
親族・親戚間の遺産争い・兄弟間での遺留分の争い・相続放棄による争い・遺言書に起因する争いなど、遺産相続トラブルが発生した際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、自分で解決しようとして余計に問題がこじれてしまうというケースが多くあります。
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KL2021・OD・157
被相続人が遺言を残さずに死亡した場合、相続人だけで遺産分割のための協議をしなければなりません。
しかしこの話し合いは、ときに心情的な対立を生み、長期化することも珍しくありません。
遺産分割協議自体に期限はありませんが、長期化することで税制優遇を受けられなくなったり、協議している間に新たな問題が発生したりすることもあります。
この記事では、遺産分割が未了のままにおこるデメリットや分割協議に時間がかかる場合にとるべき対策、遺産分割を早期に解決する方法について解説します。
遺産分割が未了であることのデメリットは主に以下の3つです。
具体的にこれらのデメリットについて解説していきます。
誰のものかを確定していない不動産などの遺産は、相続人全員の共有財産となります(民法898条)。
遺産分割前の共有財産を管理、処分する場合には、民法上の決まりにより、他の相続人の意向を確認することが必要です。
共有財産の管理は、各相続人が単独でできる「保存行為」と、相続人による多数決で決める「管理行為」があります。
保存行為とは家の雨漏り修繕や草刈りなど、遺産の現状を維持・向上させるための行為です。
管理行為とは共有財産を利用または改良することです。
不動産の場合、誰かに貸したりするためには相続人の法定相続分に応じた持ち分価格の過半数の同意が必要となります。
共有財産を処分する行為は、民法上は「変更行為」となり、相続人全員の同意が必要です(民法251条)。
不動産を売却してお金に換えたり、駐車場として有効利用したりする場合には、相続人全員の同意を得なければなりません。
共有財産を自分の持ち分を超えて使用する場合は、超えた部分の使用対価を他の相続人に支払う義務があります(民法249条)。
たとえば亡父名義の不動産に相続人Aが住んでいる場合、他の相続人に対して持ち分に応じた対価を支払う義務があります(最判平12.4.7 平9(オ)1876号 )。
しかし、他の相続人がAに立ち退きを請求することは現状を変更するため「処分行為」(民法251条)となり、相続人全員の同意が必要です(最判昭41.5.19 昭38(オ)1021号)。
ただ、自分の持ち分を超えて使用する場合は、善良な管理者の注意力を持って共有財産を管理する義務があり(善管注意義務)、注意不足で共有財産に損害が発生したら、他の相続人から損害賠償請求をされる可能性があります。
数次相続が発生すると、遺産分割協議がさらに困難になります。
数次相続とは、相続手続きが終わらないうちに相続人が死亡し、新たな相続が発生することです。
遺産分割が終わらないうちに他の相続が始まってしまうと、相続人が増えるうえにお互いの関係が希薄になるため、遺産分割がさらに難しくなります。
遺産分割が未了の場合に起こる2つめのデメリットは、相続税に関することです。
相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です(相続税法第27条)。
遺産分割を未了のままにしておくと、相続税の優遇措置を受けることができなくなります。
配偶者の税額軽減の特例とは、配偶者の相続分が以下の要件を満たす場合に相続税が免除される制度です。
この特例は残された配偶者の生活を保障するための優遇措置ですが、期限内に相続税の申告が終わっていなければ適用を受けることができません。
相続税を計算する際に、以下の条件を満たす宅地に限り、評価額を最大で80%減額できます。
不動産の評価額が減額されると、評価額を基準に算定される相続税も減額されます。
税金が払えないために土地を失くす状況に追い込まれないようにこの特例制度が設けられました。
しかし、この特例を利用するためには、期限内に遺産分割を終えていなければなりません。
農地の納税猶予特例は、被相続人が営んでいた農業を引き継ぐ場合に適用され、農地にかかる相続税の納税が猶予されます。
この適用を受けるためには相続税の申告期限内に申請しなければなりません。
この特例は、農地を引き継ぐ際に莫大な相続税がかかり、農家離れが進んでしまうことを防ぐために制定された優遇措置です。
中小企業の経営者が亡くなったとき、事業を相続人が受け継ぐ場合には相続税が猶予または免除されます。
相続開始後8ヶ月以内に経済産業大臣の認定を受け、相続税の申告期限内に提出することが条件です。
この特例措置は2027年12月31日までに発生した相続に適用されます。
申告期限内に遺産分割が未了だと、遺産管理が煩雑になり、相続税法上の優遇措置が受けられなくなるというデメリットがあります。
遺産分割が間に合わない事情がある場合には、あらかじめ申請しておくことで、後からでも税法上の優遇措置を受けることができます。
遺産分割が期限内にできない場合は、いったん法定相続分で相続したことにして相続税の申告と納付をしましょう。
そして、遺産分割協議が成立した時点で修正申告をし、還付請求または追納をします。
未分割のまま仮の申告をすると相続税の特例が受けられません。
しかし、同時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておくと、後日協議がまとまり修正申告する際に、配偶者の特例と小規模宅地等の特例のみ遡って適用を受けることができます。
遡って特例を受けるには、3年以内に協議をまとめて4ヶ月以内に修正申告をする必要があります。
【参考記事】
税務署の承認を受けることができれば、3年経過しても遺産分割協議がまとまらない場合でも、特例の適用をさらに延長することができます。
税務署の承認を受けるためには、3年経過してから2ヶ月以内に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出しなければなりません。
やむを得ない事情とは、裁判で争っている場合や、遺言によって一定期間遺産分割することを禁止されている場合などです。
やむを得ない事情が解消してから4ヵ月以内に修正申告をすれば、配偶者の特例と小規模宅地等の優遇措置が適用されます。
【参考記事】
遺産分割を困難にする大きな原因としては、手続きが煩雑であることと、相続人同士に感情的な対立が生まれやすいことの2点が挙げられます。
どちらも弁護士に依頼することで解決できる問題です。
以下で遺産分割の問題を弁護士に依頼するメリットについて解説していきます。
相続人同士で話がまとまらない場合でも、弁護士に依頼することで遺産分割調停・審判など法的手続きを活用してスムーズに遺産分割を進めることができます。
調停では論点整理や主張書面に沿った証拠収集が重要です。
調停での話し合いがまとまらずに審判に移行すると、主張書面や証拠書類が最終的な審判を下すうえでの重要な材料となります。
相続はやるべきことが多く、面倒な手続きも多いです。
しかも、手続きの中には期限付きのものもあります。
弁護士に依頼すれば、期限のあるものから逆算して手続きを進めることができ、また、手続きの漏れもなくなることでしょう。
遠方に住んでいる相続人がいたとしても、弁護士が拠点となって必要書類のやりとりや協議書の作成をまとめてくれます。
遺産分割が進まない原因には、相続人同士の心情的な対立もあるでしょう。
対立している場合、お互いに特別受益や寄与分などを主張しがちになりますが、その論点を裁判で争うと、司法判断が出るまでかなりの時間がかかります。
心情的に対立する相手と長期間話し合いを続けることは、精神的に大きなストレスになります。
弁護士に依頼することで、相手と直接交渉をしなくてよくなるため、精神的なストレスは大きく軽減されるでしょう。
また、話し合いが長期化した場合でも、法律的に妥当な落としどころを探ってまとめることも可能です。
遺産分割は、困難なものほど弁護士に依頼しましょう。
弁護士に依頼することで、遺産分割が長期化することを避け、スムーズに手続きを進めることができます。
遺産分割を相続税の申告期限までに終わらせることは、税制の優遇を受けるためにも大変重要です。
税法上の優遇措置は、相続人が大きな相続税負担を負うことの救済手段として設けられています。
そのため、優遇措置が使えなければ、相続人の税負担は過酷なものになってしまうでしょう。
相続業務に注力している弁護士は、相続税の知識も豊富です。
初回の無料相談を受け付けている弁護士事務所もありますので、遺産分割が未了で困った場合には初回の無料相談だけでもしてみましょう。
参考文献
野々山哲郎、仲隆、浦岡由美子「Q&A 未分割遺産の管理・処分をめぐる実務」新日本法規出版株式会社
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遺産相続では法定相続分といって、民法で定められている割合の通りに遺産を公平に分割しましょうという一応の定めがありますが、生前に被相続人(亡くなった人)の介護をしていた、被相続人の事業を手伝っていれば寄与分という制度で多くの財産をもらう権利があります。
また、他の相続人が生前に財産を多く受け取っていたのであれば、遺産分割協議の際に相続財産を減らすこともできます。ただ、こういったルールは相続人全員が知っているわけではありませんから、あなたが主張しても聞く耳をもたれない可能性もあります。
その場合、弁護士に相談することで法的な観点から主張をしてくれますし、トラブルになっている場合はその仲裁に一役買ってくれるでしょう。
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