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2018年01月25日

民事信託をおすすめする5つの理由と民事信託を行う全手順

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
Minzisinntaku
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民事信託(みんじしんたく)とは、受託者が限定された特定の者を相手として、営利を目的とせず、継続反復しないで引き受ける信託のことで、信託銀行の取り扱う信託商品や投資信託(商事信託)とは違い、財産の管理や移転・処分を目的に家族間で行うものとされています。
 
委託者と受託者の間で独自の信託契約を締結することで、様々なコストを抑えることができ、主に①自己信託、②限定責任信託、③知的財産権の信託、④金銭信託などがあります。
 
民事信託の中でも、『家族による家族のための民事信託』とされているものがあり、家族が財産の預り手(財産管理をする者)となり、「高齢者や障がい者のための安心円滑な財産管理」や「柔軟かつ円滑な資産承継対策」を実現しようとする民事信託の形態を『家族信託』と呼んでいたりもします。
 
あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、民事信託には遺言書や成年後見制度ではできない相続対策も多くあり、相続分野の専門家のあいだでは注目されつつある相続方法ではあるので、今回は、そんな民事信託についてご紹介していこうと思います。

民事信託についてお悩みがあれば弁護士にご相談ください

  • 認知症の親がいるけど民事信託できる?
  • 民事信託を組んでしまうと相続税の評価額に変更は起きる?
  • 民事信託で不動産の追加信託はできますか?
  • 受託者と受益者を兼ねることは可能?

上記のような悩みを抱えているなら弁護士に相談してみてください。

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1:民事信託とは|民事信託の基本的な概要

まずは民事信託の基本的な概念についてご説明していこうと思います。
民事信託(みんじしんたく)は、信託銀行の取り扱う信託商品や投資信託(商事信託)とは違うということはお話ししましたが、具体的にどういった仕組みなのかを見ていきましょう。
 

民事信託の仕組み

民事信託には3人の登場人物が出てきて、財産を持っている受遺者(被相続人)、財産を管理する受託者(相続人など)、利益を得る受益者(他の相続人など)の3人から成り立ちます。
 

  • 委託者:財産を持っている人

  • 受託者:財産を管理する人

  • 受益者:利益を享受する人

  • ※信託監督人:受託者を監督する人

 
まず、委託者が個人の目的のために受託者に財産を預け、最初は受益者が利益を受け取ります。この時、委託者、受託者、受益者の3者の他に、信託を管理監督する信託監督人を設置することもできます。要は受託者がちゃんと仕事をしているか監督する人ですね。

民事信託は受益者のための制度でもありますが、受益者がちゃんとした意思表示をできないケースもありますし、一度受託者になった方の権限が強いということもあり、受託者を監督する人も必要になるケースもあります。
 

一般的な信託との違い

一般的に言う「信託」とは、信託銀行等が行う「遺言書の作成 + 遺言書の保管 + 遺言執行」がセットになった「遺言信託」のこと、あるいは「投資信託」を思い浮かべる方が多いと思います。これが一般的な信託で、「銀行が関与するもの(商事信託・営業信託のこと)」と覚えておいて問題ないと思います。
 
一方「民事信託」は、「受託者が信託報酬を得るために行うもの」という基本的な仕組みは同じですが、商事信託とは反対に、受託者が信託報酬を得ない信託(=非営利信託)であり、受託者は個人でも法人でも誰でもなることが可能です。
 
財産の管理を「信じられる人に託す相手を自分の家族・親族にする」ことが多いので、家族や親族を受託者として財産管理を任せる仕組みを「家族信託」と呼んでいたりもします。
 
つまり、

  • 一般的な信託 = 銀行が報酬をもらって行うもの

  • 民事信託   = 家族が報酬を得ずに行うもの

 
このように覚えておくと良いと思います。信託は信託銀行が資産家を対象にした少々難しいイメージを持っているかもしれませんが、実は「信託」は一般の方に取っても大変身近なものと言っていいでしょう。
 

信託法の施行で生まれた新しい制度

信託法は大正11 年に出来たものでしたが、平成19年9月30日に新たな信託法が施行され、それまでは信託銀行などの信託業者しか信託を使うことができない、営利を目的にする「商事信託」が中心でしたが、改正によって営利を目的にしない民事信託や家族信託の仕組みを作ることができるようになったのです。
 

信託にはリスクもある

通常、自分が所有している財産は自分で処分したり、他人に管理を委託して処分したりしますが、信託では「受託者」という第三者の手で財産管理や処分を行うことになります。委託者の所有権は、信託契約や遺言、公正証書などで受託者の信託財産とするのが一般的です。
 
信託財産の名義人となった受託者は、信託財産について唯一、管理や処分できる権限を持つ者となる訳です。しかし、管理や処分できる権利を行使する場合、受託者は受益者の為にのみ、その目的のために任務を遂行する必要があります。
 
ここが、銀行での長期間管理と家族などの知人に託す信託と大きく異なるポイントで、受託者との信認関係が前提となる以上、万が一の場合は財産を持ち逃げされる可能性もゼロではないリスクにはなります。
 

民事信託の活用事例

では、「民事信託」は具体的にどのようなケースで行われるのか、その活用事例をご紹介していきます。
 

ケース1:認知症後も孫などに贈与を継続したい

相続税対策のために、これから10年かけて預金等を孫たちに贈与していきたいと考えているが、最近物忘れが激しく、自分の健康状態が心配である場合など、既に判断能力が低下している場合には、任意後見制度又は法定後見制度を利用するのが一般的ですが、これに代わる手段として、あるいは成年後見制度の補完のために、信託制度を活用することが考えられます。
 

ケース2:事業継承への対応「跡継ぎ問題」など

中小企業などの事業承継問題では、代表取締役兼株主である自分の亡き後、経営権の行方をどうするかは重要な問題になります。自分が亡くなった後、例えば妻に自社株を譲って経営を任せるけど、妻も亡くなった後は経営能力のある次男に会社を任せたいといった場合、遺言書では二次相続以降の相続までは指定できないため、民事信託のひとつである“後継ぎ遺贈型受益者連続信託”を利用することができます。
 

・後継ぎ遺贈型受益者連続信託とは?

後継ぎ遺贈型受益者連続信託(あとつぎいぞうがたじゅえきしゃれんぞくしんたく)とは、受益者の死亡によって、次に指定された者が新たな受益者(第二次受益者、第三次受益者、……)として受益権を順番に取得する旨の定めた信託のことを言います。後継ぎ遺贈型受益者連続信託の最大の特徴は、信託が持つ「権利転換機能」を活かした相続や事業承継が利用できる点です。
 
本来、所有者Xさんが持っている遺産を相続人Yに相続させると、Yは受け取った遺産を自分固有の財産として自由に扱うことができます(Yが承継した財産を誰に相続させるかはYの自由)。しかし、後継ぎ遺贈型受益者連続信託を利用することで、Yの相続した財産は固有の財産ではなく「信託受益権」という権利を相続したことになり、Yが死んだ後は誰に相続されるかは、最初の遺産を持っていたXが自由に決めることが可能になります。
 
つまり、後継ぎ遺贈型受益者連続信託によって、二次相続以降の様々なニーズに柔軟に対応できる仕組みが生まれるということです。
 

ケース3:子供がいない夫婦の場合

被相続人Pさんは、自分が死んでしまった後は妻に不自由なく生活してもらいたいと考えて、遺産をすべて譲りたいと考えていますが、妻もいずれは死んでしまうので、その遺産を承継した後に死亡すると子供のいないPさんの家系で代々引き継いできた不動産は、妻の妹であるQさんに渡ることになってしまう。Pさんとしては、もし妻が死んだら不動産はすべて、自分の親族である弟のRさんの家族に遺したいと希望しているケースです。
 

・解決策

この場合、まずPさんとXさんの間で信託契約を締結し、PさんはXに不動産等の財産を託して、Xが受益者に生活費の給付等を担う旨を定め、Pさんの生存中はPさん、Pさんの死亡後は妻が受益者となり、妻が死亡したら信託は終了し、残余財産の帰属先にXさんを指定します。

これにより、「自分亡きあとの妻の生活保障」と「Pさんが先祖から引き継いできた不動産の承継」の両方の問題に対応することが可能となります。
 
 

2:民事信託でできる5つの機能

さて、活用事例がわかったところで、民事信託で出来ることをもう少し具体的にご紹介していこうと思います。
 

1:生前の財産管理が自由にできる

すでになんとなくおわかりかと思いますが、民事信託は被相続人が今まで築き上げてきた財産について、自分の死後にその利用方法を予め決めておくことができます。信託財産は「家族のために活かすのか」「投資的な行為を行うのか」その選択も自由に設定が可能になります。
 
財産の自由な分配方法などを決めるのは遺言書などがパッと思いつくかもしれませんが、遺言では自分の財産を誰に渡すかを決めることはできますが、財産を貰った相続人が、その財産を次に誰に渡すかまで決めることはできません。

また、成年後見制度でも、本人の家族の利益のために財産を処分することなどもできませんでしたので、従来の制度では実現できなかった、自分が生きている間に、自由な財産管理が可能になります。
 

2:財産の管理や処分を1人に集約させつつ利益は分配できる

民事信託の良いところは、財産の管理処分権を信頼できる一人(受託者)に集約できる点です。受託者はその利益を複数の人に分配することも可能になりますので、だれが財産を管理するのかで揉める可能性もだいぶ低く抑えられるでしょう。
 
例えば、不動産が共有状態だと共同相続人全員の同意がないと売却もできなくなりますが、民事信託を設定することにより受託者の独断で売却が可能になります。その場合でも、収益や処分益は分配することもできますので、家族間での財産の公平な配分を実現することができます。
 

3:遺産相続の分割方法を詳細に決められる

「ケース2」などでも出てきましたが、会社などの事業継承において自分の持ち株を誰に渡して、経営権は誰に託すのかなど、家族間での対話を通じて、条件付きの財産承継などを行うことができます。
 
これは一般家庭でも同じで、遺産分割の期間や分割方法や割合を受託者が中心となって、生前から行うことができますので、相続人全員が納得のできる相続のありかたを作り出すこともかのうになります。
 

4:3代先の数次相続まで決定できる

遺言書などでは、自分が死んだ際の遺産相続しか指定はできません。例えば「ケース3」の例では、もし遺言でXに財産を承継させるには、
 

  1. ①:Pさんによる「妻に全財産を相続させる」遺言

  2. ②:妻による「Xに全財産を遺贈する」遺言


この2つが必要になります。しかし、妻は遺言を撤回することも可能ですし、必ずしもPさんの希望どおりXが確実に資産を承継できるという保証はないので、二世代、三世代先の相続まで考えるのであれば、民事信託は便利な制度と言えます。
 

5:現行の相続制度に対して多くの面で万能

現行の遺言や成年後見制度の問題点に対して、多くの面で優れているという点が、民事信託にはあります。
 

1:遺言書の問題

  • 一方的な意思の伝達

  • 本人が1人で書くとミスがあったち意思が伝わりづらい

  • 1つ先の代しか相続内容を決められない

  • 遺言書は書き換えができてしまう など

 

2:成年後見制度の問題

  • 財産はすべて家庭裁判所の監督下に置かれてしまう

  • 本人の財産をすべて開示しなければいけない

  • 財産を家庭裁判所の監督のもと後見人が管理することになる

  • 毎年の収支報告が驚くほど大変

  • 大きな財産を動かす際は家庭裁判裁所との打ち合わせや許可が必要 など

 

3:共有財産になった物の扱いが不便

不動産などが共有状態になると、共有者全員が所有権を持つことになるため、話がまとまらず、不動産は凍結状態になる可能性が高いです。
 

4:法定相続分では兄弟はすべて均等という一応の縛り

本来は寄与分や特別受益の制度がありますが、実際は使われていないのが現場です。本人に対する貢献度や迷惑度などはなかなか考慮されず、すべて均等に配分しなければならない点や、自宅を分けようと思っても分けられず、結果売却を余儀なくされるケースなど。
 
もちろん、法定相続分に従う必要は必ずしも無いのですが、誰もが自分が一番遺産を欲しいと思っている為、なまじ財産が500万円や1000万円を超えてくれば欲に目がくらむものです。
 
最初から自分で決められる自由があるのも考えものですので、ある程度主導的立場のある人間が管理したほうが、争いも少なくなります。
こういった現行の制度では対処できない問題も、民事信託を活用することで解決出来るケースが多くあります。

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3:民事信託を行うべき6つのメリットまとめ

民事信託や活用事例、機能などを確認してきたところで、民事信託を行うメリットをまとめてみました。
 

1:通常の遺言では対応できない細かい要望に応えられる

遺言書は自分が希望する相手に財産を渡せる非常に便利な制度ですが、以下のような要望を叶えることはできません。
 

  1. 1:遺産を年金のような形で毎月定額で受けとれるようにしてあげたい

  2. 2:相続人や受遺者が一定の年齢になった時に遺産を渡してあげたい

  3. 3:相続人などが将来その遺産を使いきれずに死亡したら、余った財産の貰い手を指定したい

  4. 4:特定の目的のために遺産を活用してほしい など

 
遺言は誰に相続するかは決められますが、「遺産の使い道」「その次の相続の内容」を決められないため、「信託」という法律行為を利用することで、これらの要望にも応えることが可能になります。
 

2:成年後見では対応できない財産管理の要望に応えられる

たとえば、判断能力の低下した高齢者の方や障がい者の財産管理の手段として利用されるのは成年後見制度ですが、成年後見制度は、本人の財産を減らさないように財管理するのが目的のため、
 

  1. 1:判断能力低下後も積極的な資産運用をしたい

  2. 2:判断能力低下後も相続税対策として生前贈与を継続していきたい など

 
こういった要望に応えるようにはできていませんので、「信託」という法律行為を利用することで、使い勝手のよい財産管理の手法として利用することが可能になります。
 

3:不動産の共有化に伴うリスクが回避できる

案外これが最も大きなメリットになる方も多いと思いますが、「共有不動産については、共有者全員の協力がスムーズに得られない可能性がある」というリスクを回避することができます。所有権ではなく「信託受益権」を共有し、不動産の管理処分権限だけを受託者に集約させれば売却等もスムーズに済むので、不動産が“塩漬け”になるのを防ぐことが可能です。
 

4:委託者の意思が100%受け継がれる

委託者の意思能力が将来的に低下した場合でも正常な判断ができるうちに自分の財産を信託しておくことで、受託者による財産の管理運用が可能となります。
 

5:倒産隔離機能がある

主に企業側のメリットですが、信託財産は原則として委託者からも受託者からも独立したものとして扱われるので、委託者が倒産しても影響を受けませんし、受託者が分別管理等の義務を果たしていれば、受託者が倒産しても影響を受けません。
 

6:後継ぎ遺贈型受益者連続信託が使える

先ほど少し説明してしまいましたが、次の代までしか相続する人を決められない遺言書とは違い、2次受益者、3次受益者と、3代先にまで財産を取得する人を決めておくことができます。これは被相続人の細かい要望に応えられると共に、代々の資産を他の家系に渡ることがないようにできるため、会社のオーナーなどであれば経営権をうまく譲渡することができるメリットがあります。
 

4: 民事信託を行うための3つの方法

民事信託を実際に行う方法は難しくなく、「信託契約」「遺言」「自己信託」の3つの方法で行うことができます。
 

信託契約

信託契約で行う場合は、
1:委託者と受託者が信託目的を決める
2:信託財産の管理処分方法と受益者を決めて契約締結をする
この手順で完了します。この際、受益者は必ずしも関与しなくても成立しますが、できれば受益者も含めて内容を決めていくことが良いでしょう。もし難しいようでしたら、弁護士などに相談することでスムーズに進むでしょう。
 

遺言によって決定する

信託内容は信託契約によるものと同じなのですが、遺言による信託の場合は開始時期=委託者が死亡した時になります。
ただし、実務上は信託銀行を介した「遺言代用信託」として利用されるケースが多くなっています。詳しくは弁護士等にご相談ください。
 

自己信託

法律的には「信託宣言」と呼ばれる制度になりますが、委託者が受託者にもなる形態です。委託者と受託者が同一人物の場合、周りからそれが明確に判断できない為、自己信託は公正証書で行うケースが一般的になっています。

公正証書の扱いに関しては専門家にお尋ねいただくのが良いかと思います。
 
 

5:民事信託を行う際の税金の問題

民事信託では、受益者や受益権の中身によって課税関係や課税金額が変わります。民事信託を設定すると、所有権名義が受託者に移転することになりますので、もしかすると受託者に対して贈与税が課税されると思われる方がいらっしゃいますが、受託者はあくまでも管理・処分する権限しか持っていないので、信託財産から生じる収益権は受益者にあります。
 
つまり、税務上は受益者を所有者に置き換えて課税されることになります。
 

課税対象になる人とならない人

課税対象者は受益者

税務上、委託者から受託者へ相続(贈与)で財産権が移転したとみなされますので、信託設定したと同時に、相続税もしくは贈与税が課税されることになります。
 

受託者は非課税

もし委託者が受益者となる自己信託の場合、元々所有権を持っていた委託者が受益者になっていますので、税務上の変化はなく、課税対象にはなりません(自益信託)。
 

民事信託における税金の考え方

日本の税務では「実体主義」「受益者負担」の原則があり、名義人や契約形態に関わらず「実際に利益を受けている者」に対して課税される仕組みが採られています。
 
つまり、前述のように委託者=受託者の場合は何の権利も取得してはいないのでスルーしよう、ということになる訳です(パス・スルー課税)。
 

  • 委託者の生前に受益者に権利が移る:贈与税

  • 委託者の死亡を条件として権利が移る:相続税

  • 受益権が売買された場合:所得税・法人税

 
上記の3つの税金が課せられ、その他の各種税金も信託の存在とは無関係に課税されます。
例外的に、名義所有者である受託者は固定資産税の納税義務者になりますが、所有者はもともと委託者である受益者なわけですから、実質的にはパス・スルーになります。
 

民事信託は節税にはならないが流通税の節税にはなる

上記のように、結局何か財産を得たときには無関係に税金の対象になるので、一般的には「民事信託は節税にならない」とされていますが、流通税に関しては大幅な節税ができます。
 

流通税(りゅうつうぜい)とは
資産(財産)の権利移転(所得)に課税される租税のことで、「国税⇒内国税⇒流通税」となる。日本の税制度では、自動車重量税、登録免許税、不動産取得税、印紙税等が流通税に当たる。
参考:流通税とは

 
たとえば、「会社や法人への所有権の移転」の際には不動産取得税や登録免許税が掛かりますが、民事信託であればパス・スルーの概念から、委託者に対して譲渡所得税や受託者に対する不動産取得税の課税はありませんし、登録免許税も所有権移転の5分の1で済みます。
 
実際に、所有者が相続で得た数十億円相当の不動産を管理会社に所有権移転しようとして数億円もの税金がかかったという例もありますが、信託を利用すれば登録免許税のみの数百万円で済みます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
 
民事信託の基本的な概念やメリットなどをご紹介してきました。多くのメリットや現行の遺言や後見成年制度にはない機能も多くありましたが、受益権によって財産の承継が行われた場合でも、遺留分を侵害することはできませんので、この点には注意する必要があります。
 
受益権を特定の人に合った形で信託契約をしてしまうと、他の相続人から遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)を受ける可能性もありますので、やはり事前に相続人同士でよく話あう場を設けるのは必須だといえますね。

 

法改正により遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」として名前も制度内容も改められますので、ご注意ください(2019年7月1日施行)。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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