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公開日:2020.4.16 

特別受益の基礎知識|適用対象から計算方法、注意点まで

川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士
監修記事
Tokubetuzyueki
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特別受益(とくべつじゅえき)とは、共同相続人のなかで被相続人から遺贈や生前贈与を受けた人がいる場合に、その人が受けた利益のことを言い、遺贈、婚姻や養子縁組のための費用、生計の資本などの贈与が特別受益として考慮されます。「特別受益の持戻し」は、これらを相続開始時の財産に加えて具体的な相続分を算定することで、より公平な遺産分割を実現するための制度です。

ただし、特別受益については、具体的相続分の算定と遺留分の算定とで取り扱いが異なるので、正確な知識を押さえておくのが相続時のポイントになります。

今回は、特別受益を受けた共同相続人がいる場合の遺産分割において、どういった方法で具体的相続分を算定していくのかを中心に、特別受益制度の概要もご紹介いたします。

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特別受益に含まれるもの

  • 生前贈与
  • 遺贈(遺言によって受け取れる財産のこと)
  • 結婚や養子縁組のための財産贈与
  • 住宅資金
  • 生活のための贈与

他の相続人が特別受益で受け取った金額によっては、あなたの遺留分まで侵害されている可能性はあります

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特別受益の基礎知識

特別受益とは、遺産分割の際に考慮される、被相続人から共同相続人への遺贈や一定の生前贈与のことを言い、民法903条に相続分に関する規定、1044条で遺留分算定の際に903条を準用するという規定が設けられています。

(特別受益者の相続分)

第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。

2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。

3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。

4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。

第千四十七条 受遺者又は受贈者は、次の各号の定めるところに従い、遺贈(特定財産承継遺言による財産の承継又は相続分の指定による遺産の取得を含む。以下この章において同じ。)又は贈与(遺留分を算定するための財産の価額に算入されるものに限る。以下この章において同じ。)の目的の価額(受遺者又は受贈者が相続人である場合にあっては、当該価額から第千四十二条の規定による遺留分として当該相続人が受けるべき額を控除した額)を限度として、遺留分侵害額を負担する。

一 受遺者と受贈者とがあるときは、受遺者が先に負担する。

二 受遺者が複数あるとき、又は受贈者が複数ある場合においてその贈与が同時にされたものであるときは、受遺者又は受贈者がその目的の価額の割合に応じて負担する。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

三 受贈者が複数あるとき(前号に規定する場合を除く。)は、後の贈与に係る受贈者から順次前の贈与に係る受贈者が負担する。

2 第九百四条、第千四十三条第二項及び第千四十五条の規定は、前項に規定する遺贈又は贈与の目的の価額について準用する。

(引用元:民法903条1047条

特別受益の目的

特別受益は、共同相続人のなかに生前贈与や遺贈を受けた人がいる場合に、ほかの相続人との公平を図ることを目的とする制度です。具体的相続分の算定については被相続人には生前および死後の財産処分の自由が保障されているので、特別受益を考慮せずに遺産分割を行うように、被相続人が意思表示することは可能です。

しかし、遺留分は被相続人の財産処分の自由を制限し、一定の法定相続人の生活保障のため最低限の遺産の取り分を認める制度なので、特別受益は必ず考慮することになります。

このとき、特別受益を考慮しないでよいという意思表示を「特別受益の持戻し免除」(民法903条3項)と言い、持戻し免除の結果、遺留分を侵害された相続人が出てきた場合には、遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)の問題になります。

特別受益者の範囲

特別受益を受けた人をほかの相続人等と区別して「特別受益者」と呼びますが、特別受益者かどうかはその相続における特別受益者と被相続人との関係性で変わってきます。

①推定相続人

推定相続人は、その相続において法定相続人になる予定の人なので、原則として特別受益者に含まれます

このとき、被代襲者(被相続人よりも先に死亡した推定相続人)がいた場合にはこの人も特別受益者に含まれ、その権利を承継した代襲相続人について特別受益が考慮されることになります。

②代襲者

代襲相続人になりそうな人への贈与については贈与の時期によって特別受益か否かが判断されることから、代襲者はケースバイケースで特別受益者に含まれることになります。

代襲原因(被代襲者の死亡・相続欠格・相続廃除)発生前の贈与であれば、代襲者は推定相続人でないため原則として特別受益者にあたりませんが、代襲原因発生後は代襲者=推定相続人になることから、このような場合には特別受益者にあたるといえます。

③推定相続人になる予定の人

被相続人が婚約者や養子縁組予定の相手といった推定相続人になる予定の人に贈与をすることは珍しくありませんが、推定相続人となる前の贈与については、贈与の動機によって特別受益かどうかの判断が分かれる可能性があります。

原則として、推定相続人になる前に贈与を受けた場合には、その人は特別受益者には含まれません。しかし、贈与の目的が婚姻や養子縁組をするためだったり、その準備が調ったことによるものだったりする場合には、推定相続人となった後の贈与と実質的に異ならないので、特別受益者に含まれる可能性が高いです。

④相続人の配偶者や親族

特別受益は共同相続人間の公平を図る制度なので、その対象となるのも基本的には推定相続人・法定相続人です。

基本的には相続人の配偶者・親族は特別受益者に該当しませんが、名義だけこれらの人に贈与して実際に利益を受けたのが相続人であるような場合には、その相続人への贈与とみなして特別受益が考慮される可能性があります。

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特別受益となり得る6つの財産


 

特別受益は、被相続人が共同相続人にした一定の贈与等のことを言いますが、具体的にどのような贈与が特別受益にあたるかは、民法903条(遺贈、婚姻もしくは養子縁組もしくは生計の資本としての贈与)のほかに明確な規定がありません

また、特別受益に該当しそうな目的でなされた贈与であっても、被相続人の生活レベルによって単なる贈与と判断される可能性もあり、条文上で列挙されている以外の贈与については、事案に即した判断が必要になってきます。

そこで、判例なども参考に、特別受益となり得る財産をまとめてみましたので、参考にしていただければ幸いです。

大前提:被相続人の経済状況によって判断が分かれる

特別受益の判断では、被相続人の経済状況に照らし、贈与等の額が少額で扶養の範囲内と判断される場合には、それらは特別受益に該当しない可能性があるという特徴があります。

もっと言えば、被相続人の収入、社会的地位、生活状況、教育水準などによって具体的な判断がなされるということなのですが、例えば年収300万円の人が100万円の贈与をするのと、年収3,000万円の人が100万円の贈与をするのとでは、確かに感じ方が違いますよね。

原則として民法903条所定の贈与については特別受益として考えてよいかと思いますが、婚姻費用にしても細かく見ると持参金や嫁入り道具の購入費用、結納金、挙式費用とさまざまなものが考えられ、それらが特別受益に該当するかどうかは、結局のところ被相続人の経済状況に左右されます

大雑把に言えば、贈与税の特例などを利用した贈与については特別受益に該当する可能性が高いかと思いますが、具体的な判断はケースによって異なるので要注意です。

したがって、特別受益について争う場合には、被相続人の生活レベルやほかの相続人への贈与額なども考慮するのが基本戦略となります。

婚資(婚姻費用)・養子縁組のための費用

婚姻と養子縁組のための費用は、民法903条1項が規定している典型的な特別受益です。

しかし、先述の通り、持参金や結納金、挙式費用などについて実務上確立した扱いがあるわけではなく、それらが「遺産の前渡しと言えるか否か」で判断される傾向があります。

わかりやすく言えば、「嫁いだからうちの遺産は渡さない」「養子に出すからうちの遺産を渡しておこう」というように、あらかじめまとまった額の贈与を行い相続分の代わりにするような費用であれば特別受益と判断される可能性が非常に高く、逆に一般的なご祝儀レベルの支度金などの贈与であれば、特別受益と判断される可能性は低いといえるでしょう。

不動産の贈与

不動産は、それ自体が高額な財産であることがほとんどなので、原則として不動産の贈与は特別受益と判断される可能性が高いです。

また、不動産を購入するための資金贈与についても同様ですが、前述の通り額が少額の場合には特別受益にならない可能性もあります。

金銭・有価証券・金銭債権の贈与

金銭・有価証券・債権等の贈与については、小遣いや慰労金、礼金などの範囲を超える高額の贈与の場合には、原則として特別受益に該当することになります。

この場合にも「相続分の前渡しか否か」といった基準が大きな意味を持ちますので、具体的な事情の下で判断がなされることになるかと思います。

借地権の設定・承継

被相続人の土地上に相続人が建物を建築し、借地権を設定したような場合では、借地権相当額の贈与とみなされ特別受益に該当する可能性があります。

また、借地権の名義を被相続人から相続人に書き換える場合には、借地権相当額の贈与があったとみなされ原則として特別受益に該当するとされています。

ただし、この場合に借地権の設定を受けた人が相場での権利金等の支払いをしていたり、名義を取得する人が書換料や対価を支払っていたりする場合には、借地権相当額からこれらを控除した額が特別受益と判断されることになるかと思います。

なお、借家権に関しては特別受益の問題は生じませんのでご安心ください。

高等教育のための学資

現代の日本では高等学校教育までは義務教育に準じて考えられていることから、原則として大学以上の教育が「高等教育」に該当し、そのほかにも留学等の費用が「高等教育のための学資」と判断されることになります。

ただし、被相続人や家庭環境、それらの教育水準に即してその程度の教育を行うのが通常であるような場合には、扶養の範囲内と判断され特別受益に該当しない可能性もあります。

特別受益とならないとされる財産

以上が特別受益の典型例となる贈与ですが、ここでは特別受益に該当する可能性の低い財産について、改めてご紹介いたします。

ただし、これらの財産のうち判断が微妙なものに関しては、ケースによっては特別受益と判断される可能性がありますので、あくまで参考程度にしていただけるとよいかと思います。

遺産の無償利用

被相続人の所有する建物に相続人の1人が居住している場合には、特別受益が問題になる可能性があります。

このとき、被相続人と相続人が同居しておらず使用貸借契約のような形で相続人が居住している場合には、使用借権相当額の特別受益と判断される可能性が高く、逆に両者が同居している場合には、相続人固有の占有権原がないようなケースであれば特別受益に該当する可能性は低いといえます。

生命保険金

生命保険金は、原則として「受取人固有の財産」となり、相続財産に含まれないという扱いになっていることから、基本的には特別受益の問題を生じません。

しかし、例えば相続財産が生命保険金のみであったり、相続財産と比較してあまりにも過大な額であったりする場合には、特別受益に準じて考慮される可能性が高くなります。

死亡退職金

死亡退職金は、賃金の後払いという性質と、遺族の生活保障という性質の2つを併せ持つ金銭になることから、どちらの側面を重視するかによって特別受益の判断も分かれがちです。

例えば一部の相続人だけが多額の死亡退職金を受け取ったような場合には、特別受益の問題が生じる可能性もあり得ますが、ケースによって判断が大きく変わりますので、疑問に思ったら弁護士などへ相談するのがおすすめです。

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特別受益に関わる法改正

2019年の相続法の改正で、特別受益に関わる仕組みにも変更が生じた部分がありますので、ここで確認しておきましょう。

特別受益の持戻し期間が10年へ改正

これまで遺留分の基礎財産に含める贈与の期限は限定されていませんでした。しかし2019年7月1日から、法改正により生前贈与について持ち戻す期間は相続開始前の10年間に限定されるものとなりました。

この改正により、相続人に対する贈与は相続開始前の10年間に限り遺留分の基礎財産に含めることとなります。

配偶者への持戻し免除の改正

配偶者への持ち戻し免除の改正により、結婚20年以上の配偶者に対する自宅の生前贈与については、原則として、特別受益の扱いを受けなくなりました。 

これまでは配偶者が自宅の生前贈与を受けていた場合、自宅は遺産の先渡しがされたものとして取り扱われ、特別受益にカウントされるので配偶者が遺産分割において受け取ることができる財産の総額がその分減らされていました。

しかし今回の改正により、20年以上の夫婦間で配偶者に対して自宅の遺贈または贈与がされた場合には、原則として遺産分割における計算上、特別受益としてカウントされないこととなりました。

特別受益者がいた場合の計算方法と例

さて、特別受益とその対象になる贈与についての基礎知識が揃ったところで、実際の計算例を見てみたいと思います。

冒頭で述べたように、特別受益は「具体的相続分の算定」と「遺留分の算定」(+「相続税の算定」)の際に問題になりますが、持戻し免除が使えるものとそうでないものがありますので、具体的な計算方法を把握しておくのがおすすめです。

ここでは、具体的相続分の計算方法と、遺留分の計算方法、それぞれの計算例をご紹介いたします。

参考:生前贈与は特別受益に当たる?財産の範囲・遺留分が増えるケースまとめ

特別受益者がいる場合の相続分

特別受益者がいる場合の具体的相続分の計算は、以下の計算式を用いて行います。

(相続開始時の財産[遺贈を含む]+特別受益に該当する生前贈与)×相続分―特別受益=具体的相続分

このうち、相続開始時の財産に生前贈与(特別受益)を足したものを「みなし相続財産」と呼ぶ場合があります。なお、遺贈は相続開始時の財産に含まれるので持戻しは必要ありませんが、持戻し免除の有無によって具体的相続分算定の際に差し引かれるか否かが変わってきます。

例えば、相続人が配偶者Aと子供2人(B・C)で、法定相続分での相続を行う場合で考えてみましょう。

  • 相続開始時の財産:5,000万円
  • Aへ不動産購入資金として2,000万円の生前贈与(持戻し免除なし)
  • Bへ学資として1,500万円の生前贈与(持戻し免除なし)
  • Cへ遺贈1,500万円(持戻し免除なし)

①まず、みなし相続財産を算出します。

  • 5,000万円+2,000万円+1,500万円=8,500万円

②次に、法定相続分での相続割合を掛け合わせます。

  • A:8,500万円×1/2=4,250万円
  • B・C:8,500万円×1/4=2,125万円

③それぞれの特別受益を控除し、具体的な取得額を算出します。

  • A:4,250万円―2,000万円(特別受益)=2,250万円
  • B:2,125万円―1,500万円(特別受益)=625万円
  • C:2,125万円+1,500万円(遺贈)―1,500万円(特別受益)=2,125万円

A・B・Cの具体的な取得額を合計すると、相続開始時の財産5,000万円となり、計算終了ということになります。

なお、特別受益者のなかに相続分を超過する特別受益を得ている人がいる場合には、超過特別受益者の相続分はマイナスになり実際に取得する財産が0円になりますが、ほかの相続人が現実に取得する相続財産の額も具体的相続分に満たないという結果になります。

この場合は裁判でも計算方法が分かれる部分になりますので、弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。

特別受益者がいる場合の遺留分

特別受益がある場合の遺留分は、持戻し免除の有無に関わらず、すべての特別受益を遺留分算定の基礎財産に持ち戻して考えます。

例えば、相続人が配偶者Aと子供2人(B・C)で、被相続人が遺言でCに対する遺贈のほか、残りの財産を公益法人Dに寄付する旨を残していた場合で考えてみましょう。

  • 相続開始時の財産:5,000万円
  • Aへ不動産購入資金として2,000万円の生前贈与(持戻し免除なし)
  • Bへ学資として1,500万円の生前贈与(持戻し免除あり)
  • Cへ遺贈1,500万円(持戻し免除あり)

①遺留分算定の基礎財産の算出をします。

相続開始時の財産に特別受益を足して、遺留分算定の基礎となる財産を算出します。

  • 5,000万円+2,000万円+1,500万円=8,500万円

②各人の遺留分割合を考慮します。

今回のケースの場合は、配偶者と子が相続人となるため、総体的遺留分は相続財産の1/2、個別的遺留分はAが1/4、B・Cそれぞれが1/8になります。

  • 8,500万円×1/2=4,250万円←総体的遺留分
  • A:8,500万円×1/4=2,125万円
  • B・C:8,500万円×1/8=1,062.5万円

③個別的遺留分額から特別受益・相続や遺贈によって実際に取得する額を控除し、各人の遺留分が侵害されているかを確認します。

  • A:2,125万円―2,000万円=125万円
  • B:1,062.5万円―1,500万円=-437.5万円
  • C:1,062.5万円―1,500万円=-437.5万円

計算してみると、B・Cに関しては遺留分が侵害されておらず、Aのみ125万円分の侵害があることがわかります。

このため、AはCおよびDに対して遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)を行うことで、遺留分を回収できるようになりますが、B・Cは遺留分が侵害されていないため、誰に対しても遺留分侵害額請求をすることはできません。

特別受益の「持戻し免除」

特別受益の計算方法の項で軽く触れましたが、具体的相続分算定の際には「特別受益の持戻し免除」が大きく関わってきます。どういった人が対象になるのか、また持戻しの期間などについてもきちんと押さえておくのがおすすめです。

特別受益の持戻し免除対象者

持戻し免除の対象者は、推定相続人・法定相続人に限られることになります。要はその相続において相続権を有する人が持戻し免除の対象者になるにすぎず、仮に推定相続人に該当する場合でも、先順位の法定相続人がいて相続権を持たない場合には、これらの人の持戻しの有無は問題になりません。

特別受益の持戻しができる期間

特別受益の持戻しは、共同相続人間の公平な遺産分割を担保するための制度なので、贈与のなされた時期に関係なく持戻しでき、またいつまでに持戻しをしなければならないといった決まりはありません

特別受益の持戻しが問題になるのは「遺産分割協議」と「遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)」、「相続税の申告・納税」の場面かと思いますので、これらの手続きが終わらないうちは持戻しの有無に注意を払うのがよいでしょう。

特別受益の持戻しができない場合

特別受益の持戻しは、基本的に「プラスの相続財産がある場合」と「相続人が複数おり、そのなかに特別受益者がいる場合」で、「遺言等で処分方法が指定されていない財産がある場合」に問題になる制度と言うことができます。

したがって、次の場合には特別受益の持戻しの問題を生じません。

①相続人が1人しかいない場合

相続人が1人しかいない場合には、持戻し免除の対象になるのはその相続人だけということになりますので、特別受益の問題は生じないことになります。

②生前贈与や遺贈を受けた者が相続放棄した=特別受益者がいなくなった場合

特別受益は、その相続において相続権を有する法定相続人等のうち、特別な贈与により利益を得ていた人とそうでない人との不平等を解消するための制度なので、相続放棄などで特別受益者がいなくなった場合にはそもそも問題になりません。

③相続開始時点においてプラスの財産がなく、マイナスの財産しか残っていない場合

マイナスの財産しか残っていない場合には、相続放棄を選択するケースが多いことと、特別受益自体が具体的相続分算定の際の不平等解消制度なので、相続するプラスの財産がなければ問題になりません。

④誰も特別受益の持ち戻しを請求しない場合

共同相続人のなかに特別受益者がいたとしても、ほかの相続人がそれを不平等だと主張しなければ問題にはなりません。

相続完了後に特別受益が発覚した場合

遺産分割協議がすでに終了した後で特別受益者がいることが発覚した場合には、遺産分割協議をやり直すか否かと遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)を行うか否かが問題になります。

ただし、遺産分割協議のやり直しを主張するにはそれに足りる正当な理由が必要になるのと、遺留分侵害額請求権には1年の時効があるので、なかなか難しいというケースも珍しくありません。

このような場合には、法的にどのような主張ができるのか、また実際に不足する相続分等を取り戻せる確率がどの程度あるのかなどを含め、弁護士へ相談して対策を練るのが無難です。遺産分割協議等をやり直すことは簡単ではありませんので、専門家の力を借りて正当な理由を主張するほうが、不足する相続分を回収できる確率が上がるでしょう。

特別受益と「寄与」の関係

これまで特別受益について、相続人間の公平を図るために相続分から特別受益分を控除することについてご紹介してきました。

寄与分に関しても相続人の間で財産を公平に分けるために導入されたもので、

  • 相続財産が増えるような寄与
  • 相続財産が減らないような寄与

を行った場合、その寄与分を相続分に加えて取得することができます。

具体的には、被相続人が営んでいた家業を無償で手伝っていた場合や無償で被相続人の老後の介護や看病をしていた場合などで、相続財産の維持・増加に特別の寄与があった場合です。

特別受益と寄与では相続計算において以下の関係があります。

特別受益者の相続計算を行う場合、まず相続財産を算出する際には特別受益額をプラスします。その後法定相続分を計算する際に特別受益額をマイナスします。

一方、寄与者の相続分を計算する際には相続財産から寄与分はまずマイナスします。その後法定相続分を計算する際に寄与分をプラスする形となります。

特別受益者と寄与者が同一の場合

特別受益者と寄与者が同一の場合には、まず特別受益の価額をマイナスし、それから寄与分の価額をプラスします。

  1. 特別受益の価額をマイナス
  2. 寄与分の価額をプラス

この順序で計算を行うことで、特別受益の価額が現実の相続財産による相続分の価額を上回っても、マイナスになりません。

特別寄与料も請求

2019年7月1日以降、相続人以外の親族(※)が被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合に、特別寄与者が各相続人に対して寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができるようになりました。この特別寄与料は遺贈により取得した者とみなして相続税が課税されます。

※6親等内の血族と3親等以内の姻族

まとめ

特別受益は、相続手続きにおいて重要な制度の一つですが、その判断や計算方法については確立した判例が少なく、事案ごとに具体的な内容を加味しての運用が行われています。

そのため、特別受益に関して疑問があったり、特別受益を主張して自己の正当な相続分を取得したい場合には、早い段階から弁護士へ相談することが成功のカギになるかと思います。

本記事が、少しでもお役に立てば幸いです。

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相続トラブルを解決し遺産を多く受け取る方法とは?

相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。

 

これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。

 

相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。

 

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。

 

遺産分割に関する調停事件の推移

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

 

相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?

相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。

 

相続人の数

<参考資料:国税庁 統計年報>

 

相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。

 

トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。

 

弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。

 

 

相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例

相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
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    相続トラブルの解決実績が豊富だったり、相続問題に注力していたりする弁護士を選びましょう。

  • 例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。

  • 相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。

  • 2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ

    初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。

  • 件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)

  • 3、近隣の弁護士を選ぶ

    相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。

 

 

相続で弁護士が介入するデメリットは、あまりありません。

 

あえて挙げるなら、依頼に費用がかかる点でしょうか。

 

しかし、以下の費用対効果の例をご覧いただけば、実際には費用がデメリットとはならないことが、おわかりいただけると思います。

 

不公平な遺言書に対し弁護士を通じて遺留分を主張した例

3,000万円の遺産を遺して親が世を去った。全財産をほかの相続人に相続させる旨の遺言書があり、このままでは自分は一切遺産を受け取ることができない。

弁護士に依頼した結果

遺留分侵害額請求により、自分の遺留分割合である8分の1の遺産を受け取ることができた。

費用対効果

自分が受け取ることができた遺産は375万円。弁護士費用は84万円。そのまま泣き寝入りしていれば1円も受け取ることができなかったが、結果的に弁護士費用を差し引いても291万円を手にすることができた。

また、相続トラブルに関しては、初期費用(着手金)はかかるものの、費用の大部分は成果報酬方式です。


つまり依頼料はデメリットにならないのです。

 

>>費用対効果の高い弁護士とは?

 

簡単かつ早急に信頼できる弁護士を選ぶ方法

相続弁護士ナビは、相続問題の解決実績豊富な事務所を数多く掲載しています。


あなたのお住まいに近い事務所を選ぶことができ、ネット上の口コミに頼らず、相談に行きやすい優良な事務所を簡単に見つけられます。

 

使い方も簡単なので、近隣の事務所を確認だけでもしてみることをおすすめします。

 

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どれを選んでいいかわからない場合は、相続トラブルを選んでくされば対応できます。

弁護士費用をカバーする保険「弁護士費用保険メルシー」

弁護士費用は決して安いものではなく、少なくとも50万円以上になることがほとんどです。

そんな弁護士費用を補償するのが、弁護士費用保険メルシーです。

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法的トラブルは身近に潜んでいて、いつ被害にあうか分かりません。

  • 子供がいじめで不登校になってしまった
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こんなとき、弁護士依頼で発生する費用を月額2,500円で補償できます。

追加保険料0円で子供や両親、配偶者も補償対象になり、自分以外の家族も守ることができます。

いざというときの弁護士費用を賄うために、まずは資料請求を。

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KL2020・OD・037

この記事の監修者
川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士 (神奈川県弁護士会)
遺産分割など揉めやすい問題の交渉、調停、訴訟から、生前の相続対策として遺言や家族信託の活用についてまで幅広く対応。相談者の事情に合わせたオーダーメイドの解決を目指しており、多くの実績がある。

他の相続人より遺産が少ないと感じたなら弁護士に相談するのがオススメです

【特別受益に含まれるもの】

・生前贈与
・遺贈(遺言によって受け取れる財産のこと)
・結婚や養子縁組のための財産贈与
・住宅資金
・生活のための贈与

他の相続人が特別受益で受け取った金額によっては、あなたの遺留分まで侵害されている可能性はあります。

遺留分が侵害されている場合は、弁護士に依頼することで相続できる遺産が増える可能性が高いです。

弁護士は法律にもとづいて相続する財産の割合を算出します。

当サイト『相続弁護士ナビ』は下記の特徴をもつ、相続問題に特化した弁護士相談サイトです。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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