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相続人全員が相続放棄をしたらどうなる?財産や借金の行方と管理義務について解説

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相続人全員が相続放棄をした場合、被相続人の遺産はどうなるのでしょうか?

相続放棄後の遺産の行方や注意点などがわかれば、相続放棄をすべきかどうか判断しやすいでしょう。

本記事では、相続人全員が相続放棄をした場合の財産の行方、必要な手続き、注意点などを解説します。

相続放棄を検討している方はぜひ参考にしてください。

相続放棄を検討しているあなたへ

相続放棄を検討してるけど、この判断って正解なのかな...と悩んでいませんか?

結論からいうと、遺産内容や保存義務などについて正確に把握したうえで判断をすることが大切です。

 

判断に迷う場合は、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします

弁護士に相談・依頼すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • 相続放棄をすべきか、法的にアドバイスをもらえる
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相続人全員が相続放棄したら財産や借金はどうなる?

相続人全員が相続放棄した場合、相続財産は相続財産清算人によって清算されます

特別縁故者がいる場合は、清算後に残った相続財産の全部または一部が特別縁故者に分与されることがあります。

最終的に残った相続財産は、国庫に帰属します。

まずは、全員が相続放棄した場合の財産の行方を、プラスの財産・マイナスの財産に分けて解説します。

プラスの財産(預貯金・不動産など)の行方

相続人全員が相続放棄した場合、預貯金や不動産などのプラスの財産がどうなるのか確認しましょう。

相続財産清算人によって清算され、最終的に国のものとなる

相続財産清算人とは、被相続人に借金があった場合に、債権者に対して返済するなどして、相続財産を清算する人のことです。

被相続人の債権者や特別縁故者、特定の財産の遺贈を受けた人などが選任を申し立て、弁護士や司法書士などが選ばれるのが一般的です。

相続財産清算人が借金を清算したあとに残ったプラスの財産は、最終的に国庫に帰属することになります。

ただし、被相続人に特別縁故者がいた場合は、その人に相続財産の全部または一部が分与されることがあります。

特別縁故者とは、被相続人と密接なかかわりあいがあった人のことで、内縁の配偶者や献身的な世話をした隣人などが該当することがあります。

相続財産清算人に引き渡すまで、相続放棄後も相続財産の保存義務が残る

相続放棄をしたからといって、何の義務も負わないわけではありません。

場合によっては、相続財産清算人の選任の申し立てや相続財産の保存などをおこなう必要があります。

保存義務の具体的な内容については後述します。

マイナスの財産(借金)の行方

相続人全員が相続放棄をした場合、ローンや借入金などのマイナスの財産がどうなるのかについて解説します。

相続放棄した人は、原則として返済の義務がなくなる

被相続人に借金があった場合、相続人は債務を相続するため、借金の返済義務を負います。

しかし、相続放棄をした人は財産を一切相続しないため、借金を返済する必要がありません。

相続放棄したことを証明するためには、家庭裁判所で「相続放棄申述受理証明書」を取得する必要があります。

相続放棄申述受理証明書がないと、債権者から支払いを求められたときに、相続放棄したことを証明できない場合があるので注意しましょう。

相続人が保証人・連帯保証人となっていた場合は返済義務が残る

相続人が被相続人の保証人・連帯保証人である場合、借金の返済義務はなくなりません

保証人・連帯保証人が負う保証債務は相続によって引き継ぐものではないので、相続放棄をしても返済義務から逃れることはできません。

相続財産清算人が選任された場合、プラスの財産から返済に充てられる

相続財産清算人が選任された場合、相続財産清算人は、プラスの財産を借金の返済に充てます。

不動産や株式などを売却するなどして現金化し、可能な限り借金を清算します。

相続人全員が相続放棄したあとの相続財産の保存義務について

相続人全員が相続放棄をしても、相続財産清算人に相続財産を引き渡すまでは財産の保存義務があります。

ここでは、具体的にどのような義務を負うのかを解説します。

「現に占有している」者に限って、相続放棄後にも保存義務が残る

現行民法では、相続放棄をしたときにその財産を事実上支配していた人に保存義務があるとされています。

従来は、相続放棄後に負う義務について必ずしも明確に定められていませんでした。

しかし、2023年4月に施行された改正民法では、相続放棄時に財産を「現に占有している」人が保存義務を負うことが明記されています。

第九百四十条 相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

相続財産の保存義務とは?

相続財産の保存義務の内容は、財産の現状を滅失させ、または損傷する行為をしてはならない義務であると考えられています。

一方、財産の現状を維持するために必要な行為をする義務までは負わないと考えられています。

判断に迷うような場合は、司法書士や弁護士に相談しましょう。

保存義務を怠った場合のリスクとは?

保存義務を怠った場合、損害賠償を請求される可能性があるので注意が必要です。

たとえば、相続財産である建物を取り壊すといった行為は保存義務違反に該当するでしょう。

相続放棄後に保存義務から免れるためには、相続財産清算人の選任を申し立てる

相続放棄によって相続人が存在しなくなる場合に、保存義務から逃れたいなら、相続財産清算人の選任を申し立てる方法が考えられます。

相続財産清算人が選任されたあと、相続財産を引き渡すことで、保存義務がなくなります

これにより、相続財産を現に占有している人は保存義務を免れることが可能です。

相続財産清算人の選任を申し立てる方法

相続財産清算人の選任の申し立ては、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所におこないます。

申し立てができるのは、たとえば以下に該当する人です。

  • 被相続人の債権者
  • 特別縁故者として相続財産の分与を申し立てる人
  • 被相続人から特定遺贈を受けた人
  • 相続放棄をした人

手続きには以下のような書類が必要となります。

なお、審理に必要な場合は、追加の書類が必要となることもあります。

  • 申立書
  • 被相続人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本
  • 被相続人の両親が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本
  • 被相続人の子どもやその代襲者で死亡している人がいる場合、その人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属(被相続人から見た父母・祖父母など)が死亡したことがわかる戸籍謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹で死亡している人がいる場合、その人が生まれてから亡くなるまでの全ての戸籍謄本
  • 代襲者としての甥・姪で死亡している人がいる場合、その人が死亡したことがわかる戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 財産を証明する資料(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳・残高証明書、有価証券の残高がわかる書類など)
  • 利害関係人として申し立てる場合、利害関係を証明する資料(戸籍謄本など)
  • 相続財産清算人の候補者を立てる場合、候補者の住民票または戸籍附票

また、手続きには以下の費用がかかります。

  • 収入印紙代:800円
  • 郵便切手代:数千円程度
  • 官報公告料:5,057円
  • 予納金:20万円〜100万円程度(裁判所が額を決める)

予納金は、相続財産清算人に対する報酬や、財産を清算するための経費として使われます。

ケースによって必要な書類や費用が異なるので、手続きをスムーズに進めるためにも弁護士に相談すると安心でしょう。

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相続放棄をするときの大まかな流れ

ここからは、相続放棄の一般的な流れや必要書類などを解説します。

①相続財産を慎重に調査し、相続放棄をするかどうか決める

まずは、相続財産の内容をしっかりと調査しましょう。

相続放棄すると、マイナスの財産を相続せずに済みますが、プラスの財産である預貯金や不動産も相続できなくなってしまいます。

マイナスの財産よりもプラスの財産のほうが多ければその範囲内で返済できることがあるため、安易に相続放棄するのは避けましょう。

相続財産の内容をきちんと把握してから、相続放棄するかどうかを慎重に検討してください。

自分たちで調査が難しい場合は弁護士に任せる方法もある

相続財産を把握するのが難しい場合は、弁護士に調査を依頼するとよいでしょう。

相続放棄ができるのは、原則として、自己が相続人となって相続が開始したことを知った日から3ヵ月以内です(熟慮期間)。

財産調査に時間がかかると、熟慮期間が経過してしまうおそれがあります。

また、相続財産に不動産が含まれる場合、不動産の評価額の調査が必要となることがありますが、一般の方が適正な評価額を算定するのは簡単ではありません。

相続人だけで財産を調査するのが難しい場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。

②関係者に相続放棄をすることを伝える

財産調査が終わり、相続放棄すると決めた場合は、関係者にそのことを伝えておくとよいでしょう。

相続放棄すると、次の順位の相続人に相続権が移るなど、ほか人に影響が生じる可能性があるからです。

➂必要書類を用意して、家庭裁判所に相続放棄の申述をする

相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に対しておこないます

申述には、以下のような書類・費用が必要です。

なお、相続放棄する人の立場により必要書類が変わってくるため、裁判所のホームページで確認するなどしましょう。

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 相続放棄する人の戸籍謄本
  • 被相続人が死亡したことがわかる戸籍謄本
  • 収入印紙代(申述人1人につき800円分)
  • 郵便切手代(500円程度 ※家庭裁判所による)

熟慮期間を過ぎると相続放棄できないので、必ず期限内に手続きしましょう。

④家庭裁判所から照会書兼回答書が届く

相続放棄の申述をすると、1~2週間程度で、家庭裁判所から「照会書兼回答書」が届くのが一般的です。

照会書兼回答書には、家庭裁判所からの質問事項が記載されているので、回答を記入し提出しましょう。

⑤家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届く

相続放棄の申述が受理されると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。

相続放棄申述受理通知書は、相続放棄の手続きが完了したことを示す書類です。

紛失しても再発行できないので、大切に保管しましょう

なお、相続放棄申述受理証明書が必要な場合は、別途、家庭裁判所に申請する必要があります。

申請方法は相続放棄申述受理通知書に記載されていることがあります。

相続人全員で相続放棄をするときの注意点

最後に、相続人全員で相続放棄する際に注意すべきポイントを2つ紹介します。

相続放棄の申述が受理されると撤回できない

相続放棄の申述が受理されると、撤回することはできません

「相続放棄したあとにプラスの財産が見つかったので相続したい」と思っても、相続権が復活することはありません。

そのため、相続財産をしっかりと調査してから、相続放棄するかどうかを検討することが重要です。

ただし、脅されたり、騙されたりして相続放棄してしまったような場合には、取消しできる可能性があります。

自身のケースで相続放棄を取り消せるのかわからない場合は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内におこなう必要がある

相続放棄をする場合、原則として、自己が相続人となって相続が開始したことを知った日から3ヵ月以内に手続きしなければなりません。

期限をすぎると相続放棄できず、借金も相続しなければならなくなるため注意しましょう。

ただし、財産調査が完了せず相続放棄するか判断できないといった場合には、期限延長の申し立てが可能です。

期限を延長したい場合は、熟慮期間内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。

さいごに | 相続手続きで不安があれば弁護士に相談を!

相続人全員が相続放棄した場合、被相続人の財産は相続財産清算人によって清算され、最終的に国庫に帰属します。

ただし、相続財産清算人が選任されるまでは、相続人が財産を保存する必要があります。

財産の保存義務や相続財産清算人の選任についてわからないことがある方は、弁護士に相談してみましょう。

相続に詳しい弁護士に相談・依頼すれば、そもそも相続放棄をすべきか、相続放棄をする場合に何をすればよいか、などについてのアドバイスを受けられます。

相続をスムーズに進めるためにも、ぜひ一度相談してみてください。

相続放棄を検討しているあなたへ

相続放棄を検討してるけど、この判断って正解なのかな...と悩んでいませんか?

結論からいうと、遺産内容や保存義務などについて正確に把握したうえで判断をすることが大切です。

 

判断に迷う場合は、弁護士に相談・依頼するのをおすすめします

弁護士に相談・依頼すると以下のようなメリットを得ることができます。

  • 相続放棄をすべきか、法的にアドバイスをもらえる
  • 相続財産の計算方法を教えてもらえる
  • 依頼すると、ほかの相続人とのトラブルを最大限回避できる
  • 依頼すると、面倒な書類作成や手続きを一任できる

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この記事の監修者
日暮里中央法律会計事務所
三上 貴規 (第一東京弁護士会)
早稲田大学法学部を卒業後、早稲田大学大学院法務研究科へ上位入学。第一東京弁護士会 所属。現在は日暮里中央法律会計事務所の代表弁護士を務める。
(※本コラムにおける、法理論に関する部分のみを監修)
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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