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親族が亡くなると、悲しみに暮れる間もなくさまざまな手続きが必要となります。
なかでも注意したい手続きのひとつが、相続税の申告と納付です。
相続税の申告・納付には期限が定められており、期限内に対応しなくてはなりません。
期限を過ぎてしまった場合、追徴課税などのペナルティが課せられるため、なるべく早く準備をすすめましょう。
本記事では相続税の申告期限に関する詳細を解説します。
期限を延長できるケースや間に合わない場合の対処法についても紹介しているので参考にしてください。
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相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内です。
たとえば家族が1月10日に亡くなり、その日に亡くなったことを把握していれば相続税の申告期限は同じ年の11月10日になります。
相続税の納付期限も、相続税の申告期限と同じです。
なお、申告期限が土日祝日の場合、申告期限はその翌日もしくは翌月曜日となります。
基本的に、相続税の申告期限を延長することはできません。
しかし、以下のようなケースでは、特別に申告期限の延長が認められます。
相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日を基準に計算されます。
被相続人となる家族と疎遠だったなどの理由で亡くなったことをあとから知った場合、相続税の申告期限は死亡の事実を知った日から10ヵ月後です。
亡くなった場所が医療機関ではない場合、死亡日が明確にならないことがあります。
戸籍謄本に死亡日を「1月10日から20日までの間」のように記載された場合、記載された期間の最終日を相続開始日となります。
たとえば上記の場合では、最終日である1月20日から10ヵ月後の11月20日が申告期限です。
二次相続とは、相続が発生した後に、さらに相続が発生することをいいます。
例として、以下のケースで相続が発生した場合を考えてみましょう。
相続税の申告期限延長が認められるのは、祖父の死亡の後に相続人である父が相次いで死亡し、一時相続が発生した後の申告期限内に「二次相続」が発生した場合です。
この場合、対象の相続人(父)の相続人である子が祖父の相続税申告をおこなう必要があり、期限は相続人(父)が亡くなってから10ヵ月(令和4年12月10日)までに延長されます。
子は祖父と父の2名分の相続税を申告する必要があります。
相続人以外に遺贈される場合、遺贈される事実を知った日から10ヵ月後が相続税の申告期限です。
相続が発生したタイミングでは、相続人以外は自分が財産を貰えるかわからないため、遺贈が確定した日を基準に申告期限が定められます。
相続人の廃除とは、被相続人に対し虐待や重大な侮辱などの目に余るような非行をおこなった人から、相続人の地位を剥奪することを指します。
相続人が廃除され、新たに相続人となった人は、自分が相続人になったことを知った日から10ヵ月以内に申告をおこなう必要があります。
遺留分の侵害額請求とは、遺留分を加味した相続がおこなわれなかった場合に、多く財産を得た相続人に対して、遺留分に相当する金銭の支払いを求める請求です。
遺留分の侵害額請求があった場合でも、相続税の申告期限は延長されません。
しかし、相続税の申告が相続の開始から10ヵ月なのに対して、侵害額請求をおこなえるのは遺留分が侵害されていることを知ってから1年以内と定められており、相続税の申告後に侵害額請求が生じることがあります。
遺留分の侵害額請求によって相続税額が増加した場合、相続税の修正申告をおこなう必要があります。
修正申告の期限は遺留分の侵害額請求の和解から4ヵ月以内です。
遺留分の侵害額請求によって相続税額が減少した場合、相続税の更正の請求をおこなうことができます。
請求の期限は、遺留分の侵害額請求の和解から4ヵ月以内です。
被相続人が亡くなった時(相続開始時点)に胎児であった被相続人の子は、出生によって相続人として、その子に相続権が認められます。
生まれたばかりの子に代わって法定代理人が相続税の申告手続きをおこないます。
この場合の相続税申告期限は、胎児が生まれたことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。
なお一般的には胎児の親が法定代理人になります。
ただし、相続に関わる親子の利益が相反する場合、親が法定相続人になると胎児に不利益が生じてしまうかもしれません。
そのため家庭裁判所によって、利害関係のない第三者が法定代理人に選出されます。
災害が発生した際には、特例により申告期限の延長が認められることがあります。
たとえば新型コロナウイルス感染症が流行した際には、以下のような事情が発生した際にその事由がやんだ日から2ヵ月の申告期限延長が認められました。
今後も災害が発生した際には、同様の特例が使えないか確認するとよいでしょう。
相続税申告をきちんと行えるか、不安をお抱えではありませんか?
実は、相続税申告を行う人のうち、8割以上が税理士に申告を依頼しています。
自力で相続税申告を行う場合、膨大な業務量が必要なため、税理士に依頼することを強くオススメします。
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相続税の申告期限を過ぎてしまうと、ペナルティが課されるなどの問題が生じます。
以下、実際にどのような問題が発生するかみていきましょう。
申告期限や納付期限に間に合わないと追徴課税のペナルティを負います。
まず、期限内に申告が間に合わなかった場合には、無申告加算税が課せられます。
無申告加算税の税率は、税務調査の通知を受ける前や税務調査を受ける前に申告したか否かで、以下のとおり異なるので注意してください。
仮に申告期限を過ぎても、なるべく早く申告したほうがよいわけです。
【無申告加算税の税率】
本来の相続税額に対して、以下税率の追徴課税がおこなわれます。
|
税務調査の通知が届く前に自主的に申告した場合 |
税務調査の通知が届いてから税務調査がおこなわれる前に申告した場合 |
税務調査後に申告した場合 |
50万円以下の部分 |
5% |
10% |
15% |
50万円を超える部分 |
15% |
20% |
次に、納付期限に間に合わなかった場合、延滞税が課せられます。
延滞税の税率は、納付期限から2ヵ月以内に納付した場合は相続税額の年7.3%、それ以降は年14.6%です。
また申告したものの、誤って少なく申告していた場合は、過少申告加算税が課せられるので注意が必要です。
過少申告加算税も無申告加算税と同様に、税務調査の通知を受ける前や税務調査を受ける前に申告したか否かで税率が異なります。
具体的な税率は以下のとおりです。
【過少申告加算税の税率】
本来の相続税額に対して、以下税率の追徴課税がおこなわれます。
|
税務調査の通知が届く前に自主的に申告した場合 |
税務調査の通知が届いてから税務調査がおこなわれる前に申告した場合 |
税務調査後に申告した場合 |
50万円以下の部分 |
対象外 |
5% |
10% |
50万円を超える部分 |
10% |
15% |
一方で事実を隠ぺいするなどして申告をしなかったり意図的に相続税を少なく算出していたりした場合は、重加算税が課せられます。
重加算税の税率は、申告や納付を済ませたうえで少なく申告した場合35%、意図的に申告しなかった場合は40%です。
さまざまな要件を満たすことで特例が適用され、相続税を減額できる場合があります。
ただし、特例を適用するためには申告期限内の申告が要件です。
申告期限を過ぎると、要件を満たせず特例が適用できなくなりその分だけ相続税が高くなるので注意して下さい。
何がしかの事情により、相続税の申告に時間がかかることもあるかもしれません。
事情があって相続税の申告が期限に間に合いそうにない場合は、以下の方法を検討しましょう。
財産調査に時間がかかり、相続税の申告期限に間に合わないこともあるでしょう。
その場合は、相続財産について現時点でわかる範囲の概算で申告をおこない、申告した金額で相続税の納付をおこないます。
これによって、ペナルティの回避が可能です。
相続財産が確定したあと、以下をおこないます。
「修正申告」をおこない、不足分を納付する
「更生申告」をおこない、多く納め過ぎていた分の還付を受ける
ただし本来の申告期限を過ぎた場合、相続税を軽減できる特例が使えなくなる可能性があるので注意してください。
申告期限までに遺産分割がまとまらない場合は、未分割のまま申告をおこないましょう。
この場合、相続税の計算は法定相続分で分割した前提でおこないますが、相続税を軽減できる特例の一部を適用できません。
しかし「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出し、本来の申告期限から3年以内に申告ができれば、以下の特例を適用できます。
相続税の申告に関するルールは複雑であり、申告期限を過ぎてしまったり正しく申告できなかったりすると重いペナルティを課せられる可能性があります。
自分で相続税申告をするのが不安な場合は、相続税の専門家である税理士に相談するのがおすすめです。
税理士に対応を任せれば、スムーズに相続税の申告ができるうえに、適切な節税方法を提案してもらえます。
また必要な手続きを代行してもらえるので、相続人の負担を軽減できるのも大きなメリットです。
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