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2020年05月13日

公正証書遺言の効果とは|自筆した場合との違いや書き方を解説

リフト法律事務所
川村 勝之 弁護士
監修記事
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公正証書遺言(こうせいしょうしょゆいごん)とは、一般的な自筆証書遺言とは違い、公証役場の公証人が関与して、公正証書の形で残す遺言書です。

遺言者(遺言を残したい人)は公証人に遺言内容を伝え、公証人は遺言者から聞いた内容を公正証書で残す遺言の形にして、最終的に公正証書遺言を作成します。

自分一人で書く自筆証書遺言に比べると、公証人という法律の専門家のチェックが入り、共同して遺言書を残せるため、遺言内容の確実性があり、遺言の効果も無効になることが少ないのが大きな特徴です。

そのため、公正証書遺言は、遺言書を残す形として、一番確実に残せるとされている遺言書の形式です。

※公証人
公証人は、裁判官、検察官、法務事務官等を長く務めた法律実務の経験豊かな者の中から法務大臣に任免され、国の公務をつかさどります。

※公証役場
公証役場とは、公証人が執務する事務所のことです。

※公正証書
公正証書とは、公証人が個人や法人から嘱託された内容をもとに作成した文書(公文書)のことです。公正証書を作成することで、法律関係を明確にして、将来的な安定を図ることができます。身近な例としては、契約書、離婚協議書、遺言書等を公正証書で作成したりします。
遺言書でよくある希望
  • 財産を相続させたいが法律で定められた相続割合を変更したい
  • 子供・孫が複数いるが遺留分のことまで考えて遺言書を作成するのは面倒である
  • 残された相続人の遺言書の検認作業をする手間を省いておきたい
  • 遺言書に書かれた相続財産や意味で争いがないように明確に残したい
  • 自分の意思がちゃんと反映された適切な効果をもった遺言書を作成したい 等

あなたが特定の誰かに確実に遺産を渡したい、自分の気持ちをきちんと文書で残したいというお気持ちがある場合、公正証書遺言を作るのをおすすめします。

公正証書遺言は、自筆証書遺言(自分で書ける遺言書)、秘密証書遺言(内容を秘密にしている遺言書)と違い、公証人という法律事務の専門家が関与するため、遺言書の内容の効力が無効になりにくいものですし、公証役場で作成し公正証書遺言が保管されるため、遺言書が偽造される心配もありません


そこで本記事では、

  • 作成にかかる費用・流れ・必要書類
  • 公正証書遺言のメリット・デメリット
  • 公正証書遺言を作る時の注意点

等をお伝えします。公正証書遺言で遺言を残すための参考にしていただければ幸いです。

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公正証書遺言の作成件数推移

相続トラブルを回避するためにも、公正証書遺言という形で遺言を残す人は多いです。

日本公証人連合会の調べでは年々利用者が増えていて、平成26年以降は10万件を突破し続けているとデータでわかっています。 

表:公正証書遺言の作成件数推移

公正証書遺言の作成件数推移

(参考:平成30年の遺言公正証書作成件数について|日本公証人連合会

遺言書の種類と違い 

遺言書には大きく分けて、

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言

の3種類があります。

自筆証書遺言

  • 原則自筆で作成をする
  • 自宅で管理する
  • 開封の際は家庭裁判所にて検認が必要

※2019年1月の改正により以下の変更が行われました。

・財産目録部分はパソコンでの作成や通帳のコピーの利用も可能

※2020年7月の改正により以下の変更が行われます。

・手数料を支払い法務局で保管も可能

・法務局で保管した自筆証書遺言は検認不要

公正証書遺言

  • 2人の証人立会いでの作成
  • 公証人役場で保管される
  • 公正証書作成の費用が発生する

公正証書遺言は執筆内容の不備、遺言能力の確認、保管面で確実性の高い遺言となります。また、公正証書で遺言を残しておくと、遺言者が亡くなった後の家庭裁判所での遺言の検認という手続も不要になります。

秘密証書遺言

  • 2人の証人立ち合いでの作成
  • 公正証書遺言とは異なり証人と公証人に内容は公開せずに遺言の存在のみを証明してもらう
  • パソコン、代筆も可能(自筆による署名は必要)

秘密証書遺言は、遺言書が存在しているという事実だけを確実にするものです。公証人も内容を確認しません。

これら3つの遺言の中で、最も確実に遺言内容を残せるのが公正証書遺言となります。

公正証書遺言の作成手順

公正証書遺言を作成する方法としては、証人2人以上の立ち会いのもと、遺言者が公証人に遺言内容を口授し、それに基づいて公証人が作成するのが一般的ですが、身障者の遺言の機会確保のために平成11年の民法改正によって969条の見直しおよび969条の2の新設が行われました。

公正証書遺言は、聴覚・言語機能に障がいのある人でも作成ができ、その場合は公証人の面前で遺言の趣旨を自書する「筆談方式」や、手話通訳士等の通訳人と証人2人以上の立会いのもと、遺言者が内容を公証人に伝える「手話通訳方式」での作成が認められています。

障がいのある人もそうでない人も、基本的な作成の流れは同じです。

公正証書遺言作成までの流れ

公正証書遺言の大まかな作成の手順は、以下の通りです。

  1. 遺言者が遺言内容を考えて原案を作成する(メモ程度でも可)
  2. 公証役場に連絡して、①で作成した原案を伝えて公証人と内容を確認・検討する(公証人と相談しながら原案作成も可能)
  3. 公証人から求められた必要書類を用意して、公証役場へ届ける
  4. 公正証書遺言の作成時に立ち会ってもらう証人2名を決める
  5. 遺言者、証人2名、公証人で公証役場に行く日程を調整する(平日のみ)
  6. 日程調整をした日に遺言者、証人2名で公証役場へ出向く
  7. 公正証書遺言の内容を確認し、間違いがなければ遺言者、公証人、証人2名が署名・押印をする
  8. 公正証書遺言の正本が遺言者に渡され、公証人の手数料を現金で支払う

(参考:公証事務 1 遺言 |日本公証人連合会

相続人の数や財産の内容等、具体的なケースによって作成にかかる日数は異なってきますが、1~8まですべてをこなすには、大まかに2~3週間程度は最低かかるものと見積もっておくのがよいでしょう。相続の内容の調整で時間を要した場合や、日程調整の都合によっては、1か月以上かかることもあります。

そのため、公正証書遺言を作成する場合には、時間的に余裕をもって作成することをおすすめします。

公正証書遺言の作成費用

公正証書遺言を作成するには、公証人に手数料を支払う必要があります。その手数料は、遺言書に書かれた財産の価額に応じて決定されます。

目的財産の価額

手数料の額

100万円まで

5,000円

100万円を超え200万円まで

7,000円

200万円を超え500万円まで

1万1,000円

500万円を超え1,000万円まで

1万7,000円

1,000万円を超え3,000万円まで

2万3,000円

3,000万円を超え5,000万円まで

2万9,000円

5,000万円を超え1億円まで

4万3,000円

1億円を超え3億円以下のもの

4万3,000円+超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した額

3億円を超え10億円以下のもの

9万5,000円+超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した額

10億円を超えるもの

24万9,000円+超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

 ※遺言加算:目的価額の合計額が1億円以下の場合は、上記手数料額に『1万1,000円』が加算されます。

(参考:公証人手数料令第9条

これらの手数料は、遺産全体の合計額についてかかってくるわけではなく、相続人や受遺者ごとに相続させる財産の価額に応じた手数料が必要になることに注意が必要ですが、少し計算が難しいので、以下の計算例を参考にしていただくとよいかと思います。

例1)相続人Aに1,100万円、相続人Bに4,000万円を相続させる場合

手数料=

2万3,000円(1,100万円の手数料)+2万9,000円(4,000万円の手数料)+1万1,000円

(遺言加算)

⇒ 合計6万3,000円

例2)相続人Aに6,000万円、相続人Bに5,000万円を相続させる遺言書の場合

手数料=

4万3,000円(6,000万円の手数料)+2万9,000円(5,000万円に対する手数料)

⇒ 合計7万2,000円

なお、手数料のほかにも、次の費用がかかりますので、こちらも準備しておきましょう。

  • 公正証書遺言の謄本の発行手数料:250円/枚
  • 公証人による自宅や病院等への出張:日当2万円
  • 遺言者が病気や高齢等のために体力が弱り公証役場に赴くことができず、公証人が、病院、ご自宅、老人ホーム等に赴いて公正証書を作成する場合の病床執務手数料:手数料の50%加算
  • 証人を紹介してもらった場合の証人の日当:1人あたり5,000円~1万5,000円程度
  • 交通費、送料実費等

公正証書遺言作成に必要な書類

  1. 遺言者の実印
  2. 遺言者の印鑑登録証明書
  3. 遺言者と相続人との続柄がわかる戸籍謄本
    ※相続人以外の人に遺贈する場合は受遺者の住民票(法人の場合は資格証明書)
  4. 証人の確認資料やメモ(住所・氏名・生年月日・職業)
  5. 証人の認印(シャチハタタイプは不可。朱肉をつけて押印するもの)
  6. 相続財産に不動産があり遺言書に特定不動産を明記する場合は、登記簿謄本および固定資産税評価証明書等の課税関係書類
  7. 不動産以外の相続財産がわかるメモや資料
  8. 遺言執行者を指定する場合は、遺言執行者の特定資料やメモ(住所・氏名・生年月日・職業)

※印鑑登録証明書や登記簿謄本等の有効期限は、遺言作成日より前3か月以内のものとなります。

※公証役場や遺言内容によって準備する書類等が異なることがありますので、あらかじめ公証役場に確認しておくとよいでしょう。

戸籍謄本が必要な理由

両親等の親族に「公正証書遺言を作りたいから戸籍謄本を送ってほしい」と言われた方は遺産を相続する可能性があります。

公正証書遺言を作成するには、遺言者と相続人との関係がわかる戸籍謄本が必要だからです。

そのため、もし親族と疎遠だったり、仲が悪い間柄だとしても、必ずしも戸籍謄本を渡したら不利になるというわけではありませんので、一度よく考えてみてください。

(参考:公証事務 1 遺言|日本公証人連合会

(関連記事:戸籍謄本を取り寄せる方法と請求先まとめ)

公正証書遺言の作成には2名の証人が必要

公正証書遺言を作成する際には、必ず2名以上の証人が必要になります。

この証人は、誰でも無条件でなれるわけではありませんし、証人になれない人が立ち会った公正証書遺言は無効になってしまう可能性がありますので、公正証書遺言の作成前には証人についても公証人とよく相談しましょう。

証人になれない人は、民法で定められています。具体的には、民法974条に規定された人は証人となれないとされており、これらの人以外の方を証人とする必要があります。

(証人及び立会人の欠格事由)

第九百七十四条  次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。

一  未成年者

二  推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

三  公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

(引用元:民法974条


もし適切な証人がいない場合には、公証役場に証人が見つからない旨を相談すれば、適当な人材を紹介してもらうことができます。

その際、証人に対する日当は必要になりますが、確実に遺言内容を秘密にしたいのであれば、公証役場経由で証人を紹介してもらうのも1つの選択肢です。

あらかじめ遺言執行者を決めておくとよい

遺言執行者とは、遺言者が死亡した後に遺言内容を実行する人のことであり、「遺言で指定された者」か「家庭裁判所で選任された者」がなるのが一般的です。遺言の内容を実行する重要な役割を担っているため、誠実かつ実行力のある者である必要があります。

公正証書遺言の作成を弁護士に依頼して作成し、その弁護士を遺言執行者として指定するケースも多いです。

遺言執行者は、必ず誰か特定の者を指名しなければならないというわけではありませんし、遺言で指定された人であってもこれを拒むことはできます。

ただ、遺言執行者をあらかじめ指定しておくことで、相続人が遺言内容と異なる遺産分割・遺産の処分を勝手に行うことを防ぐことができるうえ、円滑な相続手続きが期待できます。


遺言執行者について、詳しくは「遺言執行者とは?仕事内容・選び方・必要なケースをわかりやすく解説」もご覧いただければ幸いです。

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公正証書遺言のメリットとデメリット

公正証書遺言は、公証役場で公証人が作成する遺言となりますが、遺言者が遺言内容を公証人に口授し、遺言者本人と立ち会った2名以上の証人が公証人の筆記した遺言内容が正確であることを承認して、各自が署名押印する形で作り上げる遺言になります。

公証人が遺言作成に関与することから、ほとんどの場合遺言の効力として有効な遺言書が作成できる公正証書遺言ですが、メリットやデメリットを踏まえた上で利用を検討するのがおすすめです。

そこで、まずは公正証書遺言のメリットとデメリットを整理してみました。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言のメリットは、大きく以下の4つです。

①偽造や変造のおそれがない

公正証書遺言は、公正証書の形で残される遺言であり、作成には法律実務経験の豊富な公証人が関与することになります。遺言者は、遺言内容を公証人に口授し、公証人はそれを筆記する形で作られるので、偽造や変造のおそれがないとされています。

②公証役場で保存されるため、紛失のおそれがない

公正証書遺言の原本は公証役場で保存され、遺言者にはそのコピーである謄本が交付されることになります。この謄本を紛失しても、公正証書遺言の原本に影響はありませんし、遺言者が生存中に紛失した場合には遺言をした公証役場で再発行が可能となっています。

また、相続開始後に紛失した場合でも、相続人が公正証書遺言の謄本の交付請求ができるため、遺言書自体を紛失してしまうことは基本的にないといえます。

なお、公正証書遺言の原本は、原則として20年間は公証役場で保管されますが(公証人法施行規則27条1項1号、2項)、『特別の事由により保存の必要があるときは、その事由のある間保存しなければならない。』(公証人法施行規則27条3項)とされていることから、遺言者が存命の間等、長期間保管されているといわれています。

そのため、実際は、公証役場の多くでは、現実には20年を超えても公正証書遺言の原本を保管していたりします。公証役場によって異なりますが、中には30年間や50年間保管しておくところもあるそうです。

③家庭裁判所による検認が必要ない

公正証書遺言は、公証人と2名以上の証人の立ち会いのもと作成されることから、その真正が問題になることは少なく、遺言の効力に疑義が生じにくい遺言とされています。

また、公正証書自体が裁判における高い証拠能力を有しており、自筆証書遺言等(※)のように家庭裁判所の検認を受ける必要がありません。

※2020年7月から法務局で保管されているものは検認不要となります。

④署名等の文字が書けない、口がきけない、耳が聞こえない方でも遺言できる

自筆証書遺言は全文が遺言者の自筆で作成されていることが前提であり、秘密証書遺言の場合も遺言者の署名は必要不可欠ですが、公正証書遺言は字が書けない方や、話すことが難しい方、耳が聞こえない方でも有効に作成することができます(民法969条、969条の2)。

公正証書遺言は、公証役場で作成するのが一般的ですが、病気や怪我等の事情で現実に公証役場へ行けない人であっても、公証人に出張をしてもらい自宅や病院等で公正証書遺言を作ることもできます(日当は生じます)。

また、遺言者が文字を書くことができず自分の署名ができないケースでは、公証人が署名できない事由を付記することでこれに代えることができますし、耳が聞こえなかったり口がきけなかったりする人であっても、通訳人を介して公正証書遺言が作成できるようになっています。

公正証書遺言のデメリット

公正証書遺言のデメリットとしては、以下の3つが考えられます。

①手続きや手間がかかる

公正証書遺言は、思い立ったその日に公証役場で作れるというような気軽な制度ではなく、事前に公証役場へ公正証書遺言を作成したい旨の連絡をして、作成する内容と公証役場での手続き日を決定することから始めなければなりません。

そのため、多くは最低2回程度、場合によっては、それ以上公証役場に行く必要が生じたりします。

したがって、他の遺言方法よりは、遺言をしっかり残せるという反面、手続きや手間がかかるという点は否めないかと思います。

この点は、弁護士等の専門家に依頼すれば、その手続きや手間の多くは任せることができます。

②作成費用がかかる

公正証書遺言の作成(遺言公正証書の作成)には、公証役場所定の手数料がかかります。

この手数料は、1通あたりいくらという方式ではなく、公正証書に記載する財産の価額に応じて決定されることから、相続人や相続財産が多い場合には作成手数料が高額になる傾向にあります。

この点は、確実な遺言を残すためにはやむを得ない費用となります。

③2名以上の証人の確保が必須

公正証書遺言を作成する際には、必ず2名以上の証人の立ち会いが必要になり、この証人を確保する必要があります。

前述した通り、どうしても証人が見つからない場合には公証役場で相談すれば紹介してくれますが、その場合には別途証人の日当が必要になります。

他の相続人に対して遺言内容を秘密に出来る遺言

自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、遺言内容は遺言者が作成するのが通常であり、遺言書を自宅に保管している場合には、同居の親族につい話してしまったり、遺言書が見られたりしてしまって、遺言内容を秘密にするのが難しい方もいるかもしれません。

しかし、公正証書遺言の場合は、遺言者本人と公証人のほか、相続に関して利害関係のない証人2名しか遺言内容を知ることができませんから、ご自身で秘密にしておけば、ほかの相続人に対して確実に遺言内容を秘密にしておくことができます。

また、公証人や証人には秘密保持義務がありますし、交付された公正証書遺言謄本の保管にさえ気をつけていれば、遺言内容が他人の目に触れることはないでしょう。

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公正証書遺言作成における注意点

以上が公正証書遺言の基本的な知識になりますが、最後に押さえておいていただきたい注意点をまとめてみました。

公正証書遺言でも無効となる場合がある

公正証書遺言は、公証人と証人の立ち会いのもと、適正に作成・成立するのが通常ですから、これが無効となることは少ないのですが、万が一ということもありますので、念のため公正証書遺言が無効となるケースについても確認しておきましょう。

1:公証人が不在の状態で作られた遺言書

公正証書遺言の作成では、公証人が遺言者の口述を筆記する必要があります(969条3号)。
したがって、公証人が不在の間に遺言者や証人が勝手に筆記した遺言書は無効となる可能性があります。

2:証人になれない人が立ち会った遺言書

公正証書遺言には2名以上の証人の立会いが必要ですが、証人2名のうち1名が民法974条で定められている証人になれないとされる人(欠格者)だった場合、その遺言は無効になる可能性があります。

ただし、証人が3名以上いて、証人適格を有する人が2名以上いるのであれば、仮に証人欠格者が一緒に立ち会ったとしても、無効にはならないとされています。

ちなみに、目の見えない人(盲人)が証人になれるのかという問題がありますが、この点について、判例は「公証人による筆記の正確性の承認は、遺言者の口授と公証人の読み聞かせを耳で聞き対比すれば足りる」として、民法974条に該当しない限り証人になれるとの判断をしています(最判昭和55年12月4日)。

3:公証人に口授せず身振り手振り等で伝えた遺言書

公正証書遺言は、その内容を遺言者が公証人に「口授」して作成するのが原則です。

耳が聞こえない人や口がきけない人に関しては、通訳人の通訳による申述や筆談等の方法が認められていますが、これらはあくまで例外です。

単に身振り手振り等で遺言内容を伝えることは認められていませんので、作成の際に支障がなければきちんと口述する必要があります。

4:証人が席を外している間に作られた遺言書

公正証書遺言は、作成開始から終了まで、常に遺言者・公証人・2名以上の証人が立会わなければなりません。そのため、これらの人が席を外す等欠けている状態で遺言を作ると、遺言が無効になってしまう可能性がありますので、十分注意してください。

もっとも、この場合であっても公証人と2名以上の証人が常に立ち会っていれば形式的には作成要件を満たしますが、無用な紛争を避けるためにも、遺言書の作成中は証人や公証人の動向に気を配り、誰かが席を外している間は作業を中断する等の注意が必要といえるでしょう。

5:遺言者に遺言能力がなかった場合

遺言書が無効になるケースには公証人だけでなく、遺言者の状態によって無効になることもあります。

例えば、遺言書作成時点で遺言者自身が認知症やアルツハイマーで判断能力が無い状態だった場合、遺言無効の争いにより作成当時に遺言能力がなかったことが明らかになれば公正証書遺言が無効となります。
 
遺言書の効力については「遺言書の効力は8つ!主な内容と無効になる15のケース」をご覧ください。

遺留分は公正証書遺言よりも優先される

よく「全財産を○○に譲る」といった遺言の有効性が問題になりますが、遺留分(※)を侵害するような内容の遺言は、それ自体が無効になることはなくても、遺留分を侵害している部分についてはその限りで無効とされることになっています。つまり、遺言書よりも遺留分の権利のほうが優先されるということです。

※遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人について、最低限の取り分を確保する制度です。

 各相続人にはそれぞれ遺留分割合が定められており、定められた遺留分を越えた相続が行われている場合には遺留分侵害額(減殺)請求をすることができます。

もちろん、遺留分の権利は、遺留分を侵害された人が所定の期間内に遺留分減殺請求を行わなければ消滅してしまいますが、遺留分減殺請求をされた場合にはその部分について請求してきた相続人に返還する義務が生じます。

したがって、遺言者の立場からは、遺言をする際にはきちんと遺留分のことも配慮して遺言を作ることが重要です。

公正証書遺言を閲覧・検索する方法

東日本大震災のときの教訓から、公証役場では、現在では、紙の原本とそれを電磁的記録化した原本の2種類を保管することになっています。

そして、公正証書遺言には検索・閲覧システムが準備されており、誰もが自由にこれを利用できるわけではありませんが、所定の条件を満たす人に限って比較的簡単に利用できるようになっています。

以下で公正証書遺言の閲覧・検索ができる人の条件をご紹介いたします。

遺言者の生前に公正証書遺言を閲覧できる人

遺言者が生きている間は、遺言検索システム等によって公正証書遺言を閲覧できるのは遺言者本人に限られます。


これは、相続人等から不当な圧力がかかるのを防ぐという理由から定められているものなので、基本的に例外はありません。

遺言者の死後に公正証書遺言を検索・閲覧できる人

遺言者の死後も、誰でも遺言を検索・閲覧できるわけではなく、法定相続人、受遺者、遺言執行者等遺言者の相続について法律上の利害関係を有する人だけが検索システムを利用できるようになっています。


ただし、死の直前に作られた公正証書遺言の場合は、登録が間に合っていないケースもありますので、その場合は少し日を置いてから再度検索することをおすすめします。

検索と閲覧の方法

上記の条件を満たす人は、全国のどの公証役場からでも、「遺言検索システム」によって遺言があるかどうかを調べることができます。


ただし、遺言者の死後に検索等をする場合は下記の書類を持参する必要があります。

  • 遺言者の死亡記載がある資料(除籍謄本等)
  • 請求者が相続人であることを示す資料(戸籍謄本等)
  • 請求者の本人確認資料と印鑑(3か月以内の印鑑登録証明書+実印か、運転免許証やマイナンバーカード等の官公庁発行の顔写真付き身分証明書+認印)

なお、代理人が申請する場合は、これらの書類に加えて委任状、代理人の本人確認書類、印鑑証明書が必要になります。


検索システムでわかるのは、遺言者の氏名、生年月日、公正証書を作成した公証人、作成年月日等です。

遺言の内容は検索するだけではわからないので、改めて内容を見たい場合には、遺言が保管されている公証役場へ出向いて閲覧手続きをする必要があります(手数料200円が必要です)。


また、謄本を印刷する場合には、手数料として250円が必要になります。

公正証書遺言書の書き換えをしたいとき

一度作成した公正証書遺言の内容を訂正したくなることもあるかと思います。

公正証書遺言は原本が公証役場にあるため、作成者が保管している遺言自体を変更しても意味がありません。

内容を訂正したい場合には、新たに遺言を作成する必要があります。遺言の優先順位としては、基本的に最新の遺言書が優先されます。

この場合の遺言は自筆証書遺言でも可能ですが、作成上の不備がある場合には遺言が無効になってしまうので注意が必要です。

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【迷っている方へ】弁護士に相談するとどんな風に相続問題が解決する?

まとめ

公正証書遺言は、基本的な作成ルールを守り、公証人の指示に従って作成していけば、ほとんどの場合で有効に成立し、裁判になっても強力な証拠力を有する遺言方法です。

確実に遺言の効力を生じさせたい場合には、利用する価値が大いにあります。

そのため、自分の願いどおりの遺言を残したい方や、自分の死後に相続争いを回避したい方は、ぜひ利用を検討してみてください。

また、その際に相続問題の経験豊富な弁護士等に相談することにより、相続を執行する場面等も含めて、さらに先の相続を見据えた相続対策が可能になりますから、無料相談等を利用するのもおすすめです。

本記事が、少しでもお役に立てば幸いです。

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【迷っている方へ】弁護士に相談するとどんな風に相続問題が解決する?

相続トラブルを解決し遺産を多く受け取る方法とは?

相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。

 

これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。

 

相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。

 

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。

 

遺産分割に関する調停事件の推移

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

 

相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?

相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。

 

相続人の数

<参考資料:国税庁 統計年報>

 

相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。

 

トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。

 

弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。

 

 

相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例

相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
最大のメリットが得られる弁護士の選び方は、以下を参考にしてください。

 

 

  • 1、相続が得意な弁護士を選ぶ

    相続トラブルの解決実績が豊富だったり、相続問題に注力していたりする弁護士を選びましょう。

  • 例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。

  • 相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。

  • 2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ

    初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。

  • 件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)

  • 3、近隣の弁護士を選ぶ

    相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。

 

 

相続で弁護士が介入するデメリットは、あまりありません。

 

あえて挙げるなら、依頼に費用がかかる点でしょうか。

 

しかし、以下の費用対効果の例をご覧いただけば、実際には費用がデメリットとはならないことが、おわかりいただけると思います。

 

不公平な遺言書に対し弁護士を通じて遺留分を主張した例

3,000万円の遺産を遺して親が世を去った。全財産をほかの相続人に相続させる旨の遺言書があり、このままでは自分は一切遺産を受け取ることができない。

弁護士に依頼した結果

遺留分侵害額請求により、自分の遺留分割合である8分の1の遺産を受け取ることができた。

費用対効果

自分が受け取ることができた遺産は375万円。弁護士費用は84万円。そのまま泣き寝入りしていれば1円も受け取ることができなかったが、結果的に弁護士費用を差し引いても291万円を手にすることができた。

また、相続トラブルに関しては、初期費用(着手金)はかかるものの、費用の大部分は成果報酬方式です。


つまり依頼料はデメリットにならないのです。

 

>>費用対効果の高い弁護士とは?

 

簡単かつ早急に信頼できる弁護士を選ぶ方法

相続弁護士ナビは、相続問題の解決実績豊富な事務所を数多く掲載しています。


あなたのお住まいに近い事務所を選ぶことができ、ネット上の口コミに頼らず、相談に行きやすい優良な事務所を簡単に見つけられます。

 

使い方も簡単なので、近隣の事務所を確認だけでもしてみることをおすすめします。

 

相続内容から弁護士を探す
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どれを選んでいいかわからない場合は、相続トラブルを選んでくされば対応できます。

弁護士費用をカバーする保険「弁護士費用保険メルシー」

弁護士費用は決して安いものではなく、少なくとも50万円以上になることがほとんどです。

そんな弁護士費用を補償するのが、弁護士費用保険メルシーです。

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法的トラブルは身近に潜んでいて、いつ被害にあうか分かりません。

  • 子供がいじめで不登校になってしまった
  • インターネットで誹謗中傷を受けている
  • 酔っぱらいに絡まれてケガをした

こんなとき、弁護士依頼で発生する費用を月額2,500円で補償できます。

追加保険料0円で子供や両親、配偶者も補償対象になり、自分以外の家族も守ることができます。

いざというときの弁護士費用を賄うために、まずは資料請求を。

弁護士費用保険メルシーに無料で資料請求する

KL2020・OD・037

この記事の監修者
リフト法律事務所
川村 勝之 弁護士 (千葉県弁護士会)
相談者に選択肢を提示し、最も理想に近い解決法を共に考えることを心がけており、コミュニケーションの取りやすさに定評あり。税理士・司法書士・公認会計士などの他士業と連携したトータルサポートも魅力。

相続トラブルに巻き込まれてしまった方へ

何かと相続トラブルに発展するのは遺産の割合に不満がある・納得いかないケースです。

例えば、下記などが該当します。

・思ったより相続される遺産が少なかった
・揉めたくないので、泣く泣く遺産の配分に納得した
・遺言書に他の兄弟姉妹に遺産を多く渡す旨が書かれていた

遺産相続では法定相続分といって、民法で定められている割合の通りに遺産を公平に分割しましょうという一応の定めがありますが、生前に被相続人(亡くなった人)の介護をしていた、被相続人の事業を手伝っていれば寄与分という制度で多くの財産をもらう権利があります。

また、他の相続人が生前に財産を多く受け取っていたのであれば、遺産分割協議の際に相続財産を減らすこともできます。ただ、こういったルールは相続人全員が知っているわけではありませんから、あなたが主張しても聞く耳をもたれない可能性もあります。

その場合、弁護士に相談することで法的な観点から主張をしてくれますし、トラブルになっている場合はその仲裁に一役買ってくれるでしょう。当サイトでは、相続トラブルを1人で解決できるか悩んでいる方へ無料電話・無料相談(一部)を行い、不安解消できるように努めています。

問題解決はもちろん、あなたの状況にあったアドバイスを提供することをお約束します。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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