税制の改正によって2015年1月1日以降に発生する相続では、これまでより控除額が減ってしまい相続税の負担が重くなる人が多くなってきています。
相続税対策として有効な方法のひとつが相続財産の現金などを不動産に変えて所有することです。今回の記事では不動産を所有することで、現金を相続するよりもどの程度相続税の節税ができ、どのようなことに気をつければいいのかについてご紹介します。
※相続した不動産の売却を考えている方は、こちらの記事もおすすめです。
【参考】
▶田舎の土地を売却する方法|売れない土地は所有し続けない方が良い?
▶相続不動産を売却した時にかかる税金の全知識とそのシミュレーション
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目次
相続財産として現金や有価証券が相続される場合は、それらの時価が課税対象となるため相続税が高騰しがちです。しかし、相続財産としての不動産価値は時価ではなく相続が開始される時の状況に左右され、固定資産台帳や路線価などから算出された評価に対して課税されます。
不動産を相続する場合は、さまざまな状況が考えられそれらに対する配慮がなされており、一定の条件に該当すれば相続税の負担軽減措置や特例を受けることができるため、現金や有価証券を相続するより不動産を相続したほうが相続税の負担を軽くすることができるケースがあるのです。
不動産の相続税をみていく前にまずは、相続税の計算方法をおさらいしていきましょう。相続税の計算には以下の計算式を用います。
相続税額=(全ての相続財産額—基礎控除額)×相続税率
この式を見てわかるように相続税が課せられるのは「基礎控除額」を越える相続財産の額に対してだけです。
土地の評価額は、路線価方式か倍率方式のどちらかによって算出されます。路線価が定められている地域の土地であれば路線価を用い、路線価が定められていない土地については倍率方式が用いられる点に注意しましょう。
相続税における土地の評価額は、
路線価方式もしくは倍率方式で算出された金額の80%程度の評価額となるケースが多いです。
路線価とは、市街地の土地など、土地に面する道路に定められた価値です。路線価方式ではこの路線価をもとにし、特殊な宅地に対して補正がおこなわれたうえで土地の評価額が算出されます。算出には以下の式が用いられます。
土地の評価額 = 路線価 × 面積 × 補正率
特殊な宅地の例は以下の通りです。
倍率方式とは、路線価のつけられていない土地に関して固定資産税評価額を元にその土地の評価額を算出することで、以下の式が用いられます。
土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 国税局長が地域ごとに定める倍率
※固定資産税評価額は3年ごとに、国税局長が地域ごとに定める倍率は毎年改定されます。
建築が終了している建物の評価額は、基本的に固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額をもとに評価され、通常であれば建築費用の50%から60%の評価となることが多いです。
一方、建築が終わっていない家屋が相続財産となっている場合は、その建物に固定資産税評価額が定められていないため評価方法が異なります。建築途中の家屋の評価額を求めるには総工費に進捗率をかけた費用現価が用いられ以下の式で評価額が求められるため参考にしてみてください。
費用現価 × 70% = 建築途中の家屋の評価額
計算例として、総工費4,000万円の家屋が相続開始時点で、以下のような進捗率であった場合の費用現価を計算してみましょう。
進捗率50%の場合:4,000万円 × 50% = 2,000万円
進捗率10%の場合:4,000万円 × 10% = 400万円
|
それぞれの費用現価をもとに建築中家屋の評価額を求めると以下のようになります。
進捗率50%の場合:2000万円 × 70% = 1,400万円
進捗率10%の場合: 400万円 × 70% = 280万円
|
評価額はそれぞれ1,400万円と280万円となり、総工費4,000万円を現金として相続することと比較すると、建築途中の家屋を相続したほうが進捗率によりかなりの金額が減額されるため、相続税の節税が可能となるのです。
所有している不動産を第三者に賃貸する投資不動産とした場合、建物の評価額が30%控除されることになります。この30%の控除は「②建物の評価額について」で計算した建物の評価額から差し引けるため、さらに評価額を下げることが可能です。
次に、不動産を相続した際の相続税を下げる方法をご紹介していきます。
この基礎控除額は税制改正によって2014年12月31日までと2015年1月1日以降では、控除される金額が変わりました。
税制改正前
|
5,000万円+1,000万円×相続人数:最高税率は50%
|
税制改正後
|
3,000万円+ 600万円×相続人数:最高税率は55%
|
つまり、改正後の基礎控除額が減ったことにより、相続税が課せられてしまう人が以前より増えることが予想されます。状況によっては税制改正前と比べて2倍もの相続税を支払わなければならなくなる人もいるのです。そのため、できる限り節税対策を行うことをおすすめしています。
例えば1億円の遺産を1人で受け取った場合・・・
【遺産の総額】ー【基礎控除額】=【相続財産】
1億円 ー(3,000万円+600万円×1)= 6,400万円
6,400万円×30%—700万円=1,220万円(実際に支払う税金)
法定相続分に応ずる取得金額
|
税率
|
控除額
|
1,000万円以下
|
10%
|
‐
|
1,000万円超~3,000万円以下
|
15%
|
50万円
|
3,000万円超~5,000万円以下
|
20%
|
200万円
|
5,000万円超~1億円以下
|
30%
|
700万円
|
1億円超~2億円以下
|
40%
|
1,700万円
|
2億円超~3億円以下
|
45%
|
2,700万円
|
3億円超~6億円以下
|
50%
|
4,200万円
|
6億円超~
|
55%
|
7,200万円
|
1億円の遺産を妻と子供2人で受け取った場合は、以下の図のようになります。

【補足】
▼課税遺産総額を法定相続分で分配する場合の計算式
妻・・・2,600万×15%(税率)-50万(控除額)=340万円
子・・・1,300万×15%(税率)-50万(控除額)=145万円
※配偶者の税額軽減:配偶者が相続する場合には、1.6億円または法定相続分のいずれか高い金額までが非課税になりますので、上記の例では「315万円」が軽減対象となります。
図参考:3分でわかる遺産相続の手続き|自分で行う際の注意点の全て
小規模宅地の特例とは、敷地の種類によって定められている限度面積の部分に対して評価額の減額が定められていることです。限度される割合は以下の表を参考にしてみてください。
相続開始直前の宅地の利用区分
|
要件
|
限度面積
|
減額される割合
|
被相続人の事業用にされていた宅地
|
貸付事業以外の事業用宅地
|
①
|
特定事業用宅地
|
400㎡
|
80%
|
貸付事業用の宅地
|
一定の法人に貸し付けられた、その法人用の宅地
|
②
|
特定同族会社事業用宅地
|
400㎡
|
80%
|
③
|
貸付事業用宅地
|
200㎡
|
50%
|
一定の法人に貸し出された、その法人の貸付事業用の宅地
|
④
|
貸付事業用宅地
|
200㎡
|
50%
|
被相続人などの貸付事業用の宅地
|
⑤
|
貸付事業用宅地
|
200㎡
|
50%
|
被相続人の居住用の宅地
|
⑥
|
特定居住用宅地
|
330㎡
|
80%
|
参照:「国税庁|相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」
以上の表は、相続開始時が平成27年1月1日以降に適応される数値であるため、それ以前に相続が開始している場合は、国税庁の「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」をご参照ください。
相続税を下げるためには基礎控除以外にも、特例として下記のような減額措置などがあります。相続財産の金額が基礎控除の金額を上回った場合でも、この特例を活用することで相続税の課税が免除されたり、相続税を大幅に引き下げられる可能性があります。
■配偶者の税額軽減特例
配偶者が相続する場合、1億6千万円または法定相続分のいずれか高い金額までが非課税になります。
■土地の形状や広さ、周囲の状況等による評価減
土地の形状、広さ、周囲の状況等によって評価額が減少する可能性があります。ただ、この計算は複雑になりますので、相続を専門とする税理士などに相談されるのが良いかと思います。
不動産を所有していて、その資産価値が高い場合、不動産を子供などに受け継ぐ方法のひとつとして生前贈与の利用が考えられます。不動産の所有者が生きている間に、特定の人物に対してその不動産を譲渡することで、以下のようなメリットが出てきます。
-
①贈与する相手を決められる
-
②贈与により財産を減らし、相続税を減らすことができる
-
③比較的短期間に贈与が可能
ただ、生前贈与と相続時の名義変更のどちらを選択するかは、あなたの意向や不動産や土地の相続財産の価値によって異なってきますので、詳しくは「
生前贈与で不動産を贈与する際に贈与税を抑える為の手順」をご覧ください。
相続時精算課税制度とは、60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の推定相続人である子又は孫に対して財産を贈与した場合に適応出来る特別控除を、2500万円の限度額に達するまで何度も控除が出来る贈与税のいち制度です。
2,000万円を贈与した場合の相続税は以下のようになります。ちなみに、計算する際の累進税率は下記の表を参照してください。
表:一般贈与の税率(単位:万円)
※兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合
基礎控除後の課税価格
|
200
|
300
|
400
|
600
|
1,000
|
1,500
|
3,000
|
3,000
|
以下
|
以下
|
以下
|
以下
|
以下
|
以下
|
以下
|
超
|
税率
|
10%
|
15%
|
20%
|
30%
|
40%
|
45%
|
50%
|
55%
|
控除額
|
‐
|
10
|
25
|
65
|
125
|
175
|
250
|
400
|
表:特例贈与財産用(その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)
基礎控除後の課税価格
|
200
|
400
|
600
|
1000
|
1500
|
3000
|
4500
|
4500
|
以下
|
以下
|
以下
|
以下
|
以下
|
以下
|
以下
|
超
|
税率
|
10%
|
15%
|
20%
|
30%
|
40%
|
45%
|
50%
|
55%
|
控除額
|
‐
|
10
|
30
|
90
|
190
|
265
|
415
|
640
|
相続時生産課税制度に関する詳しい内容は「
相続時精算課税制度を活用して贈与税対策をする手引き」をご覧ください。
そもそも養子とは、「親子の血縁のない者同士が養子縁組の届出を出すこと」であり、養子縁組をした子の相続は実子と全く同じに扱われることから、古来より相続対策としてよく利用されていたものです。
養子はよく相続税の節税対策として行われる傾向がありますが、原則的に相続税の軽減を目的とする養子縁組を基本的に国は認めていません。養子縁組は民法上の優れた制度ですが、養子と相続の問題には様々な法的問題が隠れていますので、詳しくは「
養子と相続の注意点|養子縁組による相続税対策の制限」をご確認いただければと思います。
相続税額を抑えて相続税申告するなら、相続税専門の税理士に依頼
誰が相続税の申告を行っても、納める相続税額は同じ金額になると思っていませんか? 実は、その考えは間違っています。
税理士業務の中でも「相続税の申告」は非常に特殊なもので相続税の専門的な知識が求められます。税理士ごとに、計算される相続税額が異なることも少なくないのです。
ここでは、「相続税専門」の税理士に依頼することが相続税を抑えることにつながる理由についてご紹介します。
税理士にも得意分野がある
医者に外科や内科などの専門分野があるように、税理士にも専門分野があります。
税理士になるには、「所得税法」「法人税法」「相続税法」「消費税法又は酒税法」「国税徴収法」「住民税又は事業税」「固定資産税」のうち、所得税法と法人税法を含む3つの科目に合格することが求められます。つまり、相続税について勉強せず税理士になった人も数多くいるのです。

一般的な税理士の仕事は法人税や所得税の申告です。全国の年間の相続税申告件数は約10万件なのに対し、税理士は約8万人存在しています。つまり、税理士一人あたりの相続税の申告件数は年間で1~2件程度が実状です。全国に企業が400万社以上あることからも、いかに相続税の申告業務が稀であるか理解できるでしょう。

そのため、相続税の申告を数多くこなしている税理士は少なく、専門的に扱っていない税理士に依頼すると、本来払わずに済んだ税金を支払う事態になりかねません。
相続税を抑えるために必要なこと
相続税を抑えるためには、相続財産(特に土地や家屋)を正しく評価することや、特例・各種控除などを適用させることが必要不可欠です。
相続税の金額を正しく計算するには、もとになる遺産の価値を正しく評価する必要があります。預金や株式といった金銭価値がはっきりしているものであれば問題ありませんが、土地や家屋、さらに車などの一般動産や家財一式などの評価は難しく、税理士や税務署によって解釈が異なることもあり、遺産の価値を過大に評価してしまうこともあるのです。
また、相続税額を抑えるには控除や特例を利用することが不可欠ですが、適用条件が複雑なこともあり、適用できるのに気づかなかったり、適用できるかどうかの判断が困難な場合もあります。

さらに、本来の金額よりも少ない金額を誤って申告してしまうと、税務調査が行われ、延滞税や加算税などの追微課税が発生し、本来よりも高い税金を納めなければならないといった事態になりかねないのです。
相続税の申告は「相続税専門」税理士に依頼
あなた自身や経験の少ない税理士では、正しく申告するのが困難な場合もあるでしょう。そのため当サイト編集部では、相続税を専門に取り扱う税理士に依頼することを強く推奨しています。
依頼した場合は税理士報酬を支払う必要はありますが、それを上回って相続税額を抑えられることも少なくありませんし、ご自身での申告書作成から申告までの一連の手間や税務調査に対処する手間も省けます。

相続税を専門とする税理士は、相続問題解決が得意な弁護士と提携しているケースもあります。
相続弁護士ナビでは、税理士・司法書士・不動産鑑定士などと業務提携している事務所も多数掲載中です。
無料相談も可能ですので、まずはご相談ください。
現金などを不動産に変えることによって、相続税を節税できる可能性は高まりますが、不動産だからこそ難しいこともあります。現金であれば法定相続人の人数で単純に割ることができますが、不動産となると複数人で相続することで、1つの不動産を2人以上で所有する「民法の共有」という問題が発生するのです。
共有とは1つのものを複数人で所有することを意味し、原則的に共有持分となる所有割合は平等となりますが、法律の規定や遺言があればそれに従う必要があります。例えば遺言で遺産分割が禁じられていればそれに従わなければなりません。
また、相続税対策の目的で不動産を所有することは、相続においては得をすることになりますが、不動産所有に対して課せられる固定資産税などの税金や建物の維持管理の手間・維持費の負担などのお金や手間暇をかけ続ける必要です。
このように短期的には相続税対策として不動産は有効となりますが、不動産の所有が長期的に見ても得することが多い状況でなければ、結果的に負担となってしまいます。
不動産の名義変更は、対象不動産の所有者の名義を変更することを言い、名義変更を行うことで第三者(売主と買主以外)に所有権を主張できるようにする手続きのことです。
不動産を所有していた人が死亡した場合、残された相続人がその不動産を相続することになりますが、その相続した不動産をそのままにしておくと、後々面倒なことが起こることになりますので、できれば早めに行うことをおすすめしています。
名義変更(相続登記)を行わず、放っておくとどのようなことになるのか、また手続きはどのように進めていけば良いかなどは、「
不動産を相続する際の手順と相続登記に関する知識まとめ」で解説していきます。
残された遺産を複数人の相続人で分け合う場合、遺産が分けやすい形である金銭などで残されていれば遺産相続はスムーズに進む可能性が高いです。
不動産や土地などが遺産として残されていた場合はどうでしょう?不動産を金銭などに代えない限りは分けにくく、その不動産を相続した人だけが利益を得てしまい不平等となる可能性があります。そのような状況でオススメする遺産分割の方法が今回ご紹介する代償分割です。
参考:不動産の相続なら代償分割を選択|代償分割の特徴と注意点
不動産というと土地や建物を想像しますが、土地に含まれる権利で相続が可能なのは目に見える物だけではなく、土地を貸し与える権利「借地権」も含まれます。
借地権は土地を所有している。マンション経営をされている方には無視できない権利ですが、いざ借地権を相続する際に、相続人はどんな権利なのかわからないといった声が多く寄せられています。
そこで、借地権における権利の内容や相続時に気をつけておくべきことを「
借地権について抑えておくべき知識まとめ」でご紹介しておりますので、参考にしていただければと思います。
もしかしたら、「不動産なんかいらない」「土地の相続はしなくない」とお考えの方もいるかもしれません。その場合は「相続放棄申述受理証明書」と言う物を官公庁に提出する必要がありますので、もし相続放棄を行いたい場合は、「相続放棄の申述手続きと相続放棄行う全手順」をご覧ください。
また、相続放棄を選択した場合は「代襲相続」はできませんので「
相続放棄をした場合に代襲相続はできない|再代襲相続の条件」も合わせてご覧いただければと思います。
最後に、;相続関係の手続きには期限が設けられているものも多くありますので、詳しくは「相続の手続きを行う際の流れと期限|手際よく行う為の全手順」を参考に、期限の速いものから進めていただければと思います。
相続税の納税は原則現金で行いますので、納税の期限が迫っている場合は不動産の売却を検討しなくてはいけないケースがあります。その際の手順は以下のようになります。
- 1:相続する土地を相続登記で名義換えをする
- 2:不動産屋に売却依頼をする
- 3:買い手がつきやすい土地にする
- 4:不動産譲渡税を支払う
参考:相続した土地を売却する場合
ただし、金銭での納付が困難な場合は、土地や株式、不動産などの現物で納付することも可能です。
■物納できる財産
国債、地方債、不動産、株式など
※担保権の目的となっている財産(境界が不明瞭な土地、権利など)など、争いがあるものなどは物納できません。
生前贈与や相続で取得した不動産はどうすべき?4つのケースとあなたが考えるべきこと
生前贈与や相続によって不動産を取得することになっても、今後その不動産をどう扱うのか、決めかねている人も多いと思います。
主な選択肢としては、次の4つが考えられます。それぞれどのような特徴があるのかを見たうえで、あなたが考えるべきことを解説していきます。
- 自分や家族・親族が住む
- 売却する
- 活用して収益化する
- そのまま放置する
ケース1|自分や家族・親族が住む
生前贈与・相続で取得した家に、あなた自身やご家族・親族が住むというケースです。自分たちの暮らしに活用できるならそれに越したことはありませんし、これといったデメリットもありません。
ただし住んでみた結果、次のような状況になっている場合は、住み替えも選択肢に入れてみてもいいかもしれません。
家屋が古くなっていて修繕に費用がかさむ
→売却額次第では新しい家を買ったほうが最新設備で快適に暮らせる
土地・家屋が狭小で住みづらい
→立地によっては高く売れる可能性あり。売却したお金でより広い家を買えるかも
立地が悪くて生活スタイルが変わってしまった
→生活スタイルが変わったことで結果的に費用がかさんでいるなら、現金化したほうが得
住み替えのときは、住み替え前の家を売却して、新居の購入資金や引っ越し資金に充てるのが一般的です。住み替えを検討するなら、まずは家の査定を受け、どのくらいの金額で売れそうなのかイメージをつけておきましょう。売却の流れや査定については、こちらをご覧ください(←クリックするとページ下部へ移動します)。
ケース2|売却する
初めから売却を考えている人もいるでしょう。売却すればまとまった現金が入ってくるので、その後の生活設計もしやすくなります。
ただし、立地によっては売却に時間がかかったり、かなり安値を付けられてしまう可能性があります。できるだけ高値でスムーズに売却するためには、仲介を依頼する不動産会社選びが重要になってきます。
その方法については、次の章で詳しく解説しています(←クリックするとページ下部へ移動します)。
ケース3|活用して収益化する
土地や家屋を活用して、賃貸住宅や施設の経営をし、収入を得るプランです。経営がうまくいけば、いわゆる「不労所得」が長期的に入ってくるので、家計の大きな助けになるでしょう。
ただし、不動産の活用はハードルが高いのも事実です。不便な土地だと借り手を見つけるのに苦労するかもしれませんし、今の家屋を利用しようにも何らかの修繕・改修が必要になるケースが一般的です。つまり、初期投資が必要なのです。
この初期投資分を回収できるような、収益化プランを立てていかなければなりません。うまくいかないと、いつまでも赤字が続いてしまう可能性もあります。不動産の投資・運用に関する知識がない人にとっては、それなりにリスクの大きな選択といえるでしょう。
不動産を売却した場合/活用した場合の比較
|
|
売却した場合
|
活用した場合(賃貸住宅経営など)
|
初期費用
|
・仲介手数料
・各種税金
・その他諸費用
数十万円~数百万円単位が一般的
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・建築費用
・各種手数料
・各種保険料
・その他諸費用
数千万円~数億円単位が一般的
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継続的にかかる費用
|
なし
|
維持・管理費
|
短期的な利益
|
売却収入
|
なし
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長期的な利益
|
なし
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家賃収入など
|
節税効果
|
なし
|
あり
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赤字リスク
|
なし
|
あり
|
上手に活用できる自信がなければ、不動産を売却してまとまったお金に換えるほうが安全です。売却の流れについてはこちらをご覧ください(←クリックするとページ下部へ移動します)。
リスクを理解したうえで不動産の活用を目指すなら、活用プランを作っている複数の業者に一括で資料請求・見積を依頼し、どんなプランがあるのか、本当に利益が出るのか、よく吟味したうえで決めましょう。
節税対策副収入資産運用
土地活用の最大収益
プランを
最大7社に
無料請求できます。
▸ プラン請求 = 依頼決定ではないのでご安心ください
土地なしでも
OKです!
ケース4|そのまま放置する
使用予定や活用予定がないので、とりあえず不動産をそのままにしておく、というケースですが、これはおすすめできません。固定資産税・都市計画税がかかり続けるからです。
また、実際には不動産の維持・管理費用も必要になります。維持管理が適切に行われないと、国から「特定空き家」に指定され、固定資産税が通常の6倍、都市計画税が3倍になる可能性があるのです。
こんなにかかる!不動産を放置したときの年間費用
(例:1,500万円の価値がある空き家の場合)
|
費目
|
特定空き家に指定された場合
|
最低限の維持・
管理をした場合
|
固定資産税
|
14.7万円
|
2.45万円
|
都市計画税
|
3.15万円
|
1.05万円
|
維持・管理費
|
―
|
10万円
|
合計
|
17.85万円
|
13.5万円
|
10年分に換算
|
178.5万円
|
135万円
|
放置はNG。売却か活用を検討すべき
前述の通り、生前贈与や相続で取得した不動産をそのままにしておくのは、お金が出ていくばかりなので得策ではありません。早めに売却で現金化するか、活用での収益化を目指しましょう。
まずは売却を検討してみるのがおすすめです。活用にはリスクがともなう一方、売却なら一度にまとまった現金が入ってくるため、リスクは非常に小さいといえます。
生前贈与・相続で取得した不動産には、基本的にローン残債がないことも、売却するうえでの大きなメリットになります。ローン返済途中の不動産を売却する場合、売却によるローン完済を目指す必要があるため、売却額で妥協できないケースが多いでしょう。そうすると、必然的に売却成立の難易度は上がります。
その点、生前贈与・相続で取得した不動産は、あまり金額にシビアになる必要はないため、売却しやすいのが特徴です。そのまま持っていてもお金がかかるので、多少安くても早めに売却したほうが得、という判断もあるでしょう。
もちろん、許容範囲を超えて安値で売る必要はありませんし、「売るならできるだけ高値」を目指すのも当然のことです。親や親族から受け継いだ大切な不動産ですから、家族でしっかり話し合う必要がありますね。
生前贈与や相続で取得した不動産を売却する場合の手順
ここでは、生前贈与や相続で取得した不動産の売却を検討する場合の具体的な手順をご紹介していきます。
あなたの不動産が得意な不動産会社に出会うことが売却成功のカギ
不動産を売却する際は、不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。しかし、不動産会社ならどこでもいいわけではありません。あなたの不動産を得意とする会社に依頼することが大切です。

では、そのような不動産会社はどのように見つければいいのでしょうか?そこで役に立つのが「一括査定」です。
一括査定を使ってあなたに合った不動産会社を効率よく探す
不動産の一括査定とは、ネット上で自分の物件情報・個人情報を入力するだけで、一度に複数の不動産会社に無料で査定依頼ができるというものです。物件情報をもとに査定可能な不動産会社が自動表示されるので、好みの会社を選んで依頼する、という仕組みです。

不動産会社によって出す査定額はバラバラです。そのため、査定額が出たら金額はもちろん、その根拠も各社に尋ねて比較しましょう。上の図だと、細かい部分まできちんと評価して高額を出してくれているA社に依頼したくなりますね。
ただし、買い手が付かないような過剰に高い金額になっていないか、注意も必要です。高額査定はうれしいものですが、それに加えて納得のいく根拠を示してくれる不動産会社を見分けることが重要です。
このように、一括査定を利用することで、個別に不動産会社に連絡するよりも格段に効率よく依頼できるうえ、各社の比較を通じて、自分にとって良い不動産会社が見つけやすくなるのです。
よくある疑問
Q.まだ売却時期が決まっていないが、査定してもらえる?
A.査定してもらえます。査定結果を見てから、売却時期の検討を始めても問題ありません。
Q.忙しいのでメールでのやりとりにしたいのですが?
A.可能です。申込みの際に、要望欄に「メールでの連絡を希望」と記入しておきましょう。
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相続税対策として不動産を所有することは節税対策としては有効であるものの、長期的に不動産を所有するリスクについても考える必要があることをおわかりいただけたでしょうか。
あなたの財産状況によって最適な相続財産の処理をすることに役立てていただければ幸いです。
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