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成年後見人の申し立てで必要な診断書とは?取得方法・費用・期間を解説

磯野・熊本法律事務所
熊本 健人
監修記事
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成年後見人の申し立てには、判断能力が不十分な方の状態を証明する診断書が必須です。

この診断書は、認知症や知的障害などを理由として本人の財産管理や日常生活のサポートが必要な場合に、裁判所への申し立てにおいて重要な役割を果たします。

本記事では、成年後見制度における診断書の必要性をはじめ、診断書の取得方法や取得費用、および注意点について解説します。

診断書を取得するために、医師による診察後の作成が一般的であり、費用や所要期間は医療機関によって異なるのが一般的です。

成年後見制度の利用をお考えの方は、まずは成年後見制度と診断書に関する基本的な知識を身につけておきましょう。

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成年後見人の申し立て手続きで診断書が必要な理由

成年後見制度とは、認知症や精神障害、知的障害などによって判断能力が不十分な方を保護・支援するための法的な仕組みです。

この制度を利用するにあたっては家庭裁判所への申し立てが必要ですが、その際に本人の判断能力の程度を示す医師の診断書を用意しなければなりません。

診断書は、本人の判断能力がどの程度なのか、成年後見人によるサポートが必要かどうかを判断する重要な材料です。

成年後見制度には「補助」「保佐」「後見」の3種類があり、本人の判断能力の程度に応じて適切な支援の形態が選ばれます。

判断能力 概要
後見 本人には判断する能力がない状態
保佐 日常生活には支障がないものの判断能力が著しく不十分な状態
補助 判断能力が不十分な状態(普通の人よりも多少不足する状態)

成年後見制度の診断書の取得方法

成年後見制度を利用する際に必要となるのが、医師による診断書です。

診断書は、本人の判断能力の程度を示し、成年後見人によるサポートが必要かどうかを判断するための重要な資料となります。

以下では、成年後見制度の診断書を取得するための方法について解説します。

医療機関または家庭裁判所ホームページで書式を入手する

成年後見制度における診断書の書式は、家庭裁判所のホームページからダウンロードすることができます。

この書式には、本人の病名や入院歴、財産管理や処分能力の程度などを記載する欄が設けられています。

また、診断書には、本人の判断能力に関する医師の詳細な意見が求められるため、正確な診断と適切な記載が必要です。

診断書の書式は、家庭裁判所が提供する標準的なフォーマットにしたがって作成され、医師が本人の状態を評価し、その結果をもとに記入します。

具体的な記載内容は以下のとおりです。

項目 概要
1.本人の情報

・氏名

・生年月日

・住所

2.医学的診断

・診断名

・本人の身体状態に関する医師の所見

・本人の病気や障害の経過

・本人の精神状態に関する医師の所見

3. 判断能力についての意見

・本人が財産管理や契約などの判断をおこなう能力についての医師の評価

・医師が推奨する成年後見の種類

・判定の根拠

4.医師の情報

・氏名、資格、所属医療機関名、住所、電話番号

・医師の署名および押印

・診断書の発行日

主治医または精神科・心療内科の医師に診断書作成を依頼する

診断書の作成は、本人の状態をもっともよく知る主治医に依頼するのが理想的です。

特に、認知症や精神障害などの診断に慣れている精神科や心療内科の医師が適任とされます。

医師は、家庭裁判所から提供される書式に基づき、本人の健康状態や判断能力に関する詳細な情報を記入します。

診断書の作成には医師の専門的な知見と経験が求められるほか、本人や家族からの詳細な情報提供も重要です。

診断書は、成年後見制度の申し立てにおいて本人の保護と支援の必要性を裁判所に証明するための決定的な資料となります。

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成年後見制度の診断書の取得費用・期間

成年後見制度における診断書は、本人の状態を正確に裁判所に伝えるために不可欠であり、取得するためには特定の期間と費用がかかります。

以下では、診断書の作成にかかる期間と費用について解説します。

診断書作成にかかる期間

診断書の作成に必要な期間は、本人の健康状態や医療機関の対応能力によって大きく異なります。

一般的には数日から数週間で診断書を受け取れることが多いものの、詳細な検査や情報収集が必要なケースでは、それ以上の時間が必要になることもあります。

特に、本人の状態が複雑である場合や、精神科や心療内科での専門的な評価が求められる場合は、診断書の作成に長い時間がかかる可能性があるため注意が必要です。

診断書作成にかかる費用

診断書の作成費用は医療機関や診断内容によって異なりますが、一般的に数千円から数万円の範囲で発生することほとんどです。

診断書に必要な情報が多岐にわたり、複数の検査や詳細な医師の評価が必要なケースでは、費用が高額になる傾向にあります。

また、診断書作成にあたっては、医師の診察料や必要な検査費用、書類作成手数料などが含まれます。

事前に医療機関に診断書の作成費用について確認し、準備しておくようにしましょう。

成年後見制度の診断書を医師が作成してくれない場合の対処法

成年後見制度における診断書は、本人の判断能力を評価し、適切な支援を決定するために不可欠です。

ただし、医師によっては診断書の作成を断るケースもあります。

診断書の作成を断られる理由として多いのは、医師が診断書の法的な影響や診断内容に対する責任を懸念していることです。

また、医師が成年後見制度に関する知識を十分にもっていない場合も、作成を躊躇する一因となることがあります。

診断書の作成を断られてしまった際には、以下のような対処をおすすめします。

理由の確認と説明

医師が診断書の作成を断る理由を明確にし、成年後見制度の目的や診断書の重要性について丁寧に説明します。

診断書が本人の権利保護にどう貢献するかを具体的に伝えることが重要です。

専門家の介入

成年後見制度に精通した弁護士や司法書士に相談し、医師との間に入ってもらうことも一つの方法です。

専門家が介入することで、医師の不安を解消し、診断書作成の手続きをスムーズに進めることができます。

他の医師への相談

主治医が診断書を作成することを拒否した場合、他の医師に相談することも選択肢です。

成年後見制度に理解があり、診断書作成に協力的な医師を探すことが求められます。

診断書の持参

裁判所が公開している診断書の書式を持参して医師に見せましょう。

具体的な診断書の書式を確認することで医師による記載内容が明らかになるため、対応できる可能性が高まります。

成年後見制度の診断書を取得する際の注意点

成年後見制度における診断書は、認知症や精神障害などにより判断能力が不十分な人を保護するために不可欠な書類です。

この制度を利用する際、診断書の取得にはいくつかの重要な注意点があります。

以下では、診断書を取得する過程で留意すべきポイントについて解説します。

診断書には有効期限がある

成年後見制度における診断書には有効期限が設けられています。

一般的に、診断書の有効期限は発行日から3カ月以内とされており、この期間を過ぎると診断書はその効力を失います。

そのため、申し立てをおこなう際は診断書の発行日に注意し、有効期限内に裁判所に提出しなければなりません。

有効期限を過ぎた診断書では成年後見人の申し立てが受理されない可能性があるため、計画的に手続きを進めることが重要です。

成年後見制度では本人情報シートも必要

2019年4月の診断書書式の改訂に伴い、成年後見制度では「本人情報シート」の提出も求められるようになりました。

本人情報シートとは、本人の日常生活や健康状態、家族構成などの詳細情報を記載する書類です。

本人情報シートを診断書と一緒に裁判所に提出することで、より正確な判断能力の評価が可能になります。

このシートによって、医師だけでなく家族やケアマネージャーなどが本人の状態を裁判所に伝えることができるため、より適切な成年後見制度の適用が期待できます。

申し立て後に鑑定が必要なケースもある

成年後見制度の申し立てをおこなった後、裁判所が診断書や本人情報シートの内容だけでは判断が難しいと見なされたケースでは、追加の鑑定が必要となることがあります。

この鑑定は、本人の判断能力や必要な支援の程度をより詳細に評価するためにおこなわれます。

鑑定には、精神医学的な評価が必要になることが多く、専門の医師や心理士が実施することが一般的です。

鑑定の手続きは裁判所が指定した専門家によっておこなわれ、一般的に数万円から数十万円程度の費用が必要です。

鑑定に要する期間もケースによって異なりますが、数週間から数ヶ月かかることがあります。

鑑定結果は、成年後見人の選任や支援の範囲を決定するうえで重要な資料となるほか、裁判所の判断にも大きく影響します。

さいごに|診断書作成などの成年後見制度の手続きで困ったら、弁護士に相談を

成年後見制度を利用するためには、医師による診断書が不可欠です。

診断書は、本人の判断能力の有無や程度を証明し、後見人の選任やサポートの範囲を決定するための重要な書類となります。

スムーズな手続きのためにも、診断書の取得方法や費用、有効期限などについて正しく理解し、必要に応じて専門家や家庭裁判所の職員に相談することが賢明です。

診断書の作成に際して不明点がある場合や、医師に診断書の作成を断られた場合は、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は成年後見制度の手続き全般にわたって適切なアドバイスをおこない、法的な問題を解決へと導いてくれるでしょう。

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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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