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成年後見人の報酬はいくら?目安や費用が払えない場合の対処法も解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
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成年後見制度の利用を検討している方の中には、成年後見人への報酬がどれくらい必要になるのか気になる方も多いのではないでしょうか。

裁判所が定める成年後見人に対する基本報酬は月2万~6万円ですが、後見人が特別な業務等をおこなった場合はそれとは別で付加報酬が発生します。

また、法定後見制度と任意後見制度のどちらを利用するかでも報酬は異なるため、ケース別の報酬目安を把握しておく必要があるでしょう。

本記事では、成年後見人の報酬相場や、報酬の決まり方、報酬が支払えないときの対処法などを解説します。これから成年後見制度の利用を考えている方はぜひ参考にしてください。

成年後見人への報酬が心配な方へ

成年後見制度の利用を検討していても、報酬がどれくらいかかるかわからず悩んでいませんか。

 

結論からいうと、成年後見人への報酬目安は月2万~6万円です。しかし、誰を後見人にするかで報酬は変わってくるので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

 

弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットを得ることができます。

  • 成年後見を利用すべきかわかる
  • 成年後見制度の手続きや必要書類がわかる
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この記事に記載の情報は2024年02月28日時点のものです

成年後見人の報酬相場は「任意後見人」と「法定後見人」で異なる

成年後見人の報酬の相場は、任意後見人か法定後見人かで異なります

成年後見人の報酬相場

それぞれの報酬相場について、以下で詳しく解説します。

裁判所が示す後見人の基本報酬の目安

任意後見人と法定後見人の報酬の違いを見る前に、裁判所が示している基本報酬の目安を紹介します。

基本報酬は被後見人(被支援者)の財産(管理財産)の額によって異なります

被支援者の管理財産

報酬(月額)

1,000万円以下

2万円

1,000万円以上、5,000万円以下

3〜4万円

5,000万円以上

5〜6万円

しかし、任意後見の場合報酬は必須ではありません

無報酬(0円)でも構いませんし、上記金額を超えることが直ちに問題ということもありません。

法定後見人の報酬相場は0万~6万円+α

法定後見人は家庭裁判所が選出する後見人です。被後見人が認知症などで判断能力が失われたときなどに法定後見制度が利用されます。

家族や弁護士なども法定後見人になることができます。法定後見人が報酬を得るときは、家庭裁判所に報酬付与申立てという手続きをしなければなりません。

法定後見人の報酬相場は、後見人が家族の場合は月6万円以下、弁護士などの場合は月6万円以下+αとなっています。

法定後見人を必要とするケースのほうが、権利関係が複雑になるなどして事務作業が増えることが想定されるので、任意後見人より報酬が高く設定されやすくなります。

任意後見人の報酬相場は0万~5万円程度

任意後見人とは、被後見人(支援を必要とする人)が選出する成年後見人のことです。被後見人が物事の判断を下せる状態のときに、任意後見人と任意後見契約を結びます。

被後見人の家族など、一般の人が任意後見人になる場合の報酬は月3万円以下で設定されることが多いようです。家族が後見人となるため、報酬自体を無料にすることも少なくありません。

弁護士や司法書士などが任意後見人になると月3万~5万円の報酬とすることが多いでしょう。報酬はいずれの場合も被後見人の財産から支払われます。

付加報酬が支払われる場合もある

成年後見人の業務内容が以下のような身上監護などで、特別に困難な事情があった場合は、その成年後見人の基本報酬額の50%の範囲内で相当する報酬が、付加報酬として支払われます。

成年後見人の付加報酬

付加報酬が発生するケースの例
  • 被支援者が多数の収益不動産を所有しており、管理が複雑である場合
  • 親権者の間で意見の対立があり調整をしなければならない場合
  • 成年後見人の不正が発覚し、新たな成年後見人がその対応をおこなった場合

また、成年後見人が以下のような特別な行為をした場合に限り、その行為に相当する報酬が支払われます。

被支援者が不法行為を受けたことで起こした訴訟に勝訴したことで、被支援者の管理財産額を1,000万円増加させた場合

約80〜150万円

被支援者の配偶者が亡くなったことによる遺産分割調停を申立て、調停を成立させて2,000万円の遺産を被支援者に取得させた場合

約55〜100万円

居住用の不動産を任意売却したことで、3,000万円分の被支援者の療養看護費用を賄うことができた場合

約40〜70万円

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成年後見人の報酬額の決め方

成年後見人の報酬額の決め方

ここでは、成年後見人への報酬の決まり方を解説します。

成年後見人への報酬額は裁判所が決める

成年後見人の報酬は、家庭裁判所が成年後見人の提出する資料をもとに決定します。

そのため、後見人は自分自身で勝手に報酬を決めることはできません。報酬の基準は各裁判所によって異なりますが、基本報酬の額を参考にするとよいでしょう。

成年後見人の報酬付与申立てに必要な書類

成年後見人が報酬を得るためには、家庭裁判所へ報酬付与の申立てをおこない、報酬付与の審判を受ける必要があります。

報酬は被支援者の財産から成年後見人へと支払われます。この報酬付与申立てには以下の書類が必要です。

報酬付与申立ての必要書類
  • 報酬付与申立書
  • 報酬付与申立事情説明書
  • 付加報酬を求める場合の資料

以下は、後見など事務の報告に関する資料の一例です。

  • 後見等事務報告書
  • 財産目録
  • 報告対象期間部分の預貯金通帳の写し
  • (専門職の場合)収支状況報告書
  • その他の裏付け資料
  • 申立人又は本人の住民票移し又は戸籍の附票写し

報酬額の決め手になる職務内容と財産状況

成年後見人の報酬額の基準は法律では決まっていません

そのため、家庭裁判所の裁判官が該当する期間中の成年後見人の後見などの事務内容や、成年後見人が管理する被支援者の財産状況などを元に適性金額を算出しています。

成年後見人として、特別な行為をおこなった場合はその内容を報告する必要があります。

その内容を記載する資料が「付加報酬を求める場合の資料」です。この資料には決まったフォーマットはありません。

そのため、成年後見人として苦労したことや財産確保をするためにおこなったことなどを中心にまとめて書きます。

この記載内容を元に、裁判所がその行為の大変さや被支援者の財産状況を考慮して付加報酬を算出します。

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報酬が支払われる時期

成年後見人へと支払われる報酬は、家庭裁判所の審判によって決められます。

そのため、その金額が確定するまで支払いがおこなわれません。家庭裁判所へ報酬付与の申立をおこない、報酬金額に関する審判が下されると報酬金額について通知があります。

その通知をもって、報酬を受け取る権利を得るのです。

そして、報酬付与の申立をして報酬を受け取るのは、一般的に成年後見人としての役割を終えたときや、役割を請け負ってから1年間経ってからとなります。

成年後見人への報酬が払えない場合は「成年後見制度支援事業」の利用を

被支援者の親族が成年後見人となってくれれば、報酬の心配はありません。

しかし、近年では親族が成年後見人とはなれずに第三者にお願いせざるを得ないケースも増えてきています。経済的な理由で制度が利用できないということは、大きな問題といえるでしょう。

このような人は、各市町村が設けている「成年後見制度利用支援事業」を利用することをおすすめします。

成年後見制度利用支援事業は、経済的な理由で成年後見制度が利用できない人を支援するための制度で、各自治体が成年後見制度を利用する場合にかかる費用の全額または一部を助成してもらうことが可能です。

制度の内容や制度利用者の基準は各市町村役所によって異なるため、居住地の役所へ問い合わせてみましょう。

成年後見監督人の報酬相場

成年後見監督人は、成年後見人の事務を監督する人のことで、家庭裁判所が必要であると認めたときに選任されます。

家庭裁判所が、成年後見監督人が必要であると認めるのは、成年後見人だけでは不十分であると判断したときなので、成年後見監督人は弁護士などの専門家が選任されることが一般的です。

成年後見監督人の報酬は月額1~3万円ほどになることが多いでしょう。

さいごに

成年後見人の役割は、日常生活における判断能力が低下した人にとっては非常に重要なものです。

そのため、それ相応の報酬が発生していることがおわかりいただけたでしょう。

また、成年後見人に支払う報酬は、被支援者の財産状況を元に家庭裁判所がその金額を設定するため、あまり金融資産を持っていない人であっても成年後見制度を利用することが可能となります。

具体的な報酬額はそれぞれの地域や被支援者の財務状況によって違いが出るため、成年後見制度利用にあたって金銭的な不安がある人は、一度最寄りの弁護士などにご相談してみてはいかがでしょうか?

当記事を読み終えた方に

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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