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2019年09月09日

成年後見制度で後見人を弁護士に依頼するメリット・デメリット

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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成年後見制度は、認知症などによって判断能力が十分ではなくなった人の財産を守る、大切な制度です。

しかし、相続などのトラブルに発展することも多く、安易に利用できないことが実情です。

ここでは、成年後見制度について、弁護士に依頼するメリット・デメリットも併せて解説します。

 

成年後見人の申し立てに関するお悩みなどは弁護士へご相談ください

​成年後見制度の利用を弁護士に依頼することで、下記のような問題が解決できます。

  • 加齢などにより判断力が低下しているので相続が心配
  • 親族間に紛争を抱えている
  • 本人の財産を親族が勝手に浪費している
  • 少々複雑で難しい法的な問題を抱えている
  • 財産の管理を信用できる人に任せたい
  • 身寄りがないので施設や病院、死後の手続きが心配
  • 知的障害を抱えた親族がいる場合の対処 など

上記のようなお悩みは弁護士への相談で解決できるかもしれません。相続に詳しい弁護士ならば、成年後見制度を活用した相続のアドバイスが可能です。

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成年後見制度でトラブルに巻き込まれないために

精神上の障害などを持つ人に成年後見人をつけて財産管理などを代行してもらう成年後見制度は、親族や保護者にとって必要な制度と言えます。

しかし、成年後見人との間に財産関連の問題が生じるなどのトラブルも多く、正しい知識と対処法、注意点などを確認しておくことが大切です。

 

成年後見制度とは

成年後見制度とは、知的障害や精神発達遅滞、認知症などの精神上の障害によって判断能力が十分ではなくなってしまった人を、詐欺などの被害をから守り援助するための制度です。家庭裁判所に申し立てて、本人を援助する『成年後見人』を付けてもらいます
 

本人の判断能力が十分ではない場合、そこに漬け込んだ業者から訪問販売やオレオレ詐欺といった被害を被る可能性があります。成年後見制度によって信頼できる援助者を付けることができれば、こうしたトラブルに巻き込まれるリスクを抑えられるのです。

また、成年後見人には取消権があるため、本人がトラブルに巻き込まれて詐欺被害に遭った場合、契約を取り消すこともできます。

 

成年後見制度は自己決定権を尊重し、本人が持つ能力を活用することを理念としているため、本人の行動を縛り、自尊心を失うような結果にならないような配慮も可能です。

 

成年後見の役割

成年後見人の役割は、民法において、下記のように定められています。

 

『成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。』
引用:民法第858条

 

つまり、財産管理・療養看護を行う必要があるのです。以下、それぞれについて詳しく見ていきます。
 

 

財産管理

成年後見人は、本人の財産を調査して財産目録を作成し、1ヶ月以内に家庭裁判所に提出しなければなりません。

後述する『後見監督人』が存在する場合には、財産の調査および財産目録の作成は後見監督人の監督の元で行う必要があります。

成年後見人は本人の生活や教育、療養看護において年間にかかる金額を想定する必要があるため、収支予定表の提出も義務付けられています。

 

なお、成年後見人を変更する場合は、通帳や不動産の関係書類なども引き継ぐ必要があります。
 

療養看護

実際に看護するのではなく、必要に応じて介護施設への入所契約や住まいの確保、維持管理などに関わる契約を代理人として交わすのが、基本的な業務です。

精神上の障害があると、人とのコミュニケーションをスムーズにとることができず、十分な認識がないままにこうした契約をしてしまうことがあります。成年後見人が代行することで、思っていた契約ではなかった、といった事態を防げます。
 

法定後見制度

成年後見人には、『法定後見制度』『任意後見制度』があります。

『法定後見制度』は、法律の規定に基づき、本人の判断能力が不十分になり成年後見制度の利用が必要と認められた場合に、親族などが家庭裁判所に申し立てることで利用可能となる制度です。誰を後見人にするのか、どの権限を与えるのかは裁判所が審判します。

法定後見制度には、「後見」、「保佐」、「補助」という3類型があります。本人の判断能力のレベルに基づいて決定し、成年後見人に認められた業務範囲が広いものから順に、後見、保佐、補助となっています。

 

後見

自身の財産管理について合理的な判断ができない場合が「後見」の対象です。例えば、スーパーやコンビニなどで買い物ができないような場合は後見制度の対象となり得ます。意識障害によって判断能力が完全に失われている場合も後見制度の対象となります。

 

保佐

自身の財産管理について合理的に判断する能力が著しく不十分な場合は「保佐」に該当します。日常的な買い物程度は可能でも、金銭の受け渡しができず、常に援助が必要な場合があります。日によって認知レベルが変わる症状が重い場合も、保佐に該当します。

 

補助

自分の行動の結果における合理的な判断を下す能力が不十分な場合は「補助」に該当します。保佐に該当する人よりも自分でできることが多いものの、一定の行動に問題が生じるような場合です。

法定後見制度の類型は、医師の診断書や医師の鑑定結果に基づいて判断されます。審判が下りるまでにかかる期間はケースバイケースですが、一般的には約3~4ヶ月といわれています。
 

任意後見制度

『任意後見制度』は、契約に基づいて行われる制度です。判断能力が十分にある段階で本人の意思によって任意後見人を選定しておきます。法定後見制度とは違い、契約の取消権がないため、詐欺に遭った場合などの対策にはなりません。また、裁判所が選任する「任意後見監督人」が任意後見人の行動をチェックします。

 

弁護士が後見人になることも可能

後見人には、弁護士を選ぶこともできます。親族や親友など本人と関係が深い人物ではなく、法律の専門家である弁護士に依頼することには、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
 

メリット

成年後見人に弁護士を選ぶことには、次のようなメリットがあります。

 

手続きを一任できる

成年後見人の申し立てに必要となる書類の作成や添付資料の収集など、一連の手続きを一任できます。家族は、本人の介護に追われ、こうした書類の準備をうまく進められないケースがあります。成年後見人の申し立てに関する知識が豊富な弁護士に一任すれば、申し立て時に問題が起こるリスクも抑えられます。

 

相続などのトラブルを事前回避できる

成年後見人制度の対象となる人物は精神上の障害を抱えているため、相続の際に相続人に財産をだまし取られたり、トラブルが起こったりする可能性があります。親族ではない人物が成年後見人になると、相続分割協議の場に出ることを他の相続人が許さず、トラブルが起こることも予想されるでしょう。

弁護士が成年後見人になれば、法律に基づいた主張ができるため、不当な取り決めによって本人が損をする事態を防げます。

 

親が遠方でも対応してもらえる

本人が遠方に住んでおり親族が管理できない場合にも、弁護士であれば成年後見人として対応できます。

また、近くに住んでいても、親族自身が高齢で本人の管理ができないケースもあります。これに対し、弁護士は全国各地にいるため、その地域で活動している弁護士に成年後見人になるよう依頼できます。

 

デメリット|横領などのトラブル事例

弁護士を成年後見人に選定する場合、依頼に費用はかかるものの、デメリットは少ないと言えます。ただし、弁護士を成年後見人に選定した際にトラブルが起こる可能性があります。過去に、弁護士が成年後見人となった際に起きたトラブル事例を確認しておきましょう。

 

事例1

『交通事故や医療過誤の損害賠償請求訴訟で支払われた賠償金のほか、成年後見人として預かっていた財産など、計22件で総額約9億円を着服していた事件。被告は着服の事実は認めているものの、1審では着服した資金の流用先などは明らかになっていない』
 

事例2

『成年後見人として管理していた精神障害のある女性の預金4244万円を着服したとして、業務上横領罪に問われた』

このように、成年後見人の立場を利用し、預かっていた財産を着服する悪徳な弁護士もいないとは言い切れませんので、成年後見人は慎重に選定しなければなりません。

 

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後見人にふさわしい弁護士の選び方

成年後見人にふさわしい弁護士とは、すなわち信頼できる弁護士です。成年後見人においては、弁護士によって結果が大きく変わるケースは少なく、過去の実績よりも信頼できるかどうかが重要となるでしょう。また、依頼を避けた方がいい弁護士の特徴も確認しておくことが大切です。

 

信頼できる弁護士

過去の実績や相談時の話し方、対応などから信頼できるかどうかを判断することになります。依頼主の気持ちを汲み取ったアドバイスをしたり、様々な方法を提案してくれたりする弁護士は信頼できるでしょう。

成年後見人はデリケートな問題であるため、相手の気持ちを考えることができる弁護士であれば、それが会話の節々や態度に現れます。この弁護士であれば信頼できると思ったら、その弁護士に依頼するといいでしょう。途中で違和感を覚えた場合には依頼を取りやめるなどの判断も大切です。

 

依頼を避けたほうがよい弁護士

次のような弁護士には、注意が必要です。

 

依頼主の話をよく聞かない

依頼主の話をよく聞かず、弁護士の思う方向へ強引に誘導する場合は注意が必要です。相談しているはずなのに、そのほとんどの時間を弁護士が話して終わるようでは、依頼後も話を聞いてもらえないでしょう。

 

態度が悪い

相談している人の話に耳を傾けず、横暴な態度をとる弁護士は信頼できないでしょう。依頼しても信頼関係を築けず、横領しているのではないかと疑心暗鬼になる可能性もあります。

 

弁護士側から提案がない

相談している人の話をしっかり聞くことは重要なポイントですが、弁護士側から全く何の提案もないのも問題です。法律の専門家であり、これまでさまざまな事例を経験している弁護士であれば、相談者の上を行く提案があってもいいでしょう。提案すらない場合は、頼りなさを感じる可能性があります。

 

費用の説明がない

成年後見人の依頼費用に関する説明がなく、後見人が終了してから莫大な費用を請求するような場合があります。費用の説明は必須であるため、説明なく依頼の確定へと誘導された場合は注意が必要です。費用については、着手金と報酬金の計算方法まで細かく確認しておきましょう。

 

まとめ

弁護士に成年後見人を依頼すると、手続きを一任できる、相続関連のトラブルを回避できる、本人が親族などと離れたところに住んでいる場合にも対応してもらえるなどのメリットがあります。

ただし、弁護士を信頼して成年後見人に選定しても、トラブルが起こる可能性がないとは言い切れません。

弁護士は法律の知識があり、常習犯であれば親族からの追求を逃れる方法を知っている可能性もあるので、素人だけで対抗することは危険かもしれません。万が一、弁護士を成年後見人に選定してトラブルが起きた場合は、別の弁護士に依頼することをおすすめします。

 

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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