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相続税の配偶者控除は婚姻期間1日でも利用できる|7つの注意点も解説

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相続税の配偶者控除とは、配偶者の「取得財産の価額が1億6,000万円」か「配偶者の法定相続分」までは、相続税の対象にならないという制度のことです。

配偶者控除は婚姻届さえ出していれば、婚姻期間に関係なく適用され、1日でも正式な婚姻関係にあれば、控除を受けることが可能になります。つまり、相続を行う上で、配偶者であれば実は相続税を支払うことはほぼありません。

 

なぜ配偶者だけにこんな優遇措置が用意されているのかというと、例えば、若くして父親が亡くなった場合に高額な相続税が発生してしまっては、残された家族は生活に支障が出てしまうかもしれません。配偶者控除は、このような背景から生まれた優遇制度です。

 

この配偶者の税額軽減は、とても便利な制度ではありますが、控除額を超えた場合には課税されますので、「どんな場合でも配偶者には全く相続税がかからない」というわけではありません。

 

では、いくらまでならば控除になるのか、配偶者控除を受ける上で注意をするべきポイントや手続きの流れなどをこの記事でご紹介します。

 

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この記事に記載の情報は2024年01月12日時点のものです

配偶者控除で相続税はどの程度軽減されるのか

配偶者の相続税を軽減する「配偶者の税額軽減」は、配偶者の取得財産の価額が、

・1億6,000万円
・配偶者の法定相続分 

 

この2つの内どちらか高い方が非課税となる制度のことで、「配偶者控除」と呼ばれたりもします。この制度の素晴らしいところは、例えば法定相続分が1億円あっても、1億6,000万円までは非課税になりますし、配偶者の法定相続分が2億円であれば、2億円までが非課税となるところです。

 

これだけの控除額があれば、配偶者にはほぼ相続税はかからないと思えるような制度と言えます。

 

配偶者控除の算出方法

相続税の配偶者控除は、受け取った遺産の額をもとに計算した税額から一定額を控除する税額控除です。
控除する額は、次の算式で求めます。

 相続税の総額×課税価格の合計額×配偶者の法定相続分(★)
 
  または 
 
配偶者の課税価格のいずれか少ない額÷課税価格の合計額 

(相続税の総額とは各相続人について計算した相続人全員の相続税の合計額)
(課税価格の合計額とは、遺産のうち相続税が課税されるものの合計額)
(★)が1億6,000万円未満であれば、1億6,000万円に置き換えて計算

配偶者控除を適用すれば、

 

・配偶者の法定相続分
・1億6,000万円

 

いずれかの大きい額までが非課税になるので、最低でも1億6,000万円までであれば相続税はかかりません。また、法定相続分とは民法の規定により定められている相続分で、遺言による指定相続分がない場合は、法定相続分に基づき分配されることになります。

 

配偶者控除を利用した際の各相続人の相続分

相続人

配偶者あり

配偶者なし

配偶者

血族相続人

血族相続人

配偶者のみ(※1)

1/1

第一順位(※2)

1/2

1/2

1/1

第二順位

2/3

直系尊属

1/3

直系尊属

1/1

第三順位

3/4

兄弟姉妹

1/4

兄弟姉妹

1/1

(※1)配偶者は、常に相続人となり他の順位の血族相続人と同順位で相続する。
(※2)実子と養子は法定相続分に差異はない

遺産総額が10億円あり、配偶者と子供が2人いた場合では、法定相続分で分けた場合の配偶者の取り分は、5億円になります。この場合、配偶者の法定相続分で分けたので5億円分が非課税になります。また、配偶者のみに1億6,000万円の相続を集中させた場合でも、非課税になるということです。

相続税の配偶者控除を受けられる人の条件

配偶者控除を受けるためには、次の4つの要件を満たさなければなりません。

戸籍上の配偶者であること

戸籍上の配偶者であれば、婚姻期間の長短は問われません。婚姻期間が30年でも1年でも控除が受けられます。ただし、籍を入れていない、いわゆる内縁関係では認められません

相続税の申告書を税務署に提出すること

配偶者控除の額は、配偶者が実際に受け取った遺産の額をもとに計算します。そのため、申告期限までに遺産分割が完了していることが求められます。申告期限は、一般に被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内と定められています。

相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること

配偶者控除を受けた結果、納付する相続税が0になった場合でも、申告書は提出しなければなりません。申告書が提出されていないと、配偶者控除で税額が0になったのか、単に申告が漏れているだけなのか、税務署ではわからないからです。

相続税の申告から3年以内であること

相続税の申告期限である10ヶ月以内には、基本的に相続税の申告をしなければいけませんが、遺産分割が終わっていない場合は、期限までに一旦相続税を申告するケースもあるでしょう。

しかし、配偶者控除の申告は相続税の1回目の申告から3年までに分割された財産であれば「更正の請求」をすれば、税額軽減の対象になります。また、配偶者控除が適用されるのは、遺産分割などで「実際に取得した財産」に限られますので、相続税の申告期限までに分割されなかった財産は税額軽減の対象とはなりません。

 

ただし、申告期限まで残った未分割財産でも、以下の場合は配偶者控除の税額軽減の対象となります。

 

10ヶ月の申告期限が過ぎた場合の救済措置

申告期限が過ぎてしまった場合は、相続税の申告書又は更正の請求書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出すれば、税額軽減の対象になります。

なお、相続税の申告期限から3年を経過する日までに分割できないやむを得ない事情があり、その事情がなくなった日の翌日から4か月以内に分割された場合も、税額軽減の対象になります。

 

配偶者控除(配偶者の税額軽減)を受ける手続き

次に、配偶者が税額軽減を受けるための手続きについてご紹介していきます。

必要書類

・相続税の申告書(1枚目:PDF)(2枚目:PDF
・申告期限後3年以内の分割見込書(PDF)※必要な場合
・戸籍謄本
・遺言書の写し
・遺産分割協議書の写し

・印鑑証明書(遺産分割協議書の写しに添付)
・配偶者の受け取った財産がわかる書類
・その他の書類※必要に応じて選択してください(書類一覧

提出先

納税地を所轄する税務署(所在地及び管轄

相談窓口

相続税についての一般的な相談は「国税局電話相談センター」で行っています。

※音声指示に従って相談内容を選択すると、国税局の職員に電話で相談することができます。

 

具体的に必要書類や事実関係を確認する必要がある場合など、税務署の個別相談を希望する場合は、最寄りの税務署に事前予約を取る必要があります。

あらかじめ、管轄の税務署に電話をして面談日を予約します。
※閉庁日(土・日曜日・祝日等)は行っていない。

相続税の申告後に行われた遺産分割に基づき、分割が成立した日の翌日から4か月以内に更正の請求を行う必要があります。

 

配偶者控除を利用する際の注意点

最後に、配偶者の税額軽減を行う際の注意点をご紹介していきます。配偶者控除は、多額の税金が控除されるというメリットだけではありません。きちんと仕組みを理解し、以下の注意点も踏まえ、よく考えた上で申告するようにしましょう。

遺産を隠したら控除が受けられない

税務調査によって遺産を隠していることが発覚した場合、指摘後に修正申告は行いますが、そのとき隠していた遺産については、配偶者控除を受けることはできません。遺産隠しは、配偶者控除が受けられないだけでなく、35~40%の重加算税が課税されます。はじめから正しく申告と納税を行うように心がけることが重要です。

遺産分割協議でトラブルになるケースがある

相続財産と相続人が多い場合、被相続人が法的に効力のある遺言書を作成していれば問題はありませんが、そうでない場合、残された財産はまずは法定相続人である相続人が相続する割合で共有しているという状態となります。

財産が預貯金ばかりであれば法定相続分を分割譲渡することができますが、ここに不動産が絡んでくると事はすんなりと進みません。このような際に行われるのが、どういう形で分割相続するのかを話し合う遺産分割協議です。1つの不動産を数人で相続される際に、折り合いがつかずトラブルになるケースも少なくありません。

 

なお、遺産分割協議を進めている途中で、被相続人の後を追うように配偶者が亡くなることも起こり得ます。このようなときは、配偶者が生存しているものとして、被相続人の遺産について遺産分割をします。

 

相続人の合意で配偶者が受け取ることにした遺産について、配偶者控除が受けられます。

遺産分割の内容が決定していないと受けられない

配偶者の税額軽減は、財産の分割の話し合いがまとまっていない財産には適用できません。ただ、被相続人が亡くなってから10カ月後には相続税の申告をしなくてはいけません。その時点で規定の適用が受けられないと多額の相続税を納めなくてはいけないことになりますので注意が必要です。

2次相続の問題が残る

夫婦は年齢が近いことも多いので、先に亡くなった方の相続の際には税額が低く抑えられたとしても、先に亡くなった方から相続する財産の種類や金額、残された方が持っている財産の種類や金額などを考慮し、トータルで考えていくことも大事です。
参考:数次相続とは?

配偶者控除の難しいところは、1回目の相続税を少なくするために配偶者控除を適用して、配偶者の相続金額を増やした場合、2回目の相続(例えば、配偶者が亡くなって子供のみが相続人となるようなケース)でより多くの相続税を支払わなければならない点です。

 

2次相続においては、一次相続に比べ相続人が1人減ることで、基礎控除が減り、さらには配偶者がもともと持っている固有財産もある場合には、適用される税率も上がってしまい、1次相続に比べより高い税率で相続税がかかってくることが想定されます2回目の相続も視野に入れ、遺産分割をする必要があります。

 

必ず相続税が節税されるわけではない

例えば『どんな場合でも配偶者は法定相続分または1億6,000万円で相続し、残りは子どもに相続させた方が相続税は軽減されるか?』という質問に対する答えは「NO」です。

配偶者が相続した財産は、いずれ配偶者が亡くなった場合に、その財産も含めて子どもなどの相続人に相続された際、相続税の課税対象となってしまうためです。

 

例)

1次相続の財産:10億円
  法定相続人:妻、子供2人
 配偶者の財産:7,000万円

15年後に2次相続が発生したとする

配偶者取得割合

1次相続税額

2次相続税額

支払い合計額

10%

32,058

2,440

34,498

20%

28,496

5,720

34,216

30%

24,934

9,720

34,654

40%

21,372

13,860

35,232

50%

17,810

18,360

36,170

60%

17,810

23,000

40,810

この表では、1次相続で配偶者が総額の20%を相続するのが最もお得です。配偶者が多額の財産を持っている場合、1次相続で配偶者の相続額を抑えないと、2次相続の相続税負担が大きくなってしまいます。

もし、1次相続の財産の中に、収益を生み出すもの(賃貸アパート等)があれば、賃料収入が配偶者の財産として貯まっていくことを防ぐためにも、配偶者でなく子が相続した方がいい場合もあります。

配偶者控除を上限まで使わないほうが良いケース

あくまで税負担面ですが、相続税の配偶者控除を抑える方がトータルで有利になるケースを紹介します。

被相続人である夫の財産が1億円で、妻は自分の財産を2,000万円持っていて、子供が2人であるケース。財産1億円に対する相続税はまず630万円と算出されます。

  1. ①:配偶者が財産1億円全て取得すると一次相続税は0円、二次相続税は1,160万円になります。

  2. ②:配偶者が半分の5000万円を取得すると一次相続税は315万円、二次相続税は320万円でトータル635万円になります。

  3. ③:配偶者が全く取得しないと一次相続税は630万円、二次相続税は0円でトータル630万円になります。

  4. ④:配偶者が2割の2000万円を取得すると一次相続税は504万円、二次相続税は0円でトータル504万円になります。


このケースだと、④の配偶者控除を上限まで使わないで2割だけ取得する方がトータルで有利になります。被相続人の持つ財産、相続人の持つ財産をきちんと把握した上で、どのように控除を受けるかをまずプランニングしましょう。

 

内縁者(愛人)は適用外

配偶者の範囲には、内縁関係にある妻や愛人は含まれず、婚姻届を提出して、法的に正式の夫婦になった人だけが、配偶者控除の対象となります。 

配偶者控除を利用すると確定申告が必要になる

相続税の配偶者控除の制度は確定申告が必要になるため、確定申告の期限に間に合うように、遺産分割を終わらせておくことが肝心です。もし、遺産分割協議がまとまらず、遺産を正式に計算できない時は制度が利用できません。

配偶者控除活用以外で相続税対策としてできるもの

相続税対策のひとつとして、生前贈与という方法があります。読んで字の如く「生前」から「贈与」を行うことで、節税になるだけでなく確実に本人の意思で目的財産を移転させることが出来ます。こちらも今のうちから視野においておくと良いでしょう。

暦年贈与の活用

生前贈与については、相続税法上110万円の「基礎控除」を受けられるので、1年あたり110万円分までの贈与であれば、贈与税がかかりません。これを暦年贈与と言います。
ただし、相続開始前3年以内に暦年贈与された分については、相続税の対象になります。

相続時精算課税制度の活用

相続人が子どもの場合、その年の1月1日時点で贈与者が60歳以上、子どもが20歳以上であれば、2,500万円分までの贈与には贈与税がかかりません。その代わりに後で相続の時に、その財産を相続財産に含めて相続税が計算されることになります。これを相続時精算課税制度と言います。

この場合、贈与された財産の価格は、相続の時点ではなく贈与した時の時価で計算されます。たとえば、贈与の時点で1株10万円だったのが相続の時点で20万円になっていたとしても、贈与時の価格である10万円で相続税が計算されます。

 

【関連記事】

 

相続で生前贈与を活用する際に知っておくべき4つのポイント

相続時精算課税制度のメリットと贈与税対策のポイント

まとめ

相続税を払わなくてはならなくなるのは、1次相続でも2次相続でも“子供”になりますので、2次相続になった際の相続税に関して計算をした上で、得策を考えたいものです。

便利な配偶者の税額軽減制度ですが、使い所を間違えないように進めて頂ければ幸いです。もしご自身だけでの対策で不安があるようであれば、専門の相続コンサルタント税理士に相談するのが安全かもしれません。

 

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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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