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贈与税の税率は10%~最高55%!課税価格別の税率と計算方法を解説

公認会計士・税理士 大橋誠一事務所
大橋誠一(税理士)
監修記事
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贈与税とは、相続時を除いて、個人が個人から金銭や住居などの財産を譲り受けた場合に、譲り受けた人(受贈者)が納付する税金のことをいいます。(贈与者か受贈者が法人の場合は、所得税や法人が課せられます。)

贈与税がいくらかかるのかの計算をするとき、まず必要になるのは贈与税の税率が何%なのかを知ることです。

平成27年以降、贈与税の税率は贈与者と受贈者(贈与を受けた人)の関係によって、「一般贈与財産」なのか「特例贈与財産」なのかで別れることになり、それぞれ微妙に贈与税率と控除額が違ってきています。

具体的に何が違うのかについてはこれから詳しく説明していきますが、どちらも最高贈与税率は55%となっています。

  • 一般贈与財産:3,000万円超の財産なら55% − 400万円
  • 特例贈与財産:4,500万円超の財産なら55% − 640万円

このように、高い税率の理由は贈与税が相続税を補完する役割をしているためでもありますが、だからといって必ず贈与税が課されるわけではなく、非課税措置なども充実しています。

今回は、贈与税の税率と贈与税の計算方法について詳しく解説していくとともに、贈与税をできるだけ抑えるためにできることは何なのかについて解説していきます。

*本記事の専門家による監修日は2023年6月28日です。

生前贈与について

弁護士に相談するメリットとは?

生前贈与は、相続前に財産を減らすことで、節税効果が期待できるという大きなメリットがある一方、相続人の間におけるトラブル原因にもなりやすいです。

 

その点、弁護士は、相続トラブルを解決する立場にあるため、生前贈与絡みの案件も扱うことが多く、豊富な経験を元に「どのような策をとれば良いか」アドバイスをすることが可能です。

 

・生前贈与に関する相続トラブルを未然に防ぎたい

・生前贈与が絡んだ相続トラブルに悩んでいる

このような方は、まず無料相談などを気軽に活用してみましょう。

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2つの贈与税率と計算方法|一般贈与財産と特例贈与財産とは?

まず、冒頭でもお伝えした「一般贈与財産」と「特例贈与財産」とは何なのか、それぞれの贈与税の税率は何%になるのかをご紹介していきます。

一般贈与財産とは

例えば、兄弟間や夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合に贈与された財産のことで、この時の税率を一般税率と呼んでいます。

表:一般贈与財産用

基礎控除後の課税価格

税 率

控除額

200万円以下

10%

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,500万円以下

45%

175万円

3,000万円以下

50%

250万円

3,000万円超

55%

400万円

特例贈与財産とは

直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日の時点で18歳以上の子(孫など)に贈与した財産のことで、この時に使う贈与税を特例贈与税率といいます。

簡単にいえば、祖父母から子や孫への贈与のことで、特例贈与の場合は贈与税率が一般贈与に比べて優遇されています。

表:特例贈与財産用

基礎控除後の課税価格

税 率

控除額

200万円以下

10%

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1,000万円以下

30%

90万円

1,500万円以下

40%

190万円

3,000万円以下

45%

265万円

4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

一般税率か特例税率のどちらを使うかわからない場合

正直、だれからだれに贈与があった場合に、どの贈与税率を使えばよいのかわかりにくい部分も多いと思いますので、少しでもわかりやすくするために、パターンを分けてみました。

贈与者

受贈者

贈与税率の利用

直系尊属(父母)

子供(未成年)

一般税率

直系尊属(父母)

子供(成人)

特例税率

兄弟・姉妹

兄弟・兄弟姉妹

一般税率

直系尊属(祖父母)

孫(未成年)

一般税率

直系尊属(祖父母)

孫(成人)

特例税率

まとめると上の表のようになるでしょう。

もし成人した方が、祖父母と兄弟の両方から贈与を受けた場合は、一般贈与税率と特例贈与税率の両方で計算することになります。

引用:国税庁|平成27年1月1日以後に贈与により財産を取得した場合の税額計算(暦年課税)

贈与税の計算方法

贈与税の計算は非常にシンプルで、

  1. 1:課税価格を計算し
  2. 2:贈与税額の計算をする

ことによって納付すべき贈与税額が分かります。

簡単にいえば、1月1日~12月31日の1年間にもらった財産の合計額から基礎控除である110万円を引き、残りの金額に贈与税の税率を掛けて控除額を引いた金額が贈与税の納付額です。

贈与税の計算式

  • 課税価格=1年間に贈与された財産の合計額-基礎控除110万円
  • 贈与税額=課税価格×贈与税率-控除額

一般贈与財産の場合の計算方法

例えば810万円の贈与を受けた場合の贈与税は、下記のようになります。

税率

贈与税(一般税率)

課税価格

控除額

40%

600万円超1,000万円以下

125万円

  1. 810万円 - 基礎控除110万円 = 700万円
  2. 700万円 × 贈与税率(40%) = 280万円
  3. 280万円 - 控除額125万円 = 155万円

特例贈与財産の場合の計算方法

ここでも、810万円の贈与を受けた場合について考えてみましょう。

税率

贈与税(特例税率)

課税価格

控除額

30%

600万円超1,000万円以下

90万円

  1. 810万円 - 基礎控除110万円=700万円
  2. 700万円 × 贈与税率30%=210万円
  3. 210万円-控除額90万円=120万円

810万円の贈与の例のとおり、一般贈与と特例贈与とでは、同じ額を贈与していても贈与税にはかなりの開きが出てきます。

したがって、贈与の際に特例贈与を多く利用することで、高い節税効果が期待できますね。

かなり複雑な計算になるため、不安な方は税理士に相談してみるとよいでしょう。

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贈与税の税率は平成27年1月に改正

平成27年1月1日以後の贈与から、贈与税率が改正されています。

平成26年12月31日までは贈与する人が誰であっても贈与税率は同じでしたが、今回の改正によって、贈与を受ける人が18歳以上(令和4年3月31日までの贈与は20歳以上)の人でかつ自身の祖父母や親から財産をもらう場合(特例贈与)であれば、贈与税の税率が安くなりました。

また、もう1つの違いとしては、基礎控除110万円を控除した後の贈与財産が1,000万円を超える場合の税率は50%のみでしたが、1,000万円超の贈与に対して追加があり、税率が細分化されました。

表:平成26年12月31日までの贈与の税率表

110万円控除後の金額

税率

控除額

200万円以下

10%

なし

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,000万円超

50%

225万円

表:平成27年1月1日以後の贈与税の税率表

税率

贈与税(一般税率)

贈与税(特例税率)

課税価格

控除額

課税価格

控除額

10%

200万円以下

なし

200万円以下

なし

15%

300万円以下

10万円

400万円以下

10万円

20%

400万円以下

25万円

600万円以下

30万円

30%

600万円以下

65万円

1,000万円以下

90万円

40%

1,000万円以下

125万円

1,500万円以下

190万円

45%

1,500万円以下

175万円

3,000万円以下

265万円

50%

3,000万円以下

250万円

4,500万円以下

415万円

55%

3,000万円超

400万円

4,500万円超

640万円

贈与税と相続税の違い|相続税率は?

贈与税は個人の贈与により生じた財産に課される税金で、相続税は被相続人の死亡による相続で生じた財産に課される税金です。

どちらも他人から得た財産に対して課税される点では同じですが、税率や控除などで大きな違いが出てきます。

ここでは、贈与税と相続税との違いについてご紹介いたします。

贈与税と相続税の違い

贈与税が1年間になされた贈与の価格について課されるのに対し、相続税は相続によって得た財産の価格について課される点で両者は異なっています。

また、相続税に比べて贈与税の計算はかなりシンプルで、素人でも比較的簡単に計算をおこなうことができるという特徴があります。

そして、贈与税と相続税の最大の違いが税率水準であり、同じ金額の財産を貰ったときには贈与税の方が税金が高くなるようになっています。

というのも、贈与税は「相続税逃れができないように考えられた税」ともいわれており、もし贈与税の方が安ければ、相続税を免れるためにすべての財産を生前に贈与してしまうことが考えられます。

これでは相続税の意味がなくなってしまうため、相続税が課されるであろう財産を贈与した場合、高い税率の贈与税を課すことで、相続税を補完する役割を担っているのです。

相続税の税率

ここで、参考までに相続税の税率もまとめてみました。

贈与税と同様に最大55%もの税率が採用されていますが、課税価格と税率が贈与税よりもゆるやかに上がっていくという特徴があります。

ただし、平成27年1月1日の改正によって、基礎控除額の引き下げ等がおこなわれたため、今までは課税対象でなかった人も課税対象者になる可能性が出てきています。

税率

課税価格

控除額

10%

1,000万円以下

なし

15%

1,000万円超3,000万円以下

50万円

20%

3,000万円超5,000万円以下

200万円

30%

5,000万円超1億円以下

700万円

40%

1億円超2億円以下

1,700万円

45%

2億円超3億円以下

2,700万円

50%

3億円超6億円以下

4,200万円

55%

6億円超

7,200万円

相続税に関する詳しい内容は下記の記事を参考にしていただければ幸いです。

贈与税を少しでも減らす様々な非課税措置一覧

贈与税は高額と思われがちですが、必ず支払わなければならないわけではありません。

内容や金額によって非課税となる特別措置が取られており、結婚や子育て・教育にかかる贈与税を非課税にする動きが活発です。

ここでは、贈与税を少しでも減らす様々な非課税措置についてまとめてみました。

年間110万円以内の贈与

1月1日から12月31日を1年間とし、受贈者1人につき年間110万円までは、「基礎控除」として贈与税は掛かりません。

例えば1年間に3人から40万円ずつ贈与された場合、110万円を超える10万円に対してのみ贈与税が掛かります。

なお、110万円以内のお金を毎年贈与し続けた場合は、初年度から毎年の贈与を約束する意図があったと認められ、初年度にまとめて課税されるおそれもあります。

そのため、贈与の都度契約書を作成したり、贈与時期や財産の種類・金額を毎年変更することで、これらのリスクは下がるといわれています。

相続時精算課税制度

これは60歳以上の父母又は祖父母から、18歳以上の推定相続人である子、または孫に対して財産を贈与した場合に適用出来る特別控除のことで、2500万円の限度額に達するまで何度も控除することができます。

相続財産が相続税のかからない規模に収まるとわかった段階でおこなうには大きな意味があり、不動産などの大きな金額になるものを贈与する際、2500万円を超えたとしても税率は一律20%ですのでかなり良心的といえます。

特別控除額=(贈与額-2,500万円)×20%

被扶養者が扶養者から受ける生活費や教育費のための贈与

日常生活に必要な費用や学費・教材費などについては、必要と認められる範囲で必要の都度贈与されていれば贈与税は掛かりません。

冠婚葬祭や見舞いなどのための金品

香典や年賀、祝儀や見舞金などで、社会通念上相当と認められる範囲であれば、贈与税は掛かりません。

夫婦間で贈与した2000万円までの居住用不動産

結婚から20年を経過した後、自分が住むための国内居住用不動産や居住用不動産の購入資金を夫婦間で贈与する場合、基礎控除とは別に2,000万円まで控除することができます。

ただし、1夫婦1回限り利用が可能となっているので、何度も使えるわけではないことに注意しましょう。

離婚時の財産分与

離婚時の財産分与には、通常贈与税が掛かりません

ただし、婚姻中に得た財産の共有やその他の事情を鑑みても贈与する財産が多すぎる場合は、贈与税が掛かります。

また、離婚が贈与税や相続税を免れるためであると認められる場合も、贈与税が課されますのでご注意ください。

結婚・子育て資金の一括贈与

令和7年3月31日までに、金融機関との一定の契約に基づいて祖父母や両親が18歳から49歳の子どもや孫に一括贈与した場合、結婚資金は300万円、子育て資金は1,000万円まで非課税となります。

内容としては披露宴や新居引越代、出産費用、保育園等の保育料などが対象となり、贈与された人が50歳になった時点で残っている部分は課税対象となります。

住宅取得等資金の贈与

令和5年12月31日までに、祖父母や両親が18歳以上の子や孫に対して住宅の取得や増改築資金を贈与する場合、取得時期や消費税率、住宅の省エネ能力等に応じて、500万円までまたは、1,000万円までが非課税となります。

ただし、特例を受けるためには一定の条件を満たす必要があり、充分な検討が必要といえるでしょう。

住宅取得等資金の特例を受けるための主な条件

  • 贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であること
  • 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること(配偶者の親からは対象外)
  • 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下一定の場合は1,000万円以下)であること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用家屋を取得・新築すること
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅用家屋に居住するか、又は、遅滞なく居住することが確実であること(12月31日までには居住すること)
  • 贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告をすること

非課税限度額

住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間

省エネ等住宅

左記以外の住宅

令和4年1月1日~令和5年12月31日

1,000万円

500万円

教育資金の一括贈与

令和8年3月31日までに、金融機関との一定の契約に基づいて祖父母や両親が30歳未満の子や孫に対して学費、学習塾や習い事、学習のための通学費や留学費などを贈与する場合は、1,500万円まで非課税となります。

ただし、こちらも贈与を受けた人が一定の年齢に達したときに残部に対して贈与税が課されるほか、使い切る前に贈与者が死亡した場合、一定の事由に該当すれば相続税の課税対象に加算され、相続税対策としての効果が減殺されることになります。

また、受贈者に1,000万円超の所得がある場合には対象外になるという要件が加わるなど、条件が厳しくなる改正が加えられています。

なお、手続き的には、税務署への申告や、学費支払等の贈与財産の使用の都度、贈与資金を管理する金融機関に領収書等の提出が必要になります。

まとめ

贈与税は高い税率が課されるため、非課税枠や措置を上手に利用して、税額を抑えるのがおすすめです。

本記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。

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この記事の監修者
公認会計士・税理士 大橋誠一事務所
大橋誠一(税理士)
国税不服審判所の国税審判官として民間登用され、法人税・所得税・相続税・消費税・加算税の審査請求事件の調査・審理に従事。税務署長・国税局長による課税処分を取り消すか否かの判断を行った経験を有する。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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