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公開日:2019.8.15  更新日:2021.6.21

相続時の単純承認とは|限定承認や相続放棄ができなくなる事に注意!

リフト法律事務所
川村 勝之 弁護士
監修記事
Sinple syoumin
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あなたが相続人となった時には、どのような相続方法を選択するのか決断しなければなりません。その決断のためには3種類ある相続方法のそれぞれの違いを理解しておくといいでしょう。

この記事では、相続方法の中で最も多くの人が選択する「単純承認」について、知っておくべきことを解説します。

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この記事に記載の情報は2021年06月21日時点のものです

単純承認とは

単純承認とは、相続人(被相続人の財産を引き継ぐ人)が被相続人(お亡くなりになる方で、財産を引き継がれる人)の財産を引き継ぐことです。

「承認」という言葉が付いていますが、誰かに財産を引き継ぐ旨の意思表示をしたり、単純承認するための特別な手続きを踏まなければならないというわけではありません。これに対して、後記の限定承認や相続放棄の場合は、被相続人がお亡くなりになって相続が開始した日(あるいは、自己が相続人となって相続が開始したことを知った日)から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して、限定承認や、相続放棄する旨の申述手続を行わなければなりません。基本的にこの3ヶ月以内に限定承認、相続放棄のいずれかの申述をしない場合は、単純承認したものとみなされます。

なお、相続人が単純承認によって相続する財産は、被相続人がお亡くなりになった際に有していた財産です。そして、ここでいう財産には、不動産(土地・建物)、車、現金、預貯金、株などのプラスの財産のほか借金、未払金などのマイナスの財産(債務)も含まれます。

マイナスの財産よりも、プラスの財産の方が多いことが明らかであるという場合は、結果としてプラスの財産を相続人が引き継ぐため、相続で財産を引き継ぎたくない特別な理由がなければ、通常単純承認をしても問題はありません。しかし、プラスの財産よりも、マイナスの財産の方が多いことが明らかな場合はもちろんのこと、プラスの財産とマイナスの財産のいずれが多いのかわからないなどという場合は、速やかに限定承認、あるいは相続放棄を行うかどうかを検討し、これらの申述を行うと決めた場合は、基本的には、上記の期間(3ヶ月)内に手続きを取らなければなりません。

限定承認との違い

限定承認とは、相続人が被相続人から引き継ぐ財産(相続財産)の範囲内で、借金などの債務を支払うことを条件に財産を引き継ぐことです。

たとえば、被相続人が預貯金1,000万円、借金1,500万円を有していたとします。この場合に、相続人が限定承認したとして、相続人が被相続人の債権者(被相続人に対して金銭の支払いを求めることができた人)に対して支払わなければならない金額は1,000万円で、残りの500万円については支払う必要がありません。また、反対に、被相続人が預貯金2,000万円を有していた場合は、相続人は残額500万円を相続することができます。

単純承認ではプラスの財産、マイナスの財産すべてを引き継ぐのに対して、限定承認では上記のとおり、相続人が損をしない形で限定的にしか財産を引き継がないという点が違いです。また、前述のとおり、単純承認では特別な手続きは必要ありませんが、限定承認では家庭裁判所への申述という手続きを取る必要がある点も違いです。

なお、限定承認は、相続人が複数いる場合は相続人全員が限定承認することに合意しなければすることができず、相続人の一人でも反対した場合には利用できません。また、限定承認後の債務の精算手続きも面倒なため、あまり活用されていないのが実情です。

相続放棄との違い

相続放棄とは、相続人が被相続人のマイナスの財産のみならず、プラスの財産も含めてすべての財産を引き継がないことです。

相続放棄は、すべての財産を引き継ぐ単純承認と正反対の手続きです。また、単純承認と異なり、限定承認と同様、家庭裁判所に対して、申述という手続きを取る必要がある点も大きな違いです。

相続放棄は、相続人が複数いる場合でも、単独で(他の相続人の合意を得ずに)行うことができます。

単純承認の手続き方法

相続放棄や限定承認の場合とは異なり、単純承認を選択する場合には特別な手続きの必要がありません。

後述する『自動的に単純承認となってしまう「法定単純承認」」で詳しくご紹介しますが、相続方法を選択する期限である3ヶ月間を過ぎてしまうと、自動的に単純承認とみなされます。

極端に言えば、相続方法の選択をせずとも、3ヶ月経過すれば勝手に単純承認したことになります。

自動的に単純承認となってしまう「法定単純承認」

前述のとおり、単純承認するには特別な手続きは必要ありませんが、一定の行為を行うと法律上、単純承認したものとみなされてしまうことがあります。これが法定単純承認です。単純承認したものとみなされると、限定承認や相続放棄をすることができません。

限定承認や相続放棄を考えている場合は、単純承認とみなされてしまわないよう細心の注意を払う必要があります。以下では、どのような場合に単純承認したとみなされてしまうのか、具体例をご紹介します。

相続人が相続財産の一部、または全てを処分したケース

以下のようなケースが該当します(ケースによって異なります)。

  1. 相続人が被相続人の預貯金を引き出して自身に必要な支払いに充てた
  2. 未払いの入院雑費を被相続人の預貯金から支払った
  3. 被相続人を受取人とする生命保険の解約返礼金を受け取った
  4. 不動産(土地・建物)を売却した
  5. 不動産に抵当権を設定した
  6. 建物を取り壊した
  7. 債権を取り立てた
  8. 相続人との間で遺産分割協議を始めた

相続財産の一部、または全部を処分するということは被相続人の財産を相続するという相続人の意思の表れといえます。また、プラスの財産だけ手に入れてマイナスの財産を意図的に逃れることを防止するという意味でも、上記の行為が行われれば、単純承認したとみなされます。

なお、被相続人の預貯金を葬儀費、仏壇・墓石の購入費に充てる行為は、その額が社会的通念上、相当額として認められる限りは、ここでいう「処分」にはあたらず単純承認したものとはみなされないこともあります。また、特定の相続人を受取人と指定する生命保険金は、そもそも相続財産ではありませんから、これを受け取ったとしても単純承認したものとはみなされません。

相続の開始を知った時から3ヶ月以内に「限定承認」または「相続放棄」の手続きをしなかったケース

前述のとおり、相続人が、被相続人がお亡くなりになって相続が開始した日(あるいは、自己が相続人となって相続が開始したことを知った日)から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して限定承認、あるいは相続放棄の申述の手続きを取らなければ、単純承認したものとみなされます。

この3ヶ月の起算点は、基本的には、被相続人がお亡くなりになった日に相続が開始するため、被相続人がお亡くなりになったのを知った日からとなります。被相続人がお亡くなりになったことを知らされず、お亡くなりになった日から遅れて知った場合には、実際にお亡くなりになったことを知った日が起算点となります。他方で、法定相続人の相続人が相続放棄をした後に相続人としての地位を得るような、当初は相続人ではない人の場合は、自身が相続人となるまでは期間は進行せず、相続人となったことを知った時点ではじめて進行します。

この3ヶ月の期間のことを「熟慮期間」といいますが、熟慮期間内に単純承認、限定承認、相続放棄のいずれを選択すべきか結論を出すことができない場合は、期間を延ばしてもらうよう、相続の承認又は放棄の期間の伸長の手続きを家庭裁判所に対して申し出ることができます。もっとも、この申し出も熟慮期間内に行う必要がありますので、注意してください。

もし専門家に家庭裁判所への手続を依頼することを検討している場合には、相談や専門家が実際に手続きをする時間も必要なので、お早めのご相談をオススメします。

相続財産の一部または全部を故意(意図的)に隠匿・消費・財産目録への未記載をしたケース

これらの行為は、被相続人の相続財産を目当てとする債権者に対する背信行為といえます。限定承認や相続放棄は債権者よりも相続人を保護する制度ですが、背信行為が行われた場合にまで相続人を保護する必要はありませんから、背信行為が行われた場合は、単純承認したものとみなすとされているのです。

これは、相続人が限定承認や、相続放棄した場合でも同じです。もっとも、背信行為を行った場合でも、相続放棄したことによって他の者が相続人となり、その相続人が相続を承認した場合は、原則に戻って相続放棄したものと扱われます。

相続の方法の選び方

最後に、単純承認・限定承認・相続放棄の特徴を踏まえ、ケース別に1つの考え方をご紹介します。なお、あくまで一例ですので、実際の判断はご自身の状況をふまえて慎重に行ってください。

  1. 相続人が被相続人の財産を把握していて、マイナスの財産よりもプラスの財産の方が多い → 単純承認
  2. マイナスの財産の方が多いが、被相続人の事業や債務を引き継ぐ覚悟ができている    → 単純or限定承認
  3. 相続財産の中に相続人が居住する不動産があり、それを手放したくない         → 単純or限定承認
  4. 他の親族に迷惑をかけたくない(相続放棄によって相続権を他の親族に移動させたくない)→ 限定承認
  5. 相続調査をしても、後から借金が見つかりそうで不安                 → 限定承認or相続放棄
  6. 被相続人のプラスの財産よりもマイナスの財産の方が多いことが明らか         → 限定承認or相続放棄
  7. 被相続人が知人の連帯保証人になっていた                      → 限定承認or相続放棄
  8. 被相続人との関係が疎遠で、被相続人の相続財産を引き継ぐ気がない          → 相続放棄

まとめ

多くの人が選択する単純承認ですが、相続財産調査の段階で相続財産に占めるマイナスの財産の割合が高ければ、不利益を被ってしまう可能性が高いです。

そのため、安易に単純承認を選択するのではなく、熟慮期間の3ヶ月間をしっかり利用して、納得して単純承認を選択できるように準備することをオススメします。

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【迷っている方へ】弁護士に相談するとどんな風に相続問題が解決する?

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相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。

 

これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。

 

相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。

 

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。

 

遺産分割に関する調停事件の推移

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

 

相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?

相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。

 

相続人の数

<参考資料:国税庁 統計年報>

 

相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。

 

トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。

 

弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。

 

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相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例

相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
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  • 例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。

  • 相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。

  • 2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ

    初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。

  • 件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)

  • 3、近隣の弁護士を選ぶ

    相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。

 

 

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この記事の監修者
リフト法律事務所
川村 勝之 弁護士 (千葉県弁護士会)
相談者に選択肢を提示し、最も理想に近い解決法を共に考えることを心がけており、コミュニケーションの取りやすさに定評あり。税理士・司法書士・公認会計士などの他士業と連携したトータルサポートも魅力。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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