成年後見人にかかる費用は、申立て時の実費だけでなく、毎月の報酬が本人の死亡まで発生し続ける点が大きな特徴です。
「誰がいくら払うのか」「払えない場合はどうすればいいのか」と不安を感じている方は多いでしょう。
成年後見制度は、基本的に一度始めたら途中でやめられません。
開始前にコストを確認しておく必要があります。
本記事では、成年後見人の申立てにかかる費用・毎月の報酬相場を詳しく解説。
費用を誰が負担するのか、払えない場合の支援制度も順に解説します。

成年後見制度とは、認知症や知的障害などにより判断能力が不十分になった人の財産管理・身上保護を、法的に支援するための制度です。
本人に代わって契約を締結したり、不当な取引を取り消したりする権限が後見人に与えられます。
財産を守りながら、本人の生活を安定させることが制度の目的です。

成年後見制度は、後見人を家庭裁判所が決める法定後見制度と、後見人を事前に自分で指定できる任意後見制度の2つがあります。
| 法定後見制度 | 任意後見制度 | |
|---|---|---|
| 概要 | 認知症や精神・知的障がいで判断能力が不十分な方の権利を守るため、家庭裁判所が支援者を選ぶ制度 | 本人の判断能力が低下する前に任意後見契約を結び、能力低下後に後見人が支援を始める制度 |
| 選任方法 | 家庭裁判所が選任 | 本人が事前に選択 |
| 類型 | 本人の能力に応じて後見・保佐・補助の3つの類型にわかれる | 保佐や補助の類型はなし |
すでに判断能力が衰えており、成年後見人(あるいは保佐人・補助人)の早急な選任が必要な場合に活用するのが法定後見制度です。
本記事では、法定後見制度を利用する際に必要となる費用について、詳しく紹介します。
なお、任意後見制度について詳しく知りたい方は「任意後見と成年後見の違いは何?権限やどんなときに効力が発動するかを比べて解説」もあわせてお読みください。

法定後見制度を利用する際にかかる費用は、大きく分けて「申立て費用」と「成年後見人への報酬」の2種類があります。
申立て費用とは、制度の利用開始のために家庭裁判所へ申立てをおこなう際に必要となる初期費用。
目安として2万円程度がかかります。
一方、成年後見人への報酬は、選任された成年後見人に対して後見業務の対価として制度の利用期間に支払うもの。
原則として毎月発生するランニングコストで、月額2万円~6万円程度が目安です。
次からは、それぞれの費用について詳しく見ていきましょう。
成年後見制度を利用するには、手続きの開始にあたって一定の初期費用が発生します。
費用の種類は、手続きの実費・精神鑑定費用・専門家への申立て代行費用の3つです。
それぞれの相場を把握したうえで、準備を進めましょう。
申立てに必要な書類の取得や手数料など、手続き上の実費は必ず発生します。
総額の目安は 2万円前後です。
| 必要書類 | 費用の目安 |
|---|---|
| 戸籍謄本 | 450円程度 |
| 住民票または戸籍附票 | 300円程度 |
| 診断書 | 5,000円~10,000円程度 |
| 後見登記されていないことの証明書 | 300円 |
| 残高証明書 | 1,000円程度 |
| 不動産の登記事項全部証明書 | 600円 |
| 郵便切手代 | 3,000円~5,000円程度 |
| 後見登記手数料 | 2,600円(収入印紙) |
| 申立て手数料 | 800円(収入印紙) |
成年後見人の申立書には、裁判所が指定する戸籍謄本を添付する必要があります。
戸籍謄本の取得費用は「1通につき450円程度」です。
申立ての内容や親族関係の複雑さによって、複数の戸籍謄本を取得しなければならないケースも少なくありません。
場合によっては、戸籍謄本の取得費用だけで数千円から1万円を超える場合もあるでしょう。
成年後見人の申立書には、後見人候補者の住民票または戸籍附票の提出を求められます。
住民票・戸籍附票の発行手数料は「1通につき300円程度」です。
しかし戸籍謄本と同じく、事案によっては複数の書類が必要になる場合は費用も増加します。
たとえば、複数の後見人候補者がいる場合や、過去の住所歴を証明するために戸籍附票を複数取得する必要がある場合などです。
診断書の作成費用は医師・病院によって異なりますが、 5,000円から10,000円程度が目安です。
成年後見人の申立てをおこなう場合、原則として主治医などが作成した診断書の提出が必要です。
本人の判断能力の程度を医学的に評価するもので、後見・保佐・補助のどの類型に該当するかを判断する資料となります。
申立て対象者がすでにほかの成年後見制度(後見・保佐・補助)を利用していないことを示すための書類が必要で、取得費用は「1通につき300円」です。
収入印紙を貼付して納付します。
全国の法務局や地方法務局本局の戸籍課窓口で申請・取得可能です。
ただし、支局や出張所では取り扱いがないためご注意ください。
残高証明書の取得にかかる費用は金融機関によって異なりますが、一般的に1,000円程度がかかります。
残高証明書は、金融機関の特定日における預貯金残高を証明する書類です。
本人の財産状況を正確に把握するために必要となります。
複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれで取得手続と手数料が発生するため、事前に各金融機関の手数料を確認しておくのがおすすめです。
また、証券会社に口座があると有価証券の残高証明書も必要になる場合もあります。
不動産の登記事項全部証明書の取得にかかる費用は「1通あたり600円」です。(オンライン請求で窓口受取の場合は490円、オンライン請求で普通郵便での郵送の場合は520円)
不動産を所有している場合は、本人の財産状況を示す資料として登記事項全部証明書が必要です。
複数の不動産を所有している場合は、それぞれの物件ごとに証明書の取得が求められます。
成年後見の申立て手続きでは、家庭裁判所が関係者に書類を送付したり、登記を嘱託したりする際に郵便切手が必要となります。
必要な切手の金額や内訳は申立てをおこなう家庭裁判所によって異なりますが、 3,000円~5,000円程度が目安です。
家庭裁判所によって必要な金額・内訳が異なるため、申立て先に事前確認をしてください。
後見開始の審判後に法務局へ登記をおこなう手数料として、2,600円が必要です。
収入印紙を購入して申立書に貼付する形で支払います。
後見登記は、成年後見人などの選任やその権限範囲を公示する重要な手続きで、取引相手や金融機関が成年後見人の権限を確認するため3に利用されます。
家庭裁判所に後見開始の申立てをする際に納める手数料で、800円分の収入印紙を申立書に貼付して提出します。
申立ての類型(後見・保佐・補助)にかかわらず金額は同一です。
収入印紙は郵便局や法務局などで購入できます。
家庭裁判所が必要と判断した場合、医師による精神鑑定がおこなわれます。
費用の相場は10万円~20万円程度です。
裁判所が指定した医師に対して本人の財産から支払ってください。
医師の精神鑑定は全ての申立てで実施されるわけではありません。
実施される割合は全申立件数の約3%~4%程度(※)で、多くのケースでは鑑定なしで手続きが進みます。
※参照元:最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」(令和7年1月~12月)
専門家に申立書類の作成や手続きの代行を依頼する場合、別途費用が発生します。
相場は10万円~30万円程度で、事務所や依頼内容によって異なります。
| 専門家 | 業務範囲 | 費用相場 |
|---|---|---|
| 弁護士 | 申立書類の作成・収集、裁判所対応、後見人候補者の選定、制度比較の提案、親族間トラブルへの対応 | 15万円~30万円程度 |
| 司法書士 | 申立書類の作成・収集、裁判所への書類提出 | 10万円~20万円程度 |
| 行政書士 | 申立書類の作成・収集(裁判所への提出・代理は不可) | 10万円~15万円程度 |
書類作成や手続きを自分でおこなうなら不要な費用ですが、書類の複雑さや精神的な負担を考えると、専門家への依頼を検討する価値は十分にあるでしょう。
特に弁護士であれば申立代行だけでなく、後見人候補者の選定や制度の比較提案まで一括して対応してもらえます。

成年後見制度を開始すると、後見人へ報酬を毎月支払わなくてはいけません。
報酬額は後見人が自由に設定するのではなく、家庭裁判所が本人の財産状況や業務内容をもとに決定します。
報酬は基本報酬、付加報酬の2種類。
別途、監督人が選任された場合の報酬もかかります。
基本報酬は、成年後見人が通常の後見業務をおこなう際に支払われる報酬です。
費用の目安は「月額で2万円から6万円程度」とされており、管理する財産の額に応じて基本報酬が決められるのが一般的です。
たとえば、東京家庭裁判所および東京家庭裁判所立川支部では、以下の基準が公表されています。
| 管理財産額 | 月額報酬の目安 |
|---|---|
| 1,000万円以下 | 月額2万円 |
| 1,000万円超~5,000万円以下 | 月額3万~4万円 |
| 5,000万円超 | 月額5万~6万円 |
参照元:東京家庭裁判所 東京家庭裁判所立川支部「成年後見人等の報酬額のめやす」
財産額が多いほど報酬が高くなる仕組みです。
本人の財産が多い場合、毎月の負担も大きくなる点を理解しておきましょう。
後見人が通常の財産管理に加えて、特別に困難な業務をおこなった場合、基本報酬とは別に付加報酬が認められます。
付加報酬の上限は基本報酬額の50%以内です。
具体的には、以下の手続きが該当します。
全ての後見人に毎月発生するわけではなく、該当する業務があった期間のみ家庭裁判所が認める形で発生します。
家庭裁判所が必要と判断した場合、後見人の業務を監視・監督するための成年後見監督人が別途選任されることがあります。
監督人への報酬は、後見人報酬とは別枠で月額1万円~3万円程度です。
| 管理財産額 | 監督人報酬の目安 |
|---|---|
| 5,000万円以下 | 月額1万~2万円 |
| 5,000万円超 | 月額2万5,000円~3万円 |
監督人が選任されるケースとしては、後見人と本人が親族関係にある場合や、管理財産が高額な場合が挙げられます。
後見人報酬と監督人報酬の合計額が、毎月の実質的な負担です。
専門職後見人(弁護士や司法書士、行政書士など)が、親族後見人と比べて報酬が高くなることは基本的にありません。
成年後見人の報酬額は、業務の内容や本人の財産状況をもとに家庭裁判所が公平に決定するものであり、後見人が自由に金額を設定できるわけではないためです。
ただし、管理する財産が高額だったり親族間の紛争解決といった専門的な対応が求められたりするケースでは、弁護士が後見人に就任する可能性が高まります。
結果、特別な業務に対して付加報酬が認められやすくなり、報酬総額が親族後見の場合よりも高くなるでしょう。
なお、親族が成年後見人に選任された場合、報酬を請求せず無報酬とするケースも多く見られます。
本人への扶養義務の一環として捉える家族や、報酬を受け取ることへの遠慮から、あえて無報酬を選択する方が実情として多いようです。
成年後見人への報酬の支払いは、後見人の任務が終了するまで払い続けます。
任務が終了するのは、以下の場合です。
| 任務終了時 | 具体例 |
|---|---|
| 本人が死亡したとき | — |
| 成年後見人が死亡したとき | — |
| 家庭裁判所によって後見開始の審判が取り消されたとき | 本人の判断能力が回復した |
| 成年後見人が辞任したとき | 病気や高齢で任務を遂行できなくなった、遠方へ転居した など |
| 成年後見人が欠格事由に該当した | 後見人が自己破産した、行方不明になった など |
| 成年後見人が家庭裁判所によって解任されたとき | 正当な理由なく職務を放棄した、後見人が本人の財産を横領した など |
認知症などの病気は医学的に完治が難しいため、基本的には本人が亡くなるまで後見業務が継続します。
途中で「費用が高い」「家族で面倒を見ることになった」といった事情があっても、自己都合による中途解約は法的に一切認められません。
例えば80歳の親に後見人をつけ、90歳で亡くなるまでの10年間、専門家が後見人を務めた場合を試算すると、報酬の累計額は約240万円~720万円(※)にもなります。
制度を開始する前に、本人の財産がいつまで報酬を賄えるかシミュレーションしておくことが重要です。
※月額2万円~6万円で計算

成年後見人の費用は、原則として全て本人(被後見人)の財産から支払われます。
成年後見制度は本人の生活と財産を守るための制度であるため、本人の預貯金・年金・不動産などの個人資産から差し引かれる仕組みです。
申立て時の実費(印紙代や診断書代など)を親族が一度立て替えた場合でも、家庭裁判所の許可があれば、審判後に本人の財産から精算して回収できます。
家族や親族が自己資金から後見費用を持ち出す必要はないため、親族側の金銭的負担はありません。
本人の財産がどの程度あるかを事前に整理し、長期的に報酬を賄えるかどうかを確認しておきましょう。
本人の資産が少なく、成年後見人の費用を支払うのが困難な場合でも、①自治体の利用支援事業、②法テラスの立替制度の2つが利用できます。
いずれの制度も低所得者向けの利用要件が設けられていますが、要件を満たせば費用負担をほぼゼロにするか、大幅に軽減したうえで後見制度を利用できます。
費用が払えないからといって、判断能力がない親をそのまま放置する必要はありません。
弁護士や司法書士に支払う申立て代行費用を準備できない場合は、法テラスの「民事法律扶助制度」を利用できる可能性があります。
制度の利用で、費用の立て替えと分割払いが可能です。
具体的には、法テラスが専門家への手数料を一時的に全額立て替え、利用者は毎月5,000円~10,000円程度の無理のない範囲で分割返済していきます。
生活保護受給者の場合は、返済義務が免除または猶予される特例も用意されています。
利用には、本人および配偶者の手取り月収や保有資産が一定基準以下であることなどの資力要件をクリアする必要があります。
| 家族人数 | 収入基準 | 資産基準 | |
|---|---|---|---|
| 生活保護の基準に定める一級地 | そのほか | 地域共通 | |
| 一人 | 200,200円以下 | 182,000円以下 | 180万円以下 |
| 二人 | 276,100円以下 | 251,000円以下 | 250万円以下 |
| 三人 | 299,200円以下 | 272,000円以下 | 270万円以下 |
| 四人 | 328,900円以下 | 299,000円以下 | 300万円以下 |
※生活保護の基準に定める一級地:東京都特別区・大阪市など
※家賃や医療費などを支払っていれば要件を満たしていなくても利用できる場合あり
詳しい基準は法テラスの公式サイトまたは最寄りの法テラスで確認してください。
各市区町村では「成年後見制度利用支援事業」などの名称で、成年後見制度の利用に対する助成制度を設けています。
申立書作成費用や成年後見人の報酬にかかる費用の一部が助成される制度です。
たとえば、東京都目黒区では以下のように条件・支給額を定めています。
| 利用対象者 | 目黒区内に住所を有する者で、以下のいずれかに該当する者 ①生活保護受給者(被保護者) ②後見人報酬の負担により生活保護が必要な状態となる者 ③その他、会長が必要と認める者 |
|---|---|
| 助成金額 | 在宅生活者 月額上限 28,000円 施設入所者 月額上限 18,000円 |
| 助成期間 | 原則12か月分まで(年度ごとに更新) |
※参照元:目黒区社会福祉協議会「成年後見制度報酬助成事業実施要領」
助成要件や上限額は市区町村ごとに独自に設定されています。
利用を検討する場合は、事前に居住地の自治体に確認してください。
成年後見人の費用を抑えるには、以下の2つの方法が有効です。
親族が後見人に就任し、無償で活動すると決めれば、毎月の後見人報酬は発生しません。
ただし、管理財産が1,000万円以上ある場合は裁判所の判断で専門家が選任されやすく、実現できないケースもあります。
なお、監督人が選任された場合はその報酬(月1万~3万円程度)が別途発生するため、完全に無償になるとは限らない点は把握しておきましょう。
また、申立て手続きを自分でおこなうと、弁護士や司法書士への代行費用を節約できます。
相続関係がシンプルで、書類収集や申述書の作成に時間を割ける場合は、自分で手続きを進める選択肢も検討してみてください。
ただし、手続きが複雑な場合や期限が迫っている場合は、専門家への依頼をおすすめします。
成年後見制度は、判断能力が低下した本人を強力に保護できる制度ですが、同時に財産の自由な管理や運用ができなくなるなどの制約も伴います。
「費用がかかり続ける」「一度始めたら途中でやめられない」という実態を理解せずに利用し、後から親族間で揉めるケースは少なくありません。
本人の財産を守るという目的と、家族全体の生活の利便性を天秤にかけたうえでの判断が重要です。
後見制度を利用する主なメリットは次のとおりです。
後見人が財産を一括管理するため、親族による勝手な引き出しや詐欺による財産搾取を防止できます。
また、本人がサインしてしまった不当な高額商品やリフォーム契約は、後見人の取消権によって事後的に無効化できる点も見逃せません。
さらに、本人が参加できない場合でも、後見人が代理人として遺産分割協議・不動産売却・施設入所契約を有効に締結できます。
本人の判断能力がない状態では進められなかった手続きが、後見制度によりスムーズに動き出す点は大きな利点です。
一方、成年後見制度を利用するデメリットは主に次のとおりです。
本人の生活・看護に必要な使途以外の金銭移動は裁判所に差し止められ、親族への仕送りや援助も困難になります。
生前贈与やアパート経営・株式投資などの積極的な節税・資産形成は「財産を減少させるリスク」とみなされ、認められません。
相続税対策として生前から動いていた場合も、後見開始後は原則として停止することになります。
また、途中で「費用がかかるから」「自分たちで面倒を見るから」という理由で中止できません。
生涯にわたり維持コストを支払い続ける責任を負う点は、利用前に必ず理解しておくべきです。

成年後見制度を利用すべきかどうか、本人の判断能力がどの程度あるかの判断は、法律と相続の実務に精通した弁護士に早めに相談することをおすすめします。
成年後見を一度開始すると途中で辞められないため、自己判断のみの安易な申立ては避けるべきです。
弁護士であれば、本人の判断能力の段階に応じて「法定後見」が適切か、「家族信託」などの柔軟な生前対策が可能かについて、別ルートとの比較提案もおこなえます。
また、家庭裁判所への申立書類の作成や精神鑑定に向けた準備も、弁護士のサポートがあればスムーズに進められます。
親の財産をめぐる問題は放置するほど選択肢が狭まるため、少しでも不安を感じたら早期に専門家へ相談してください。
成年後見の検討や親族間での相続トラブルに強い弁護士を効率よく探すなら、ポータルサイト「ベンナビ」の活用が有効です。
地域・相談内容(成年後見・相続など)・初回無料相談・オンライン面談可能などの条件で絞り込み、最適な弁護士を素早く検索できます。
弁護士の顔写真や解決実績、相談者の口コミ情報が充実しているため、弁護士探しへのハードルが下がるのもメリットです。
親の財産問題は、放置するほど深刻化します。
まずはベンナビで身近な相談先を見つけることから始めてみてください。
成年後見人の費用について、当事者やご家族から相談頻度の高い疑問をQ&A形式で解説します。
制度の利用を判断する際の参考にしてください。
個別の事情に関しては、弁護士への直接相談をおすすめします。
複数の成年後見人が選任された場合でも、本人が支払う報酬の総額は原則として増えません。
一人分の基本報酬(月額2万~6万円程度)が、各後見人の業務量や分担に応じて按分されます。
ただし、成年後見監督人が別途選任された場合の監督人報酬(月1万~3万円程度)は、後見人の取り分とは別枠で追加発生します。
その分は負担増となるため、監督人が選任される可能性があるかどうかも事前に確認しておきましょう。
親族が成年後見人になり、報酬付与の申立てをしない(無償で活動する)と決めれば、毎月の後見人報酬は発生しません。
ただし、親族が後見人になった場合でも、裁判所の判断で成年後見監督人が選任されると、監督人報酬(月1万~3万円程度)は別途発生します。
なお、管理する流動資産が1,000万円以上ある場合は、裁判所の職権で専門家が後見人に選ばれる確率が高いのが実情です。
実質、親族単独での無償後見を実現できないケースも少なくありません。
家庭裁判所による定期的な監査や、不正を物理的に防ぐ仕組みが整っているため、不正のリスクは極めて低く抑えられています。
後見人は年1回以上、全ての収支報告書と通帳のコピーを裁判所に提出して監査を受ける義務があります。
また、不正行為の防止には、後見制度支援信託や後見制度支援預金も有効です。
日常生活費以外の高額な預金は裁判所の指示書がなければ引き出せない口座に固定されるため、使い込みが物理的に不可能になります。
万が一、専門家後見人が不正をおこなった場合は、各士業団体の補償基金や賠償保険による補填に加え、刑事告発による厳罰が科されます。
売却は可能ですが、売却対象が本人の居住用不動産である場合、必ず事前に家庭裁判所の許可(居住用不動産処分の許可)が必要です。
老人ホームに入居して空き家になっている実家であっても、本人の生活の基盤であった場合は居住用不動産に該当します。
裁判所の許可なく売却契約を交わすと、契約自体が無効になるので注意しましょう。
後見人の費用や介護・入院費用を捻出するために「ほかに方法がない」といった経済的合理性が認められれば、売却許可が下りる可能性は高いです。
まずは成年後見人に相談し、裁判所への申立て手続きを進めてください。
生活保護受給者であっても、成年後見制度の利用は可能です。
費用面は公的支援制度で負担を大幅に軽減できます。
申立て時にかかる専門家(弁護士・司法書士)への代行費用は、法テラスの民事法律扶助制度を利用することで、費用を一時的に立て替えてもらえます。
ただし、あくまで立替えであるため、後日分割で返済する必要があります。
生活保護受給者の場合は返済が猶予・免除される特例が適用される場合もあるため、法テラスに直接確認してください。
また毎月の後見人報酬は、各市区町村の成年後見制度利用支援事業による助成を活用しましょう。
助成の対象や上限額は自治体ごとに異なりますが、生活保護受給者や報酬負担により生活保護が必要になる者が主な対象です。
手続きは、居住地の自治体窓口や地域包括支援センターに確認してください。
成年後見人には、申立て時の実費(約2万円)に加え、毎月発生する報酬(月額2万円~6万円)の費用がかかります。
さらに、精神鑑定が必要な場合や、専門家に申立て代行を依頼した場合は別途費用が発生する仕組みです。
| 初期費用 | 申立て時の実費 | 約2万円 |
|---|---|---|
| 精神鑑定 | 10万円~20万円 | |
| 専門家へ支払う申立て代行費用 | 10万円~30万円 | |
| 毎月支払う報酬 | 基本報酬 | 月額2万円~6万円 |
| 特別な業務時の付加報酬 | 基本報酬額の50% | |
| 成年後見監督人 | 月額1万円~3万円 |
費用を負担するのは親族ではなく本人の財産であるため、制度を開始する前に本人の財産が長期にわたって報酬を賄えるかどうかの確認が必要です。
現状、一度開始すると原則として取り消せない制度であるため、本当に成年後見を選択すべきか判断することをおすすめします。
申立て前に弁護士へ相談すると、後悔なく制度を選択できるでしょう。
成年後見制度や親族間での相続トラブルに悩んでいる方は、ベンナビ相続で弁護士を探してみてください。
この記事では、成年後見人とはどういったものか、何の役割があるのか、誰がなれるかなどについてわかりやすく解説しています。成年後見人のメリットや利用するための手続き...
本記事では、成年後見人の申立てにかかる費用・毎月の報酬相場を詳しく解説。費用を誰が負担するのか、払えない場合の支援制度も順に解説します。
成年後見人の相場はある程度決まっています。ただ特別な事情がある場合は、付加報酬として払う・もらえる金額が増えるでしょう。当記事では、成年後見人の報酬額の目安や不...
自分が寄与分をもらえるかわからない人は一読することをおすすめします。この記事では、寄与分が認められるケース・計算方法・遺留分との関係・調停の仕方など、寄与分につ...
遺産放棄と相続放棄では、それぞれ効果が異なります。相続発生時に誤った選択をしないためにも、それぞれの特徴を正しく理解しておきましょう。この記事では、遺産放棄と相...
成年後見人となるには資格は必要なのでしょうか。この記事では成年後見人となれる人となれない人、さらに、なれる人の中で選任される基準について解説します。
遺言書が見つかった際、まずおこなうのが「検認」です。当記事では、具体的な検認の必要性や申し立ての方法を解説。検認をおこなうときのポイントも解説するので、ぜひ参考...
民事信託(みんじしんたく)とは、営利を目的としない信託のことで、信託銀行の取り扱う信託商品や投資信託(商事信託)とは違い、財産の管理や移転・処分を目的に家族間で...
任意後見制度の役割は、判断能力が低下(認知症など)する前に『後見人』を決めることで、財産管理や介護の支援が受けられるというものです。本記事では任意後見制度の目的...
家族信託とは、認知症などによる資産凍結のリスクに備えて、自分の財産を管理・運用する権限を家族に与える制度のことです。本記事では、家族信託の手続きにかかる費用の内...
本記事では成年被後見人・被保佐人・被補助人の概要や違い、それぞれの支援者が担う役割などをわかりやすく解説します。本記事を読めば成年被後見人・被保佐人・被補助人の...
本記事では、新宿区で利用できる相続の無料相談窓口を9つご紹介します。あわせてご自身の状況に合った専門家の選び方や、相談を有効活用するコツまで解説します。
成年後見人には、弁護士や司法書士だけでなく家族・親族もなることができます。そのため、誰を成年後見人に選任するかは慎重に考えなければなりません。本記事では、成年後...
「後見人」とは、本人の財産を守ることなどを目的として、判断能力が低下した本人に代わって契約などの法律行為をする人です。本記事では後見人の役割や、本人の子どもでも...
成年後見制度とは「認知症や精神上の障害などにより判断能力が低下した人を支援するための制度」で、制度の恩恵を受ける人のことを成年被後見人、支援をおこなう人のことを...
任意後見制度を利用するためには、財産管理をおこなう任意後見人と、任意後見人の働きを監督する任意後見監督人を選任する必要があります。 本記事では任意後見制度にお...
成年後見制度は、認知症などを理由に判断能力が低下している人へ法律行為のサポートをするための制度です。本記事では、成年後見制度の手続きを、自分でする方法について解...
親族でも成年後見人になれるのか疑問に感じていませんか?親族が成年後見人になることで、どのようなメリットがあるのかも気になるところでしょう。この記事では、親族が成...
本記事では、成年後見制度の利用を検討している方に向けて、成年後見人への報酬は誰が支払うのか、報酬を支払えない場合はどうなるのか、後見開始の申し立て費用は誰が支払...
相続で成年後見人を申し立てる際は、医師の診断書が必要です。診断書の内容をもとに「成年後見人のサポートが必要かどうか」が判断されるため、正しい取得方法を知っておき...