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定期贈与の回避策6つ|連年贈与との違いと一括課税を防ぐ証拠の残し方

定期贈与の回避策6つ|連年贈与との違いと一括課税を防ぐ証拠の残し方
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「毎年110万円以内で家族にお金を渡しているから、贈与税はかからない」と安心していませんか。実は、贈与のしかたによっては定期贈与とみなされ、後から多額の税金を請求されるリスクがあります。

定期贈与かどうかは、金額や回数ではなく「最初から総額を渡す意図があったかどうか」で判断されます。毎年同じ時期に同じ金額を贈与しているだけで、疑いをかけられる可能性があります。

この記事では、定期贈与とみなされるリスクと連年贈与との違いを整理したうえで、今日から実践できる回避策を6つ解説します。2024年から変わった生前贈与加算のルールも含めて整理しているので、贈与計画の確認に役立ててください。

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定期贈与とは|毎年一定額の金銭を給付する贈与契約のこと

定期贈与とは、民法第552条が規定する贈与の一種です。毎年いくら渡すかを、あらかじめ取り決めた契約による贈与を指します。

具体的には、「毎年100万円を10年間贈与する」と親子間で取り決めているケースがこれにあたります。

契約は書面がなくても成立します。「毎年送るね」という親子間の口頭の約束が、後から定期贈与とみなされるケースがあります。判断の基準は取り決めの形式ではなく、最初から総額を渡す意図があったかどうかです。

なお、定期贈与は贈与者が亡くなると効力を失います(民法第552条)。残りの期間分の贈与義務も、その時点で消滅します。

定期贈与とみなされると贈与総額に一括で課税される

定期贈与とみなされると、贈与の総額に対して一括で贈与税が課されます。本来ゼロのはずの税負担が、一気に数百万円単位で発生します。

毎年の贈与をそのつど独立した判断で行う方法を「連年贈与」といいます。連年贈与であれば、毎年110万円以下の贈与は基礎控除内に収まり、贈与税はかかりません。ところが定期贈与とみなされると、各年の基礎控除は適用されず、贈与の総額に対してまとめて課税されます。

たとえば毎年100万円を10年間贈与したケースでは、連年贈与なら税負担はゼロです。一方、定期贈与と判断されれば、1,000万円に対して課税されます。税額は親から18歳以上の子への贈与(特例税率)で約207万円、それ以外(一般税率)で約271万円です。

さらに申告漏れとなれば、延滞税・過少申告加算税・重加算税などのペナルティも上乗せされます。

連年贈与との違いは「あらかじめ約束があるかどうか」

項目 定期贈与 連年贈与
定義 最初から総額・期間を約束した贈与 各年に独立した意思で行う贈与
契約の有無 あり(口頭でも成立する可能性) なし(各年の独立した行為)
課税対象 贈与総額にまとめて課税 各年の贈与額 (年110万円以下は非課税)
課税額の目安 特例税率 約207万円/一般税率 約271万円 100万円×10年 → 0円
贈与者死亡時 贈与の効力が失われる 各年の贈与は完結している

見た目は同じ「毎年100万円の贈与」でも、課税の扱いは大きく変わります。違いを決めるのは、贈与を始めた時点で総額を渡す意図があったかどうかです。

連年贈与は、各年に独立した判断で行う贈与です。結果として毎年贈与が続いたとしても、それぞれの年の贈与が完結した行為として扱われます。

定期贈与は、最初から「〇年間で合計〇〇万円を贈与する」という取り決めがある贈与です。同じ金額・同じ頻度でも、この意図の違いだけで課税の扱いが変わります。

税務署が定期贈与を疑うときに見ているポイント

税務署は、預貯金口座の入出金記録や源泉徴収票、金融機関への調査などから贈与の事実を把握しています。贈与を隠そうとしても、突き止められる可能性は十分あります。

定期贈与かどうかは、税務署が複数の要素を総合的に判断します。1つ当てはまるだけで即アウトではありませんが、以下の要素が重なるほどリスクが高まります。

  • 毎年同じ時期(例:毎年12月)に贈与が行われている
  • 毎年同じ金額(例:毎年ぴったり100万円)が贈与されている
  • 贈与者と受贈者の間で書面やメモが残っている
  • 受贈者が贈与の事実を認識していない(名義預金の疑い)
  • 受贈者の口座を贈与者が管理している

上記のポイントを裏返したものが、次のセクションで解説する回避策です。自分の贈与状況に当てはまるものがないか確認してみましょう。

定期贈与と判断されないための回避策6つ

税務署から定期贈与とみなされないためには、毎年の贈与が「独立した行為である」と客観的に証明することが重要です。

ここからは、実務上すぐに取り入れられる6つの具体的な回避策を解説します。ご自身の状況に合わせて、実行しやすいものから取り入れてみてください。

①贈与する時期や金額を毎年変更する

定期贈与と疑われないためには、贈与の時期と金額を年ごとに変えることが有効です。毎年同じ時期・同じ金額の贈与は、最初から総額が決まっていたと疑われる原因になります。

たとえば、毎年12月に100万円を贈与していたケースであれば、ある年は3月に80万円、翌年は9月に120万円に変更します。金額だけ、あるいは時期だけを変えても不十分な場合があるため、セットで変えることが大切です。

また、意図的に贈与しない年を作ることも有効です。毎年必ず贈与しているという規則性がなくなるため、定期贈与の証拠をさらに薄められます。

②贈与のたびに贈与契約書を作成する

毎年の贈与が独立した行為であることを証明するために、贈与のたびに個別の契約書を作成する方法も有効です。

国税庁のタックスアンサー(No.4402)でも、各年の贈与が別々の契約に基づくものであれば、毎年の基礎控除が適用される旨が示されています。契約書の作成は、税務上の根拠にもなります。

契約書に記載すべき項目は以下のとおりです。

  • 贈与者と受贈者の氏名・住所
  • 贈与日と金額
  • 贈与の目的
  • 双方の署名・押印

10年分をまとめて1枚の契約書に記載するのは逆効果です。定期贈与の証拠になってしまうため、必ず年ごとに1枚ずつ作成してください。

公正証書にする必要はありませんが、日付の証明力を高めるために確定日付を取っておくとより安心です。ひな形を活用する場合も、毎年の金額・日付・贈与の目的は必ず個別に記入します。

③現金手渡しを避け銀行振込で証拠を残す

贈与は現金手渡しではなく、銀行振込で行うのがおすすめです。

現金手渡しでは、いつ・いくら渡したかという客観的な記録が残りません。税務調査で贈与の事実自体を証明できないリスクがあります。

銀行振込であれば、通帳や取引履歴に日付と金額が自動的に記録されます。贈与契約書とセットで保管することで、贈与が実際に行われた証拠になります。

④あえて110万円を超えて贈与税申告を行う

定期贈与ではなく連年贈与であることを、税務署の記録として残す方法があります。年間111万円を贈与し、基礎控除を超えた1万円分に贈与税を申告・納付します。税額は1万円×10%で1,000円です。

わずかな負担で「その年に独立した贈与があった」という公的な記録を残せます。贈与税の申告書は税務署に記録されるため、連年贈与の証拠として有効です。

ただし、申告の手間や税負担をかけてまでこの方法を選ぶかどうかは状況によります。基本的には毎年贈与契約書を作成しておけば十分です。迷う場合は税理士に相談するのがおすすめです。

⑤名義預金とみなされないよう受贈者が通帳管理する

贈与したお金は、受贈者本人が管理できる状態にしておく必要があります。

名義預金とは、口座名義は受贈者でも実質的に贈与者が管理している預金のことです。名義預金と判断されると、贈与自体が成立していないとみなされます。

受贈者が通帳・キャッシュカード・届出印を自ら管理し、自由に引き出せる状態にしておくことが重要です。受贈者が贈与の事実を知らないまま贈与者が積み立てているケースは、名義預金と判断されるリスクが高くなります。

未成年の子どもへの贈与は特に注意が必要です。子どもが成人したら、速やかに通帳の管理を本人に移しましょう。

⑥生活費や教育費は都度贈与として非課税で渡す

生活費や教育費は、定期贈与とは別に、贈与税なしで渡せる方法があります。

扶養義務者から支払われる生活費・教育費は、必要な都度渡す限り贈与税がかかりません。(相続税法第21条の3

対象となるのは、家賃・食費・学費・塾代・入学金・教材費など、通常必要と認められる範囲の費用です。

ポイントは「都度」渡すことです。数年分をまとめて一括で渡すと非課税の対象外になります。また、受け取った資金を投資や貯蓄に回した場合も課税対象になります。

定期贈与の回避策とは性格が異なりますが、贈与税がかからない正当な手段として押さえておくと、生前贈与の計画全体の選択肢が広がります。

定期贈与の回避策とあわせて押さえておきたいポイント

生前贈与を安全に進めるためには、定期贈与の回避策だけでなく、法律や税制のルール変更も理解しておく必要があります。

ここでは、過去の贈与の取り扱いや、最新の税制改正に関する重要なポイントを解説します。

過去の贈与でも定期贈与とみなされれば時効は成立しにくい

贈与税の時効は、申告期限から原則6年(悪質な場合は7年)です。ただし定期贈与の場合、時効の起点が「最初の贈与時」ではなく「契約が成立した時点」と判断される可能性があります。

たとえば10年前から毎年100万円を贈与していた場合、直近の贈与から時効が起算されるため、時効が完成しにくい状況になります。税務署が調査に着手すると時効の進行も中断されるため、時効を頼りにするのは危険です。

過去の贈与も含めて証拠を整理しておくことが重要です。不安がある場合は、税理士や弁護士に確認してもらうことをおすすめします。

生前贈与加算が7年に延長|贈与の開始は早いほど有利になる

2024年1月以降の贈与から、相続開始前7年以内の生前贈与が相続財産に加算されるルールに変更されました(従来は3年)。

亡くなる直前の7年間に行った贈与は、相続税の節税効果がなくなります。定期贈与の回避に成功しても、贈与を始めるタイミングが遅ければ相続税の課税対象に戻ってしまいます。

たとえば75歳で贈与を始めて80歳で亡くなった場合、5年分の贈与がすべて相続財産に加算されます。延長された4〜7年目には合計100万円の控除が設けられていますが、効果は限定的です。

贈与を始めるなら1年でも早いほうが有利です。ただし、いつから始めるか・いくら渡すかは相続財産の規模によって最適解が変わります。この制度変更も踏まえた贈与計画を立てるには、早めに専門家へ相談するのがおすすめです。

定期贈与の回避や相続対策に不安があれば弁護士に相談しよう

定期贈与の回避策は自分でも実行できますが、本当にこれで大丈夫かという判断は、専門家でないと難しいケースがあります。

特に次のようなケースでは、弁護士・税理士への相談をおすすめします。

  • 過去に何年も同額・同時期の贈与を続けてしまっている
  • 贈与契約書を作成せずに贈与を行ってきた
  • 相続財産が大きく、生前贈与加算の影響を受ける可能性がある
  • 贈与だけでなく遺言書の作成や相続対策全体を見直したい
  • 相続時精算課税制度など、暦年贈与以外の選択肢も含めて贈与計画を見直したい

定期贈与の回避は贈与税の問題ですが、相続全体の設計には法律と税務の両面からのアドバイスが必要です。

弁護士であれば、贈与契約書の作成・遺言書の整備・相続トラブルの予防まで一括して対応してもらえます。税理士と連携している事務所を選べば、贈与税・相続税のシミュレーションも含めて依頼できます。

まずは無料相談を活用して、現在の贈与状況にリスクがないか確認することをおすすめします。

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まとめ|正しい手順を踏めば定期贈与は回避できる

定期贈与とみなされると、贈与総額に一括で課税されます。本来ゼロのはずの税負担が数百万円単位で発生するケースもあります。

回避策の基本は3つです。時期と金額を毎年変えること・贈与ごとに契約書を作成すること・銀行振込で記録を残すことです。複数を組み合わせるほど、定期贈与と判断されるリスクを下げられます。

また、2024年から生前贈与加算が7年に延長されました。贈与は早く始めるほど有利になります。過去の贈与状況に不安がある場合は、時効を頼りにせず、専門家に相談して証拠を整理しておくことをおすすめします。

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この記事の監修者
江戸川葛西相続法律事務所
菊地 正志 (第一東京弁護士会)
当職は、税理士、公認会計士準会員の資格をもつ、会計に強い弁護士です。相続で株式や不動産の扱いにお困りの方や、遺産分割協議でもめている方は、当職へご相談ください。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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