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夫婦間でも贈与税は発生する?いくらから税金がかかるかや贈与のコツを解説

志塚行政書士FP事務所
志塚洋介(FP)
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「夫婦のお金は共有のもの」と考えている家庭は多いかもしれません。

しかし夫から妻に高価な金品をプレゼントしたり、預金の口座移動をおこなったりすると、たとえ夫婦間であっても「贈与」とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。

夫婦のお金なのに税金が取られるのはおかしい…と思う方もいるかもしれませんが、正しい知識を得ることで、贈与税を取られずに贈与をすることも可能です。

この記事では、夫婦間の贈与で贈与税がいくらから発生するのかや、贈与をうまく活用するコツを解説します。

相続税対策として、夫婦間での贈与を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

*本記事の専門家による監修日は2023年6月29日です。

生前贈与で妻や夫にできるだけ多く遺産を残したい方へ

相続の際に妻や夫にできるだけ多く遺産を残すために、生前贈与の利用を検討している方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、たとえ夫婦間であっても贈与する額によっては贈与税が発生します。贈与税の対象とならないように贈与をおこなうには、正しい方法を理解する必要があるため、一度弁護士に相談するとよいでしょう。

 

弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットを得ることができます。

  • 贈与税の対象とならない生前贈与の方法がわかる
  • 相続の際にトラブルにならない生前贈与の仕方がわかる
  • 万が一相続の際に揉めても、依頼すればやり取りを任せられる
  • 生前贈与以外の相続問題についても相談できる

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夫婦間の贈与でも贈与税は発生する|贈与税が発生する例

高額な金銭の移動やプレゼントがあった場合には、夫婦間の贈与でも贈与税が発生します。

贈与の目的や金額によっては、贈与税が発生しないケースもありますが、ここではまず贈与税が発生する具体的な例を紹介します。

高価なモノを渡した場合

たとえば1,000万円もするような高価な宝石類や、車や住宅などの高価なモノを渡した場合には贈与税の対象になります。

ほかにも、株式や金融商品などを購入するために金銭を渡した場合なども、贈与税の対象になるでしょう。

住宅購入・所有権登記を名義変更した場合

贈与税が発生するケースの中でも特に多く起こり得るのが、住宅購入や名義変更をするケースです。

相続に備えた名義変更や住宅の購入時には、注意していないと知らず知らずのうちに贈与税が発生してしまいます。

住宅の所有権の割合と購入費用の負担額の割合が同じでない場合には「贈与された」とみなされて、贈与税が発生する可能性があります。

たとえば、住宅の所有権が夫婦で1/2ずつという場合には、費用も折半して支払う必要があるのです。

以下は、贈与税が関わると考えられるケースです。

夫が住宅購入費を全額負担し、あとで妻に所有権を移すケース

夫婦間や親子間で相続が近くなってくると、住宅の生前贈与を考える方も多いでしょう。

しかし、たとえ夫婦であっても、住宅の生前贈与には贈与税が発生するのが通常です。

たとえば、夫が5,000万円を支払って夫名義で住宅を購入したと仮定します。

その後、住宅の所有権を妻に移した場合には「5,000万円の贈与がされた」とみなされて、それに応じた贈与税が発生します。

【関連記事】生前贈与で不動産を贈与する際に贈与税を抑える為の手順

夫が住宅購入費を全額負担し、所有権は夫婦で1/2ずつというケース

住宅を購入する際、契約内容によっても贈与税が発生することがあります。

購入費を負担した者と所有権の名義者が一致していない場合には、その差額分について贈与されたとみなされます。

たとえば、夫名義で5,000万円の住宅ローンを組んだものの、所有権は夫婦で1/2ずつだったと仮定します。

この場合、夫2,500万円・妻2,500万円の住宅財産を所有していることになり、結果的に夫が妻へ2,500万円を贈与したことになります。

また、逆のパターンもあり得ます。

たとえば、5,000万円のローンを夫婦二人で折半したものの、所有権の名義が夫のみになっている場合、妻が夫へ2,500万円を贈与したということになります。

このように、購入資金を負担した比率と所有権の比率が違うと、その分の差額について贈与税が発生するので注意しましょう。

夫名義で組んでいたローンを妻の収入で支払う場合

ローンの支払い方にも注意が必要です。

たとえば、夫名義で組んでいたローンについて、途中から夫だけでなく妻の収入からも返済している場合、その分が贈与したとみなされて贈与税が発生することもあります。

夫婦間で贈与税が発生しないケース

夫婦間で贈与には税金が発生しますが、必ずしも全ての贈与において贈与税が発生するわけではありません

ここでは、夫婦間の贈与で贈与税が発生しないケースを解説します。

生活に必要なお金を贈与した場合

夫婦間で生活に必要なお金を贈与した場合は、贈与税の対象とはなりません

生活に必要なお金には以下のようなものが当てはまります。

生活に必要なお金の例
  • 家賃・光熱費
  • 食費
  • 家電購入費
  • 子どもの養育費・お小遣い
  • 子どもの学費・塾代

たとえば家電購入費や食費などの生活費、子どもの養育費やお小遣いなどについては、扶養義務によって贈与税は発生しません。

大抵の夫婦では夫が扶養義務者になっており、妻は被扶養者になっているでしょう。

夫の収入で共に支払った生活費については贈与とはみなされません。

また夫婦間や子どもだけでなく、親・兄弟姉妹・第三者でも扶養可能で、その際も贈与税は発生しません。

年間の贈与額が110万円以下の場合

贈与税には基礎控除という制度が設けられており、毎年1月1日から12月31日までの1年間のうち110万円までの贈与であれば非課税となります。

また生前贈与の場合、相続人1人あたりの控除額が110万円であるため、贈与する人が3人いれば合計330万円まで控除されることになります。

贈与税が発生するかどうか判断が難しいケース

なかには、贈与税の対象になるかどうか判断が難しいケースもあります。以下で一例を紹介します。

夫が内緒で妻の口座に入金した場合

贈与税が発生するかどうか判断する際は、「受け取った側の認識の有無」が重要になります。

そのため、夫が妻のために内緒で口座などに入金していたお金などは、妻が認識していないため贈与税が発生しない可能性があります。

夫婦のお金を一つの口座で管理している場合

たとえば、共働きの夫婦がそれぞれ口座を持っており、夫の口座から妻の口座へ生活費としてお金を移動して妻が支払っているようなケースです。

この場合、生活費は贈与の対象にはならないため、贈与税の対象にはならないでしょう。

ただし結婚式のような行事ごとで大きな金額が必要になった場合などを除き、明らかに生活費を超えた入金があった場合には贈与とみなされる可能性があります。

離婚後に財産を渡す場合

離婚を機に夫婦の財産を分ける「財産分与」は贈与税の対象外です。

ただし明らかに偏った財産の分け方をしたり、税金の支払いを逃れるためにおこなったものなどであれば贈与とみなされる可能性があります。

夫婦間の贈与税を抑えるには配偶者控除が有効

贈与税を抑えるための方法としては、配偶者控除の特例を利用するのが有効です。

以下では、贈与税の配偶者控除の利用条件や控除額などを解説します。

贈与税の配偶者控除の必要要件

贈与税の配偶者控除を利用するためには、以下の要件を全て満たしている必要があります。

なお同じ配偶者からの配偶者控除の利用は、一生に一度しかおこなえないので注意しましょう。

配偶者控除の必要要件
  1. 婚姻届の提出から20年が過ぎていること

  2. 贈与された財産の使用目的は、住居用の不動産もしくは、住居用の不動産を購入するための資金であること

  3. 贈与を受けた年の翌年3月15日まで、贈与で受けた不動産もしくは、贈与された金銭で購入した不動産に実際に住んでおり、なおかつその後も住み続ける見込があること

贈与税の配偶者控除の控除額

贈与税の配偶者控除の控除額は2,000万円です。

さらに贈与税の基礎控除額110万円をあわせると、2,110万円が控除額となります。

贈与税における配偶者控除額の計算例

たとえば「夫が妻へ5,000万円を贈与した」という場合、贈与税の配偶者控除の有無によって1,000万円以上の差額が生まれます。

 

配偶者控除を利用しなかった場合

配偶者控除を利用した場合

課税額

5,000万円-110万円

=4,890万円

5,000万円-110万円-2,000万円

2,890万円

贈与税

4,890万円×55%-400万円

2,289万5,000円

2,890万円×50%-250万円

1,089万5,000円

※贈与税はNo.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁を基に計算

相続が発生したあとの配偶者控除

夫婦のどちらかが先に亡くなって相続が発生した場合、相続財産の金額によっては相続税を支払わなければなりません。

相続税にも配偶者控除が設けられており、控除額は1億6,000万円です。

贈与税に比べると控除範囲は大きいものの、残された配偶者も高齢によってすぐに二次相続が発生してしまう場合には、相続人である子どもたちに負担がかかる恐れがあります。

相続税の税額控除について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

贈与税の非課税制度を利用するのも有効

贈与税では110万円まで基礎控除が受けられますが、ほかにもいくつかの控除項目が設けられています。

1円でも負担を減らしたいという方は、以下の記事でほかの控除項目も確認しておきましょう。

まとめ

たとえ夫婦間であっても、大きな財産が移動する場合には贈与税が関わってきます。

普段から贈与税が発生しないように十分注意をしたうえで、どうしても贈与税が発生しそうな場合は配偶者控除などの控除制度を上手く活用するのが大切です。

生前贈与について

弁護士に相談するメリットとは?

生前贈与は、相続前に財産を減らすことで、節税効果が期待できるという大きなメリットがある一方、相続人の間におけるトラブル原因にもなりやすいです。

 

その点、弁護士は、相続トラブルを解決する立場にあるため、生前贈与絡みの案件も扱うことが多く、豊富な経験を元に「どのような策をとればよいか」アドバイスをすることが可能です。

 

・生前贈与に関する相続トラブルを未然に防ぎたい

・生前贈与が絡んだ相続トラブルに悩んでいる

 

このような方は、まず無料相談などを気軽に活用してみましょう。

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この記事の監修者
志塚行政書士FP事務所
志塚洋介(FP)
相続・遺言の手続き代行など民事を中心に、証券会社での経験と行政書士、CFP・1級FP技能士、宅建士、マンション管理士などの資格を活かし資産運用や不動産関連を中心に幅広く業務を行っている。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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