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預金相続手続きの流れ|必要書類や期限をわかりやすく解説

たま法律事務所
玉真聡志
監修記事
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  • 「亡くなった人の預金を相続するにはどうしたらよい?」
  • 「相続手続きのやり方を具体的に知りたい」

預貯金口座の名義人が亡くなった場合、たとえご家族であっても、口座からの入出金はできなくなります。

亡くなった方の口座からお金を引き出すためには、亡くなった方の相続手続きを通じて、必要な手続きをおこなうことが必要です。

しかし、相続で必要な手続き自体、よくわからないという方は、多いのではないでしょうか?

本記事では、預金を相続するときの手続きについて、必要な書類や期限などをわかりやすく解説します

これから相続手続きをおこなう方は、ぜひ参考にしていただければと思います。

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預金を相続する手続きをおこなえる方

預金を相続する手続きは、誰でもおこなえるわけではありません。

それでは、どのような方であれば、預金を相続する手続きをおこなえるでしょうか?

ここからは、預金を相続する手続きをおこなえる方について解説します。

遺言があれば受遺者または遺言執行者

遺言がある場合、受遺者または遺言執行者が相続手続きをおこないます

受遺者とは、遺言によって財産を受け取る方のことで、遺言で受遺者に指定されれば、法定相続人以外の方でも預金を相続できるので、相続する手続きをおこなえます。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために手続きをおこなう方を指し、破産者でない18歳以上の人ならどなたでも就任できます。

遺言に、預金を相続させる人が指定されていた場合には、その指定された受遺者、具体的にはその預金を相続する人が手続きをおこないます。

なお、遺言に、受遺者が指定された場合に加えて、遺言執行者が指定されていた場合には、受遺者ではなく遺言執行者が預金の相続手続きをおこないます。

相続人

遺言がない場合には、相続人のどなたかが、預金も含めた相続全般の手続きを担当することが多いでしょう。

そこで、後々のトラブルを防ぐためにも、相続手続きを担当する方を決める場合、相続人同士で十分に協議・確認をすることが必要です。

預金の相続手続きの流れ

預金の相続手続きは、具体的にどのような流れでおこなえばよいでしょうか?

ここからは、預金相続の手続きの流れを解説します。

まずは銀行へ連絡

預金の相続手続きは、名義人である被相続人(亡くなった方)が亡くなったことを金融機関に知らせることから始まります。

オンライン窓口や電話、対人窓口などを使って、金融機関へ、被相続人が亡くなった事実を連絡しましょう。

被相続人が亡くなった連絡をしたときから、この被相続人名義の預金口座は、一時的に凍結(ロック)されて使えなくなります

たとえば、被相続人ご名義の預金口座が、その同居していた配偶者の方がお住いの家の電気・ガス・水道料金などの公共料金、家賃引き落とし先として用いられていた場合、料金を引き落とせなくなります。

そのため、被相続人がお亡くなりになる前に、各種料金の引き落とし口座を早めに変更しておくとよいでしょう。

被相続人が亡くなった連絡をした後、金融機関から、相続手続きに必要な書類やその方法を案内されることが多いです。

この案内に従って、必要な書類を準備しましょう。

必要書類を揃えて提出

相続手続きに必要な書類が揃ったら、金融機関へ、郵送または窓口提出をおこないましょう。

提出した書類は金融機関でチェックされ、不備や不足があった場合、金融機関から連絡がありますので、不備や不足とされた書類を追完します。

銀行より払い戻される

提出された書類に不備・不足がなければ、被相続人名義の預金口座から預金を払い戻すことが可能になります。

預金の相続手続きに必要な書類

預金の相続手続きに必要な書類は、遺言の有無や相続のパターンによって異なるので注意が必要です。

ここからは、手続きに必要な書類をパターン別に紹介します。

遺言による相続の場合

遺言がある場合、一般的には、以下の書類が必要です。

  • 遺言書
  • 公正証書遺言以外の遺言の場合(例.自筆証書遺言など)、家庭裁判所の検認調書または検認済証明書
  • 亡くなった方である被相続人の除籍謄本または死亡届の記載事項証明書

ただし、遺言の内容(例.遺言執行者が選任されている場合)や金融機関によっては、上記以外の書類も提出を求められる場合があります

遺産分割協議による相続の場合

相続人同士で遺産分割協議をする場合は、一般的に以下の書類が必要です。

  • 相続人全員の署名・押印がなされた遺産分割協議書
  • 亡くなった方である被相続人の生まれてからお亡くなりになるまでの戸籍謄本・改正原戸籍謄本・除籍謄本
  • 相続人が亡くなっていないことを証明するための、相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書には、相続人全員の合意があったことを証明するため、相続人全員の署名と押印が必要です。

また、被相続人が亡くなったこと、相続人が何人いるかということを証明できる書類として、ご本人が生まれてからお亡くなりになるまでの全ての戸籍謄本・改製原戸籍謄本・除籍謄本の全てが必要です。

被相続人が養子縁組、結婚、離婚などで転籍を繰り返していた場合、戸籍謄本類を収集することに時間がかかります

法定相続分どおりに遺産分割する場合

法定相続分のとおりに遺産分割をする場合は、一般的に以下の書類が必要です。

  • 亡くなった方である被相続人が生まれてからお亡くなりになるまでの戸籍謄本、改製原戸籍謄本、除籍謄本
  • 相続人が亡くなっていないことを証明するための、相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書

遺産分割協議書がある場合と同様、被相続人が、生まれてからお亡くなりになるまでの全ての戸籍謄本類が必要です。

家庭裁判所で調停や審判手続きをした場合

家庭裁判所による調停調書や審判書がある場合は、一般的に以下の書類が必要です。

なお、審判書謄本には、家庭裁判所が発行する確定証明書も併せて提出していただきたいと思います。

  • 家庭裁判所の調停調書謄本または審判書謄本、(審判の場合には)確定証明書
  • 預金を相続する方の印鑑証明書

預金を相続する手続きに期限はあるか?

預金を相続する手続きに期限があるのか、気になる方は多いでしょう。

ここからは、預金を相続する手続きの期限について解説します。

期限はないが早めにおこなうのがおすすめ

預金を相続する手続きに期限はありませんが、早めにおこなったほうがよいでしょう。

預金を相続する手続きがまったくおこなわれない状態が続くと、亡くなった方の名義の預金口座は、この口座のキャッシュカードをお持ちで暗証番号も知っている方であれば誰でも預金を引き出せる状態のまま、放置されることになります

この預金口座から勝手に預金を引き出されることを防ぐため、できるだけ早く手続きをおこないましょう。

いつまでも放置することにはリスクがある

預金の相続手続きを一切しないまま放置した場合、不正に利用されること以外に、さまざまなリスクがあります。

相続関係が複雑になる可能性がある

遺言がない場合、預金の相続手続きは相続人全員でおこなうため、相続人全員の戸籍謄本と実印、印鑑登録証明書が必要です。

そのため、相続人の死亡などによって相続人が新たに変わったとき、その変わった相続人の戸籍謄本と実印、印鑑登録証明書を用意することが必要です。

たとえば、相続手続きをする前に相続人のAさんが亡くなった場合、Aさんの相続分は、Aさんに配偶者やお子様がいらっしゃる場合にはその配偶者とお子様、Aさんにお子様がいらっしゃらない場合には配偶者とAさんの親が相続することになります。

そうすると、相続人がAさんから別の方に変わるため、変わった相続人の戸籍謄本と実印、印鑑登録証明書を追加で集めなければいけません。

また、変わった後の新たな相続人が遠方に住んでいる場合、戸籍謄本と実印、印鑑登録証明書の取り寄せに時間と労力がかかり、より一層、手続きが煩雑になる恐れがあります。

面倒だからと後回しにしていると、余計に手続きが大変になることがあり得ます。

そのため、早めの対応が肝心です。

休眠口座になる可能性がある

休眠口座とは、10年以上預金の入出金で使用されないまま、金融機関内で放置されている預貯金口座のことです。

休眠口座になると、原則として入出金をできなくなり、利用の再開に時間がかかるため、注意しましょう。

また、最近では、休眠口座の維持に手数料を求める金融機関もあります。

休眠口座を保有するだけで手数料などのコストがかかることもあるので、早めの手続きを心がけましょう。

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預金相続手続きについて知っておきたい注意点

預金の相続手続きをおこなううえで、どのようなことに気をつければよいのでしょうか?

ここからは、預金相続手続きをおこなう際の注意点について解説します。

相続放棄や限定承認をする場合には、引出しや解約などをしてはいけない!

相続人が亡くなった被相続人の預金を引き出すなど、相続人が遺産の一部でも処分した場合、相続人は、遺産について相続放棄や限定承認をおこなえなくなります

相続放棄とは、相続人が、被相続人の財産を一切相続しないことを指します。

また、限定承認とは、被相続人に返済中のローンなど借入れ(マイナスの財産)があった場合、相続したプラスの財産の範囲で、借入れ(マイナスの財産)を相続することです。

被相続人の口座から預金を引き出すと、遺産を一部処分したこととなるので、プラスの財産やマイナスの財産の全てを相続する「単純承認」をしたものとみなされます。

相続によって思わぬ負債を抱えてしまうことを防ぐため、被相続人にマイナスの財産(借入れ)があり、プラスの財産よりも借金が多額であることが見込まれる場合には、被相続人の預金の引出しは避けたほうが無難です。

この場合には、弁護士などの専門家に相談するとよいでしょう。

遺産分割協議前の引き出しはできるだけ避ける

遺産分割協議の前に預金を引き出した場合には、相続人の間でトラブルになる可能性が高いです。

被相続人の預金は、遺言や遺産分割協議がない限り、原則として相続人の共有財産になります。

ほかの相続人に無断で預金を引き出すことは避けてください

葬儀代やお墓代を支払うために、被相続人名義の預金を引き出すことが必要な場合は、次に紹介する預金の仮払い制度を利用することもおすすめです。

150万円までなら口座凍結後も引き出せる

預金の仮払い制度を利用すれば、1つの金融機関につき150万円まで引き出せます。

仮払い制度は、遺産分割協議が成立する前に預金を引き出せる制度のことです。

2019年7月1日から、ほかの相続人の同意がなくても利用できるようになりました。

引き出せる金額は「被相続人が亡くなったときの預金残高×1/3×預金を引き出す人の法定相続分」で、1つの金融機関につき150万円が上限です。

口座がある金融機関の窓口で手続きできるので、相続人の本人確認書類と印鑑証明書、被相続人の除籍謄本類と相続人の戸籍謄本などを準備のうえ申請してください。

預金相続についてのFAQ

預金相続手続きについて、まだ不安がのこる方もおられると思います。

ここからは、預金相続に関連してよくある質問をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

被相続人の預金口座に少額しか残っていませんでした。放置してもよいでしょうか?

預金口座の残高が少額でも、手続きをおこなったほうがよいでしょう。

金融機関が預貯金口座を管理することにはコストがかかります。

高齢化社会と呼ばれる昨今、預貯金残高が少ないまま放置され続ける休眠口座が増えることに対して、金融機関側でコスト対策、具体的には手数料の負担を求めてくる可能性が見込まれます。

そのため、被相続人名義の預貯金残高が少なくても、解約するなど早めの手続きを講じることをおすすめします。

被相続人の遺産は預金しかありませんでした。相続税はかかりますか?

相続税の納付については、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除が設けられています。

具体的には、相続人が1人の場合には遺産総額が3,600万円まで、相続人が2人の場合には遺産総額が4,200万円までであれば、相続税を納める必要がありません(養子縁組した相続人の場合には、控除対象となる相続人の計算が異なります。)。

ただし、遺産総額が基礎控除額を超える場合でも、「贈与税額控除」「配偶者に対する相続税額の軽減」などを活用することで、相続に関する税が発生しない場合もあります。

基礎控除額を超えた場合でも、相続に関する税金の発生を回避できる方法があることは覚えておきましょう。

預金の相続手続きをしてから実際に振り込まれるまでどれくらいかかるでしょうか?

相続人が相続した被相続人名義の預金は、必要書類を提出した後で、金融機関によっては、最短で1週間ほどで振り込まれる場合もあります

ただし、相続手続きで最も労力・時間がかかるのは、相続手続きに必要な書類を準備する段階です。

相続手続きに必要な書類とは、被相続人の生まれてからお亡くなりになるまでの全ての戸籍謄本・改正原戸籍謄本・除籍謄本、相続人全員の戸籍謄本を集める必要があります。

遺産分割協議をおこなった場合にはその協議書に相続人各自の署名捺印をおこなう必要があります。

このように、相続手続きに必要な書類の収集には、かなりの労力と時間がかかります。

まとめ|預金の相続手続きはできるだけ早くおこなおう

預金の相続手続きに期限はありませんが、放置するとさまざまなリスクが起こりうるので注意が必要です。

時間や労力がかかるため、後回しにしてしまうこともありますが、時間が経つことで、預貯金口座の通帳を紛失したりするなど、書類を紛失・散逸するリスクは高まるので、預金の相続手続きにより一層時間と労力がかかる場合もあります。

そこで、スムーズに相続手続きをおこなえるよう、早めの手続きを心がけましょう

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この記事の監修者
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玉真聡志 (千葉県弁護士会)
中央大学大学院法務研究科卒業。埼玉県内の法律事務所に入所後、千葉県内の法律事務所へ移籍。たま法律事務所を平成30年9月に松戸駅近くで開所。離婚に限らず相続問題のセミナー講師も務める。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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