遺産相続をすることになったため、相続税対策をする場合に、税理士に依頼する必要があるか知りたいという方もいるのではないでしょうか。
税理士に依頼することで節税ができるのではないかと期待する一方で、その際の報酬について気になっている場合も多いかもしれません。
また、相続税でできる限り損をしないために、税理士に依頼したほうが得なのであれば、ぜひ依頼したいと考える方もいるでしょう。
しかしながら、実際のところはどうなのかよくわからないと不安な場合も多いでしょう。
本記事では、相続税申告について税理士に依頼するメリット、相続に関して税理士に依頼したほうがよいケース、依頼した場合の費用や選び方などについて解説します。
相続税申告に税理士は必要なのかと、疑問に感じている方も多いでしょう。
たしかに、税理士に依頼するメリットは、いくつかあります。
ただし、費用がかかるため、ご自身の相続状況がメリットにあてはまるのかをしっかりと把握することが大切です。
相続税申告について税理士に依頼するメリットは、以下のとおりです。
相続税申告について税理士に依頼することで、相続税の申告を正確におこなうことができます。
相続税の計算や申告書の作成は、法律や税制の知識が必要なため、初めての場合だと難しいケースがほとんどです。
その点、税理士であれば相続税の知識も豊富なため、正確かつ適切な申告をおこなえます。
相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。
この期間のあいだに、財産調査や遺産分割など、さまざまな手続きをおこなわなければなりません。
相続税の申告には、多くの時間がかかります。
相続税の申告が初めてであれば、なおさらでしょう。
税理士に依頼することで、期間内に正確かつ迅速な申告をおこなえます。
そのぶん、ほかの手続きに時間を充てられるため、ご自身の負担も減るでしょう。
相続税の節税対策は、相続人の数や財産の内容によって異なります。
税理士に依頼することで、最適な節税方法を提案してもらえます。
税理士は、税法の規定や制度も熟知しているため、適用可能な控除や優遇措置を最大限活用する方法も見つけてくれるでしょう。
自分で申告したことで余分な相続税の負担を避けるためにも、税理士への依頼は有効といえます。
相続税申告は複雑な手続きであり、誤った情報やミスがあると申告書が不正確であるとして、税務署からの指摘や追加の調査がおこなわれる可能性があります。
また、相続人自身で相続税申告をおこなった場合、誤りが多いことも税務署は把握しています。
申告書に税理士の署名がない場合も税務調査が入ることが多いです。
税理士の専門知識と経験に基づいた申告書の作成であれば、エラーや不備を最小限におさえることができます。
税務調査も回避しやすくなるため、はじめから税理士に依頼を検討することもおすすめです。
たしかに、相続税申告は自分自身でおこなうこともできますが、100%ミスなく申告することは至難の業です。
中には、税理士に依頼したほうがよいこともあるため、ご自身の状況をしっかりと見極めることが大切です。
相続申告を税理士に依頼したほうがよいケースは、以下のとおりです。
相続財産の金額が大きく、相続税の納税義務の発生が事前にわかっている場合には、税理士に依頼したほうがよいでしょう。
相続税がかかる場合、相続税申告書の作成が必要になります。
ご自身で調査しながら作成することもできますが、相続税には申告期限が設けられています。
やるべきことも多いため、時間もあっという間に過ぎてしまうでしょう。
また、記載漏れも発生してしまい、税務調査が入る可能性も高くなります。
そのため、ご自身で申告書を作成する時間の余裕がない場合は、税理士に依頼したほうがよいでしょう。
特例や税額軽減などの制度を利用する場合も、税理士に依頼したほうがよいでしょう。
特例や税額軽減の制度を適用することで、相続税申告書の作成がより複雑になる可能性があります。
適用条件などを把握せずに誤った申告をしてしまった場合、加算税などの処罰が課せられることもあるでしょう。
また、控除を適用しないことで過大申告となり、余分な税金を払ってしまう可能性も考えられます。
どのような税額軽減制度を適用できるのか判断するためにも、税理士への依頼は重要です。
相続財産に不動産や株式などの分割や評価が難しいものが含まれる場合も、税理士に依頼したほうがよいでしょう。
税理士に依頼することで、分割状況や評価が大きく変わる可能性もあります。
不動産の場合、土地の形状や周囲の環境なども考慮しながら評価しなければなりません。
土地が複数ある場合はより評価が複雑になり、誤った相続税申告をしてしまうことも考えられるでしょう。
そのため、分割が難しい相続財産が含まれる場合は税理士に依頼をして、正確な評価をしてもらうのがおすすめです。
相続税申告を税理士に依頼するとかかる費用は、相続財産の金額や内容、相続人の数などによって異なります。
相続財産金額 |
税理士費用 |
〜5,000万円 |
〜50万円 |
5,000万円〜7,000万円 |
25万円〜70万円 |
7,000万円〜1億円 |
35万円〜100万円 |
1億円〜3億円 |
50万円〜100万円 |
3億円〜5億円 |
100万円〜200万円 |
5億円〜10億円 |
150万円〜300万円 |
10億円〜 |
要相談 |
相続税申告における税理士費用は、相続財産金額の0.5〜1%が目安です。
相続財産が数千万円程度の場合、最大で約50万円程度が相場とされています。
ただし、税理士事務所によっては相続資産が少ない場合でも、数十万円の費用がかかることもあるでしょう。
そのため、複数の税理士に見積もりを依頼して事前に確認・比較するのがおすすめです。
なお、相続税申告における税理士費用については、こちらの記事も参考にしてください。
相続の手続きはおよそ半年かかるといわれています。相続税申告は被相続人の死後10ヵ月以内におこなうことになっています。
しかし、被相続人の確定申告をする場合は、4ヵ月以内に申告をする必要があるので、最低でも被相続人の死後4ヵ月以内には依頼してください。
必要書類は最低でも9つあります。
住民票など区役所で発行してもらうものは早めに入手しておきましょう。
また、遺産に土地がある場合は登記簿謄本なども必要になるので、法務局に行く必要があります。
このほかにも税理士に指定された書類があればそろえてください。
被相続人に不動産所得がある場合は、確定申告を4カ月以内におこなう必要があります。
税理士が土地の役所調査と現地調査をして土地の査定をおこないます。被相続人も現地調査で立ち会う必要があります。
財産の査定結果をもとに、税理士が財産(遺産)目録の作成のために相続人と面談を重ね、仮の相続税額を計算します。
税理士と相続人全員で、遺産分割協議をおこないます。
協議で遺産の分割方法を取り決めたら、税理士が遺産分割協議書と相続人申告書を作成するので、相続人全員が署名と捺印をします。
その後、税理士が相続税申告書を管轄の税務署に提出すると控えが送られてくるので、大切に保管しましょう。
税理士が相続税の納付書を作成して相続人に渡します。
被相続人は納付期限までに銀行などで相続税を納めます。これで相続税申告は完了です。
相続税の計算や申告は、法律や税制の知識が必要なため、専門家の助けが必要になることが多いです。
そのため、相続税に強い税理士への依頼が重要になるのですが、どのようにして税理士を選べばよいのかわからない方も多いでしょう。
ここでは、税理士の基本的な選び方について紹介します。
なお、相続税に強い税理士の選び方は、以下のとおりです。
相続税申告では、相続税に関する経験や実績が豊富な税理士を探すことが重要です。
相続税の内容は、個々の事情によって異なるため、さまざまなケースに対応できるだけのスキルやノウハウが必要です。
また、相続税の申告は、期限や手続きが厳格に定められているため、納期や書類の作成に慣れている税理士を選ぶことも大切です。
経験や実績が豊富ではない税理士に依頼してしまうと、手続きに予想以上に時間がかかったり、申告漏れで税務調査となってしまったりする可能性もあるため注意しましょう。
相続財産に不動産が含まれている場合、不動産評価を得意としている税理士に手続きを依頼できるかどうかで、最終的に発生する相続税が大きく変わります。
そのため、相続財産における不動産について詳しくヒアリングしてくれるかどうか、積極的に不動産の現地調査をおこなってくれるかどうかなどをチェックしてから依頼するようにしましょう。
税理士報酬をホームページ等に明確に記載しているかどうかということも、税理士を選ぶうえでは大切なポイントのひとつです。
経験や実績が豊富な税理士であれば作業時間も明確なため、追加料金が発生することも少ないでしょう。
しかし、相続税申告に慣れていない税理士だと作業に時間がかかり、見積もりもあいまいなため、成功報酬などを請求されてしまう可能性もあります。
そのため、依頼する前には必ず見積もりを作成してもらい、報酬について事前に取り決めておくのがおすすめです。
どれだけ経験や実績が豊富でも、レスポンスや手続きの対応が遅ければ意味がありません。
相続税の申告期限は、被相続人死亡の翌日から10ヵ月と決められています。
そのため、依頼者と適切なコミュニケーションをとって、スピーディな対応をしてくれるのかどうかということも重要な要素です。
実際にいくつかの税理士事務所で話を聞いてみて、信頼できる税理士を見つけるのがよいでしょう。
相続税の手続きにおいては、事前に把握しておいたほうがよい項目がいくつかあります。
ここでは、相続の手続きに関してよくある質問について紹介します。
相続税の手続きは、被相続人が死亡したことを知った翌日から10ヵ月以内に必ずおこなわなければなりません。
期限内に相続税の手続きをしなかった場合には、無申告加算税が課されます。
その後、税務署からの督促を放置したままでいると、相続財産が差し押さえとなってしまうおそれがあります。
相続税申告は、基本的には自分でおこなうことができます。
しかし、申告書の作成に時間がかかったり、誤った申告をしてしまう可能性もあります。
そのため、ご自身の相続状況なども考慮しながら、専門家に依頼するか判断する必要があるでしょう。
相続税の納付額は、税理士によって異なります。
理由として、以下のことがあげられます。
相続トラブルも税理士に相談することは可能です。
税理士は相続税の申告や節税のアドバイスだけでなく、相続トラブルの解決もサポートしてくれます。
相続トラブルが法的な問題に発展している場合、税理士単独では解決できないこともあります。
そのような場合には、弁護士などの専門家に相談が必要になるケースもあるでしょう。
たしかに、相続税の手続きはご自身でおこなうこともできます。
しかし、手続きには期限が設けられているため、迅速に書類の作成などをおこなわなければなりません。
ただ、全ての手続きを自分だけでおこなうのは難しいでしょう。
限られた時間のなかで焦って手続きしてしまうと申告漏れが発生し、税務調査がおこなわれてしまう可能性もあります。
また、適用できるはずの税制軽減制度を把握していないことによって、余分な税金を払うことになってしまう可能性もあるでしょう。
相続財産のなかに不動産が含まれていると、より手続きが複雑になります。
そのため、手続きが複雑になると予想された段階で、早めに税理士に依頼するのがおすすめです。
税理士に依頼することによって、正確な相続税申告をおこなえ、税務調査を回避できる可能性も高くなります。
ただ、相続について法的トラブルに発展する可能性がある場合には、税理士だけでは対応できないことも少なくありません。
そのような場合は、相続税手続きについては税理士に依頼しつつ、法的トラブルにも迅速に対応できるよう、弁護士にも相談しておくことをおすすめします。
税理士や弁護士などの専門家をうまく活用して、相続手続きをスピーディに進められるようにしましょう。
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