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2019年12月26日

生前贈与は特別受益に当たる?財産の範囲・遺留分が増えるケースまとめ

川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士
監修記事
Neko

被相続人が亡くなる前に贈与を受けた相続人がいるような場合、その他の相続人と平等に財産を取得するとなると不公平が生じる可能性があります。

このような贈与で受けた利益は「特別受益」となる場合があり、現行民法では相続人間の不公平を是正するため、特別受益を受けた相続人は法定相続分(または遺言で定められた相続分)から贈与の額を控除して分配するという方法が取られています(民法903条1項)。


今回は、特別受益がある場合の遺留分の計算と、遺留分侵害額請求の方法についてご紹介いたします。

 

※法改正(2019年7月1日施行)により、遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」と呼ばれるようになりました。

 

特別受益を受け取っておらず遺留分に納得いかないなら弁護士へご相談ください

特別受益に含まれるもの

  • 不動産を生前にもらっていた(生前贈与)
  • 被相続人(亡くなった人)から生きている時にまとまった金銭をもらっていた(生前贈与)
  • 法定相続人ではない第三者に遺言で財産を渡すことが書かれていた(遺贈)

いずれかのケースに当てはまるなら、弁護士に相談してみてください。

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特別受益と遺留分の基礎知識

特別受益も遺留分も、相続の際に考慮される「取り分」の一種です。ただし、両者は性質が異なるもので、簡単に言えば特別受益は「既にもらってある取り分」であるのに対し、遺留分は「最低限保障されるべき取り分」となります。

相続人間の公平を確保するためには特別受益を考慮して分配が行われるべきですし、特別受益が遺留分を侵害しているような場合はその分を補填してもらわなければ納得できないのが自然でしょう。

ここではまず、特別受益と遺留分の基礎知識をまとめてみました。

 

特別受益とは

特別受益とは、特定の相続人が、被相続人から婚姻・養子縁組・生計の資本として生前贈与や遺贈を受けた際の利益のことをいい(この贈与等の財産を「特別受益分」ともいいます)、特別受益を受けた相続人を特別受益者と呼びます。

相続人間での公平を確保するため、特定の相続人が被相続人から特別受益を受けている場合は、それを遺産分割の際に計算に入れて修正を行って分配します。この受益分の考慮を「特別受益の持戻し」といいます。


参考:不公平を是正する特別受益|計算方法と知るべき注意点

特別受益者の範囲

特別受益の持戻しの必要がある相続人は、被相続人から遺贈を受けた者、婚姻、養子縁組もしくは生計の資本として贈与を受けた者とされています(民法903条1項参照)。


このとき、特別受益者にあたるかどうかは、贈与等の時点で利益を受けた人が推定相続人であったか否かで判断していくことになります。

 

被代襲者に対する生前贈与等

被代襲者とは、代襲相続の際に「代襲される人」のことを言います。被相続人の子や兄弟姉妹で相続人より先に死亡・欠格・廃除などで相続権を失った人がこれに当たります。つまり、祖父A・父B・子Cがいるとして、BがAより先に死亡した場合はC(Aの孫)が代襲相続人(代襲して相続をする人)となりますが、この場合のBが被代襲者となります。

そして、被代襲者は、生前贈与等を受けた時点では推定相続人にあたるため、特別受益者の範囲に含まれます。したがってBの死亡前にAがBに対して婚姻費用を出すなど生前贈与等にあたる行為をしていた場合、これらは代襲相続人の特別受益として算入することになります。

 

代襲者に対する生前贈与

代襲者は、代襲相続の際に「代襲する人」のことです。上記の例でいえば、祖父Aの孫Cが父Bの代襲者となります。

代襲原因発生前に贈与等がなされた場合、Bは推定相続人ですが孫であるCは推定相続人にはなりません。このとき、Cに対する生前贈与は他の第三者に対する贈与と変わりませんから、その後に代襲相続が発生したとしても、Cへの贈与は特別受益には含まれません。逆に、代襲原因発生後に贈与等がなされた場合は、その贈与等を受けた時点で代襲者CはAの推定相続人となっているので、特別受益の持戻しが必要になります。

簡単に言えば、Bの死亡前にCがAから贈与を受けていた場合は特別受益には該当しませんが、Bの死亡後にCがAから贈与を受けていた場合は特別受益に該当することになります。

 

推定相続人となる前の生前贈与

養子縁組前に養子となる予定の者に与えた金銭や、婚姻前に婚約者に与えた金銭などが典型例です。

原則として、推定相続人となる前の贈与は特別受益には該当しません。しかし、贈与が養子縁組や婚姻をするため、または縁組や縁談がまとまった結果など、推定相続人への贈与と実質的に同視できる場合には、特別受益に該当します。

 

相続人の配偶者その他親族に対する生前贈与等

特別受益の持戻しの対象は相続人に対する贈与に限られます。相続人の親族に対して贈与があれば、相続人が間接的に利益を得ていても相続人の親族自身が推定相続人にならない限りは、特別受益には該当しません。

ただし、実際は推定相続人に対する贈与であるのに名義のみその配偶者にしてあるような場合は、実質的には相続人に対する贈与があったとみなして特別受益に該当すると判断されるケースもあります。

 

特別受益に含まれるもの

特別受益の財産の範囲は、下記のとおりです。

 

①婚資や養子縁組の費用

持参金や支度金など、婚姻や養子縁組のために被相続人に出してもらった費用が該当し、これらは原則として特別受益に該当します。ただし、金額がごく少額であったり、被相続人の生前から持っていた資産と生活状況からみて扶養の一部であると認められた場合は、特別受益にはなりません。

結納金や挙式費用に関しては、実務上確立した扱いはありませんが、挙式費用は通常は遺産の前渡しとは考えられないので、特別受益に該当しないことが多いです。

 

②高等教育のための学資

高等教育は義務教育ではありませんが、現在の教育水準から考えるとほぼ義務教育(義務教育に準じたもの)といえます。したがって、大学以上の教育や、留学・留学に近い海外旅行等の費用が「高等教育のための学資」に該当し、原則として特別受益と考えられます。

ただし、被相続人の生前の資産収入、社会的地位および生活状況などから、その程度の教育をするのが被相続人にとって自然であるような場合は扶養の範囲内と認められ、これらの学資は特別受益に該当しません。

 

③不動産の贈与

不動産はそれ自体で資産価値のある財産ですから、贈与を受けた人には大変な利益になることが普通です。


したがって、不動産の贈与は生計の資本としての贈与と認められる場合がほとんどであり、原則として特別受益に該当します。

 

④動産・金銭・社員権・有価証券・金銭債権の贈与

被相続人の資産収入、社会的地位および生活状況からみて、小遣い・慰労金・礼金の範囲を超え、相続分の前渡しと認められる程度の高額である場合は、原則として特別受益に該当します。

 

⑤借地権の承継・設定

借家権は原則として承継・設定ともに特別受益の問題は生じませんが、借地権に関しては「借地権相当額の贈与」にあたり、特別受益に該当します。ただし、借地権の設定に際し、相続人が被相続人に対し世間相場の権利金を支払っている場合は、贈与とはいえないので特別受益には該当しません。

 

⑥土地などの遺産を無償で使用できることによる利益

例1:遺産である土地の上に相続人の1人が建物を建てて土地を無償で使用している場合
土地の無償利用の場合は、特別受益に該当すると判断されることがほとんどです。

1人の相続人が使用していることにより、その土地を貸し出せば得られる賃料分の損失が他の相続人に生じるためです。評価は一概には決定できませんが、更地価額の1割~3割の範囲で特別受益額が決定されることが多いです。
 
例2:遺産である建物に相続人の1人が居住している場合
相続人が被相続人と同居していなかった場合は、家賃相当額の特別受益となります。

相続人が被相続人と同居していた場合で相続人に独立の占有権原がないような場合は、相続人は同居によって家賃の支払いを免れた利益はあるものの、被相続人の財産は何らの減少もないので、特別受益に該当しません。

 

⑦生命保険金

生命保険金は、原則として特別受益に該当しません。ただし、相続人間の不公平が到底認められないほどに著しいと評価すべき特段の事情がある場合は、特別受益に準じて扱われます。

 

⑧死亡退職金・遺族扶助料

遺族扶助料については、通常は法令等によって遺族の生活保障のため支払われる趣旨の金銭なので、特別受益に該当しない場合がほとんどでしょう。

しかし、死亡退職金については法的性質が多様なため、判断が分かれる場合があります。つまり、賃金の後払いといえる場合は遺産となるので特別受益となる場合があります。遺族の生活保障といえる場合は、遺産ではないので、特別受益とならないことになります。死亡退職金をもらう人と相続人の範囲が同じかどうか、死亡退職金の受取人の決め方および金額の算定方法などから、死亡退職金が特別受益に該当するか否かが総合的に判断されることになります。

 

特別受益の評価

特別受益財産は、相続開始の時点を基準として評価額が決定されます(最判昭和51年3月18日)。

ただし金銭については、贈与時の金額を相続開始時の貨幣価値に換算した価額をもって評価され、不動産・動産・株式・ゴルフ会員権などは相続が開始した時点の時価評価とするのが一般的ですから、建物や婚資として贈与された家財道具や自動車など、年数の経過によって減価するものについては、贈与した時点の価額を相続開始時の価額に評価換えする必要があります。

 

みなし相続財産:特別受益のある相続分の計算方法

特別受益者がいる場合は、次の方法で相続分を算定することになります。

 

みなし相続財産の計算

民法上のみなし相続財産とは、被相続人が残した財産に特別受益を加えたもの、または寄与分を控除したものを言います。
(相続開始時の相続財産価額)+(贈与価格)=みなし相続財産額

 

本来の相続分の計算

みなし相続財産と法定または指定の相続分を掛け合わせて、本来の相続分を求めます。
(みなし相続財産)×(法定または指定の相続分率)=本来の相続分

 

具体的な相続分の計算

本来の相続分から贈与または遺贈価額を引いて、具体的な相続分を計算します。
(本来の相続分)-(贈与または遺贈価額)=具体的相続分

 

持戻し計算例

相続財産額が5000万円、相続人が妻A・嫡出子B・Cの3人の場合で計算してみましょう。

この場合、法定相続分に従うと、妻Aは相続財産の2分の1、子B・Cはそれぞれ相続財産の4分の1(2分の1×2分の1:相続財産から妻Aの相続分を引いた割合を子どもの人数で割った割合)を相続することになります。

 

特別受益が本来の相続分を超えない場合

Bが200万円の生前贈与を受けており、Cは100万円の遺贈を受けている例で計算しましょう。

 

 

計算式

金額

みなし相続財産額

5000万円+200万円

5200万円

妻Aの具体的相続分

5200万円×2分の1

2600万円

子Bの具体的相続分

5200万円×4分の1-200万円

1100万円

子Cの具体的相続分

5200万円×4分の1-100万円

1200万円

※ABCの具体的相続分を足すと、相続財産からCへの遺贈100万円を引いた4900万円になります。

 

特別受益が本来の相続分を超える場合

Bが2000万円の生前贈与を受けており、Cが1000万円の遺贈を受けている例で計算しましょう。

 

計算式

金額

みなし相続財産額

5000万円+2000万円

7000万円

妻Aの具体的相続分

7000万円×2分の1

3500万円

子Bの具体的相続分

7000万円×4分の1-2000万円

-250万円

子Cの具体的相続分

7000万円×4分の1-1000万円

750万円

 

Bが250万円分超過していることが分かります。

 

次に、Bを除いた相続人について、全相続人の相続分額の割合で、相続分を算定します。

 

 

計算式

金額

AとCの相続分額

3500万円+750万円

4250万円

妻Aの具体的相続分

(5000万円-遺贈1000万円)×(3500万円÷4250万円)

3294.1176万円

子Bの具体的相続分

超過のためなし

0円

子Cの具体的相続分

(5000万円-遺贈1000万円)×(750万円÷4250万円)

705.8824万円

 

特別受益の持戻し免除について知っておくべき事

特別受益の持戻しは、被相続人の意思を尊重し相続人間の公平をはかるために定められています。したがって、被相続人が自らの意思で持戻しを免除する場合は、遺留分の規定に反しない限り、持戻しはなされません。

例えば相続人が家業を承継していたり、寄与相続人に対する贈与が既になされている場合、相続人側に相続分以上の財産を必要とするような特別の事情がある場合(身体的・精神的障害があるなどの場合)が具体的な例となります。

 

遺留分とは

遺留分とは、被相続人が有していた財産の一部について、最低限の取り分として一定の法定相続人に保障する制度を言います。

 

遺留分権利者の範囲と割合

遺留分を有する者(遺留分権利者)は、配偶者相続人と血族相続人のうち第一順位(子どもや孫など直系卑属)と第二順位(直系尊属)です。つまり、配偶者と兄弟姉妹以外の血族相続人に認められた権利が遺留分ということになります。


ちなみに、子の代襲相続人も遺留分権利者にあたり、子どもが相続当時まだ胎児であった場合も、無事に出産すれば遺留分が認められます。

相続欠格者・相続を廃除された者・相続を放棄した者は遺留分権利者となりませんが、相続欠格・廃除は代襲原因になりますから(相続放棄の場合は代襲相続は起こりません)、その代襲者が相続人になるとともに遺留分権利者にもなります。

詳しくは「遺留分の割合|ケース別の遺留分獲得金額と計算例」をご覧ください。

 

遺留分の計算

遺留分は、被相続人が相続開始時に有していた財産の価額にその贈与した財産の価額を加え、その中から債務の全額を控除して算定します。

つまり、相続開始時に被相続人が有していた財産に、条件付の権利や遺贈、死因贈与、生前贈与、不相当な対価をもってした有償行為、特別受益などを足した額が遺留分算定の基礎となる財産となります。

遺留分算定の基礎となる財産の評価基準時は、相続開始の時点となります。

 

遺留分侵害にあたるケース

遺留分の侵害にあたるケースは、相続人が現実に受ける相続利益が、算定された遺留分の額に満たない状態である場合です。

例えば、相続人が複数いるのにもかかわらず、「特定の相続人にすべての遺産を相続させる」という内容の遺言書が作られている場合です。また、相続人に財産を遺したくないという理由から、死の直前に第三者に多額の財産を贈与している場合なども遺留分侵害といえます。

ただし、遺言書で遺留分を侵害する内容の遺言が遺されていたとしても、それが直ちに法的に無効になるわけではありません。そのため、遺留分を侵害されている相続人が「遺留分侵害額請求(いりゅうぶんしんがいがくせいきゅう)」によって自分の遺留分を取り戻さなければならないのです。


参考:遺留分とは相続人が必ずもらえる財産|割合と取り返す方法

 

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特別受益を得た相続人に遺留分を請求する場合

先に述べたとおり、遺留分を侵害されているからといっても、何もせず黙っているだけでは救済されることはありません。遺留分を侵害された相続人は、「遺留分侵害額請求」を行い、自分の遺留分を取り戻す必要があります。

ここでは、特別受益を得た相続人に遺留分を請求する方法についてご紹介いたします。

 

遺留分侵害額請求とは

遺留分侵害額請求権とは、遺留分を侵害された相続人が行使することのできる、遺留分を取り戻すための権利です。遺留分侵害額請求権は、そのまま放置すると消滅時効にかかります。

したがって、遺留分権利者自身が、

 

  • 「相続の開始および侵害分について請求すべき贈与または遺贈があったことを知ったときから1年間」

  • 「相続開始の時から10年間」


という期間内に、遺留分侵害額請求権を行使しなければなりません。

参考:遺留分侵害額請求(減殺請求)の時効は最短1年|起算点と中断方法は?

 

遺留分侵害額請求の方法

遺留分侵害額請求の方式には特に決まりはなく、判例上は形成権とされることから、贈与を受けた人(受贈者)または遺贈を受けた人(受遺者)に対する一方的な意思表示だけで効果が生じるため、必ずしも裁判上の請求による必要はありません。しかし、裁判外で請求する場合は、後日の証拠保全のため、通常は内容証明郵便を使用するのが一般的です。

また、遺言執行者がいる場合は、遺言執行者にも侵害額請求権を行使する旨を知らせましょう。そして、遺留分侵害額請求権を行使すると、遺贈→死因贈与→生前贈与の順番に遺留分の請求がなされます。言い換えれば、新しい贈与から順に請求がなされるということです。

複数の遺贈がある場合には、遺贈間での先後関係はないとされ、全部の遺贈がその価額の割合に応じて遺留分請求されることになりますが、遺言者が遺言で別段の規定をしているときは、それに従います。また、複数の贈与がある場合は、新しい贈与から遺留分請求し、順に前の(過去の)贈与に請求が及びます。新旧の判断は登記や登録の日時ではなく、契約の日時によって行われます。

 

遺留分として請求した場合に得られる金額の計算例

相続財産額が5000万円、相続人が妻A・嫡出子B・Cの3人の場合で計算してみましょう。ここでは、少し複雑なケースを考えてみます。

 

例1

Bが200万円の生前贈与を受けており(持戻し免除なし)、遺言書は「Cにすべての財産を相続させる」という内容になっているとします。

 

  1. この場合、Bの特別受益の考慮と、A・Bの遺留分の考慮が必要となります。

  2. 相続人が配偶者と子どもなので、総体的遺留分は相続財産の2分の1です。

  3. 個別的遺留分は、配偶者Aが4分の1、子BCがそれぞれ8分の1になります。

 

 

A

B

C

生前贈与

 

200万円

 

遺言書

 

 

5000万円

遺留分

相続財産の4分の1

相続財産の8分の1から特別受益200万円を控除した財産

相続財産の8分の1

Cへの遺留分侵害額請求の可否

 

 

  1. みなし相続財産は5200万円です。

  2. 総体的遺留分は5200万円×2分の1=2600万円となります。

  3. 妻Aはその2分の1の1300万円、Bはその4分の1の750万円が遺留分として確保されることになります。

  4. Bは200万円の特別受益を受けているため、550万円が遺留分となります。

 

例2

Bが1200万円の生前贈与を受けており(持戻し免除なし)、遺言書は「Cにすべての財産を相続させる」という内容になっているとします。

 

  1. Bの特別受益の考慮と、A・Bの遺留分の考慮が必要となります。

  2. 相続人が配偶者と子どもなので、総体的遺留分は相続財産の2分の1です。

  3. 個別的遺留分は、配偶者Aが4分の1、子BCがそれぞれ8分の1になります。

 

 

A

B

C

生前贈与

 

1200万円

 

遺言書

 

 

5000万円

遺留分

相続財産の4分の1

相続財産の8分の1から
特別受益1200万円を控除した財産

相続財産の8分の1

Cへの遺留分侵害額請求の可否

×

 

Bへの遺留分侵害額請求の可否

Cへの請求後、遺留分に満たない場合
(不足している場合は○)

 

×

 

  1. みなし相続財産は6200万円です。

  2. このため、総体的遺留分は6200万円×2分の1=3100万円となります。

  3. 妻Aはその2分の1の1550万円、Bはその4分の1の775万円が遺留分として確保されることになります。


もっとも、Bは1200万円の特別受益を受けているため、遺留分を超過しています。したがって、Bは遺留分を主張することはできません。今回の例ではAはCに遺留分侵害額請求を行えば、侵害された遺留分を取り戻すことができます。

しかし、例えばCへ遺留分侵害額請求をしてなお遺留分が侵害された状態(Cへの請求のみでは遺留分額に届かない状態)である場合は、次に特別受益者Bへ遺留分侵害額請求を行うことになります。

 

遺留分侵害額請求の効果

遺留分侵害額請求権が行使されて請求の意思表示が相手方に届くと、遺留分を侵害している分について、金銭支払請求権が発生します。

 

遺留分は放棄もできる

実は、遺留分は放棄することができます。

結論から言えば、生前でも相続開始後でも遺留分の放棄は可能です。例えば家族に重篤な障害を抱えている人がいて、その人のために遺産をすべて渡したい場合であったり、事業継続のため長男にすべてを相続させたいような場合は、各相続人が遺留分の放棄をすることによってそのようなことも実現できるようになります。

ただし、遺留分の放棄を無限定に認めると、年長者の意向で相続人の自由意思での決定を阻害する場合があることから、生前の遺留分の放棄に関しては家庭裁判所での許可が必要とされていて、許可の基準も定められています。

 

遺留分の放棄の方法

相続開始前の遺留分の放棄は、遺留分権利者が被相続人に対して意思表示をすることによってなされますが、遺留分放棄の許可を家庭裁判所に申し立てできるのは被相続人の配偶者と第一順位の相続人(子)です。


相続開始後の遺留分の放棄は自由なので、家庭裁判所の許可は必要ありません。

 

遺留分の放棄の効果

  • 遺留分の放棄をしても、相続の放棄をしたことにはなりません。

  • 遺留分を放棄した人でも、相続が開始すれば相続人となります。


少し分かりにくいかもしれませんが、遺留分の放棄は「後で遺留分侵害額請求ができなくなる」ということにすぎません。


遺留分を放棄した人の相続分がなくなるわけではありませんし、遺言次第で相続の内容は変わってきます。また、被相続人が遺言をしないまま死亡した場合には、当然ながら遺産分割協議の当事者にもなります。その際に遺産を受け取りたくなければ、別途相続放棄等の手続きが必要になりますので、混同しないようにしましょう。


参考:遺留分放棄をしても遺留分は増えない|遺留分放棄の手引き

 

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特別受益と遺留分の関係でよくある問題

特別受益と遺留分の関係では、遺産分割中の家賃収入や生前贈与、生命保険金・死亡保険金が特別受益にあたるか否かが問題になることが多いようです。

また、生前贈与と一口に言っても、「扶養の範囲内」と判断される贈与は特別受益にあたりません。


例えば、年収300万円の人が息子に100万円の贈与を行う場合と、年収3000万円の人が息子に100万円の贈与を行う場合とでは、後者については扶養の範囲内といえなくもないですよね。


個々の経済状況等によって判断が分かれることになるので、まずは事実状態を確認することが大切です。

 

問題になるケースの相談例

遺言書に記載されない生前贈与(特別受益とみられる)の請求
特別受益の疑いがある財産について必要な証拠は何か
夫がもらった義父からの新築祝い金は妻の生前贈与にあたるか
相場から乖離した賃料と特別受益
学費と特別受益
公正証書遺言と遺留分と特別受益
 
 

まとめ

いかがだったでしょうか。

特別受益と遺留分は、相互に関連する制度です。相続の際は複雑な事情が絡み合うケースも多いので、それぞれの制度を理解して、順番に物事を整理することが大切です。

本記事が、少しでもお役に立てば幸いです。

 

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相続トラブルを解決し遺産を多く受け取る方法とは?

相続トラブルで一番多い金額は5,500万円以下です。

 

これは相続トラブル全体の約75%にあたり、さらに1,000万円以下だけに絞って見ても、全体の32%を占めています。

 

相続トラブルはお金持ちや、ましてテレビの出来事では決してないのです。

 

相続トラブルの金額

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

さらに、下の表を見ると遺産分割調停、すなわち遺産分割トラブルが右肩上がりで増えてきていることがわかります。

 

遺産分割に関する調停事件の推移

<参考資料:平成25年度司法統計>

 

 

相続における自己解決と弁護士介入の違いとは?

相続するのはあなただけではありません。相続人の平均人数は3名程度です。

 

相続人の数

<参考資料:国税庁 統計年報>

 

相続人が多いほど、相続トラブルが発生しやすく複雑になるのは避けようのない事実です。

 

トラブル回避のために重要なのは、早めに専門知識のある第三者を介入させることです。一般的に専門知識を持つ代表格といえば相続問題を得意とする弁護士です。

 

弁護士を介入させると費用が高くつくイメージがありますが、結果的にはトラブルを解消できるだけではなく、相続面でも優位に働き、金銭的にもメリットを得られることが多くなります。

 

 

相続に強い弁護士の選び方と相続相談の具体例

相続に際し、雇うのは弁護士なら誰でもいいというわけではありません。
最大のメリットが得られる弁護士の選び方は、以下を参考にしてください。

 

 

  • 1、相続が得意な弁護士を選ぶ

    相続トラブルの解決実績が豊富だったり、相続問題に注力していたりする弁護士を選びましょう。

  • 例えば、医者に「内科」「外科」「皮膚科」「耳鼻科」…と専門分野があるように、弁護士にも「相続」「離婚」「借金」「企業法務」…といった得意分野があります。

  • 相続があまり得意でない弁護士に依頼しても十分なメリットを受けられない可能性があるため、相続を得意とする弁護士に依頼することが大切です。

  • 2、初回相談料の安い弁護士を選ぶ

    初回相談は自分と相性の良い弁護士を選ぶチャンスですので、1件だけではなく複数と話をしてみましょう。

  • 件数を重ねるために初回の相談料を必ず確認しましょう。(相談無料〜3000円程度をオススメします)

  • 3、近隣の弁護士を選ぶ

    相続の弁護士は全国対応していることも多いのですが、やはり対面での関係性構築や急な事態に対応できる近隣の弁護士事務所が最善策といえるでしょう。

 

 

相続で弁護士が介入するデメリットは、あまりありません。

 

あえて挙げるなら、依頼に費用がかかる点でしょうか。

 

しかし、以下の費用対効果の例をご覧いただけば、実際には費用がデメリットとはならないことが、おわかりいただけると思います。

 

不公平な遺言書に対し弁護士を通じて遺留分を主張した例

3,000万円の遺産を遺して親が世を去った。全財産をほかの相続人に相続させる旨の遺言書があり、このままでは自分は一切遺産を受け取ることができない。

弁護士に依頼した結果

遺留分侵害額請求により、自分の遺留分割合である8分の1の遺産を受け取ることができた。

費用対効果

自分が受け取ることができた遺産は375万円。弁護士費用は84万円。そのまま泣き寝入りしていれば1円も受け取ることができなかったが、結果的に弁護士費用を差し引いても291万円を手にすることができた。

また、相続トラブルに関しては、初期費用(着手金)はかかるものの、費用の大部分は成果報酬方式です。


つまり依頼料はデメリットにならないのです。

 

>>費用対効果の高い弁護士とは?

 

簡単かつ早急に信頼できる弁護士を選ぶ方法

相続弁護士ナビは、相続問題の解決実績豊富な事務所を数多く掲載しています。


あなたのお住まいに近い事務所を選ぶことができ、ネット上の口コミに頼らず、相談に行きやすい優良な事務所を簡単に見つけられます。

 

使い方も簡単なので、近隣の事務所を確認だけでもしてみることをおすすめします。

 

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どれを選んでいいかわからない場合は、相続トラブルを選んでくされば対応できます。

弁護士費用保険のススメ

今すぐには弁護士に依頼しないけれど、その時が来たら依頼を考えているという方には、弁護士費用保険メルシーへの加入がおすすめです。

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何か法律トラブルに巻き込まれた際、弁護士に相談するのが一番良いと知りながらも、どうしても費用がネックになり相談が出来ず泣き寝入りしてしまう方が多くいらっしゃいます。そんな方々をいざという時に守るための保険が弁護士費用保険です。

弁護士費用保険メルシーに加入すると月額2,500円の保険料で、ご自身やご家族に万が一があった際の弁護士費用補償(着手金・報酬金)が受けられます。もちろん労働問題に限らず、自動車事故や相続、子供のいじめ問題などの場合でも利用可能です。(補償対象トラブルの範囲はこちらからご確認下さい。)

ご自身、そして大切な家族をトラブルから守るため、まずは資料請求からご検討されてはいかがでしょうか。

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KL2020・OD・037

この記事の監修者
川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士 (神奈川県弁護士会)
遺産分割など揉めやすい問題の交渉、調停、訴訟から、生前の相続対策として遺言や家族信託の活用についてまで幅広く対応。相談者の事情に合わせたオーダーメイドの解決を目指しており、多くの実績がある。

特別受益を受け取っておらず遺留分に納得いかないなら弁護士へご相談ください

【特別受益に含まれるもの】

・不動産を生前にもらっていた(生前贈与)
・被相続人(亡くなった人)から生きている時にまとまった金銭をもらっていた(生前贈与)
・法定相続人ではない第三者に遺言で財産を渡すことが書かれていた(遺贈)

いずれかのケースに当てはまるなら、弁護士に相談してみてください。

弁護士に相談することで、親族の誰かが特別受益をもらっていると発覚した場合には、あなたの相続できる財産を増やせる可能性があります。

当サイト『相続弁護士ナビ』は下記の特徴をもつ、相続問題に特化した弁護士相談サイトです。

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相続問題を得意としている弁護士を掲載しているため、あなたが特別受益で損をしているかどうか迅速に教えてもらえます。

親族の誰かが特別受益をもらっていた・あまりにも遺留分が少ないと悩みを抱えているなら、下記からお近くの弁護士を探して相談してみてください。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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