遺産相続における手続きには期限が設けられているものがあります。
中でも気をつけるべき期限としてあげられるのは以下2つの期限でしょう。
遺産相続で気をつけるべき2つの期限
- 相続放棄:相続の開始を知ったときから3ヵ月以内
- 相続税の申告:相続開始翌日から10ヵ月
しかし、そのほかの手続き期限を無視していると、遺産が共有状態となるため、たとえば土地や建物を売りに出そうとなった際、相続人全員の許可が必要になるなどの、面倒が起きる可能性もあります。
そこで今回は、遺産相続に関する期限と期限が迫っている場合の対策について紹介します。
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この記事に記載の情報は2023年05月08日時点のものです
まずは、遺産相続が開始されてからおこなうことになる手続きを時系列ごとに見ていきましょう。
なお、遺産相続の期限は被相続人が死亡した直後からカウントするものや、相続があったことを知ったときからカウントするものなど、起算日が手続きによって異なります。
遺産相続手続きの中でも、比較的期限が短いものとしては、相続放棄や限定承認があげられます。
相続放棄
本来相続する予定の遺産を全て放棄する手続きのことを相続放棄といいます。
主に被相続人の遺産に借金などのマイナスの資産が含まれており、プラスの財産よりも多い場合などに利用されます。
相続放棄をすることで、相続人は借金などの負の財産を背負うのを免れることができます。
この相続放棄の手続き期限は、「相続があったことを知ったときから3ヵ月」です。
相続放棄は一度おこなうと原則撤回はできません。そのため、手続きをおこなう前に、財産調査をおこない、本当に相続放棄をすべきかどうかを判断する必要があります。
期限内の手続きが難しい場合は、弁護士に相談・依頼することも検討しましょう。
限定承認

限定承認とは、相続人がプラスとなる財産の範囲だけに限定して、マイナスの財産も引き継ぐという相続方法の一つです。
借金があることがわかっていても、借金の額が正確に把握できていない場合などに用いられます。
プラスの財産の範囲のみマイナスの財産も引き継ぐため、仮に借金がプラスの遺産よりも多かったとしても、損をすることはありません。
反対に、借金よりもプラスの遺産の方が多い場合は、差分を相続することが可能です。
限定承認の手続き期限は、相続放棄と同じく相続があったことを知ったときから3ヵ月です。
しかし、限定承認は相続放棄と異なり、相続人全員で共同しておこなう必要があるため、手続きに時間がかかるケースがあります。
限定承認を検討している場合は、早い段階で弁護士に相談しておくとよいでしょう。
被相続人が死亡した年の1月1日から死亡の日までの期間の所得について確定申告することを「準確定申告」といいます。
準確定申告の期限は「相続があったことを知ったときから4ヵ月」です。
相続人が複数人いる場合は、相続人全員が納税者となり、連盟して申告者を作成する必要があるため、遠方に住んでいる相続人がいる場合などはできるだけ早めにおこなうのがよいでしょう。
被相続人の財産を取得した際、一定額を超える場合は相続開始日から10ヵ月以内に相続税の申告をする必要があります。
相続税がかかるのは、相続した遺産が基礎控除を上回る場合のみなので、遺産を相続した方の中には、そもそも相続税の申告が不要な方もいます。
基礎控除の計算方法
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基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の人数
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相続税は相続人個人が受け取った財産に対し、それぞれに相続税を算出するため、相続税の申告期限である10ヵ月以内には、遺産分割協議を終えて、ひとりあたりいくらの遺産を受け取るのかを確定させておく必要があります。
遺産分割協議が完了していない場合、税務署長から申告期限の猶予の許可をもらったり、法定相続分で暫定的な申告をおこない協議完了後に修正申告をおこなう必要があります。
相続税の納付
相続税の納付する期限も相続税の申告期限と同様、相続開始から10ヵ月以内です。
現金ではなく物で納める場合も申告期限の10ヵ月以内に申請書を提出して許可を受ける必要があるので、早めの対応をしておいたほうがよいでしょう。
遺留分とは、一定の法定相続人に対して認められた、最低限の遺産取得分のことを指します。
たとえば、被相続人が亡くなったあとに「財産は全て愛人のAに譲る」などの遺言書が見つかった場合、法定相続人である遺族にしてみれば「財産を全て持っていかれるのは許せない」となるはずです。
この場合、法定相続人は「遺留分侵害額請求」という手続きをおこなうことで、遺産の一部を取り返すことができるのです。
遺留分侵害額請求の期限は以下2点の両方を知ったときから1年です。
- 自分が相続人となる相続が始まったこと
- 自分がもらえるはずの遺留分が他の相続人に侵害されていること
また、仮に自分の遺留分が侵害されていることを知らなかった場合でも、相続開始から10年が経過すると、遺留分侵害額請求の権利を失うことになります。
遺留分の分配方法は?
法定相続人ごとの一般的な遺留分の割合は以下のとおりです。
相続人の組み合わせ
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遺留分の割合
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子どものみ
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1/2
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配偶者と子ども
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1/2
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配偶者と直系尊属
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1/2
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直系尊属のみ
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1/3
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なお、亡くなった方の兄弟姉妹には遺留分はないので注意しましょう。
遺産相続手続きの中でも期限が3年以内のものには以下のようなものがあります。
相続税の配偶者控除特例
配偶者(妻)が相続した遺産のうち、1億6,000万円あるいは法定相続分までの金額には、相続税の納付が免除される特例があります。
この特例が適応されるには、相続税の申告期限である10ヵ月までに遺産分割が確定している必要がありますが、確定していなかった場合でも、3年以内に遺産分割が終われば、あとから適応を受けることも可能です。
利用するには、相続税の申告期限10ヵ月の段階で一応の相続税申告書を提出しておき、3年以内の遺産分割を完了させ、再度「分割できてこれだけ相続しました」と言えば、納税分の返還をしてもらえる可能性があります。
小規模住宅地の課税価格の特例
被相続人が事業または居住用として使っていた宅地のうち、240平方メートルまでの部分までは、事業の継続として使う場合や住み続ける場合など、一定の条件を満たせば最大80%の減税をしてくれる特例です。
農地等の相続税猶予
相続した遺産のなかに農地などが含まれていた場合、相続人が農業経営を引き継ぐなら、納付すべき相続税が減税されるというものです。
さらに一定の条件を満たせばさらに減税となる可能性もあります。
相続登記とは不動産の名義を変更する手続きのことです。
相続登記に期限はないため、行政上のリスクはありません。しかし、相続登記をしないことで以下のようなデメリットが生じる可能性があります。
- 不動産を個人で売却できない
- 他の相続人に不動産を処分される可能性がある。
- 処分された後では相続登記ができない。
- 時間を空けると登記の費用が高くなる。
後々トラブルに発展する可能性もあるため、早い段階で相続登記を済ませておくのが無難でしょう。
最後に遺産相続の期限が迫っている場合の対策を紹介します。
相続放棄や限定承認の期限が迫っている場合は、家庭裁判所に期間の伸長を申し立てることで、期限の延長が可能です。
伸長手続きの期限は、相続放棄や限定承認と同様に相続開始を知ったときから3ヵ月です。
相続放棄の期限が迫っている場合は、弁護士に手続きの代行を依頼するのも手です。
弁護士なら必要書類の収集はもちろん、財産調査や相続人調査などもおこなったうえで、相続放棄をすべきかどうかも判断してくれます。
確実な相続放棄・限定承認をおこなうためにも、期限が迫っている場合は一度相談してみるとよいでしょう。
相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまらないときは未分割の申告をおこないます。
未分割の申請とは、各相続人が法定相続分を相続したものとして、一旦納税してしまい、その後、協議がまとまった時点で修正の申告をすることで再調整をするというものです。
遺産分割が決まらずに期限の申告や納付をやらないと、延滞税などの余計な税金が発生することになるので注意しましょう。
遺留分侵害額請求の期限が迫っている場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
遺留分に関する問題は、当事者同士の話し合いでは解決せず、かなり揉めるケースも少なくありません。
期限が迫っている場合は、スムーズに侵害された遺留分を取り戻すためにも専門家の手を借りるのがよいといえるでしょう。
遺産相続手続きの期限が過ぎてしまうと、あとからの手続きが難しいものもあります。しかし、例外的に期限後の手続きが可能なケースもあるので、以下で対象方を確認しておきましょう。
相続放棄の手続き期限を過ぎてしまったとき
相続放棄の手続き期限を過ぎてしまうと単純承認とみなされ、通常どおり遺産を相続する必要があります。
原則としてあとからの相続放棄は認められていませんが、借金の存在を相続後に知ったなど、特殊な理由がある場合は、期限後の相続放棄が認められるケースもあります。
相続放棄の期限を過ぎてしまったけど、なんとかできないか…と悩んでいる方は、一度弁護士に相談してみるとよいでしょう。
相続税の申告期限が過ぎてしまったとき
相続税の申告期限が過ぎてしまった場合は相続税の期限後申告書というものを出す必要があります。
相続税は期限を遅れた分だけ延滞税等をとられることになり、これを回避する方法はありません。
もし過ぎてしまった場合は一度税理士などに相談されるのがよいでしょう。
遺産相続手続きの期限はいくつもありますが、全てを同時並行で進める必要はありませんし、必ずやらなければならないものだけではありません。
「急いでやるべきものは何なのか」を把握し、できることから進めていくことが大切です。
とはいえ、期限を過ぎてしまうと余計に費用がかかったり、借金を背負ってしまう可能性もあるので、期限内の手続きに不安がある方は、一度弁護士などの専門家に相談するのがよいでしょう。
遺産相続の手続きでお悩みの方へ
親が亡くなり、遺産の相続手続きが必要だけど、何から始めるべきかわからず悩んでいませんか?
結論からいうと、遺産相続の手続きでお悩みなら弁護士への相談・依頼おすすめです。
弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットを得ることができます。
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- 手続きの方法がわかる
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