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分割相続を行う際の流れと知っておくと便利な5つの分割方法

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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分割相続(ぶんかつそうぞく)とは、法定相続人の間で法定相続分に応じた遺産分割をおこなう通常の相続形態において、相続放棄や限定承認をせずに3ヵ月が経過し、単純承認をした際の共同相続した状態のことをいいます。

相続人が2人以上いる場合は、どちらか一方に全ての遺産を相続させるようなことはせず、共同相続という形で遺産分割をするのが一般的ですが、この際、誰に何の遺産を相続させるのかが問題になる場合もあり、法律で遺産相続の争いを回避するために遺産分割という制度を用意しています。

そこで今回は、「分割相続(遺産分割)」をおこなう際に、どういった方法で進めていけばよいのかを紹介します。

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分割相続における共同相続と単独相続の概要

相続人に対して均等に分割する共同相続してしまうと、時代柄長男の権力が強かった鎌倉時代などでは、家を守るという役目をまっとうすることができなかったために、単独相続という相続人1人に遺産を集中させる方法がとられていました。

現代ではそういったことは薄れてきましたので、相続権をもつ法定相続人に分割しましょうという考えが広まってきたという歴史があります。

歴史的な背景としては上記のような内容ですが、簡単に要点をまとめると、下記のようになります。

共同相続

相続権をもつ被相続人の親族全員で遺産を分割する方法です。

現代においては、遺産を分割しないで保存しておく必要がなくなってきたため、被相続人の死後は共同相続による分割相続が原則とされています。

「遺産分割の期限」で詳しくお伝えしますが、被相続人の死からある程度の時間が経つと、幾つかの手続きに支障をきたす可能性があるため、「相続関係者」を集めて、できるだけ早い段階で「遺産分割協議」をおこなうのが望ましいと言えます。

単独相続

共同相続による分割相続とは違い、特定の1人が全ての遺産を相続する場合におこなわれる相続方法です。

先ほど登場した、鎌倉時代などでよくおこなわれていたものですが、商人の家系が相続人それぞれに遺産を分割することによる経営不振を避けたり、個人の取り分を少なくすることがないようにするためにおこなっていたものですが、現代においてはあまり使われない方法です。

遺産分割の流れと手順

次に遺産分割をどうやって進めていけばよいかの流れと、具体的な手順を紹介していきます。

分割相続の3つの方法

現物分割(げんぶつぶんかつ)

たとえば財産の中の土地は長男に相続させ、建物は長女に譲り、預貯金などの有価証券は次男に譲るなど、遺産そのものをあるがままの形(現物)で分ける方法です。

注意点としては、現物分割の場合は各相続人の相続分を均等に分割することは難しく、相続人の間に所得などの格差が大きい場合は、一部資産を売却するなどの調整をしないと、揉める可能性があります。

換価分割(かんかぶんかつ)

遺産を売却し、全てを金銭として分割する方法です。

遺産をきっちり相続分どおりに分けようとした場合、「現物分割」では難しいため、法定相続分どおりに遺産を分割したい場合には換価分割をとるとよいでしょう。

代償分割(だいしょうぶんかつ)

たとえば土地や建物しか遺産が無く、長男が全て取得する場合、代わりに次男に200万円、長女に100万円を支払うといったように、法定相続分以上の財産を取得する代わりに、ほかの相続人に自己の財産(金銭等)を交付する方法です。

遺産分割における4つの分割方法

遺産分割をおこなう場合、被相続人が遺言を残していれば原則的にその内容に従うことになりますが、もし遺言書がない場合は、遺産分割協議や遺産分割調停によって決めていくことになります。

1:遺言書による分割

被相続人が自分の財産の行方を自由に決めたい場合は、遺言書によって遺産分割の割合などを指定できます。

相続人は、原則的には遺言で指定された方法にしたがって分割相続をおこないますが、相続人全員の同意があれば、遺言書の内容を無視することもできます

また、遺言書で「遺留分」を侵害されていた場合は、その相続人は「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」をおこない、最低限の遺産を取り戻すこともできます。

※法改正により遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」として名前も制度内容も改められますので、注意してください(2019年7月1日施行)。

2:遺産分割協議による分割

  1. 遺言書がない場合
  2. 遺言書から漏れている遺産がある場合
  3. 取得する財産の割合は遺言で提示されているが具体的な遺産が提示されていない場合(包括遺贈)

上記の3つの場合では、「遺産分割協議」という相続人全員で話し合う方法をとるのが一般的です。

相続人全員が納得する同意が得られれば、どんな分割内容でも構いませんが、多くの場合「法定相続分」での分割相続がおこなわれます。

相続人全員の同意が得られれば「遺産分割協議書」を作成し、同意内容を書面で残すことをしておくと、あとから相続人同士で起こりうるトラブルに対処することができます。

3:遺産分割調停による分割

法定相続人(共同相続人)の間で遺産分割協議がまとまらない、あるいは揉めているような場合、各相続人は家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てをすることで裁判所に助けを求めることができます。

遺産分割調停は、調停委員が相続人の間に入り話し合いで分割内容を合意する手続きですが、合意した場合に作成される調停調書には、判決による効力と同様の力があります。

4:遺産分割審判による分割

遺産分割調停も不成立になった場合、自動的に審判手続きに移行することになります。

遺産分割調停と違い、話し合いでなく家事審判官(裁判官)が調査および証拠などの調査をおこなうことで遺産分割の方法を決めます。

遺産分割をスムーズに進める為の手順

1:遺言書があることで揉めことが回避できる

遺言がない場合などは、相続人全員での遺産分割協議になりますが、誰が相続するのか、何を相続するのかを決めるのはなかなか難しく、高い確率で揉めることがあります。

遺産相続で争っても遺産額が増えるわけではありませんので、どこかで折り合いを付けるしか方法はないのですが、感情的になるとそれどころではありません。

遺言があることで回避できることも多くありますので、生前からの対策としては遺言に勝るものはないといってもよいでしょう。

2:誰が相続人なのかはっきりさせておく

分割相続におけるトラブルの多くに、誰が相続人なのかわからないといった問題もあります。

たとえば「異母兄弟の相続」や、「非嫡出子の相続」などが典型的な例です。

法定相続人はだれなのか、また相続人と連絡が取れない場合はどうするのかなど、具体的な知識を得ておくことも大事です。

3:土地の相続方法の理解を深める

財産の中に「土地や不動産」が紛れていた場合、どうやって分割していけばよいのかという問題もあります。

「分割相続の3つの方法」でも話したように、不動産の分け方としては「換価分割」という便利な方法もありますが、広大な土地になるとまた対応も違ってきますので、そういった場合のトラブルには「弁護士の力を借りる」という選択肢もあることを覚えておきましょう。

4:相続人同士の揉めことは弁護士への相談が一番

想定されるどんな相続対策をしていたとしても、どこかで思わぬ落とし穴があることがほとんどです。

その場合は、遺産分割に詳しい弁護士に相談されるのがよいかと思います。

トラブルの種類は家庭によってさまざまです。

自分にあった状況をちゃんと解決しようと思った際、インターネット上の情報だけでは足りないこともありますので、見えない不安を解消するだけでなく、精神的なサポーターにもなってくれる弁護士への相談も検討してみましょう。

まとめ

分割相続は遺産を分けて相続するという意味ですので、言ってしまえば「通常の遺産分割」と言い換えてもよいでしょう。

相続問題を未然に防ぐため、あるいはすでに起きてしまった問題を解決するためにも、今回紹介したような内容や、「相続問題の発生前と発生後で取るべき解決策の全て」などを参考に、円滑な遺産分割をおこなっていただければと思います。

もしすでに審判をおこなうところまで来てしまっている場合は、弁護士への相談も視野に入れて検討頂ければと思います。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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