遺留分は遺言書よりも優先されるので、遺言によって侵害されたときは、「多くもらい過ぎている相手」に返還請求できます。
ただし、高額な遺留分を回収すると相続財産の取り分が多くなり、相続税がかかってしまう場合があります。
本記事では、遺留分を回収したあとの相続税申告や、遺留分の回収方法などをわかりやすく解説していきます。
相続税は以下の基礎控除を超えた部分に課税されます。
遺留分を含めた相続財産が基礎控除を超える場合、相続税の申告・納税が必要です。
また、すでに相続税申告を済ませており、遺留分の回収によって相続財産が増えたときは、追加で申告・納税しなければなりません。
相続税の申告期限には延長の概念がないので、遺留分の回収・未回収に関わらず、相続開始日の翌日から10ヵ月以内に申告・納税する必要があります。
遺留分の侵害がある場合、相続税の申告期限前後や、侵害額が確定しているかどうかで申告方法が変わります。
どのような状況であっても相続税の申告期限は延長されないので、以下のように対応してください。
相続税の申告期限前に遺留分の侵害額が確定しているときは、以下のように相続税を申告します。
遺留分を侵害された人は取得済みの相続財産に遺留分を加算し、相続税を計算して申告・納税します。
遺留分を侵害している人の場合、遺留分を減額して相続税を計算するため、金額によっては相続税がかからなくなるでしょう。
相続税の申告期限前で遺留分の侵害額が未確定の場合、遺留分を侵害された人、侵害した人のどちらも遺留分を含めずに相続税を申告します。
相続税の申告期限後に遺留分が確定した場合、以下のように相続税を申告します。
修正申告は追加申告になるので、遺留分が未確定だったときに仮申告しておき、修正申告と同時に相続税を追加納付します。
申告期限後に修正申告と追加納付と済ませると、追徴課税のペナルティはありません。
相続税の申告期限前に仮申告をおこない、遺留分の確定後に修正申告と追加納付を済ませると、延滞税や無申告加算税、過少申告加算税のペナルティは発生しません。
ただし、修正申告日の翌日以降に納税した場合、延滞税が加算されるので注意してください。
また、遺留分を返還した相手が更生の請求で税額還付を受ける場合、遺留分権利者が修正申告を怠ると、以下のいずれか早い日付を起算点として延滞税がかかります。
なお、遺留分の回収方法は相手から遺留分相当額の金銭を受け取る、または税額分を差し引いて受け取るなど、当事者間で自由に決定できます。
遺留分の請求期限は相続開始と遺留分侵害を知ったときから1年以内なので、侵害額が確定したらすぐに請求しておきましょう。
遺留分を請求する場合、まず相続財産の評価額や侵害額を正確に計算しておく必要があります。
金額がわからない状況で遺留分を請求しても、相手が支払いに応じてくれないでしょう。
また、相続税の申告期限は原則として延長がないため、遺留分を回収していなくても10ヵ月以内に未分割の申告が必要です。
遺留分は請求期限が短いので、相手が支払いに応じてくれないときは、弁護士に対応を依頼しておきましょう。
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