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秘密証書遺言とはどんな遺言書か?作成方法と効果を解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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秘密証書遺言(ひみつしょうしょゆいごん)とは、公証人と証人2人以上に遺言書の「存在」の証明をしてもらいながら、公証人、証人、相続人含め、本人以外内容を見ることができないので、遺言内容を「秘密」にすることができる遺言書の形式です。

遺言者の死後、遺言書が発見されないケースを防ぐことができ、かつ遺言の内容を秘密にしておくことができるのが、秘密証書遺言の特徴です。

ただし、秘密証書遺言は、他の方法に比べ手間がかかったり、記載に不備があると無効になるなど確実性に欠けるため、利用は年間で100件程度と非常に少なくなっています。

手数料として11,000円がかかり、遺言書を公証役場に持参することで作成できますが、過去の法改正により、秘密証書遺言を利用する利点が失われたため、あまり用いられることのない遺言方法でもあります。

今回は秘密証書遺言のメリット・デメリットや、作成手順、その際の注意点などについて紹介します。

秘密証書遺言の作成を検討している方へ

秘密証書遺言は、方式不備により無効になる危険性が高いです。

せっかく作成したのに、遺言書が認められないという事態は避けたいことでしょう。

遺言書の形式は3つあります。

秘密証書遺言の作成を検討している方は、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に相談すれば、以下のようなメリットがあります。

  • 自分の状況にあっている遺言書の形式が分かる
  • 相続トラブルにならない遺言書の内容の助言が受けられる
  • 遺言書を書くときの注意点を知れる など

弁護士には守秘義務があります(弁護士法第23条)。あなたの相談が外部に漏れる心配はありません。

初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。

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秘密証書遺言の作成手順

秘密証書遺言を作成したいとき、どのように作成すればよいか紹介します。

手書きやパソコンで遺言内容を書く

秘密証書遺言は、遺言者の自筆の署名と押印がなされていれば、他の内容は、手書き、パソコン、代筆で記載しても構いません。

押印の際の印鑑は、認印の使用が可能です。

遺言書を封筒に入れて封をしてから押印する

遺言書が書ければ、そのまま封筒に入れて封をしましょう。

その後、遺言書に利用した印鑑と同様のもので封に押印してください。

もしこの印鑑が遺言書に押印したものと異なった場合、遺言が無効となってしまうため注意が必要です。

2人の証人と一緒に公証役場に遺言書を持参する

2人の証人と一緒に、作成した遺言書を公証役場【全国公証役場所在地一覧】へ持っていきます。

公証人と二人の証人の前でその遺言書を提示し、自分の遺言書であることを証明するために、氏名と住所を申述しましょう。

ただし、以下に該当する人は証人になれないので注意が必要です。

  • 相続人となる人
  • 受遺者及びその配偶者と直系家族・秘密証書遺言の作成を担当する公証人の配偶者と4親等内の親族
  • 公証役場の関係者

遺言者と証人が署名押印する

公証人が遺言書を提出した日付と遺言を書いた人の申述を封紙に記入します。

その封紙に遺言を書いた人と二人の証人が署名押印したら秘密証書遺言の完成です。

完成した秘密証書遺言は、遺言者自身で保管します。

公証役場には遺言書を作成したという記録だけが残ります。

遺言書のサンプルや参考を知りたい方は「遺言書とは|種類・書き方・効力などを解説」をご覧ください。

秘密証書遺で作成する4つのメリット

まずは、秘密証書のメリット・デメリットを確認しましょう。

内容を秘密にできる

秘密証書遺言は、担当する公証人が遺言の内容を確認しません。

そのため、誰にも遺言内容を知られたくない場合に非常に有効な方法となります。

遺言者によって書かれた遺言書か確認する必要がない

自筆遺言であれば、遺言書の存在が確認された際、その遺言書が遺言者によって記載されたものか確認する必要がありますが、秘密証書遺言は、遺言者本人が記載し封入するので、遺言者本人が記載したかどうかの確認は不要になります。

偽造や変造を避けられる

秘密証書遺言を残す場合は、遺言を残す人が遺言書に封をして、公証人が封紙に署名をします。

この封が破られているケースや、開かれた跡が残る秘密証書遺言は法律上の効果が認められません。

そのため、遺言書の偽造や内容の変造を避けることができます。

パソコンや代筆でも作成できる

秘密証書遺言は自筆証書遺言とは違い、遺言全文を自筆で書く必要がありません。

パソコンで遺言書を作成することや、他の人に代筆してもらうことが可能です。

そのため、身体的な問題によって、自分で書くことができないお年寄りは助かります。

しかし、遺言書の署名は自筆でおこなう必要があり、押印も必要であるため注意しましょう。

秘密証書遺言にするデメリットは?

遺言書に不備が残る可能性がある

秘密証書遺言を作成する際に、公証人が遺言内容を確認することはありません。

そのため遺言書の形式が違っていたり、内容が不明確などの不備があると、無効となってしまう場合があります。

ただし、自筆証書遺言の要件を満たしていれば自筆証書遺言として有効になります。

念のために自筆で書いておくことをおすすめします。(民法971条)

手続きに手間がかかる

秘密証書遺言は遺言者自身で遺言の内容を確認していることを、公証人によって認めてもらう必要があります。

公証人への依頼には費用や手間がかかり、確認には二人の証人による立ち会いが必要です。

この手続きの手間は公正証書遺言とほとんど変わりません。

費用がかかる

公正証書遺言よりは安いですが、秘密証書遺言を作成するために手数料が11,000円かかってしまいます。

二人の証人が必要

秘密証書遺言の手続きを受ける場合に、二人の証人が必要です。

ちなみに、証人は遺言の内容を確認するわけではないため、遺言の内容が知られてしまうことはありません。

もっとも、公証役場に相談すれば証人は手配してくれます。

紛失するおそれがある

秘密証書遺言は公証人に確認をしてもらい、作成した記録が公証役場に残りますが、遺言書自体の管理は自身でおこなわなければなりません。

万が一紛失してしまうと、作成にかかった労力とお金が無駄になってしまうため注意しましょう。

遺言の確認には家庭裁判所の検認が必要

遺言者が亡くなったあと、すぐに秘密証書遺言の中身を確認することはできず家庭裁判所の検認を受けなければなりません。

秘密証書遺言では、自筆証書遺言と同様で、内容が遺言書について法律で定められている方式で記載されているかどうか、確認してもらう必要があります。

そのため、家庭裁判所の検認を受けます。

検認には一定の手間と時間が必要になるため、その期間は待っていなければなりません。

秘密証書遺言を作成する際の注意点

相続の意向を明確にする

遺言は正しい方法で書くようにしましょう。

法定相続人に対しては相続させる、法定相続人以外の人に対しては遺贈すると書くことが正しい方法です。

財産は特定して書く

記載する財産は正しく詳しく書きましょう。以下の例を参考にしてください。

  • 預貯金:銀行名、支店名、口座の種類、口座番号を書く
  • 不動産:登記簿の記載を間違いなく書く
  • 株式:銘柄や株数を間違いなく書く

全ての財産の相続者を指定する

遺言を残す人の財産の取り分などを、相続人同士が揉めないように、全ての相続財産の継承者を必ず指定しましょう。

借入金の負担者を指定する

相続財産に借入金などの負債がある場合、その負債の負担者も指定して書いておきましょう。

当該指定は債権者との関係では当然には有効ではありませんが、相続税負担の計算で重要となる場合もあります。

遺言執行者を指定する

遺言内容の遂行を円滑にするために、遺言執行者遺言で指定しましょう。

指定には住所と氏名を明記する必要があります。

付言事項で遺言者の想いを記す

相続財産の分配比率の理由や、遺言者が葬式の方法や、亡くなったことを誰に知らせて欲しいのかなどについて、秘密証書遺言を残した理由などを書き添えておくことができます。

付言事項に法的拘束力はありませんが、遺族にとっては亡くなった人の想いが知れる大切な記載内容となるでしょう。

 秘密証書遺言作成を弁護士に依頼した際のメリット

ここでは秘密証書遺言の作成のサポートを弁護士に依頼した際のメリットを紹介します。

遺言書作成時に内容に不備がないようにサポートを受けることができる

秘密証書遺言を、法的に効力を持たせるためには、形式、加除訂正の方法などが、一定の要件を満たしていなければなりません。

万が一不備があった場合、無効とされてしまいます。

無効となれば、遺産分割問題を複雑化させてしまう可能性があります。

この点弁護士に作成のサポートを依頼すれば、秘密証書遺言作成時に形式などについて無効とならないようにサポートを受けることができます。

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遺言書の保管を依頼できる

秘密証書遺言は、公正証書遺言と違い、遺言者自身で保管しなければなりません。

遺言書の内容はデリケートであり、場合によっては破棄されてしまう可能性もあります。

また、遺言書は確実に発見されなければなりません。

もし分かりにくいところで保管していると、死後発見されず、遺言内容が実現しない可能性があります。

弁護士に依頼をしていれば、保管、管理をおこなってくれます。

そうすれば、生前は他人の目に触れることを避けることができ、破棄や変造の可能性が消えます。

また死後は相続人に対して確実に遺言書の報告をおこなってくれます。

検認手続きを代わりにおこなうこともできる

秘密証書遺言は家庭裁判所での検認を受ける必要があります。

検認には約一ヵ月程度の時間がかかります。

また秘密証書遺言の内容を実現するためには、検認は必要不可欠です。

たとえば検認を受けていないにもかかわらず不動産の登記をしようとしても、認められません。

弁護士に依頼をしていれば、検認手続きを代行してくれるので、相続人等が手を煩わせることがありませんし、検認手続きの必要性を相続人等が知らず、検認手続き前に相続等をおこなう心配もありません。

まとめ

遺言者が何らかの理由で、遺言内容を知られたくない場合に有効なのが秘密証書遺言です。

多少の手間や費用がかかってしまいますが、自筆で作成する必要がなく偽造の心配がないことがおわかりいただけたでしょうか。

今回の記事が遺言の選択の助けになれば幸いです。

秘密証書遺言の作成を検討している方へ

秘密証書遺言は、方式不備により無効になる危険性が高いです。

せっかく作成したのに、遺言書が認められないという事態は避けたいことでしょう。

遺言書の形式は3つあります。

秘密証書遺言の作成を検討している方は、弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に相談すれば、以下のようなメリットがあります。

  • 自分の状況にあっている遺言書の形式が分かる
  • 相続トラブルにならない遺言書の内容の助言が受けられる
  • 遺言書を書くときの注意点を知れる など

弁護士には守秘義務があります(弁護士法第23条)。あなたの相談が外部に漏れる心配はありません。

初回相談が無料の弁護士事務所も多数掲載しているので、まずはお気軽にご相談ください。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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