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再婚と相続の微妙な関係|再婚者が絶対に押さえておくべき相続対策まとめ
2017年05月09日

再婚と相続の微妙な関係|再婚者が絶対に押さえておくべき相続対策まとめ

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厚生労働省が2016年12月22日に発表した「2016年人口動態統計の年間推計」によれば、婚姻件数は62万1,000組であるのに対し、離婚件数は21万7,000組と、非常に多くの離婚が成立しています。
※これらの数字は「2016年に」婚姻または離婚した夫婦という意味です)


参考:平成 28 年(2016)人口動態統計の年間推計

また、厚生労働省の「離婚に関する統計」によれば、若い世代の離婚率は他の年齢層よりも高くなっており、その意味でも離婚・再婚は珍しくない身近なものになってきているかと思います。

日本では、「配偶者」と「子ども」を優先した相続制度が運用されているため、再婚家庭は相続でも様々な問題を抱える危険が非常に高いと言えます。特に、故人に前婚で子どもがいた場合には、生前の関係性や相続への備えの有無によって遺産分割等の手続きの難易度が全く異なってきます。

そこで今回は、再婚家庭が絶対に押さえておくべき相続対策についてご紹介いたします。

 

  目次
再婚家庭と相続における注意点
再婚した場合の相続人は誰になるのか
前婚の子と後婚の子で相続分は違うのか
養子縁組によって連れ子の相続権の有無が変わる
養子縁組の注意点
①普通養子縁組
②特別養子縁組
再婚家庭は相続対策が不可欠な理由
①子どもの問題
②前婚の子どもと現配偶者との確執
③遺産分割協議が進まない
再婚家庭こそ考えて欲しい相続対策まとめ
早めに相続人を把握しておく
遺言書の活用
遺留分にも注意する
前婚の子どもに遺産を渡したくない場合
まとめ


 

再婚家庭と相続における注意点

若くして離婚した人はもちろん、配偶者と死別したり、熟年離婚等によって新たな配偶者を得た人にとって、相続は非常に厄介な問題になる可能性があります。まずは再婚家庭と相続における基本的な知識と注意点を整理してみましょう。
 

再婚した場合の相続人は誰になるのか

日本の相続では、故人が亡くなった当時の配偶者は必ず相続人に数えられることになります。次いで、以下の順番で一番順位の高いグループの人が相続人になります。

  1. 第一位 子どもや子どもの子ども[故人からみて孫]など(直系卑属)
  2. 第二位 故人の直系尊属(父母や祖父母、養親など)
  3. 第三位 故人の兄弟姉妹

再婚家庭の場合、前婚の配偶者は相続人になることはありませんが、前婚の実子については第一順位の相続人に数えられることになるため注意が必要です。
 

前婚の子と後婚の子で相続分は違うのか

子どもは第一順位の血族相続人になるため、遺伝的に実子であれば前婚・後婚ともにどちらの子どもでも相続分に差はありません。

以前は嫡出子と非嫡出子の相続分に差があり(旧民法900条4項ただし書き)、嫡出でない子の相続分は嫡出子の1/2とされていましたが、平成25年9月5日以降に開始した相続ではこのような区別はなくなっています。

したがって、前婚の子も後婚の子も相続分は同じとして扱われ、配偶者がいる場合の実子の法定相続分は「1/2を実子の数で割ったもの」となります。
 

養子縁組によって連れ子の相続権の有無が変わる

子どもを連れて再婚した場合、再婚相手(新たな配偶者)と連れ子は血が繋がっていないことから、連れ子に確実に相続させたい場合は養子縁組を行う必要があります。

言い換えれば、養子縁組をしていない連れ子については、新たな配偶者の相続の際に血族相続人にはなりません。

連れ子に配慮して養子縁組を保留するケースも多いですが、不慮の事故や災害などに巻き込まれて命を落としてしまう可能性はゼロではありませんので、再婚の際には相続を含めてどのように家族関係を築いていくのかをきちんと考えるのをおすすめします。

そのうえで、養子縁組を保留する場合は、遺言書を作成したり、受取人を連れ子とする生命保険契約を締結しておくと、不慮の相続についての心配事が減らせるかと思います。

 

養子縁組の注意点

再婚の際に養子縁組がなされることはよくありますが、養子縁組には2種類あり、それぞれ法的効果が若干異なります。
 

①普通養子縁組

一般的な養子縁組は「普通養子縁組」で、養子は実親・養親双方の実子という立場を得ることになります。もっと言えば、養子から見れば親が2組に増えるということです。再婚の場合は連れ子との養子縁組など、普通養子縁組が一般的かと思います。
 

②特別養子縁組

特別養子縁組は、実親およびその血族との親族関係を終了させ、完全に養親の嫡出子とする制度です。したがって、相続の際には養親のみ相続権を得ることになります。

特別養子は特殊な制度で、養子の年齢や環境の条件、養親の条件などが厳しく法定されていることから、再婚の場合は例えば子どもができずに養子を取るといった場合以外はあまり問題にならないかと思います。

どちらの養子縁組であっても、養子となった子どもには養親の相続権が与えられることになり、その後に養親に新たな実子ができても相続分などで差別されることはありません。養子が何人いようとこれは変わりませんので、兄弟の連れ子と養子縁組した場合は全員が実子と同じ扱いになります。

ただし、相続税法上は基礎控除の計算の際に法定相続人の数に入れることができる養子の数に制限があり、「実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで」しか基礎控除の計算に利用できませんのでご注意ください。

その他、養子縁組について詳しくは養子の相続における注意点|養子縁組の効果と相続税対策をご覧ください。


 

再婚家庭は相続対策が不可欠な理由

再婚家庭の場合、通常の家庭と違って相続問題が起こる可能性が非常に高いと言えます。というのも、子どもとの血の繋がりや前配偶者との離婚等の経緯、現配偶者やその親族との関係性などによってあなたの死後に様々な問題が発生する危険があるのです。

ここでは、再婚家庭で相続対策が不可欠になる具体的な事案をご紹介したいと思います。再婚と相続で起こりうるトラブルには、大きく下記の3つが考えられます。
 

①子どもの問題

先に述べたとおり、離婚の際に子どもがいた場合には、相続で揉める可能性が極めて高いと言えます。あなたが子どもを連れて再婚した場合でも、新たな配偶者の相続の場面では子どもの相続権が問題になります。
 

トラブル事例

  • 幼い頃に父母が離婚し親権が母で、その後双方ともに再婚した結果数十年父との交流はなかったものの、ある日突然父の再婚相手から相続放棄を迫られた
  • 母が再婚し新たに兄弟が生まれたところ、養子縁組をしていなかった継父の相続では自分だけ相続人になれなかった
  • 夫が前婚の子どもに遺産をすべて渡すという遺言をしていたが、前婚の子どもの行方が全く分からないため遺留分減殺もできない

 

②前婚の子どもと現配偶者との確執

再婚家庭の場合、特に再婚相手が初婚であるケースでは、前婚の子どもとの確執が生まれる可能性が少なくありません。こういった場合には生前にある程度対策を練っておかないと、争族に発展することになりますので、充分注意する必要があります。
 

トラブル事例

  • 再婚相手と連れ子が上手くいっておらず、確実に遺産分割で揉めそうな険悪な雰囲気である
  • 再婚相手が前婚の子どもを敵視しており、絶対に遺産を渡したくないと言っている
  • 離婚の際相手に親権を渡して数十年交流が途絶えていた前婚の子どもが、相続の際に突然現れて過大な遺産分割を要求してきた

 

③遺産分割協議が進まない

離婚の際に子どもがいなくとも嫡出推定によって実子が増えているケースや、双方が再婚というケースでは、相続人を確定するのが難しいという場合があります。
 

トラブル事例

  • 離婚後妊娠が分かり、前夫の嫡出子になる子どもが生まれその後に再婚し、更に十数年後前夫の死亡によって相続に関わることになった
  • 妻が死亡し前婚の子どもも交えて遺産分割協議をしなければならないが、行方不明で困っている

この他にも、前婚の配偶者が相続についてあれこれ口出しをしてきたり、現配偶者の親族と不仲であるといったトラブルも考えられます。

そういった意味でも、再婚家庭ほど相続ではトラブルに見舞われやすいので、嫌な話かもしれませんが相続についての対策を考えるというのは必要なことかと思います。


 

再婚家庭こそ考えて欲しい相続対策まとめ

以上が再婚家庭にとっての相続の問題点・危険性の概要ですが、ここからはどういった対策が有効なのかについてご紹介したいと思います。

再婚家庭こそ相続については人一倍関心を持っていただき、「争族」を防止するためにも早めの対策を練っておくのがおすすめですので、参考にしていただければ幸いです。
 

早めに相続人を把握しておく

相続の際、真っ先にしなければならないことのひとつが「相続人の確定」です。これは、誰が相続人になり、遺産分割協議の当事者になるかというのを確定するだけでなく、遺言があった場合には遺留分等の問題も含めて贈与などの精査を行う必要が出てくることから、相続では非常に重要な要素です。

そのため、前婚で子どもがいる場合は確実に、特に男性は前婚で子どもがいなかったとしてもその後に出生した可能性なども含めて、現在誰が自分の相続人に該当するのかを調査しておくのが良いでしょう。
 

特に前婚の子どもがいる場合は要注意

たまに勘違いされる方がいらっしゃるのですが、前婚の配偶者が子どもの親権を持っている場合であっても、離婚によって実子の親子関係が切れることはありません。

また、離婚後300日以内に生まれた子は血の繋がり関係なく前夫の子と推定され(嫡出推定)、前夫の子として扱われるのが原則です(民法772条1項・2項)。

離婚時点で既に子どもがいた場合はもちろんですが、男性は子どもがいなかった場合でも新たに実子が増えている可能性がゼロではありませんので、できればこちらの調査をしていただくのが良いかと思います。
 

遺言書の活用

再婚家庭の場合は、遺言書の活用が最も効果的です。遺言書は、作り方に応じて「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」という方法がありますが、どの方法によっても死後に以下の効果を発生させることができます。
 

遺産相続に関することを決定できる

相続人となる人について、民法891条~893条に定められた事由を満たしている場合には、相続権を奪うことができます(相続欠格・相続人廃除)。

このうち、相続欠格については法が強制的に相続権を奪うので、遺言によってどうこうする必要はありませんが、相続人廃除は遺言によってすることができます(この場合は併せて遺言執行者の指定をするのが良いでしょう)。

ただし、相続人廃除は遺留分を有する推定相続人に対する制度なので、配偶者・子ども・直系尊属がその対象になります。兄弟姉妹は元々遺留分がありませんので、これらの人を相続人から外したい場合には、相続財産の処分について細かく指定するなどして兄弟姉妹に何も渡らないようにする必要があります。
 

財産処分に関することを決定できる

遺言がない場合には、原則として法定相続分による相続が行われ、遺産分割協議で細かな修正をしたり、相続人全員の合意のもと自由な相続分での相続が行われることになります。

遺言を使うことで、再婚後の家族やお世話になった人などに多めに財産を残したり、相続人でない人(前婚の親族など)にも遺贈を行って財産を渡すことが可能になります。

財産処分は、一部の財産でも全部の財産でも好きに行うことができますが、混乱を避けるという意味ではできるだけ細かく指定しておく方が無難でしょう。ただし、あなたの死後にその意思を忠実に反映するためにも、後述する「遺留分」を侵害しないように上手に遺言をするのがおすすめです。
 

遺言執行に関することを決定できる

遺言を利用すると、あなたの死によって未成年の子どもが親権者不在で残される場合には後見人の指定をしたり、遺言内容を確実に執行するための遺言執行者を指定することもできます。

この他にも遺言でできることはいくつかありますので、気になる方は遺言書の5つの効力と無効になる15の事例をご覧ください。
 

遺留分にも注意する

遺言を活用するのが有効とは言いましたが、兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」という最低限の遺産の取り分が保障されています。この遺留分は、遺言によっても侵すことができず、例えば前婚の実子に財産を渡したくないからと現在の配偶者やその子どもに遺言で全財産を渡すよう指示したとしても、前婚の実子から遺留分減殺請求をされたら一定の財産を渡さなければなりません。

遺留分を侵害する遺言は、それだけでは無効になることはありません。遺留分権利者がその権利を放棄して請求しなかったり、時効が完成すれば問題になることはありませんが、配偶者相続人がいる場合の実子の遺留分は相続財産の1/2×1/2×1/(実子の数)となりますから、最初からこれを考慮に入れたうえで遺言等をするのが良いかと思います。

なお、遺留分は生前でも家庭裁判所の許可を得ることで放棄が認められていますので、前婚の実子との関係性によっては、このような制度を利用してみても良いでしょう。

詳しくは、遺留分放棄をしても遺留分は増えない|遺留分放棄の手引きもご覧ください。
 

前婚の子どもに遺産を渡したくない場合

「前妻の子どもに相続させたくない」という思いは、再婚家庭の場合は多かれ少なかれ出てくるのではないかと思います。関係が良好ならまだしも、ほとんど絶縁状態なのに相続の場面にだけ出てくる前婚の子どもは、確かにあまりいい気分はしませんよね。

前婚の子どもにどうしても遺産を渡したくない場合は、子どもの遺留分に相当する財産については諦めて、生命保険などを活用するのが良いでしょう。

生命保険の活用

相続において、生命保険金は受取人固有の財産として扱われるため、相続財産には含まれず、原則として遺産分割の対象になりません。非常に高額な生命保険金の場合(相続財産の総額と比べて非常に高額になる場合)は特別受益として考慮される可能性がありますが、そうでなければ基本的には受け取った相続人へそのまま帰属するのが生命保険金です。

また、受取人が相続人でなければ特別受益とはならないので、もし再婚後に生まれた実子に更に子どもがいる場合であれば、いくつか生命保険契約をしておき受取人を配偶者・子ども・孫の三者にして、孫の受け取れる保険金を多く設定しておくという手段も考えられます。
 

遺留分放棄をお願いする

遺留分は遺留分権利者の正当な権利なのでその権利行使を妨げることはできませんが、裏を返せば最低限その分だけ前婚の実子に渡るようにしておけば良いのです。もちろん、前婚の実子にあらかじめ遺留分放棄をお願いしてその代償金を支払っておくという手段もありますので、ケースバイケースで様々な選択肢があるかと思います。

前婚の子どもに遺産を渡したくない場合は、生前にどれだけ準備できたかが肝になりますので、心配であればあなたの前婚親族との関係性を含め、弁護士に相談してみても良いかもしれませんね。


 

まとめ

いかがだったでしょうか。

再婚家庭の場合、家族仲はもちろんですが、相続の際には前婚家庭についても問題になりがちです。

生前に相続を考えることは、なんだか縁起が悪いからと避けてしまうのが心情ですが、残される家族のためにもある程度は相続と向き合っておく姿勢が大切です。

本記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

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当事者同士が感情的になってしまうと解決は絶望的です。まずは弁護士に相談して解決の糸口を見つけましょう。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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