ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ) > 相続コラム > 相続放棄 > 相続放棄しても未支給年金はもらえる!受け取り方と注意点を徹底解説
更新日:

相続放棄しても未支給年金はもらえる!受け取り方と注意点を徹底解説

アシロ社内弁護士
監修記事
注目 相続放棄に関する弁護士相談をご検討中の方へ
電話・メールOK
夜間・休日も対応
累計相談数
9万件超
相続放棄が得意な
弁護士から探せる
相続放棄が得意な
弁護士を探す

相続放棄をすると、あらゆる相続権を失います。

遺産を消費したり、処分したりすると単純承認したとみなされるため、不用意に触るわけにはいきません。

そのため、これから相続放棄をするつもり、または、すでに相続放棄をした場合、扱いのわからない財産が見つかると困るものでしょう。

未支給年金もどうすればよいのかわからず、悩む方が多い財産のひとつです。

未支給年金は、遺族の固有財産と判断されるため受け取れます

ただし、受け取れる方は限られており、故人と生計を同じくしていた3親等内の親族しか受け取れません

本記事では「未支給年金があるとわかったが、受け取ってもよいのだろうか?」と疑問に思われている方に向けて、相続放棄をした場合の未支給年金の受け取りのほか、相続放棄をしても受け取れるそのほかのお金について紹介します。

相続放棄で失敗したり、損をしたりしないためにも、ぜひ参考にしてください。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ相続で
相続放棄に強い弁護士を探す

相続放棄をしても未支給年金は受け取れる!

相続放棄をすると、故人の遺産は受け取れません

しかし、未支給年金は受け取れます

ここでは、相続放棄をしても未支給年金を受け取れる理由と、受け取れる条件について解説します。

未支給年金は遺族の固有財産なので受け取れる

未支給年金は、受取人の固有財産です。

固有財産とは、もともとその人のものとされる財産をいいます。

未支給年金は通常、遺族が自分の名前で請求するため、遺族の固有財産とみなされます。

したがって、遺産分割の対象にはならず、相続放棄をしても受け取れるのです。

>遺産分割の対象にならない財産について詳しく知る

受け取れるのは生計を同じくしていた3親等内の親族

未支給年金を受け取れるのは、故人と生計を同じくしていた3親等内の親族に限られます。

また、未支給年金の受け取り順位については下表のとおりです。

【未支給年金を受け取ることができる方と受け取り順位】

順位

受け取ることができる方

1

配偶者

2

3

父母

4

5

祖父母

6

兄弟姉妹

7

その他3親等内の親族

同順位の方が複数名いる場合は、代表者が請求手続きをおこないます。

個別に請求するわけではないので、注意しましょう。

>新党について詳しく知る

未支給年金を受け取るための手続き方法

実際に未支給年金を受け取るには、どうすればよいのでしょうか。

ここでは請求手続きについて紹介します。

1.必要書類を準備

未支給年金を受け取るには、故人の死亡の届け出と未支給年金請求の届け出をおこなう必要があります。

それぞれの届け出に必要な書類は、以下のとおりです。

【死亡の届け出に必要な書類】

  • 受給権者死亡届(報告書)
  • 故人の年金証書
  • 故人の死亡の事実を確認できる書類(住民票除票、戸籍抄本、死亡診断書や死亡届の記載事項証明書のコピー など)

【未支給年金請求の届け出に必要な書類】

  • 未支給年金・未支払給付金請求書
  • 故人の年金証書
  • 戸籍謄本など故人と請求者との間柄がわかる書類
  • 故人の住民票除票のコピー
  • 請求者の世帯全員の住民票のコピー
  • 未支給年金を受け取りたい金融機関の通帳
  • 生計同一に関する申立書(故人と受取人が別世帯の場合)

受給権者死亡届、未支給年金・未支払給付金請求書、生計同一に関する申立書の書式は、日本年金機構の下Webサイトよりダウンロードできます。

記入例もあるので、参照してください。

2.年金事務所・年金相談センターへ提出

必要書類の準備ができたら、年金事務所や年金相談センターに提出します。

近くの年金事務所および年金相談センターは、以下のページで探せます。

未支給年金を請求する際の注意事項

未支給年金の請求では、以下の点に注意しましょう。

未支給年金の請求時効は5年

未支給年金はいつでも請求できるわけではありません。

故人の年金支払日の翌月の初日を起算日として、そこから5年が経過すると時効が成立します。

時効が成立すると請求できないため、早めに手続きをしておくほうがよいでしょう。

未支給年金は相続税でなく所得税の課税対象

未支給年金は相続財産ではないため、相続税の課税対象にはなりません

しかし、一時所得であるため、所得税の課税対象となります。

一時所得とは、営利を目的とする継続的な行為によって生じる収入以外の所得、いわゆる臨時収入のことをいいます。

その額が50万円以下であれば課税されませんが、50万円を超えると所得税を支払わねばなりません

故人が年金を定期的に受け取っていたのであれば、未支給年金の受領によって税金は発生しない可能性が高いでしょう。

しかし、年金の繰り下げをしていて受給前に亡くなってしまったのであれば、50万円を超える可能性が高く、所得税が発生する可能性も高いでしょう。

死亡届の提出が遅れると不正受給とみなされてしまう可能性も

故人が亡くなったら、年金事務所にも死亡届を提出しなければなりません。

死亡届の提出が遅れたために、多く受け取りすぎると返還を求められます。

返還請求に応じないなど、悪質とみなされる行為があれば不正受給とされ、罰則が科される可能性もあります。

死亡届の提出は、できるだけ速やかにおこないましょう。

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ相続で
相続放棄に強い弁護士を探す

相続放棄をしても受け取れる未支給年金以外の財産

相続放棄をすると、故人の遺産は受け取れません。

しかし、未支給年金のように固有財産とみなされるものや、お墓など祭祀財産など受け取れる財産もあります。

ここでは、相続放棄をしても受け取れる未支給年金以外の財産を紹介します。

遺族年金

遺族年金は、支払いをしていたのが故人であっても、遺族に対して支給されます。

遺族の固有財産であり、相続財産ではないため、相続放棄をしても受け取れます。

>遺族年金の受け取り方と金額について詳しく知る

受取人が故人以外の死亡保険金

死亡保険金は受取人が故人以外に指定されていれば、相続財産には含まれません

受取人の固有財産とみなされるため、相続放棄をしても受領できます。

また、受取人を指定されていなくても、約款で法定相続人を受取人とすることが定められていれば受け取れます。

>相続放棄後の死亡保険金の受け取りについて詳しく知る

就業規則で受取人が遺族に指定された未払給与・死亡退職金

故人が勤めていた会社の就業規則において、未払い給与や死亡退職金の受取人を遺族と定められていれば、遺族の固有財産とみなされるため、相続放棄をしても受け取れます。

ただし、就業規則で受取人の指定がされていなければ相続財産に含まれるため、受け取れません。

お墓などの祭祀財産

お墓や仏壇など、祭祀財産と呼ばれるものは、相続放棄をしても受け取れます。

これは、「祭祀に関する相続権の承継はほかの財産と異なる扱いとされ、祖先の祭祀を主催すべき者が承継する」と、民法第897条1項で定められているためです。

相続放棄をした方が祖先の祭祀を主催する方であれば、相続放棄をしても引き継げます。

香典

香典は喪主に対して贈られるものであるため、故人の財産とは考えられず、相続財産にはなりません。

したがって、相続放棄をしても受け取れます。

相続放棄をすると受け取れないお金

次に紹介する財産は故人の財産であり、相続財産とみなされるため、相続放棄をすると受け取れません。

受け取ってしまうと、相続する意思があり、単純承認をしたとして相続放棄ができなくなるため注意しましょう。

  • 故人が所有していた現金、預金、不動産、株式、債権など相続財産に該当するもの
  • 受取人が故人の死亡保険金や死亡退職金
  • 払い過ぎにより還付される税金、保険料、年金
  • 就業規則で故人が受取人に指定された死亡退職金・未払い給与

相続放棄や未支給年金についてよくある質問と回答

相続放棄で失敗しないためにも、故人の財産の扱いは慎重におこないたいところです。

ここでは、未支給年金や相続放棄についてよくある質問とその回答について紹介します。

故人と生計を同じくしていた人がいません。未支給年金は請求できますか?

未支給年金は、故人と生計を同じくしていた方でなければ請求できません

生計を同じくしていたかどうかは、以下の基準で判断されます。

  1. 住民票上同一世帯になっているか
  2. 住民票上の世帯は違うが、住所は住民票上同一か
  3. 住民票の住所は違うが、次のような場合

(生計同一認定対象者が配偶者または子である場合)

  1.  現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるか
  2.  単身赴任や就学、病気療養などやむをえない事情で住所を別にしているが、経済的援助や定期的な連絡や訪問があり、やむをえない事情がなくなれば共に生活をし、家計を同じくすると認められるか

(生計同一認定対象者が故人の配偶者または子ども以外の場合)

  1. 現に起居を共にし、かつ、消費生活上の家計を一つにしていると認められるか
  2. 生活費、療養費などの生計の基盤となる経済的援助があるか

未支給年金が故人の口座へ振り込まれました。受け取れますか?

未支給年金は、故人の口座に振り込まれたとしても受取人の固有財産とみなされるため受け取れます。

しかし、すでに金融機関に死亡の届け出をした場合は、口座が凍結され引き出せません

金融機関に引き出しを依頼しても、応じてもらえないケースが多いでしょう。

ほかに相続人がいる場合は、相続人から相続人全員が相続放棄をしてしまった場合は相続財産清算人から、引き渡してもらうしかありません

企業年金や個人年金の未支給分を受け取っても相続放棄はできますか?

企業年金や個人年金の未支給分を受け取ると、相続放棄できなくなりますので注意しましょう。

企業年金や個人年金など公的年金以外の年金は、相続財産に該当するためです。

さいごに|相続放棄を考えているなら弁護士に相談が安心

未支給年金は受取人の固有財産であるため、相続放棄をしても受け取れます。

ただし、請求には時効があり、5年以内に請求手続きをおこなわねばなりません。

受け取り忘れることがないよう早めに請求しましょう。

相続放棄をすると、基本的に遺産は受け取れず、万が一受け取ってしまうと相続放棄をできなくなります。

「受け取っても問題のない財産だと思ったら、相続財産だった!」ということのないよう、相続放棄は弁護士に相談しながら進めましょう

今すぐ無料相談電話相談OKの弁護士が見つかる!
ベンナビ相続で
相続放棄に強い弁護士を探す
この記事をシェアする
この記事の監修者
アシロ社内弁護士
この記事は、株式会社アシロの「ベンナビ相続編集部」が執筆、社内弁護士が監修しました。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

相続放棄に関する人気コラム

相続放棄に関する新着コラム

相談内容から弁護士を探す
弁護士の方はこちら
損をしない相続は弁護士にご相談を|本来もらえる相続対策も、弁護士が適正に判断|あなたの状況に合った損をしない解決方法を、遺産相続に強い弁護士がアドバイスいたします。|お問い合わせ無料