遺産分割協議書とは、相続人たちが話し合いで決めた遺産分割の内容を記載した文書です。
各相続人の取り分を書面に残しておくことで、「言った・言わない」などのトラブルを回避できるだけでなく、相続したことを証明する書類としての効力も期待できます。
そこで今回、初めて相続手続きをする人に向けて、遺産分割協議書作成の注意点や必要書類、協議書作成までの流れなどの基礎知識について解説します。
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遺産分割協議書作成する際に必要な書類
遺産分割協議書を作成する際には、どの遺産を誰がもらうのかなどを協議で決める必要があります。
正確に遺産を分割できるように、遺産分割協議書を作成するときは以下の書類を用意しましょう。
- 被相続人が出生してから亡くなるまでの戸籍(除籍・改製原戸籍・現戸籍)
- 被相続人の住民票の除票と戸籍の附票
- 登記簿上の住所と死亡時の住所が異なるときは戸籍の附票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書と実印
- 残高証明書や分割すべき財産一覧
残高証明書は金融機関で発行してもらうことが可能です。
また、財産を把握しきれていない場合、隠し財産がないかの調査は弁護士へ依頼できます。
各書類をもとにどのように協議を進めればいいのかについては、以下の記事を参考にしてください。
遺産分割協議書が必要(あると便利)になる相続手続き
作成した遺産分割協議書は、以下のような手続きで必要になります。
- 預金相続
- 不動産相続・登記変更
- 自動車の名義変更
- 有価証券の相続
- 相続税の申告
各手続きについて遺産分割協議書以外の必要書類についても紹介します。
なお、相続手続きや提出先の窓口によっては「発行後3カ月以内の書類」を提出しなければならないケースがあるため注意が必要です。
相続手続きをする窓口に必要な書類や書類の使用期限などを確認しておくとミスを手続き時の手間やミスを減らせます。
預金相続手続きに必要な書類
預金相続手続きは相続登記の必要書類に加えて、各金融機関が指定する依頼書への記入が必要です。
他の相続人も依頼人の預金相続に同意しているという証明として、相続同意書や遺産分割協議書を提出しなければなりません。
遺産分割協議書が作成できたら、提出先の銀行や金融機関に一度確認することをおすすめします。
不動産相続手続きに必要な書類一覧
不動産の相続が発生した場合の必要書類の例を確認していきましょう。
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人の住民票
- 固定資産税評価証明書
- 被相続人の住民票または戸籍の付票の除票
- 相続登記申請書
自動車の名義変更に必要な書類一覧
車の名義変更手続きをする際はまず「本当に被相続人の車か」を確認する必要があります。
名義が被相続人のものになっているか確認したあと、相続人で新しい所有者を決めて手続きするという流れです。
自動車の名義変更の必要書類は以下の通りです。
- 遺産分割協議書
- 車検証
- 車庫証明書
- 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本
- 被相続人の戸籍の全部事項証明書
- 相続人の印鑑登録証明書(発行から3カ月以内)
- 相続人の実印の準備(あるいは委任状に実印を押印したもの)
手続きは運輸支局でおこないます。
有価証券を相続に必要な書類一覧
株などの有価証券の相続手続きをするときの必要書類は以下の通りです。
- 遺産分割協議書の写し
- 被相続人が出生してから亡くなるまでの戸籍(除籍・改製原戸籍・現戸籍)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 株式名義書換請求書などの書類
株式の場合は上場・非上場によって手続きが変わるため注意が必要です。
上場株式の場合は証券会社や信託銀行などを通しておこないますが、非上場株式の場合は株式を発行している会社に手続きをお願いする流れになります。
相続税の申告に必要な書類一覧
相続税の申告の際に、税務署に提出する書類は以下の通りです。
- 遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人を特定するために必要な書類(戸籍謄本・法定相続情報一覧図) など
なお、相続税を計算する上で利用する書類は提出する必要がありません。
遺産の内容により書類が変わってくるため、遺産の種類を確認の上、弁護士や税理士などに相談しましょう。
遺産分割協議書を作成する流れ
遺産分割協議書を作成する際は、まず遺言書や相続人の確認をおこないます。
そのうえで相続人全員によって遺産分割について話し合い、決まった内容を遺産分割協議書にまとめるのが一般的な流れです。
具体的な作成の流れについて紹介します。
①遺言書の確認
相続が発生したときは、最初に遺言書の有無を確認しましょう。
基本的には、遺言書の内容に沿った相続手続きがおこなわれます。
遺言書がある場合でも相続人全員が「遺言書と異なる遺産分割をしたい」という意見で一致していれば、遺言書があってもその内容と異なる遺産分割協議をすることが可能です。
なお、意見の一致が難しいものの、遺言書の内容に不満がある場合、遺言書の効力が無効にできないか弁護士に相談してみましょう。
作成したときの方法や遺言書の内容によっては、無効にできる可能性があります。
被相続人の遺言書があるときの注意点
被相続人の遺言書がある場合、基本的に遺言内容に沿った相続手続きがおこなわれます。
ただ、遺言書の種類によっては裁判所での検認手続きが必要です。
たとえば自宅で見つかった自筆証書遺言は、検認手続きが必要です。
なお、自筆証書遺言でも法務局の遺言書保管制度を利用していれば検認は不要です。
検認の要不要は遺言書によって変わってくるため、弁護士などの専門家に確認することをおすすめします。
②相続人の範囲の確定
遺言書の確認できたら、相続人の範囲を確定しましょう。
遺産分割協議は相続人全員でおこなわなければなりません。
ひとりでも抜けていると、遺産分割協議は無効になります。
折角決まった遺産分割協議を白紙に戻さなくていいように、相続人の範囲が確定できたら、相続人に連絡を取っておきましょう。
連絡先のわからない相続人がいれば親族に確認するなど、連絡先を確保するために周囲に聞いておく必要があります。
親族などに聞いても連絡先が一向にわからない場合、弁護士に相談して調査してもらいましょう。
③相続対象となる財産の調査
相続人を調べるとともに、相続対象になる財産も確認しましょう。
例えば、以下のような財産が相続対象になります。
- 不動産
- 預金
- 現金
- 有価証券
- 動産(貴金属や美術品など)
- 相続可能な権利(著作権など)
被相続人が大雑把な性格だと、通帳や不動産の権利書など、どこに保管してあるのかわからないケースもあります。
また、隠し財産がある可能性もあるでしょう。
財産をしっかり調査したい場合、自分で探すのではなく弁護士への依頼をおすすめします。
弁護士に依頼する際は、スムーズに相続財産調査できるように、預金や不動産などの手がかりがないか、被相続人の私物などを確認しておきましょう。
④相続人との遺産分割協議
相続人や相続財産の確認が済んだら、相続人で遺産分割協議をおこないます。
すでにお話ししたように、遺産分割協議は相続人全員でおこなわなければいけません。
遺産分割協議が無効にならないよう注意してください。
遺産分割協議という言葉から会議室のような場所での厳粛な話し合いを想像するかもしれません。
遺産分割協議はすべての相続人が一か所に集まらなくても可能です。
遺産分割協議は電話やメールでやり取りして相続人全員の合意を得るというかたちでもかまいません。
また、相続人のひとりを代表にして、その人が他の相続人に遺産分割などの事項について話し同意を得るというかたちでも差し支えないのです。
⑤遺産分割協議書の作成
遺産分割協議が終了し、まとまれば、遺産分割協議書を作成します。
話し合いがまとまらない場合には、調停手続きを申し立て、調停委員を介して協議するという方法もあり得ます。
はじめから話し合いがまとまらない可能性が高い場合は、あらかじめ弁護士に相続争いが起きそうな旨を伝え、協議に参加してもらうとよいでしょう。
協議段階から依頼をすれば、そのまま遺産分割協議書を作成してもらうことも可能です。
遺産分割協議書で必要書類をまとめる際の注意点
遺産分割協議書の必要書類をまとめる際に、以下のことに注意しましょう。
戸籍を改正している場合は改正前の戸籍も取得する
被相続人の「戸籍事項」に戸籍改正と記載されている場合、改正前の戸籍(改製原戸籍)も必要になります。
古い戸籍から新しい戸籍へ移行する際に、すべての内容が新しい戸籍に掲載されるわけではないからです。
新しい戸籍だけを参考に遺産分割協議書を作成してしまうと、実は認知していた子供がいた、などのトラブルが発生しかねません。
改製原戸籍の取得は、役場の窓口で請求できます。戸籍証明交付請求書などの作成が必用になるので、印鑑や本人証明書を持参の上、役所に相談しましょう。
また、このような改製原戸籍の取得は弁護士に依頼することも可能です。
戸籍謄本や印鑑証明書は必要枚数分取り寄せておく
手続きをすべて弁護士に依頼しない場合は、戸籍謄本や印鑑証明書は遺産分割協議書の作成のみのために準備するのではなく、相続手続きを見越して必要枚数取得しておきましょう。
相続手続きにどのくらいの枚数が必要になるのかは、弁護士に相談すると教えてもらえます。
相続人に未成年がいる場合は代理人・特別代理人の申し立てをおこなう
未成年が相続人になる場合、保護者が法定代理人として遺産分割協議に参加します。
しかし、子供と親が相続人になるケースで、子供と親の利益が相反するケースでは、保護者が子供を代理することはできません。
利益相反するケースとは、親の遺産が増えると子供が損をしたり、逆に子供の取り分が増えると親が損したりするケースです。
例えば、子供の父親が死亡し、母親と未成年の子供で相続する場合で、母親自身が勝手に財産を独占してしまうケースなどが挙げられます。
このような場合、裁判所が親の代わりに特別代理人(基本的には相続権のない叔父・叔母などの親族)を選任します。選任してもらうには、裁判所への申立てが必要です。
申し立て方法や費用については裁判所のページを参考にしてみましょう。
なお、未成年の子供と親が同時に相続放棄する場合では、利益が相反しないため、代理人の選任は不要です。
代理人の要不要が不安な場合は、弁護士に判断してもらいましょう。
遺産分割協議書の作成期限について
遺産分割協議書には、明確な作成期限は設けられていません。
ただし、被相続人が死亡してから10ヵ月以内に相続税の申告が必要なため、それまでに協議書の作成及び必要書類の提出をおこなうのが望ましいでしょう。
さいごに
遺産分割協議書を作成することで、トラブルを回避できたり手続きをスムーズにできたりします。
相続財産や相続人が少なくても相続争いは発生するため、自分のところは絶対に平気と思わず、文書として決まった内容を残しておきましょう。
遺産分割協議書の作成や財産調査、相続人の調査で不明な点がある場合、相続問題の解決が得意な弁護士へ相談することをおすすめします。
遺産分割の問題を解決したいあなたへ
遺産相続が発生したが、期限が迫っていたり、不満や納得のいかないことがあって困っていませんか?
結論からいうと、遺産相続問題をスムーズに解決したい場合は、弁護士に相談・依頼することが最も実効性が高い手段です。
弁護士に相談することで以下のようなメリットを得ることができます。
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