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相続放棄の確認方法と注意点|相続人や利害関係者が知っておくべきこと

山村忠夫法律事務所
山村 真登
監修記事
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親族と疎遠で、相続放棄の有無を直接聞けないという方も多いのではないでしょうか。

相続の順位が自分より高い親族が相続放棄したかがわからないと、自分に相続権があるかも判断できません。

相続放棄の有無を知りたい場合、相続人であれば家庭裁判所に照会をかけることも可能です。

本記事では、相続放棄の照会手続きとはどんなものかといった概要や具体的な手続き方法、自分が相続人であることを知ったときの対処方法について解説しています。

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目次

相続放棄の有無を調べる照会手続とは?

相続放棄とは、亡くなった方の遺産(資産と負債)を一切受け取らないことです。

相続人には以下のような順位があり、より上位の相続人がすでに亡くなっていたり相続放棄をしたりしていると、次の順位に相続権がうつります。

  • 配偶者は常に相続人
  • 第1順位:被相続人の子ども(あるいは孫などの代襲相続人)
  • 第2順位:両親・祖父母などの直系尊属
  • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹(あるいは甥姪などの代襲相続人)

相続放棄をしたことは、ほかの相続人・親族に伝える必要がありません

親族と疎遠である場合は、上位の相続人が相続放棄をして自分が相続人になったかすぐにわからないこともあるでしょう。

そのような場合には、裁判所に相続放棄の有無に関して照会手続きをかけることができるのです。

相続放棄の照会手続をおこなうべき主なケース

以下のようなケースの場合、相続放棄の照会手続きをおこなうことを検討すべきです。

相続放棄の照会手続をおこなうべきケース
  • 債権者からの通知で自分自身が相続人となったことを知った
  • 上位の相続人が相続放棄をしている可能性がある
  • 被相続人の親が亡くなっており、被相続人の子どもが相続放棄をしていれば、被相続人の兄弟である自分が相続人となる可能性がある

もちろん、より上位の相続人がきちんと相続放棄したことを知らせてくれていれば照会の必要はありません

しかし、そうでない場合は照会手続きによって相続放棄の有無を確認する必要が生じます。

相続放棄の有無を調べる確認方法・照会方法の基礎知識

相続放棄の有無を調べる際の照会方法はどのようになっているのでしょうか。

以下、相続放棄の照会方法の基礎知識についてみていきましょう。

対象者|相続人や利害関係者

相続放棄の有無の照会を申請できるのは、以下の条件に当てはまる方です。

相続放棄有無の照会対象者
  • 相続人(相続放棄などの手続きをしたか否かに関わらず可能)
  • 被相続人と利害関係がある方(債権者など)

照会を受け付ける場所|被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所

相続放棄の有無を照会できる場所は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になります。

なお、最後の住所地は、被相続人の住民票の除票または戸籍の附票によって明らかにされるのが通常です。

費用|無料(弁護士に委任する場合は弁護士費用が必要)

照会申請には手数料のような費用はかかりませんが、弁護士に委任する場合は、別途、弁護士費用が発生します。

この費用は、弁護士との契約によって決まりますので、事前に確認しておくのがおすすめです。

照会申請は、個人でおこなうことも可能ですが、専門的な知識や手続きが必要になる場合もありますので、必要に応じて弁護士のサポートを受けるようにしましょう

必要書類|照会申請書、被相続人等目録、戸籍謄本など

誰が手続きする場合でも、照会申請書と被相続人等目録の提出が必要です。

被相続人等目録には被相続人に関する情報のほか、照会対象者の氏名を記載します。

相続人が照会申請をおこなう場合、照会申請書・被相続人等目録に加え一般には以下の添付書類が必要です。

なお、家庭裁判所ごとに運用が異なる場合があり、その他の書類を提出するよう指示がある場合もありますのでご留意下さい。

照会の必要書類
  • 被相続人の住民票の除票(本籍地が表示されているもの)
  • 照会者と被相続人の戸籍謄本(照会者と被相続人との関係がわかる戸籍謄本)
  • 照会者の住民票(本籍地が表示されているもの)
  • 相続関係図
  • 委任状(代理人に委任する場合のみ)
  • 返信用封筒と返信用切手(郵送での返送を希望する場合のみ)
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相続放棄の確認に必要な照会申請書と被相続人等目録の書き方

相続放棄の照会をおこなう場合、照会者は相続人であるかどうか、また利害関係人であるかどうかに関係なく、家庭裁判所に以下2つの書類を提出しなければなりません。

相続放棄の確認に必要な書類
  • 照会申請書
  • 被相続人等目録

照会申請書は照会者の氏名や住所、照会を求める理由などを記載する書類です。

被相続人等目録は、被相続人の情報や照会者の氏名などを記載する書類で、照会はこの書類に記載された氏名に基づいて実行されます。

照会申請書|申請者の個人情報や照会理由などを記載する

照会申請書

引用元:裁判所「相続放棄・限定承認の有無の照会(相続人からの申請)

相続放棄の申述有無を照会するための申請書は、提出先の各家庭裁判所によって、書式が少し異なります。

そのため、照会先の裁判所のホームページから申請書をダウンロードするようにしましょう。

申請書には、照会手続きをした日付・照会者の氏名・住所・電話番号・添付書類ごとの通数・照会を求める理由を記載します。

被相続人等目録|被相続人や照会対象者の氏名などを記載する

被相続人等目録

引用元:裁判所「相続放棄・限定承認の有無の照会(相続人からの申請)

被相続人等目録は、照会対象者についてまとめる書類です。

相続放棄の照会は、被相続人等目録に記載された氏名に基づいておこなわれます。

被相続人等目録には、被相続人の本籍・最後の住所地・氏名・死亡日のほか、照会対象者の氏名を正確に記載してください。

ほかの相続人が相続放棄をしていた場合の3つの対応方法

ほかの相続人が相続放棄をしていた場合、単純承認や限定承認によって対応することも可能です。

以下、対応方法についてみていきましょう。

単純承認|被相続人が残した相続財産を全て受け継ぐ

単純承認とは、相続人が被相続人の財産をそのまま受け継ぐことです。

相続人は、単純承認するという意思を表明したり、特定の手続きをおこなったりする必要はありません。

自分のために相続が開始したことを知った日から(先順位の相続人がいる事案では自分が相続人となったことを知った日から)3ヵ月以内に後述する限定承認や相続放棄の申請をしないと、単純承認したことになります

単純承認した場合、相続人は被相続人の財産を全て引き継ぎます。

相続財産には、不動産や預金などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産(債務)も含まれます

プラスの財産がマイナスの財産よりも多いことが確かなら、単純承認を選んで問題ありません。

しかし、被相続人の借金を相続人が返済するのを避けたい場合は、被相続人が死亡したことを知った日から3ヵ月以内に限定承認や相続放棄の手続きを検討します。

単純承認についてより詳しい内容を知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

限定承認|相続した財産の範囲内で債務の負担も受け継ぐ

限定承認とは、相続人がプラスの財産の範囲内で、債務の負担も引き継ぐことです。

限定承認をおこなうと、預金や不動産などプラスの財産が負債を上回る場合は、その差額が手元に残ります。

一方で、プラスの財産が負債よりも少ない場合は、その差額まで支払う義務はありません。

このように、限定承認は相続人の責任を最小限に抑えることができるため、相続財産の内容が不明確な場合や、相続財産に多額の債務が含まれる場合に有効な方法です。

なお、相続放棄は自分だけの意思で手続きができるのに対し、限定承認は相続人全員の合意が得られないと手続きができません

また、相続債権者に対する手続きが必要となるので費用も高額になる傾向があります。

その分、相続放棄よりハードルが高い手続きと言えます。

限定承認についてより詳しい内容を知りたい場合は、以下の記事が参考になります。

相続放棄|被相続人が残した相続財産を一切受け継がない

相続放棄とは、被相続人の財産を一切相続しないことを法的に宣言することです。

相続放棄をした場合、預金や不動産などプラスの財産のほか、借金などマイナスの財産も放棄できます。

相続放棄をするには、家庭裁判所に申し立てをおこない、裁判所がそれを受理する必要があります。

相続放棄の効果は、申し立てが家庭裁判所に受理された旨の審判がなされることで発生します。

相続放棄をした場合、初めから相続人とならなかったものと扱われます。

つまり、相続人は被相続人の財産に関する権利と義務を全て失います

したがって、相続放棄をした後に「やっぱり遺産をもらいたい」と思っても原則として認められません。

なお、相続放棄の申し立ては、自分のために相続が開始したことを知った日から3ヵ月以内におこなわなければなりません

相続放棄についてより詳しい内容については、以下の記事が参考になります。

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相続放棄の有無を確認する際の注意点

相続放棄の有無を確認する場合、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。

以下、注意点についてみていきましょう。

古すぎる相続放棄の記録は廃棄されている可能性がある

古い相続放棄の記録は廃棄され、照会できない可能性があるので注意してください。

照会が可能な期間については、照会先の家庭裁判所によって異なりますので被相続人が亡くなってから長期間が経過している場合は管轄裁判所に問い合わせましょう。

新字・旧字を正しく記載しないと照会できないことがある

裁判所は、被相続人等目録に記載された氏名と裁判所の事件簿などを照合して、相続放棄の有無を回答します。

たとえば被相続人等目録の氏名が新字で書かれていて、事件簿などの資料に旧字体で氏名が書かれていた場合、別人として扱われる可能性があります。

このような違いが生じると、本当は相続放棄をしていたのに、相続放棄の記録がないと回答されてしまう可能性があります。

被相続人等目録に記載する氏名については、この点にも注意して記述してください。

相続放棄の確認などに関するよくある質問

相続放棄の確認については、事前に把握しておいたほうがよい項目がいくつかあります。

本項では、相続放棄の確認に関してよくある以下の質問について解説します。

相続放棄の確認に関してよくある質問
  • どうすれば自分が相続放棄に成功したか確認できるか?
  • 相続放棄をしたら後順位の人にその事実は伝わるのか?

Q.どうすれば自分が相続放棄に成功したか確認できるか?

家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届けば、相続放棄の手続きに成功したことを確認できます。

相続放棄申述受理通知書とは、家庭裁判所で相続放棄の手続きが完了したことを通知する書類です。

なお法務局で相続登記をする際など第三者に相続放棄したことを証明する際には、「相続放棄申述受理証明書」の提示を求められることがあります。

相続放棄申述受理証明書は、家庭裁判所で発行してもらうことが可能です。

Q.相続放棄をしたら後順位の人にその事実は伝わるのか?

先順位の相続人が相続放棄をしたとしても、それを後順位の相続人に伝える義務は法律で定められていません

実際、親族関係が希薄な場合には、先順位の相続人から連絡が来ることは期待できません。

このような状況では、後順位の相続人は自分が相続人となったのか、自分が相続放棄をすべきかどうかを判断することができないでしょう。

そこで、後順位の相続人は、先順位の相続人の相続放棄の有無を確認するために、照会をおこなうことができるようになっています。

さいごに|相続放棄に関する悩みは弁護士に相談しよう

相続放棄の有無については、相続人であれば家庭裁判所で照会手続きをおこなうことができます

ほかの相続人が相続放棄をしている可能性などがあり、その相続人と疎遠で直接聞けない場合は、照会手続きを検討しましょう。

仮に被相続人に負債があり、自分に相続権がまわってきた場合はその負債も相続する必要があります。

プラスの財産より負債の方が多いことが疑われる場合、相続放棄や限定承認の手続きを検討します。

実際にどんな手続きをするべきか分からない場合、専門家である弁護士に相談してアドバイスをもらうのがおすすめです。

債権者に相続放棄を行なったことも伝達してくれる弁護士もいます。

トラブルが生じた際は、相手と交渉し適切な解決策を提案してくれます。

相続放棄について不安な点がある場合は、なるべく早く弁護士へ相談しましょう

より早い段階で相談することで、スムーズに相続の問題を解決できます。

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この記事の監修者
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山村 真登 (京都弁護士会)
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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