> 
 > 
 > 
暦年贈与の概要と贈与税の算出方法や贈与のときの注意点まとめ
2019年08月14日

暦年贈与の概要と贈与税の算出方法や贈与のときの注意点まとめ

%e6%9a%a6%e5%b9%b4%e8%aa%b2%e7%a8%8e

暦年贈与(れきねんぞうよ)とは、贈与税の課税方式のひとつで、暦年課税とも言います。税額は1年間で贈与された財産の合計から110万円を控除し、税率を掛けることで求められます。

 

課税方式にはもうひとつ、相続時精算課税の制度があり、任意で相続時精算課税を選択した贈与者と受贈者(貰った人)間の財産贈与は翌年以降もすべて相続時精算課税で処理します。控除額の限度は2,500万円で、単年のものではなく複数年に渡るものです。

 

この記事では暦年贈与の計算方法と信託銀行のサービスである暦年贈与信託、その他暦年贈与と併用できる特例についてご紹介させていただきます。

暦年贈与の計算方法

暦年贈与で贈与税を算出するときは下記のとおりです。ご覧ください。

 

①.1月1日から12月31日の1年間で贈与財産の合計額を求めます。

②.贈与財産の合計額から基礎控除110万円を引き算します。

③.贈与財産合計額-110万円で残った額に、額ごとに対応する税率を掛け算します。

④.③で算出した額から③の額ごとに定められた控除額を引き算します。

⑤.贈与税が算出できます。

 

誰に贈与するかによって税率が異なる | 一般贈与財産と特例贈与財産について

暦年贈与では、誰に贈与するかによって一般贈与財産と特例贈与財産という2つのカテゴリーに分けることができます。

 

一般贈与財産……特例贈与財産に当てはまるもの以外

特例贈与財産……贈与者が父母や祖父母などのいわゆる直系尊属の人で

        受贈者が20歳以上の子や孫のとき

 

どちらに該当するかによって税率や控除額が異なります(基礎控除110万円のことではありません)

 

一般贈与財産と特例贈与財産それぞれの税率と控除額を表にしてまとめました。

 

一般贈与財産

贈与財産の合計額-110万円の額

税率

控除額

200万円以下

10%

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1,000万円以下

40%

125万円

1,500万円以下

45%

175万円

3,000万円以下

50%

250万円

3,000万円超

55%

400万円

 

特例贈与財産

贈与財産の合計額-110万円の額

税率

控除額

200万円以下

10%

  ー  

400万円以下

15%

10万円

600万円以下

20%

30万円

1,000万円以下

30%

90万円

1,500万円以下

40%

190万円

3,000万円以下

45%

265万円

4,500万円以下

50%

415万円

4,500万円超

55%

640万円

 

基礎控除として110万円までが毎年非課税であることを考えると、一度に多額の財産を贈与されるよりも毎年少しずつ贈与されたほうが、税負担が少ない分、受贈者はお得です。

 

上記の表を見ていただくと分かるとおり、贈与税は累進課税制度が採用されています。仮に贈与税が発生する状況であっても基礎控除を引いた額が低額であれば支払うべき税金は少なく済むので、多額の財産を保有している人であれば、長いスパンで贈与した方が親族の税負担を軽くすることができます。

 

計算例

40歳のAさんが父から贈与を受けました。贈与によって得た財産が990万円のとき、暦年贈与を選択した場合の贈与税額はいくらでしょうか。贈与財産990万円から基礎控除110万円を引き算すると880万円。

 

贈与者はAさんの父で、Aさんは20歳以上なので特例贈与財産に当てはまります。前述の特例贈与財産の表を見ると880万円は1,000万円以下に該当し、税率が30%、控除額が90万円だということがわかります。

 

贈与財産の合計額に税率を掛け算するので880万円×30%なので264万円です。

264万円から90万円を引き算すると174万円。

贈与税は174万円です。

 

ちなみに条件を【受贈者が未成年】などにして一般贈与財産に変更した場合、税率は40%、控除額は125万円です。

880万円×40%で352万円。

352万円から125万円を引き算して227万円なので贈与税は227万円です。

 

暦年贈与で留意すべきところ

暦年贈与をする上で知っておくべきことはなんでしょうか。確認していきましょう。

 

基礎控除で贈与税が非課税になるなら申告は不要

基礎控除110万円で贈与財産合計額を控除し切ることができるのであれば申告する必要はありません。ただし、他の特例を併用して贈与税が非課税になった場合は申告する必要があるので注意しましょう。

 

基礎控除は「受贈者」1人につき110万円

1人に対して贈与者(あげる側)が何人いようと基礎控除は110万円です。

5人の贈与者が特定の1人に贈与するからといって基礎控除が550万円になるわけではありません。

 

贈与してから3年以内に贈与者が死亡した場合は贈与額が相続額に組み入れられ相続税の対象になる

財産を贈与してから3年以内に贈与者が亡くなってしまうとその額は相続税の計算に加算されます。

 

贈与税が課された部分に関しては相続税の計算では控除されますが、基礎控除110万円によって控除された部分は相続税の計算に加算されます。

 

特例と併用することができる

もうひとつの課税方法で相続時精算課税の制度とは併用できないのですが、暦年贈与の基礎控除110万円は下記の特例と併用することができ、非課税になる金額の範囲を広げることができます。

 

  • 結婚・子育て資金の一括贈与
  • 教育資金の一括贈与
  • 住宅資金贈与

 

結婚・子育て資金の一括贈与

挙式の費用や子育て・出産に関係する費用として贈与された金銭に関しては限度額1,000万円までならば非課税になるという特例です。

 

結婚に関する費用に関しては300万円が限度額です。

 

特例を利用できる要件は、期限が平成31年3月31日までで受贈者が20歳以上50歳未満であることです。

 

【参考】

父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

 

教育資金の一括贈与

子や孫に対し、教育のための資金として贈与した金銭に関しては限度額1,500万円までならば非課税になるという特例です。

 

ここでいう教育のための資金とは学校の入学金や授業料、PTA会費や給食費などが当てはまります。他にも学校以外へ支払うモノとして、塾の月謝代や通学のための定期代などが特例の対象です。

 

学校等に支払うか業者などへ払うかによって限度額の枠組みが異なり、学校以外へ支払う場合は500万円が限度額となります。学校等以外への支払が500万円あったのであれば全体の限度額1,500万円から500万円引き残り1,000万円が学校等への支払に使える控除額です。

 

特例を利用できる要件は、期限が平成31年3月31日までで、受贈者が30歳未満であることです。注意点としては、受贈者が30歳になったときに資金を使い切れない部分は贈与税が課されること、領収書を管理し、金融機関に提出しなければいけないということです。

 

【参考】

祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

 

住宅取得等資金の贈与税の非課税

父母や祖父母などの直系尊属から住宅の取得や新築・増改築のための資金を贈与によって受けたときに利用できる特例です。

 

平成27年1月1日から平成33年12月31日までに贈与されている必要があり、また一定の条件を満たした上で非課税の特例を受けることができます。

 

非課税の限度額は、住宅に関する契約がいつ締結されたのか、省エネ等住宅であるかどうかによって変化します。

 

省エネ等住宅とは、エネルギーの使用の合理化に著しく資する住宅用の家屋、大規模な地震に対する安全性を有する住宅用の家屋又は高齢者等が自立した日常生活を営むのに特に必要な構造及び設 備の基準に適合する住宅用の家屋をいいます。

引用:「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のあらまし

 

非課税の限度額の詳細や特例を受けるための条件に関しては下記の記事もご覧ください。

 

【関連記事】

住宅取得等資金の贈与における非課税制度(特例)の適用条件まとめ

 

贈与税を申告するとき

贈与税が課される場合、受贈者の住所地を管轄する税務署に申告書を提出しなければなりません。贈与税の申告に関しては下記の記事にて解説しておりますのでご覧ください。

 

【関連記事】

贈与税の申告をする全手順|申告書の書き方と申告方法まとめ

 

暦年贈与信託というサービスについて

暦年贈与信託は信託銀行の商品を利用して暦年贈与をおこなう方法です。信託銀行と贈与者のあいだで契約を結び、誰に贈与するか・どれだけ贈与するかを決めます。信託銀行は贈与者に代わって受贈者に口座にあらかじめ決めておいた金額を振込むことで暦年贈与を完了します。

 

暦年贈与は贈与額が基礎控除以下であれば申告義務もないですし、贈与税が課されるようなら受贈者が申告すればいいだけなのですが、暦年贈与の欠点を補える要素を持っています。

 

個人で暦年贈与をおこなった場合、贈与税が発生しなければ贈与をしたという証拠が残りません。後年贈与の事実を証明するのには、契約書などを作っておく必要があります。ですが暦年贈与信託を受けることで実行された贈与のデータが残るので、わざわざ書類を作る必要がありません。

 

また連年贈与といって、毎年基礎控除額の110万円以下の額を贈与することで税務署からはじめから多額の資産を贈与する意図があったと見做され、これまで受贈した総額に贈与税が課されるリスクがあります。

 

連年贈与の対策として、贈与のたびに贈与契約書を作ったり、異なる金額を贈与したりといった方法がありますが、暦年贈与信託サービスを使うことで連年贈与と看做されるリスクが減るとされています。

 

まとめ

単純に110万円までなら非課税だからと毎年のように贈与してしまうと多額の贈与税を背負いかねません。

 

リスクをなるべく下げるためには暦年贈与信託を受けるのもいいでしょうし、多額の資産を生前贈与する予定があるのであれば相続時精算課税制度も検討した方がいいかもしれません。

SNSで記事をシェアする

相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
Icon_column_white カテゴリからコラムを探す
1分間の入力で
あなたの不動産の
価格を一括査定
一括査定に進む
Icon_search_white 相談内容から弁護士を探す
Category_souzokutrouble_normal Category_tsukaikomi_normal Category_isanbunkatsu_normal
Category_iryubun_normal Category_souzokuhouki_normal Category_yuigon_normal
Category_daisyusouzoku_normal Category_seinenkouken_normal Category_fudosan_normal
Category_souzokunin_normal Category_souzokuzaisan_normal Category_souzokutouki_normal
Category_shintaku_normal
Sidebar_writer_recruit