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相続放棄で借金をなくすメリットと手続きの流れを解説
2018年07月02日

相続放棄で借金をなくすメリットと手続きの流れを解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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相続は不動産や預貯金といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産もそのまま引き継ぐことになります。借金を引き継ぐということは、自分が借りたことになり、返済義務を負うということです。

 

そのため、被相続人に借金があった場合、その借金を引き継ぎたくないため、すぐさま相続放棄を選択してしまいそうですが、ちょっと待ってください。

本当に相続放棄してもよいのでしょうか。

 

この記事では、相続放棄と借金の関係や相続放棄を実際にするとどうなるかなどについて解説していきます。

 

 

 

相続放棄で借金をなくすという選択の前に考えること

相続放棄をすると、相続人ではなくなりますので、借金も背負わなくて済みます。ただし、プラスの財産も一切引き継ぐことができなくなります。そのため、借金があるからといって安易に相続放棄を選択すると後悔することがあります。

 

相続放棄を選択する前に少し以下のことを考えてみましょう。

 

相続するか放棄するかの判断基準

相続放棄をするか否かの判断基準ですが、借金の額、資産の額、相続財産の中に思い入れのあるものがあるか、という3点で検討してみるとよいでしょう。

 

借金の額が多過ぎると、プラスの財産を相続しても、自分の資産を補ってもどうにもならないという状態に陥ってしまいます。そうなると逆に、ご自身の経済的状況が悪化し、日々の生活が苦しくなってしまいます。

 

借金の額が多くても、資産もまた多ければ、資産から借金を返済することが可能になります。相続したプラスの財産の中から、不動産を売却するなどし、その売却代金で借金を返済することもできます。借金の額だけでなく、資産の額とのバランスをみることが大切なのです。

 

相続放棄をすると、相続財産に対して一切の権利がなくなってしまいます。しかし、被相続人の資産の中に、思い入れのある美術品や家宝と呼ばれるものがある場合、かなり心残りになってしまうかもしれません。このような場合は、相続放棄以外の方法を検討したいものです。

 

相続放棄のメリットとデメリット

相続放棄のメリットとデメリットをみていきましょう。

 

メリット

借金から解放されるのが相続放棄最大のメリットといえます。

 

被相続人に借金があった場合、相続人間で法定相続分に従って、均等に引き継ぐことになります。

ここでいう『引き継ぐ』とは、被相続人の状態をそのまま受け入れるということですから、借金の返済が滞っていたような場合、遅延損害金も一緒についてきます。引き継いだ後は、債権者から返済を迫られることになります。相続放棄によって、こうした煩わしさから抜け出すことができます。

 

相続放棄をすると、相続人ではなくなるため、相続に関わる権利関係から離れることができるのがメリットです。相続に関連して、親族間でもめごとが生じた場合、相続人でなくなれば一切関係なくなりますし、連絡自体も受けなくて済むようになります。

 

デメリット

他方、相続放棄のデメリットとしては、被相続人の財産を手放さなくてはならなくなることです。例えば、被相続人が親である場合、相続放棄をしたら、同居していた家から退去しなくてはならなくなるでしょうし、テレビや電化製品なども非相続人の所有物であれば勝手に持ち出すことはできません。

 

また、一度相続放棄をすると原則として撤回や取り消しはできません。他の相続人から財産はないといわれていたのに実はあった、勘違いして相続放棄してしまったなどという場合でも撤回・取消はできない場合があります。

 

相続放棄をする場合、その後の行動によっては放棄が認められなくなる場合があります。例えば、被相続人の財産を使用したり、処分したりすると相続を承認したものとみなされることがあります。同居していたような場合には細心の注意が必要となり、多少生活しづらくなります。

 

単純承認とは

被相続人の財産をすべて相続すること。マイナスの借金や価値のあるプラスの財産もすべて相続することになります。

 

加えて、相続放棄をすると、相続放棄した人ははじめから相続人ではなかったとされ、次順位の相続人に相続の権利が移ります。思わぬ親族に迷惑がかかるおそれがあります。

 

例えば、父親の相続財産について借金があり、相続人は子供の自分だけ、というような場合、相続放棄をすると祖父母が生きていればその祖父母が相続人になります。祖父母は借金の存在を知らないで単純承認してしまった、ということにもなりかねません。

参考:単純承認で相続する際に必ず知っておくべきことまとめ

 

限定承認との比較

借金を継がなくてもよい方法として、相続放棄の他に限定承認があります。

 

どちらも相続を知ったときから3ヶ月以内に決めなくてはなりません。しかし、相続放棄は、マイナスの財産もプラスの財産も等しく相続を受け入れないというのに対して、限定承認の場合はプラスが発生したら受け入れるという相続方法です。

 

しかし、相続放棄は単独で家庭裁判所での手続きを行えるのに対して、限定承認は相続人全員の同意が必要で、全員で行う必要があります。そのため、相続人の中で1人でも限定承認したくないという人がいたり、相続人の中に連絡がつかないような人がいたりする場合には選択することが困難な手段でもあります。

 

このようなことから、相続財産についてマイナスが多いのが明らかで、とても返済できる金額ではない場合や、手放したくない財産が特にないような場合、相続放棄を選択することが推奨されるのです。

 

【関連記事】

限定承認すれば金銭面で損しない!意味や手続き方法をわかりやすく解説

 

 

相続放棄手続きの流れ

相続放棄を選択した場合、実際の手続きはどのように進めていくのでしょうか。具体的にみていきましょう。

 

相続放棄の全体スケジュール

相続放棄をするには、相続の開始を知ったときから3ヶ月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。申述の際には必要書類も一緒に提出します。

家庭裁判所から『相続放棄申述受理通知書』が届くと、相続放棄が完了します。

 

財産調査を行う(~1ヶ月)

相続財産全体について財産調査を行います。ここで、相続放棄するかどうかを決めます。相続放棄の申述書に、財産の状況について記載する項目がありますし、仮に相続する場合には遺産分割協議書の作成などで財産の一覧は必要になりますので、財産に関する調査を行いましょう。

 

財産に関する調査は、相続人名義の預貯金がわかる通帳や、定期預金などをしている場合は証書、不動産を所有しているかどうかは登記簿謄本などから判断可能です。固定資産税の支払い状況なども参考になるでしょう。また、特別受益があるかどうか、通帳の履歴などを確認するとよいでしょう。

 

親族の相続の場合など直接財産状況を知ることができない場合は、被相続人に関係の深い相続人に聞いてみる、銀行の取引履歴を請求するなどの方法があります。

 

相続放棄の必要書類(~2ヶ月)

相続放棄をすると決めた場合、相続放棄に必要な書類を準備します。家庭裁判所のページに詳細な記載がありますが、以下が必要書類です。立場によって、追加の書類が必要になります。

 

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人(放棄する人)の戸籍謄本

 

被相続人の戸籍は、生まれてから死ぬまですべてのものが必要となります。遠方の場合郵送で請求するなどで手に入れるまで時間を要しますので、早めに請求しておくとよいでしょう。

 

相続放棄への申立て(~2ヶ月半)

被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ相続放棄の申述書と必要書類を提出して、相続放棄の申立てを行います。書類に不備があると期限に間に合わないことがあるため、なるべく早めに提出しましょう。

 

必要に応じて、家庭裁判所から連絡が来ることもありますので、指示に従いましょう。迷っている場合は、『相続の承認又は放棄の期間の伸長の申立書』を家庭裁判所に提出しましょう。よくわからないという場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

 

許可されれば相続放棄申述受理通知書が届く

家庭裁判所の審査を経て、相続放棄が認められると『相続放棄申述受理通知書』が届きます。ただし、相続放棄の申述をしているにもかかわらず、単純承認をしたと認められる行為をしていた場合には相続放棄が認められません。

 

 

相続放棄にかかる費用

相続放棄の申述を行うには、費用も必要です。必要書類を集めるためにかかった費用だけでなく、手続きの費用として収入印紙800円分を納めます。

 

自分で行う場合の手続き費用

相続放棄手続きを自分で行う場合の費用は、相続人1人につき約3,000円が目安となります。

 

手続き費用の内訳

  • 相続放棄の申述書に添付する印紙代:800円
  • 被相続人の戸籍謄本:450円(被相続人の配偶者が申請する場合は不要)
  • 被相続人の除籍謄本・改製原戸籍謄本:750円
  • 被相続人の住民票:300円程度(市区町村によって異なる)
  • 申述人の戸籍謄本:450円
  • 郵便切手:500円程度(家庭裁判所によって異なる)
  • その他(交通費など)

 

司法書士に代行を依頼した場合の費用

相続放棄期限の3ヶ月前の場合

  • 相談料:0円〜5,000円/時
  • 申述書作成代行費用:3,000円〜6,000円程度(戸籍謄本取得・実費含む)
  • 代行手数料が2~3万円程度
  • 円程度

※金額はあくまで目安です

 

相続放棄期限の3ヶ月後の場合

  • 相談料:0円〜5,000円/時
  • 申述書作成代行費用:3,000円〜6,000円程度(戸籍謄本取得・実費含む)
  • 代行手数料:3~5万円程度

 

弁護士に代行を依頼する場合の費用

相続放棄を弁護士に依頼をしたときにかかる費用は5万円以上です。以下に料金の内訳についてまとめました。

 

  • 相談料:0円〜1万円/時
  • 申述書作成代行費用:5,000円〜1万円程度(戸籍謄本取得・実費含む)
  • 代行手数料:5~10万円程度
  • 成功報酬:なし

参考:相続放棄の費用まとめ|自分で手続きした場合と専門家に依頼をした時

 

 

まとめ

被相続人に借金があった場合、相続放棄を検討することになりますが、相続放棄にはメリットだけでなくデメリットもあります。また、相続放棄をしてしまうと、取り消すことはできません。よく検討の上、相続放棄をすることをおすすめします。

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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