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2019年09月17日

成年後見制度とは?成年後見人を選出すべきケース・なれる人・申立て手続きの方法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Seinenkouken
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成年後見制度(せいねんこうけんせいど)とは、認知症などで判断能力が十分ではない方を法律的に支援・援助するための制度であり、任意後見(※1)・法定後見(※2)の2つがあります。

(※1)任意後見…専門家・弁護士などに依頼する
(※2)法定後見…判断力の衰えた本人の代わりに親族が後見人になる

成年後見制度で成年後見人の申立て手続き(成年後見制度)を活用することで、もし被相続人(財産を持っている人)が認知症や知的障害、精神障害などによって冷静な物事の判断がつかなくなった場合、被相続人の死後もスムーズな遺産分配を行えます。

仕事などで時間が取れない人は任意後見を利用し、自分で「身内の面倒を見るぞ」という人は法定後見の手続きをしましょう。

ここでは、成年後見制度のメリット仕事内容・任意、法定後見人への手続きをお伝えし、専門家に依頼をするか自分が後見人になるかの基準にしていただければ幸いです。

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成年後見人の申し立てに関するお悩みなどは弁護士へご相談ください

​成年後見制度の利用を弁護士に依頼することで、下記のような問題が解決できます。

  • 加齢などにより判断力が低下しているので相続が心配
  • 親族間に紛争を抱えている
  • 本人の財産を親族が勝手に浪費している
  • 少々複雑で難しい法的な問題を抱えている
  • 財産の管理を信用できる人に任せたい
  • 身寄りがないので施設や病院、死後の手続きが心配
  • 知的障害を抱えた親族がいる場合の対処 など

上記のようなお悩みは弁護士への相談で解決できるかもしれません。相続に詳しい弁護士ならば、成年後見制度を活用した相続のアドバイスが可能です。

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目次

成年後見制度とは|成年後見制度の基本的な概要

成年後見制度の意義は、例えば一人暮らしの高齢者が悪質な訪問販売に騙されて高額な商品を買わされてしまうといったトラブルの防止や、振り込め詐欺に被害を事前に食い止めたり、事後的に被害を回復することができるという点ですね。

まずは、成年後見制度の基本的な概要をご紹介してきます。

成年後見制度の種類

成年後見制度には「すでに判断能力が低下している人のための法定後見制度」と「今は元気だけど今後のことを考えると不安な場合の任意後見制度」の2タイプがあり、成年後見制度を利用しようと思っている方は、このタイプ別で利用することができます。
 

法定後見制度

法定後見制度とは、本人の判断能力の程度や各々の事情に応じて「後見」「保佐」「補助」の3つの制度を選べるようになっています。

家庭裁判所によって選ばれた成年後見人等(成年後見人・保佐人・補助人)が本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。

任意後見制度

任意後見制度は、本人が契約などの締結に必要な判断能力をまだ持っているうちに、将来的に自己の判断能力が不十分になったときの為に後見事務の内容と後見する人を、事前の契約によって決めておく制度です。

今は元気だが、将来は認知症になってしまうかも、という不安を感じている方が、将来を見越して契約し、認知症になったと思ったタイミングで家庭裁判所に申し立てをして任意後見監督人の選任をしてもらうといった手順になります。

成年後見制度を利用するメリットとデメリット

成年後見は便利な制度でメリットもありますが、以下のようなデメリットもあります。
 

メリット

  • 本人や家族の意思により、信頼できる方を成年後見人、保佐人、補助人に選任することができる。

  • 判断能力が減退した方の財産管理、身上監護をすることができる。

  • 不利益になる契約を締結してしまうリスクがなくなる。

デメリット

  • 企業の取締役などに就けない

  • 手続きに時間がかかる

  • 判断能力の減退確認が不十分になる可能性がある

  • 任意後見監督人の選任申立てを行わない可能性がある。

  • 判断能力が減退している状態につけ込んで悪用される可能性がある

  • 通常月額3万円程度の金銭負担がかかる

利用者数の割合

平成29年における成年後見関係事件の申立件数は合計3万5,737件で、同年末時点の成年後見制度の利用者は21万290人にのぼり、 ここ数年は毎年1万人前後のペースで増加しています。日本は超が付く高齢社会に突入しているので、今後も利用者数の増加が見込まれます。

申立人と本人との関係別件数

成年後見の申立人と本人の関係

引用:成年後見関係事件の概況|裁判所

申立人と成年後見制度を利用する本人の関係は子が最も多い9,641人、次いで市区町村長が7,037人、その他親族の4,459人と続いています。男女別の割合は、男性が約4割、女性が約6割となっており、男女で最も多いのは80歳以上の利用者です。

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成年後見人を選出しなければいけないのはどんなケース?

成年後見人が必要になるケースについて、さらに掘り下げてみます。成年後見人を付けることが有効になる例を見てみましょう。

ケース1:有料老人ホームに入居させてあげたい場合

父親が重度の認知症を発症し、徘徊や物盗られ妄想が頻発するようになり、意思の疎通は取れない。同居の家族は独身の息子のみで、収入は父親の年金と息子の給料を足しても平均賃金をはるかに下回る。父親の世話をするため、息子は会社を辞めてアルバイトをしている。

自宅は古くて資産価値はないが、土地は十分高値で売れることがわかった。

そこで息子が成年後見人になり、父親の代わりに土地付きで自宅を売却。その利益で父親を認知症対応の有料老人ホームに入居させ、息子はアパートに引っ越し、正社員になれる会社に就職した。

ケース2:訪問販売のターゲットになっている祖母を救う場合

高齢女性が1年間に2度も悪質な訪問販売の被害に遭い、総額で100万円以上を支払ってしまった。

遠方に住む姪が成年後見人になることで、高齢女性が高額の売買契約を結んでも、姪の同意がなければ後で売買契約を取り消すことができるようになった。

ケース3:要介護認定受け軽度の認知症と診断された場合

高齢男性は一人暮らしで、土地やアパートや株式など1億円近い資産を保有していた。万が一のことがあれば、近くに住み、面倒を見てくれる次男に多くの財産を遺したいと思っていた。長男と三男は遠くに住んでいるうえに数年に一度しか訪問に来ないからだ。

高齢男性は自宅で転倒し、救急搬送された。1ヶ月の入院となり、その後も車いす生活となった。要介護認定を受けるためにクリニックを受診したところ、軽度のアルツハイマー型認知症と診断された。

高齢男性はショックを受けたが、認知症が進行して自分の判断で財産を処分できないのは悔いが残ると考え、弁護士を成年後見人にした。

このように、成年後見人を付けると、課題を解決できたり、将来の不安を解消できたり、直接的なメリットを得たりすることもできます。

本人も家族も、「もしもの前」と「もしものとき」には、成年後見人について検討しましょう。

2つの成年後見制度のどちらを選ぶべきか

成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」の2種類があることは前述した通りですが、ここではそれぞれの特徴を確認し、どちらを選ぶべきなのか考えていきましょう。

法定後見制度のメリットと選択すべき判断基準

法定後見人は、基本的には家庭裁判所から選任された人がなりますので、本人や家族の希望が必ずしも通るとは限りません(希望する者を推薦することは可能ですが、裁判所はこれに拘束されません。)。平成29年次のデータでは、成年後見人等と本人との関係では「司法書士」「弁護士」「子」の順に多くなっています。

成年後見人等と本人との関係別件数

成年後見人等と本人との関係
引用:成年後見関係事件の概況|裁判所


ほかにも兄弟姉妹などの親族が後見人等に選任されるケースが多いですが、仕事内容が複雑であったり、トラブルが予想される場合は、親族等を希望した場合でも、家庭裁判所の判断で弁護士などの専門家が選ばれることがあります。

法定後見人を選択すべきケース

すでに判断能力が低下していて、自分で書面契約などが必要なサービスや、身の回りの財産管理が困難な場合に利用します。また、ヘルパーの手配、入院したりした場合、その人のために、取消や(同意権・取消権)、入院契約(代理権)をすることができます。
 
すでに判断能力が不十分になっているので、任意後見契約(後述)の締結は困難と思われますので、この場合は、法定後見制度を選択せざるを得ないといえます。法定後見人制度には「補助」「保佐」「後見」の3つのパターンがあります。

補助型

補助人には、民法第13条第1項で定められているもののうち、家庭裁判所が認めた範囲で同意、取消、代理の権利が認められています。

【民法第13条第1項】
・貸金の元本の返済を受けたり、預貯金の払戻しを受けたりすること。
・金銭を借り入れたり、保証人になること。
・不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。
・民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。
・贈与すること、和解・仲裁合意をすること。
・相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。
・贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。
・新築・改築・増築や大修繕をすること。
・一定の期間を超える賃貸借契約をすること。
引用元:民法第13条

保佐型

保佐人については、上記民法13条の定める行為について、同意、取消、代理権が与えられます。

後見型

後見人については、財産に関するあらゆる法律行為について、取消・代理権が認められます。同意見がないのは、被後見人にはそもそも行為能力がなく、同意に基づいて自ら法律行為を行うことが予定されないためです。もっとも、後見制度の下でも、日用品の購入などの日常生活に関する法律行為については取消対象とならないとされています。

法定後見人制度のメリット

  • 本人や家族の意思により、信頼できる方を成年後見人、保佐人、補助人に選任することができる

  • 不利益になる契約をしても事後的に取り消すことができる

法定後見人制度のデメリット

  • 選任されるまでに一定期間が必要なため、迅速性に欠ける

 
このケースに当てはまり、手続きを行う方は「法定後見制度を利用する場合」をご確認いただければと思います。

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任意後見制度のメリットと選択すべき判断基準

任意後見契約を結んだ相手であれば、誰にするか、どこまでの後見業務を委任するかは自由に決めることができます。ただし、一身専属権は任意後見契約の内容にすることができないとされています。

今は元気で判断能力や記憶力もしっかししていても、今後のことを考えるといつ認知症になってもおかしくないという不安を抱えている場合に、任意後見人制度を利用するとよいでしょう。
 

任意後見人を選ぶメリット

  • 本人の判断能力が低下する前に後見人が選べる

  • 任意後見人の地位が登記により公的に証明される

  • 家庭裁判所が任意後見監督人を選任することでその業務をチェックできる

任意後見人を選ぶデメリット

  • 死後の後処理までは任せられない

  • 契約の取消権がない

  • 任意後見契約を公正証書で作成する必要があるなど手続きが若干煩雑である


このケースに当てはまり、手続きをご検討されている方は「任意後見制度を利用する場合」をご確認ください。
 

主な費用

(1)公正証書作成の基本手数料:1万1,000円
(2)登記嘱託手数料:1,400円
(3)登記所に納付する印紙代:2,600円

成年後見人に選任されるのはどんな人?

成年後見人に選任されるのは家庭裁判所が適格と認めた人物です。成年後見人の選任過程を見てみましょう。

まずは親族が候補に挙がる

成年後見人の選任では、一般的にはまずは親族を検討します。

成年後見人は、本人の意思を尊重し、本人の心身の状態や生活状況に配慮できなければならないからです。成年後見人が本人に代わって財産を管理したり、必要な契約を結んだりするのは、本人の幸せを追求するためです。

したがって、親族のほうが本人をよく知っているので、成年後見人に「向いている」のです。

5つの欠格事由があると成年後見人になれない

次の5項目は成年後見人の欠格事由と言い、いずれかに当てはまる人は、本人の親族であっても成年後見人になることはできません。

  • 未成年者
  • 家庭裁判所に解任された人
  • 破産者
  • 本人に対して訴訟経験がある者
  • 行方不明者

親族以外が後見人として選任されるケース

成年後見人を選ぶ際、通常は本人の親族などを成年後見人として家庭裁判所が選任しますが、親族以外が選任されたり、後見人の仕事ぶりを監督する「成年後見監督人」といった人物が出てくる場合もあり、それは以下のような場合が該当します。
 

  1. 親族間に意見の対立がある場合

  2. 流動資産の額や種類が多い場合

  3. 不動産の売買や生命保険金の受領など,申立ての動機となった課題が重大な法律行為である場合

  4. 遺産分割協議など後見人等と本人との間で利益相反する行為について後見監督人等に本人の代理をしてもらう必要がある場合

  5. 後見人等候補者と本人との間に高額な貸借や立替金があり,その清算について本人の利益を特に保護する必要がある場合

  6. 従前,本人との関係が疎遠であった場合

  7. 賃料収入など,年によっては大きな変動が予想される財産を保有するため,定期的な収入状況を確認する必要がある場合

  8. 後見人等候補者と本人との生活費等が十分に分離されていない場合

  9. 申立時に提出された財産目録や収支状況報告書の記載が十分でないなどから,今後の後見人等としての適正な事務遂行が難しいと思われる場合

  10. 後見人等候補者が後見事務に自信がなかったり,相談できる者を希望したりした場合

  11. 後見人等候補者が自己もしくは自己の親族のために本人の財産を利用(担保提供を含む。)し,または利用する予定がある場合

  12. 後見人等候補者が,本人の財産の運用(投資)を目的として申し立てている場合

  13. 後見人等候補者が健康上の問題や多忙などで適正な後見等の事務を行えない,または行うことが難しい場合

  14. 本人について,訴訟・調停・債務整理等の法的手続を予定している場合

  15. 本人の財産状況が不明確であり,専門職による調査を要する場合

参考:後見人等候補者以外の方,成年後見監督人等が選任される場合

ちなみに、成年後見人となる人の割合は以下の様になっています。
 

後見人の種類

件数

親族

16,420件(55.6%)

弁護士

3,278件件(11.1%)

司法書士

4,872件(16.5%)

社会福祉団体

2,740件(9.2%)

その他(行政書士、税理士など) 

2,212件(7.4%)

 
弁護士、司法書士、社会福祉士を候補者にした場合、基本的には、裁判所はそのまま選任することが多いです。

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成年後見人になった人の主な仕事内容

実際に成年後見人として選任された人の仕事は、「本人の意思を尊重し、かつ本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら、必要な代理行為を行うとともに、本人の財産を適正に管理していくこと。」と規定されていますが、具体的には、

(1)本人の診療・療養介護・福祉サービスなどの利用契約の締結
(2)本人の預貯金の入出金や不動産などの財産管理

などが主な仕事となります。
 

本人の生活保護と療養介護

本人の財産や収入を把握し、医療費や税金などの決まった支出を見積など、後見人となった方はまずこの業務をすることになります。その上で、中長期的な見通しに立って、医療看護の計画と収支の予定を立て、必要に応じた本人の介護サービス利用契約、診療契約、施設の入退所契約などの法律行為を行います。
 

本人の財産管理

成年後見人選任の審判が確定したのち、1ヶ月以内に本人の財産を調査して「財産目録」を家庭裁判所に提出します。これが一番面倒といえば面倒な仕事かもしれません。
 
その後、本人の財産を他人の財産と混同させたりしないように注意しつつ、本人の財産管理を継続します。適切な管理を行うために、収入や支出について細かく金銭出納帳に記録し、領収書等の資料を保管しておくことが大事です。

これを怠ると、預貯金の流用など財産の管理が不適切であるとして、成年後見人を解任されたり、民事・刑事上の責任を問われかねません。
 
難しいと感じた場合は弁護士などに相談することで後見人の仕事のサポートをしてくれますし、後見監督人が付いている場合はその人にアドバイスを求めることもできます。
関連記事:遺産相続の無料相談先と相談事例|弁護士などの専門家を選ぶ基準
 

基本的には民法第13条の行為を行うと思えばよい

後見人となった方の仕事は、民法第13条に規定された行為を行うことだと考えれば、全体の概要を把握できると思います。

  • 貸金の元本の返済を受けたり、預貯金の払戻しを受けたりすること。

  • 金銭を借り入れたり、保証人になること。

  • 不動産をはじめとする重要な財産について、手に入れたり、手放したりすること。

  • 民事訴訟で原告となる訴訟行為をすること。

  • 贈与すること、和解・仲裁合意をすること。

  • 相続の承認・放棄をしたり、遺産分割をすること。

  • 贈与・遺贈を拒絶したり、不利な条件がついた贈与や遺贈を受けること。

  • 新築・改築・増築や大修繕をすること。

  • 一定の期間を超える賃貸借契約をすること。

成年後見人の仕事はいつ終了するのか?

本人が病気などから回復して判断能力を取り戻したり、死亡するまでは成年後見人としての責任や仕事が終了することはありません。申立てのきっかけとなった当初の目的を果たしたからといって終わりというものではないのです。
 
途中で成年後見人を辞任することは可能ですが、それも家庭裁判所の許可が必要となり、それも正当な事由がある場合に限られます。ただし、補助人は代理権が付与された特定の法律行為が完了するなどした場合、代理権や同意権を取り消審判を申し立てるなどして、その仕事を終えることができる場合があります。

成年後見人の辞任を検討している場合は「成年後見人辞任許可の申立」を行ってください。
 

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弁護士や司法書士が後見人になるメリット

1:法律問題に幅広く対応できる

弁護士が扱う法律問題には制限がありませんので、管理アパートの賃料や借地の問題、隣地隣家との紛争から債務問題や契約上の問題、介護認定の不服、年金などの行政問題まで扱うことができます。いざというときに、その都度弁護士に相談するといった手間が省けるのは大きな魅力といえます。
 

2:弁護士が務めていることによる安心感が得られる

社会的な信用の高い弁護士が後見人となっていることで大きな安心感を得られるのも魅力の一つです。金融機関や行政などのなかには、親族の法的知識が不足しているために不十分な対応をしてしまう場合もありますが、弁護士は悪質な業者などに対しても毅然とした対応を取ることができます。
 

3:顧問弁護士のような立場になってもらえる

会社の顧問弁護士という制度を想像されるとわかりやすいかと思いますが、いつ起きるかわからない法律問題を含めて、さまざまな問題についてアドバイスをもらえます。それは個人であっても同じことで、弁護士を後見人とすることによって、被相続人に関わるさまざまな問題について、幅広く活動してくれる事が期待できます。

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成年後見人の報酬額の目安

後見人となって、本人の身の回りの法律業務を行うのは、それなりの負担を強いていることになるとして、家庭裁判所は後見人に対して被後見人(本人)の財産のなかから、相当な報酬を後見人に与えることができるものとしています。

(民法862条)
家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる

 
成年後見監督人(保佐人・保佐監督人・補助人・補助監督人及び任意後見監督人)についても同様に規定されており、家庭裁判所に報酬の申立てを行うことで審判のうえ決定され、後見人の就職中または任務終了後、基本的に1年分程度の仕事についてまとめて後払いの形で支払われています。
 
報酬額の基準が法律で決まっているわけではありませんので、裁判官が期間中の後見等の事務内容(財産管理及び身上監護)、成年後見人等が管理する被後見人の財産の内容などを総合的に考慮して、各事案における適正妥当な金額を算定しています。
 
以下に専門職が成年後見人等に選任された場合の報酬額の目安と親族が後見人になった場合の報酬額の目安をご紹介していきますので、参考にしていただければと思います。


参考:厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業
成年後見の実務的・理論的体系化に関する研究:平成23~24年度 総合研究報告
 

まずは知っておきたい成年後見人の平均報酬相場

親族の後見人における平均報酬額は約2万5,000円で、後見人全体の平均報酬額の約8割というの水準です。専門職の後見人は平均報酬額約3万円で全業態の平均額とほぼ同じです。社協(一般社会法人)の平均報酬額は約 4 万円で、報酬金額は平均報酬額の1.3倍以上となり、業態別に見て最も高い報酬額となっています。
 
最後の市民後見人(市区町村の長など)は平均報酬額2万円弱であり、親族後見人の平均報酬額を下回って全業態のなかで最も少ないという結果になっています。

専門職(弁護士など)の後見報酬額

基本報酬

成年後見人の報酬目安は月2万円程度になります。

管理財産が1,000万円以下の場合

報酬月額2万円

管理財産が1,000万円以上、5,000万円以下の場合

報酬月額3〜4万円

管理財産が5,000万円以上の場合

報酬月額5〜6万円

成年後見監督人報酬

  • 管理財産額が5,000万円以下の場合:月額1~2万円

  • 管理財産額が5,000万円を超える場合:月額2万5,000円~3万円

付加報酬

後見等事務において、特別な行為をした場合や、身上監護等に特別困難な事情があった場合には、上記基本報酬額の50%の範囲内で相当額の報酬を付加するものとします。
参考:裁判所|成年後見人等の報酬額のめやす

 
・特別な行為に該当するもの

東京弁護士会が定める特別な行為に該当するものは以下の行為とされています。

(1)訴訟
被後見人が不法行為による被害を受けたことを原因として、加害者に対する1000万円の損害賠償請求訴訟を提起し、勝訴判決を得て,管理財産額を1000万円増額させた場合:約80万円~約150万円
引用元:成年後見の実務

(2)遺産分割調停
被後見人の配偶者が死亡したことによる遺産分割の調停を申し立て、相手方の子らとの間で調停が成立したことにより、総額約4000万円の遺産のうち約2000万円相当の遺産を取得させた場合:約55万円~約100万円
引用元:成年後見の実務

(3)居住用不動産の任意売却
被後見人の療養看護費用を捻出する目的で,その居住用不動産を,家庭裁判所の許可を得て3000万円で任意売却した場合:約40万円~約70万円
引用元:成年後見の実務

親族が後見人の場合の報酬は支払ってない場合が多い

親族が後見人の場合の報酬目安は約2〜3万円ですが、親族が後見人の場合は後見報酬を支払っていない場合が多いようです。その最も多い理由としては、「親族を世話するのは当然であり、報酬をもらう理由はないとするもの」 であり、全体の4割強という結果になっています。

次に多かったのが「報酬付与不知」。そもそも制度として、後見人が報酬を受け取れることを知らなかったというもの。最後は報酬付与困難:本人の資産が少ないなどの理由で、報酬を受けることが難しいというものでした。

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成年後見人申し立て(成年後見制度)手続きの流れと必要書類

まずは、成年後見人を申し立てる手続きの流れを見ていきましょう。成年後見人には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類あり、それぞれ申し立て手続きには若干の違いがあります。
 

法定後見制度を利用する場合

1:まずは家庭裁判所で申し立ての準備を行う

本人の所属する地域を管轄(一番近いところ)する家庭裁判所に行き、申し立てを行います。このとき、申し立てを行うことができるのは「本人」「配偶者」「四親等内の親族」などに限られています。
 
表:成年後見制度を利用するにあたって

成年後見人を申し立てる場所

本人の所在地から一番近い裁判所

申し立てる人

「本人」「配偶者」「四親等内の親族」

四親等内の家族とは・・・

※市町村長も可

親、祖父母、子、孫、ひ孫
兄弟姉妹、甥、姪
おじ、おば、いとこ
配偶者の親、子、兄弟姉妹

2:法定後見制度を申し立てる際の書類

書類 内容
●申立書及び診断書 用紙は家庭裁判所で入手できます。裁判所ウェブサイト、家事手続情報サービスから入手することもできます。
●本人の戸籍謄本 本人の本籍地の市区町村役場でお取りください。
●成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書各1通
費用項目など 手数料
●収入印紙 800円/件
保佐や補助において,代理権や同意権を付与する審判を同時に申し立てる場合に必要になります。
●登記手数料 2,600円
●郵便切手(※9) 800円〜
金額については,申立てをする家庭裁判所によって異なりますので、直接裁判所にご確認ください。
●鑑定料 5〜10万円
本人の判断能力の程度を医学的に十分確認するため、医師による鑑定を行うことがあります。※実際に行われるのはまれ

3:家庭裁判所の調査官による事実の調査

申立人、本人、成年後見人(保佐人、補助人)候補者が家庭裁判所に呼ばれて事情を聞かれます。申立て後、裁判所の職員が申立人、後見人候補者、本人から事情をうかがったり、本人の親族に後見人候補者についての意見を照会することがあります。

必要に応じて家事審判官が事情を尋ねる(審問)もありますが、 本人の判断能力について、鑑定を行うことはめったにありません。

・鑑定とは?

本人に判断能力がどの程度あるかを医学的に判定するための手続。申立て時に提出していただく診断書とは別に、家庭裁判所が医師に鑑定依頼をする形で行われます。
 

4:審判

申立書に記載した成年後見人(保佐人、補助人)候補者が選任されることが多いですが、場合によっては家庭裁判所の判断によって弁護士や司法書士などが選任されることもあります。
 
審判に不服申立てがなければ、審判書を受領してから2週間後に確定します。審判に不服がある申立人などは、この2週間の間に不服申立て(即時抗告)の手続きを取ることができます。

ただし、誰を成年後見人に選任するかという家庭裁判所の判断については不服申立てをすることはできません。

5:通知と法定後見開始

裁判所から審判書謄本をもらえば東京法務局にその旨が登記されます。このとき、登記されている本人・成年後見人などは、登記後の住所変更などにより、登記内容に変更が生じたときは「変更の登記」 を申請する必要があります。
 
また、本人の死亡などにより法定後見、任意後見が終了したときは「終了の登記」を申請してください。この「変更の登記」「終了の登記」の申請は,本人の親族などの利害関係人も行うことができます。

登記の申請は申請書に記入の上、書留郵便で行うことができます。
※必ず選任された裁判所への連絡も必要になります
 

6:成年後見人(保佐人・補助人)に対する報酬付与の裁判

もし支援する人(成年後見人、保佐人、補助人)が、家庭裁判所に対して報酬を受けたい場合、申立てをしたときに報酬が発生します。申立てをすると家庭裁判所が総合的に判断して支援する人の報酬を決定します。
※原則年1回の支払いで、報酬は前払いではなく後払いです。

7:成年後見業務が終了した場合

被相続人が死亡するなどして、成年後見業務が終了した際、家庭裁判所へ後見業務が終了した報告書を財産目録とともに提出し、本人の財産の引渡しを行い、すべての後見業務が終了します。
 

任意後見制度を利用する場合

1:公証人役場で公正証書を作成

将来の不安や心配事について、どんな支援を受けたいか、本人とその支援を依頼された人が話し合い、任意後見の内容と任意後見の受任者を決めます。支援の内容が決まったら、本人と任意後見人は公証役場に出向いて、その内容について公正証書により正式に契約を交わします。
 

2:任意後見契約締結のために必要な書類

書類 内容
・本人に関するもの  戸籍謄本、住民票、印鑑登録証明書・運転免許証・パスポート等、身分を証明するもの
・任意後見受任者に関するもの  住民票(法人の場合は登記簿謄本)、印鑑登録証明書・運転免許証、パスポート等身分を証明するもの
・その他  診断書や財産目録、不動産の登記簿謄本などが必要な場合もあるので公証人に確認してください。
費用
任意後見契約書作成の基本手続き料 1万1,000円
登記嘱託手数料  1,400円
登記に納付する印紙代  2,600円
その他 証書代 登記嘱託書郵送用切手代など

3:認知症の症状が見られるようになったら家庭裁判所へ

任意後見制度を利用するために、本人の住所地の家庭裁判所に任意後見監督人を選ぶように申立てをします。その際の書類などは「法廷後見人」を選任する際と同じです。
 

4:任意後見の開始と任意後見監督人の選任をする

家庭裁判所は、任意後見の開始と同時に、支援する人を監督する任意後見人監督人を選任します。任意後見監督人は開始後、支援する人を監督し、定期的に支援する人の報告を家庭裁判所に行うことになります。
 
また、任意後見人となった人は、監督人として誰に頼みたいかを推薦し、任意後見契約書に記載することもできます。
 

5:任意後見制度を利用したことを家庭裁判所に報告

1年に1度を目安に、任意後見人は成年後見制度を開始した時点での本人の財産目録と収支状況を家庭裁判所へ報告します。
 

6:成年後見業務が終了した場合

本人が死亡するなどして、成年後見業務が終了した場合、家庭裁判所へ後見業務が終了した報告書を財産目録とともに提出し、すべての後見業務が終了となります。

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成年後見人についてよく寄せられる質問

成年後見人について、多くの人が疑問に感じていることをQ&Aで解説していきます。

Q:成年後見制度と家族信託の違いは?

A:家族信託は、本人の不動産、株式、現金などの財産の管理を家族に託す仕組みです。本人と家族信託を受託する家族は、信託契約を結びます。信託された家族は、本人の信託目的に沿って財産を運営、管理、処分していかなければなりません。

家族信託と成年後見制度では、支援する人の業務はほとんど同じです。ただ、本人の死亡とともに業務が終了する成年後見人に対し、家族信託は本人の死亡後も本人の財産を管理することができます。

家族信託では、信託契約の内容によって、財産運用で益金が出た場合に受託者(支援する人)に報酬を支払うこともできます。

Q:成年後見監督人とは?

A:成年後見監督人は、成年後見人の事務を監督します。成年後見人が、被後見人の利益に反する行動を取ったとき、家庭裁判所が成年後見監督人を選任します。大抵は弁護士など法律の専門家が就くことが一般的です。

成年後見監督人は、急迫した事情があれば必要な処分をすることができます。また成年後見人と本人の利益が相反したら、成年後見監督人は本人に代わって対応することができます。

さらに成年後見監督人には、後見人の解任を家庭裁判所に請求することができます。

Q:個人ではなく法人が成年後見人になることはできる?

A:法人が成年後見人になることもできます。法人が成年後見人になると、実質的に複数の人が成年後見人の業務に携わることができます。

対象となる法人は、弁護士法人、司法書士法人、社会福祉法人、社団法人などです。

Q:成年後見登記制度とは?

A:成年後見登記制度は、成年後見人などの権限や任意後見契約内容を登録(登記)し、登記事項証明書を発行することで登記情報を開示する制度のことです。

登記されている本人・成年後見人などは、登記後の住所変更などにより登記内容に変更が生じたときは変更の登記を申請する必要があります。また、本人の死亡などにより法定後見または任意後見が終了したときは終了の登記を申請します。

「変更の登記」や「終了の登記」の申請は申請書に記入の上、郵便局の簡易書留郵便で行うことができます。

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まとめ

成年後見を申し立てる際の手続きと料金、そして選択すべきケースなどをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?


人間、歳を重ねるとどうしても判断力や記憶力が低下していきます。そうなってしまってから急いで成年後見制度を使っても時間がかかる場合が多いので、早め早めの対応を心がけたほうが安心でしょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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