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公開日:2020.5.26  更新日:2023.8.3

限定承認とは|相続放棄との違いや手続き方法・費用・その後の流れを解説

リフト法律事務所
川村 勝之 弁護士
監修記事
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  • 「何としても形見の品を残したい」
  • 「財産を相続したいけど、あとから借金が出てこないか不安」
  • 「遺産を合計すると、プラスよりマイナスの財産のほうが多いかもしれない」

上記のような場合は、限定承認を検討しましょう。

限定承認は、相続によって得たプラスの財産の限度で、債務を引き継ぐという手続きです。

限定承認をすれば、プラスの財産として形見の品などを残せるほか、プラスの財産の限度でのみ債務を負担するため、想定以上の借金を背負わずに済みます。

被相続人の債務から逃れる方法として「相続放棄」という手続きもありますが、相続放棄では形見の品なども含めて全ての財産を放棄しなければいけません。

なお、限定承認には期限があって手続きも複雑なため、限定承認をおこなう際は速やかに準備などを進めましょう。

この記事では、限定承認の特徴や相続放棄との違い、メリット・デメリットや手続きの流れなどを解説します。

限定承認を検討中の方へ

限定承認は、相続によって得たプラスの財産の限度、債務の負担を引き継ぐという手続きです。

この制度を利用すれば、想定以上の借金を背負わなくてすみます。

しかし限定承認は共同相続人全員の同意が必要で、清算手続きの手間も多いです。

また、相続放棄と同じで原則3ヵ月以内で手続きをしなければなりません。

限定承認を検討中の方は、弁護士に依頼する事がおすすめです。

弁護士に依頼をすれば、

  • 限定承認がベストな選択肢なのかのアドバイス
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  • 熟慮期間の伸長申立ての手続き など

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この記事に記載の情報は2023年08月03日時点のものです

限定承認とは?

限定承認とは、相続人が相続によって受け取ったプラスの財産の範囲でマイナスの財産を引き継ぐ相続方法です。

プラスの財産もマイナスの財産も引き継がない相続放棄とは異なり、限定承認ではプラスの財産の範囲でのみ財産を引き継ぐことができるので、相続財産の詳細が不明瞭な場合に選択肢となるでしょう。

なお、限定承認について、裁判所では以下のように示しています。

3.被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,相続人が相続によって得た財産の限度で被相続人の債務の負担を受け継ぐ限定承認

引用元:相続の限定承認の申述|裁判所

ここでは、限定承認の例や相続放棄との違いなどを解説します。

限定承認の例

たとえば、「相続財産が1,000万円の借金と100万円のダイヤモンドの指輪だった」と仮定します。

このとき、相続人がダイヤモンドの指輪を形見として引き継ぎたい場合、相続財産である借金100万円を支払うことでダイヤモンドの指輪を引き継ぐことができます。

法律的には、被相続人の借金1,000万円のうち、プラスの財産であるダイヤモンドの指輪の価値100万円の範囲で債務の負担を引き継ぎ、限定承認がおこなわれたということになります。

限定承認と相続放棄の違い

限定承認も相続放棄も、「相続の開始を知ったときから3ヵ月以内」という熟慮期間のうちに手続きをしなければならないという点は共通しています。

限定承認が「相続する選択肢のひとつ」であるのに対し、相続放棄は「相続しない選択肢」という点で、手続きの方向性が異なります。

 

限定承認

相続放棄

制度の概要

プラスの財産の範囲内で債務も引き継ぐ手続き

一切の財産を引き継がない手続き

手続きできる期間

自己のために相続があったことを知ったときから3ヵ月以内

自己のために相続があったことを知ったときから3ヵ月以内

熟慮期間の伸長

家庭裁判所への申し立てにより可能

家庭裁判所への申し立てにより可能

手続き方法

家庭裁判所へ限定承認の申述をおこなう

家庭裁判所へ相続放棄の申述をおこなう

手続きの注意点

相続人全員でおこなう必要がある

相続放棄を望む相続人が単独でおこなうことができる

適しているケース

  • 被相続人が債務超過の場合
  • 借金がどれほどあるかわからないが、財産を引き継ぎたい場合
  • 特定の財産を残しておきたい場合
  • 共同相続人全員で相続について合意できる場合
  • 被相続人が債務超過の場合
  • 債務状況が不明で、そもそも相続の意思がない場合
  • 相続人間の仲が良くない場合
  • 特定の相続人に財産を集中させたい場合

限定承認と相続放棄の特徴は上記のとおりで、相続放棄については以下の記事で詳しく解説しています。

限定承認と相続放棄のどちらを選ぶか悩んでいる場合は、以下のメリット・デメリットを確認して、場合によっては弁護士へ相談することもおすすめします。

 

限定承認

相続放棄

メリット

  • プラスの財産の範囲以上の借金を相続しなくて済む
  • どうしても残したい財産がある場合、先買権を行使することで残せる可能性が高い

  • 全ての遺産の相続を拒否できる
  • 相続放棄したい相続人が単独で選択・手続きできる

デメリット

  • 相続人全員での手続きが必要
  • 被相続人の準確定申告が必要になる可能性がある
  • 申述後は清算手続きもしなければならない
  • 残したい財産があっても、一切残すことができない
  • 未成年者と親権者で異なる選択をする場合、未成年者のための特別代理人の選任が必要(例:未成年者が相続放棄し、親権者は相続放棄しない場合など)
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限定承認の現状

限定承認は便利な制度といえますが、所定の期限内に相続人全員で申述手続きをしなければいけないことや、その後の清算手続きの複雑さなどから、それほど利用件数は多くありません。

また、準確定申告が必要になる場合もあり、税務上も面倒な手続きといえるでしょう。

限定承認の手続きについては、被相続人の資産や負債について3ヵ月の期限内に調査して、家庭裁判所に申述しなければならないため、なかなかハードルが高いかもしれません。

そのため、限定承認を検討している場合は、速やかに相続財産や相続人などの調査をして、場合によっては弁護士などに相談することも検討しましょう。

限定承認のメリット・デメリット

ここでは、限定承認のメリット・デメリットについて解説します。

限定承認のメリット

限定承認によって得られるメリットとしては、以下があります。

債務は相続しなくてもよくなる

限定承認のメリットとして、プラスの財産を超える債務は相続しなくてよいという点があげられます。

たとえば、「被相続人の預金が1,000万円、債務が5,000万円」というケースで限定承認をおこなうと、1,000万円の預金を相続する代わりに、1,000万円の債務も相続します。

上記のケースでは手元に残る財産は差し引き0円になりますが、相続放棄して一切の債務を拒絶するよりも債権者に返済される金額が多くなるため、債権者のなかに親族や親しい人がいるような場合は、限定承認を選択したほうが良好な関係を維持できる可能性があります。

先買権を利用できる

限定承認をする場合は、先買権という制度が利用できます。

これは、相続財産である不動産などが競売にかけられた場合、家庭裁判所が選任した鑑定人の評価額で優先的に買うことができるという制度です。

相続放棄の場合は、一切の債務を放棄する代わりに、プラスの財産も取得できないため、不動産などを残したい場合は向いていない選択肢といえます。

一方、限定承認であれば、プラスの財産の範囲内で債務も引き継ぐため、特定の財産を残したい場合は利用する価値があります。

なお、先買権を行使する際の評価額については、限定承認の手続きのなかで、家庭裁判所が選任した鑑定人による評価が基準になります。

そのため、現実的には、相続人にある程度の資力がなければ行使できない恐れがあります。

限定承認のデメリット

限定承認によるデメリットとしては、以下があります。

共同相続人全員の同意が必要

限定承認のデメリットとしては、相続人単独ではなく共同相続人全員で手続きをしなければならないという点があげられます。

つまり、共同相続人のなかに一人でも反対する人がいる場合は限定承認ができず、単純承認か相続放棄を選ぶしかありません

単純承認とは、プラスの財産も債務も全て引き継ぐことです。

清算手続きの手間が多い

限定承認の申述をするだけでは手続きは終わらず、公告・弁済などの手続きまで済ませて、ようやく限定承認が完了するという点もデメリットです。

相続放棄の場合は、家庭裁判所に対する相続放棄の申述が完了すれば手続きはほぼ終了となり、家庭裁判所からの照会や相続放棄の申述の受理通知を待つだけで済みます。

一方、限定承認の場合は、申述後に債権者や受遺者への清算手続きなどをしなければなりません。

準確定申告も必要

税務面のデメリットとして、被相続人の準確定申告が必要になる可能性があるという点もあります。

限定承認をおこなう場合、相続財産を売却・換価して債務の弁済に充てるのが一般的ですが、その際に「みなし譲渡所得税」がかかることがあります。

みなし譲渡所得税とは

限定承認で不動産などを相続する場合は、「被相続人が相続人に相続開始時の時価で譲渡した」とみなされます

土地や建物などの財産については、相続時点で価格が変動して含み益が出ることもあり、その場合に課税されるのが「みなし譲渡所得税」です。

もっとも、限定承認はプラスの財産の範囲内で債務も相続する手続きであるため、債務と売却益が相殺されて課税されないということもあります。

限定承認を選択する際は、準確定申告が必要かどうかも押さえておきましょう。

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限定承認をおこなうべき3つのケース

限定承認のメリット・デメリットを踏まえたうえで、ここでは限定承認をおこなうべきケースについて解説します。

プラスとマイナスの財産がいくらあるかわからない場合

被相続人に借金がある場合には、借金額の大小に関わらず、限定承認を検討しましょう

これは事情にもよりますが、単純承認をしてから多額の借金が判明した場合、限定承認や相続放棄に変更できないからです。

たとえば、プラスの財産が500万円あり、判明している債務が30万円だから単純承認をしたのに、あとから700万円の借金が発覚したら大変ですよね。

このようなケースは珍しくないため、単純承認をする場合、被相続人が債務超過に陥っていないかどうか調査しましょう。

また、期限内に調査が終わらないなどの事情がある場合には、期限内に家庭裁判所に対して「相続の承認または放棄の期間の伸長の申し立て」をすることで延長できる場合もあります。

「どうしても期限内に財産状況を把握できない」「どの手続きをすればよいか判断がつかない」などの事情がある場合には、期間伸長の申し立てをするのもよいでしょう。

相続人の一人が家業を受け継いで再建を図る場合

家業の後継者に遺産を集中させたい場合、ほかの相続人が相続放棄をするという方法もありますが、相続の機会に債務を整理し、改めて家業を再建していくために限定承認を利用するという方法もあります。

限定承認を利用すれば、家業をリスタートできるため、相続人全員が再建に合意している場合は限定承認を検討しましょう。

ただし、家業を継続するうえで重要な取引先などに債務がある場合は、限定承認をするべきかどうかよく検討しましょう。

限定承認をすると、相続人はプラスの財産の範囲内でしか債務を相続せず、債権者が満額の弁済を受けられない恐れがあります。

債務超過で限定承認をする際、債権者全員に満額の返済ができない場合は、各債権者の債権額に応じて按分弁済するしかなく、このような場合は弁護士などに相談して債務整理をしたほうが無難かもしれません

相続財産のなかに家宝などがある場合

相続財産のなかに家宝がある場合や、不動産などの特定の遺産だけは手元に残しておきたい場合などは、限定承認を検討しましょう。

限定承認では先買権が行使できるため、十分な資産を持っているのであれば、対象となる遺産の評価額を支払うことで手元に残しておくことができます

限定承認をおこなう際の3つの注意点

限定承認をおこなう際の注意点としては、主に以下の3点が考えられます。

各種期間には注意する

限定承認をおこなう際は、3ヵ月熟慮期間はもちろん、「相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月」という準確定申告の期限も忘れてはいけません。

準確定申告の期限に間に合わないと、延滞税などのペナルティが課されるため、必ず確認しておきましょう。

準確定申告については、以下の記事で詳しく解説しています。

申述が終わっても公告・清算手続きが残っている

相続放棄の場合は、相続放棄の申述が完了すれば残りの手続きはほぼありませんが、限定承認の場合は、申述のあとに公告・清算手続きが必要です。

特に、公告手続きについては、相続人が一人しかいない場合は「限定承認の申述受理から5日以内」、共同相続の場合は財産管理人が選任されて「財産管理人の選任審判の告知を受けてから10日以内」に手続きをしなければならないため、期限を過ぎないように注意しましょう。

限定承認の利用は慎重に

被相続人に債務がある場合は限定承認が有効ですが、債務の金額が明確なケースなどでは、手続きの手間などを考えると単純承認のほうが適している場合もあります。

また、明らかに多額の負債がある場合は、相続放棄のほうが手間が少なく済むこともあるため、本当に限定承認が相続人全員のためになるかどうかは慎重に考える必要があります。

限定承認が適しているかどうか決めかねている場合は、無料相談などを利用して弁護士や税理士などに判断を仰ぐのがおすすめです。

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限定承認の申し立て方法

限定承認では「申述手続き」と「清算手続き」の2段階の手続きが必要です。

ここでは限定承認の申し立て方法や必要書類などを解説します。

申述人

限定承認をおこなう際は、相続人全員が共同で申述します

つまり、相続人全員が限定承認をすることに合意していなければ申述できません

なお、相続放棄をした人は「はじめから相続人ではなかった」とみなされるため、その場合は相続放棄をした人以外の相続人全員で申述します。

申述期間(限定承認ができる期間)

民法第915条によると、限定承認の手続きは「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内」に済ませなければいけません。

しかし、期間内に完了できない事情がある場合は、期間内に家庭裁判所へ「相続の承認または放棄の期間の伸長の申し立て」をすることで延長できる場合もあります。

申述先

限定承認の申述先は、被相続人の最後の住所地(相続開始地)を管轄する家庭裁判所です。

家庭裁判所の管轄一覧は「裁判所の管轄区域|裁判所」で確認できます。

必要書類

限定承認の申述では、以下の書類が必要です。

  1. 家事審判申立書(書式
  2. 当事者目録(書式)・土地遺産目録(書式)・建物遺産目録(書式)・現金・預貯金・株式等遺産目録(書式
  3. 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本・住民票の除票または戸籍附票
  4. 申述人(相続人)全員の戸籍謄本※相続放棄者は除く

【簡単3ステップ】財産目録を作成したい方必見!

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⇒ 財産目録で全ての財産内容を管理すると、共同相続人による財産隠しの予防ができるかもしれません。

なお、申述人の構成によっては下記の書類も必要です。

申述人が配偶者と直系尊属の場合

  • 被相続人の直系尊属で相続人と同じ代および下の代に死亡者がいる場合は、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本(例:相続人になった父母の片方が死亡している場合など)

申述人が被相続人の配偶者のみの場合、または被相続人の配偶者と兄弟姉妹(およびその代襲者である甥姪)の場合

  • 被相続人の父母の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹で死亡している人がいる場合、その死亡者の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
  • 代襲者としての甥姪で死亡している人がいる場合、その死亡者の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

申述費用

  • 収入印紙:相続人一人につき800円分・予納郵便切手:金額は裁判所によって異なる

限定承認の申述が受理されたあとの手続き|公告・弁済・清算

限定承認の申述が受理されたあとは、相続財産の清算手続きに移ります

相続人が一人しかいない場合はその人が限定承認者となります。

相続人が複数いる場合は、申述の受理と同時に家庭裁判所から選任された「相続財産管理人」が代表となり、所定の期間内に限定承認をしたことや債権の請求をすべき旨などを公告したのち、弁済や換価などの清算手続きをするというのが大まかな流れです。

公告

限定承認者は受理審判後5日以内に、相続財産管理人が選任された場合は10日以内に、官報で「限定承認をしたことおよび債権の請求をすべき旨」を公告します。

官報での公告期間は2ヵ月以上必要で、この時点ですでに判明している債権者に対しては、公告のほか請求申し出の催告を個別にする必要があります。

官報公告は、インターネット・メール・FAX・郵送などの手段で申し込みできます。

限定承認の場合、申し込みから掲載までの期間は7日程度で、4万~5万円程度の費用がかかります

公告手続きについて、詳しくは全国官報販売協同組合で確認できます。

相続財産の管理と売却

官報公告の手続きが済んだあとは、相続財産を換価処分します。

原則として競売手続きで換価処分をおこないますが、先買権を行使する場合は家庭裁判所に対して鑑定人の選任申し立てをして、相続財産の鑑定をしてもらって評価額を支払う必要があります。

債権者などへの弁済

上記の手続きが完了したら、最後は清算手続きです。

公告によって請求申し出をしてきた債権者に弁済をおこないますが、債権者全員に満額の支払いができない場合は、各債権者の債権額に応じて按分した金額を支払います。

たとえば、優先関係が同じ債権者A(債務額200万円)と債権者B(債務額400万円)がおり、弁済できる金額は300万円と仮定します。

この場合、AとBの債権額は1:2であるため、Aに100万円・Bに200万円を支払って弁済が終了します。

なお、受遺者が請求申し出をしてきた場合は、債権者への弁済が終了してからでなければ受遺者には弁済できません。

つまり、債務超過で債権者に満額の支払いができないケースでは、受遺者は弁済を受けられない可能性が高いということです。

債権者や受遺者への弁済が完了し、それでも相続財産が残った場合は、最終的には限定承認者が取得できます。

相続人が複数いる場合は、原則として遺産分割協議によって分配します。

最後に

限定承認は、プラスの財産の範囲内で債務を承継する便利な制度ですが、相続放棄と比べて手続きが難しく、相続人全員が協力しなければ利用できないという難点があります。

「相続人間で限定承認の合意が取れない」「被相続人の債務の調査が終わらない」などの事情がある場合は、まずは熟慮期間の伸長申し立てをして、その間に弁護士などに相談して方針を固めるのが無難でしょう。

もし熟慮期間の伸長申し立ての手続きもよくわからない場合は、早急に弁護士に相談することをおすすめします。

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この記事の監修者
リフト法律事務所
川村 勝之 弁護士 (千葉県弁護士会)
相談者に選択肢を提示し、最も理想に近い解決法を共に考えることを心がけており、コミュニケーションの取りやすさに定評あり。税理士・司法書士・公認会計士などの他士業と連携したトータルサポートも魅力。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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