事では、遺産相続で必要な戸籍謄本について解説します。
戸籍謄本の取得方法や、どのような場面で必要になるかについても解説するので、参考にしてください。
遺産相続の際には、主に2種類の戸籍謄本が必要となります。
まず必要になるのは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本には、被相続人の両親・兄弟姉妹・結婚歴・子どもなど、さまざま情報が掲載されています。
この戸籍謄本を確認することによって、法定相続人となる人を全て把握することが可能です。
親族が知らなかった婚姻外の子や養子についても確認できるため、法定相続人が増えることもあります。
また、法定相続人の生存を確認するために、相続人全員の現在の戸籍謄本を用意する必要もあります。
なお、すでに亡くなっていることが戸籍謄本に記載されている相続人については、改めて用意する必要はありません。
遺産相続において戸籍謄本は、相続人の範囲の確認を中心に、主に以下の用途で用いられます。
遺産の分割をおこなう際には、遺産分割協議と呼ばれる遺産についての話し合いをおこなう必要があり、遺産分割協議にはすべての相続人の参加が求められます。
そのため、相続が発生した場合は、はじめに全ての相続人を調査しなければいけません。
相続人には、被相続人の配偶者、子ども、親や兄弟などが該当するため、今さら調べる必要はないと考える方もいるかもしれません。
しかし、婚外子や養子など家族が知らない相続人が現れることはよくある話です。
そのため、戸籍謄本を取り寄せて、信頼できる資料を基に誰が相続人になるかを調査します。
被相続人が遺言書を用意していた場合、ケースによっては家庭裁判所にて遺言書の検認手続が必要となります。
具体的なケースとしては、自筆で書いた遺言書が法務局以外の場所で保管されている場合や、秘密証書として遺言が作成されている場合があります。
遺言書の検認をおこなう際には、被相続人の戸籍謄本が必要になるほか、相続人全員分の戸籍謄本が必要となります。
相続放棄や限定承認をおこなう際も、戸籍謄本が必要となります。
手続きには、被相続人の戸籍謄本および相続人の戸籍謄本を用意しなければいけません。
相続税の申告の際にも戸籍謄本が必要です。
手続きに被相続人の戸籍謄本と、相続人全員の戸籍謄本が必要となるため、忘れずに用意しましょう。
また、相続税の申告の際に必要な戸籍謄本は、「相続開始日から10日を経過した日以降に取得したもの」と条件が設定されているため、取得の際には注意が必要です。
不動産の相続をおこなう場合、法務局で相続登記の必要があります。
相続登記の手続きには、被相続人の戸籍謄本と、相続人全員の戸籍謄本が必要です。
ただし、遺言書がある場合、被相続人が死亡した旨の記載がある戸籍謄本と、相続人の戸籍謄本を用意すれば問題ない場合もあります。
戸籍謄本を取得するには、手続きに即して書類の提出を求められます。
以下では、戸籍謄本を取得する際の方法や費用について解説します。
戸籍謄本の請求には、本籍地の役所の窓口で手続きをする方法と、郵送で請求する方法の2つがあります。
それぞれ必要なものが異なるため注意してください。
本籍地の役所の窓口で直接戸籍謄本を請求する場合は、以下のものを用意しましょう。
※代理人による請求の場合、以下の書類も必要となります。
本籍地の役所に郵送で請求する際には、以下のものが必要になります。
※代理人が請求する場合、以下の書類も必要となります。
戸籍謄本の1通あたりの発行手数料は、以下のとおりです。
申請をする際には、各自治体のホームページ等で費用の確認をしましょう。
なお、郵送の場合は必要な謄本の合計数が請求時には不明なため、手数料の合計がわからないことがあります。
もし、費用が不足した分は追加で送る必要があるため、事前に役所に問い合わせておくとよいでしょう。
最後に、遺産相続に関する戸籍謄本の取得についてよくある質問を紹介します。
戸籍謄本を請求できるのは、基本的に以下の人に限られますが、代理人による取得も可能です。
代理人が取得をおこなう場合は、委任状が必要になります。
委任状には、委任者が作成し署名したものを受任者に渡す必要があるため、時間に余裕をもって作成しておきましょう。
戸籍謄本には、有効期限がありません。
そのため、いずれ必要になることが多い、自身と被相続人の戸籍謄本だけでもなるべく早めに取得しておくことがおすすめです。
ただし、相続人自身の戸籍については取得から3ヵ月以内のものが求められることが多い点や、相続税申告書に添付する戸籍謄本は相続の開始の日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本でなければならない点には注意しましょう。
戸籍謄本はさまざまな手続きで提出を求められるため、一度だけ取得したら、あとはコピーで済ませたいところです。
しかし、遺産相続ではほとんどの手続きで戸籍謄本の原本の提出が必要です。
ただし、戸籍謄本の原本を提示すればコピーでも認められる場合があるほか、所定の手続きをおこなうことで原本の返却がある場合もあります。
不安な場合は、相続手続きの際に窓口で確認してみるのもおすすめです。
法定相続情報一覧図とは、被相続人の相続関係をまとめて1通の図に整理したものです。
法定相続情報一覧図を作成し、法務局で認証を受けることで、相続登記や銀行での預金の払い戻し、相続税の申告などさまざまな手続きで利用できます。
各手続きには、相続人の範囲を確認するための資料として、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等が求められますが、これらの戸籍謄本を提出する代わりに法定相続情報一覧図を利用できるので、戸籍謄本取得の際の費用を抑えることが可能です。
遺産相続をおこなう際には、さまざまな場面で戸籍謄本が必要となります。
本籍地の役所にて窓口もしくは郵送による手続きが必要となるため、時間に余裕をもって準備するようにしましょう。
また、遺産相続に関する手続きに不安がある人は、弁護士に相談してしまうのもひとつの選択肢といえます。
専門的な知識をもつ弁護士であれば、必要な手続きを網羅し、先回りでサポートしてくれるでしょう。
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