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葬儀の費用を相続財産から支払う場合の注意点まとめ

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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葬儀費用は150万円程度かかるのが一般的です。

まとまった金額なので、「預貯金から支払うのが難しい」という人も少なくないでしょう。

葬儀費用は、相続財産から支払うことができます

ただし、全ての葬儀費用を相続財産から支払えるわけではありません。

この記事では、相続財産から差し引ける葬儀費用・差し引けない葬儀費用、誰が葬儀費用を支払うのか、相続放棄した場合の葬儀費用の扱いなどを解説します。

葬儀費用葬儀後の手続きについて不明点があれば弁護士へご相談ください

葬儀費用を遺産から出したら相続放棄できなくなる”と思っている人は多いです。

結論を言うと、葬儀費用はある程度の範囲なら遺産からお金を出しても問題ありません

  • ある程度の範囲ではなくて、葬儀費用で遺産から差し引けるものを明確に知りたい
  • 葬儀が終わった後の手続きがよくわからない

上記のような悩みは、弁護士に相談することで解決できる可能性は高いです。

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この記事に記載の情報は2023年12月05日時点のものです

葬儀費用の相場は約150万円

葬儀をする際にかかる費用は、以下の3種類に分類できます。

葬儀費用の内訳
  • 葬儀費用:主に葬儀社に支払う費用
  • 実費費用:火葬料や斎場使用料など
  • 寺院費用:寺院へのお礼・心付けなどの費用

葬儀全体でかかる費用の相場は150万円程度です。

しかし、葬儀をおこなう地域・参列者の数・葬儀規模などによっては大きく異なる場合もあります。

なぜなら、葬儀の方法やしきたりなどは、地域の慣習によって差異が大きいからです。

葬儀の平均費用は年々減少傾向にあり、華美な葬儀を希望しなければ費用を抑えることもできます。

葬儀費用は相続財産から差し引ける

葬儀費用を誰が支払うかについて、法的な決まりはありません。

葬儀費用の支払い方法のひとつとしてあげられるのが、「相続財産からの支払い」です。

相続財産からの支払いが認められている背景としては、「葬儀費用は故人(被相続人)が自分で支払うべきだ」「葬儀は被相続人が亡くなったから発生する必要な費用だ」などの考え方が基になっています。

また、葬儀費用を相続財産から支払うことで、支払った分を差し引いて相続税を計算できます

つまり、葬儀費用を相続財産から支払うことで相続税対策につながるのです。

相続財産から差し引ける葬儀費用と差し引けない葬儀費用

葬儀をする際にかかる費用のなかには、そもそも葬儀費用として認められていないものもあるため注意が必要です。

葬儀費用として認められていない費用は、当然相続財産から差し引くことができません。

どのような費用が葬儀費用として認められて、どのような費用が認められないのかについて、以下では解説します。

葬式費用として相続財産から差し引けるもの

葬儀費用として相続財産から差し引けるもの
  1. 死体の捜索、または死体や遺骨の運搬にかかった費用
  2. 遺体や遺骨の回送にかかった費用
  3. 葬式や葬送にかかった費用
  4. 火葬や埋葬、納骨にかかった費用
  5. お通夜など、葬式の前後に欠かせないものにかかった費用
  6. 葬式にあたって、お寺などへ読経料としてかかった費用

葬儀費用として相続財産から差し引けないもの

葬儀費用として相続財産から差し引けないもの
  1. 香典返しにかかった費用
  2. 墓石や墓地の購入費用や、墓地を借りるためにかかった費用
  3. 初七日や四十九日法要などにかかった費用

葬儀費用は誰が支払うべき?

「葬儀費用を誰が支払うべきか」は法律では定められておらず、自由に決めることができます。

多くの場合、故人の配偶者や長男が喪主となり、葬儀費用を一時的に立替払いします。

数十年前のように、家制度を重視して財産の全てを長男が相続するような時代であれば、そのような支払い方法でも問題ないかもしれません。

しかし、現在では「配偶者・長男だからといって負担を押し付けるのは不公平だ」という考え方もあるでしょう。

現在では、葬儀費用について以下の順番で捻出する傾向があります。

葬儀費用の捻出順
  1. 香典から支払う
  2. 相続財産から支払う
  3. 相続人が相続分に応じて支払う

上記の流れとしては、香典で支払いきれなければ相続財産から捻出し、相続財産でも支払いきれなければ相続人が相続分に応じて支払うということになります。

原則的には喪主の判断

一般的な考え方とは別に、葬儀費用は喪主が負担すべきだという裁判例も2012年に出ています(名古屋高裁 平成24年3月29日 Westlaw Japan 文献番号 2012WLJPCA03299003)。

この事案は、父Eが死亡して兄弟であるBとDが喪主を務めたのち、相続人であるEの長男Aと次男Cに葬儀費用などを請求したというケースです。

本来であればAが喪主を務めそうなところですが、Eと妻は長年別居状態にあり、A・CはEとほぼ絶縁状態であったためAは葬儀にも参加せず、Cは葬儀に参加したものの喪主の要請は断ったという背景があります。

裁判所では、故人の葬儀をおこなうかどうか、またその儀式をどの程度の規模と費用をかけて執りおこなうかは喪主の判断に委ねられており、この事案では相続人A・Cは何ら判断に関わらず、Bが自由にその内容を決定したという事実が認定されました。

したがって、喪主の責任において決められた葬儀については、その費用を決定者である喪主が負担するのが当然であるという判断に至ったということになります。

言い換えれば、喪主は豪華な葬儀にするか質素な葬儀にするか自由に選択できるため、喪主が支払える範囲で責任をもって葬儀をするべきと考えることもできます。

なお、この裁判例では、相続人が必ず葬儀費用を負担しなければならないというわけではないとも言及されており、その意味でも画期的な判断といえます。

ただし、この判断はあくまでも「裁判例」であり、確立されたものではありません。

裁判所や事案によっては結論が異なる可能性もあるので、気になる方は弁護士に相談しましょう

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相続放棄をした場合の葬儀費用の扱い

相続放棄を考えている方のなかには「相続財産から葬儀費用を支払うことで相続放棄ができなくなるのでは」と不安な方もいるでしょう。

しかし、葬儀費用については例外的に相続財産の使用が認められており、支払い額が一般的な範囲内であれば相続放棄できなくなることはありません

ただし、裁判所も積極的に相続財産の使用を推奨しているわけではありません。

あくまでも葬儀費用の金額は常識の範囲内に収めて、やむを得ない理由で支払えない場合に相続財産から支払いましょう

もし、故人の生前の身分や社会的地位にそぐわない華美な葬儀をおこなって相続財産から支払った場合は、法定単純承認事由に該当すると判断されて相続放棄できない恐れがあります。

香典は喪主に対して渡される贈与の一種

現在の日本では、仏式・神式の葬儀の際に香典(神式の場合は玉串料など)として、金銭を霊前に供えるのが一般的です。

香典の本来の意味合いは「故人に供え物を捧げる」というものですが、葬儀をおこなう家に対する経済的援助や遺族への慰めなどの意味合いから、金銭でのお供えが広まりました。

その結果、現代の香典の解釈としては「被相続人の葬儀に関する費用に充当すること」を目的とし、葬儀の主宰者である喪主に対して渡される贈与の一種であるとされています。

香典については「相続財産には含まれない独立した金品」として扱われます。

したがって、葬儀費用を支払ったあとに香典が残ったとしても、その使い道を決められるのは喪主であり、ほかの相続人は分割などを請求する権利がありません。

最後に

葬儀の費用は安くはないため、どのように捻出するのかは大きな問題です。

香典をもらわないことを選択した場合には、使用できる相続財産があれば心強いでしょう。

もし相続財産を葬儀費用の支払いに充てる場合は、必ず領収書や明細書を保管しておきましょう。

のちのちのトラブルを防ぐためにも重要なことなので、紛失しないように注意しましょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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