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相続放棄で相続人の順位はどうなる?範囲はどこまで続く?わかりやすく解説

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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相続放棄とは、相続開始後に相続の効果が生ずることを拒否するものです(民法938条)。

相続放棄があった場合、相続の優先順位はどのように変動するのでしょうか

本記事では、相続人が相続放棄をした場合の相続順位や順番をわかりやすく解説します。

相続放棄を検討している方へ

相続放棄をすると、その相続人はもともといなかったものとみなし、次順位の相続人に相続が引き継がれます

しかし、相続放棄したことを次の相続人に伝えないとトラブルの原因になったり、仮に相続人全員が相続放棄をした場合、遺産の管理責任を追及される可能性もあります。

スムーズで確実な相続放棄を望むなら、弁護士に事前に相談するのがよいでしょう。

弁護士に相談・依頼することで以下のようなメリットを得ることができます。

  • 相続放棄がベストな判断かがわかる
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基本的な相続順位(法定相続分)のおさらい

基本的な相続順位のおさらい

相続においては、亡くなった方を被相続人、亡くなった方の財産を承継する方を相続人といいます。

親族のなかで誰が相続人になるかは、民法の定める優先順位によって決まります。

第1順位の者がいる場合には、第1順位の者が相続します。

第1順位の者がいない、または全員相続放棄をした場合には、第2順位の者が相続します。

同様に、第2順位の者がいない、または全員相続放棄をした場合には、第3順位の者が相続します(民法887条889条)。

配偶者は常に相続人になる

配偶者は、ほかにどの順位の者がいても、常に相続人となります(民法890条)。

配偶者の法定相続分は、ほかの相続人が第何順位の相続人かによって異なります。

  • 配偶者と第1順位の者が相続人の場合
    配偶者は相続財産の半分を相続します(民法900条1号)
  • 配偶者と第2順位の者が相続人の場合
    配偶者は相続財産の3分の2を相続します(民法900条2号)
  • 配偶者と第3順位の者が相続人の場合
    配偶者は相続財産の4分の3を相続します(民法900条3号)
  • 配偶者以外に相続人がいない、または相続放棄をした場合
    配偶者が全て相続します

第1順位|被相続人の子(直系卑属)

相続人の第1順位となるのは、被相続人の子です(民法887条1項)。

子が全員死亡するなどしていて相続人とならない場合には、孫(直系卑属)が相続人になります(民法887条2項)。

  • 被相続人の配偶者と子が相続人の場合
    子は相続財産の半分を相続します(民法900条1号)
  • 子が複数いる場合
    半分になった相続財産を、さらに子の人数で均等に分割することになります
  • 配偶者がいない場合
    子が全ての財産を相続します

第2順位|被相続人の父母・祖父母(直系尊属)

相続人の第2順位となるのは、被相続人の被相続人の父母・祖父母といった直系尊属です(民法889条1項1号)。

複数いる直系尊属のなかで、より親等が近い者がいる場合には、近い者が相続人となります。

父と母、祖父と祖母など、親等が同じ場合には両方とも相続人となります。

  • 配偶者と直系尊属の者が相続人の場合
    直系尊属の者は相続財産の3分の1を相続します
  • 直系尊属の相続人が複数いる場合
    3分の1になった相続財産を、さらに直系尊属の相続人の人数で均等に分割することになります
  • 配偶者と子がいない場合
    直系尊属の者が全ての財産を相続します

第3順位|被相続人の兄弟姉妹

相続人の第3順位となるのは、被相続人の兄弟姉妹です(民法889条1項2号)。

兄弟姉妹が全員死亡するなどして相続人とならない場合には、兄弟姉妹の子である姪や甥が相続人となります(民法889条2項)。

  • 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
    兄弟姉妹は相続財産の4分の1を相続します
  • 兄弟姉妹の相続人が複数いる場合
    4分の1になった相続財産を、さらに兄弟姉妹の人数で均等に分割することになります
  • 配偶者と子、直系尊属の者がいない場合
    兄弟姉妹が全ての財産を相続します

【ケース別】相続放棄をした場合の相続順位と遺産分割割合

【ケース別】相続放棄をした場合の相続順位と遺産分割割合

ここからは、相続放棄をした相続人がいる場合の相続順位や遺産分割割合について、ケースごとに解説します。

誰が相続放棄をするかのほか、相続人の組み合わせによっても相続順位や遺産分割割合は変わるので、ポイントを押さえておきましょう。

配偶者が相続放棄をする場合

配偶者が相続放棄をする場合

配偶者が相続放棄をした場合、配偶者は最初から相続人とならなかったと考えるため、子がいれば、子が全部相続することになります。

子が相続放棄をした場合

子どもが相続放棄をする場合

さらに子が相続放棄をした場合は、いくつかのパターンが考えられます。

被相続人に孫がいた場合

子どもが1人の場合

子どもが1人の場合には、第1順位の者がいなくなるため、第2順位以降の者が相続人となることになります。

なお、相続放棄をした場合には、最初から相続人とならなかったものと扱われるため、相続人の孫が代襲相続によって相続することはありません。

子どもが2人の場合

子どもが2人いる場合は、相続放棄をしなかった子が唯一の相続人となるため、全ての財産を相続することになります。

被相続人に孫がいない場合

子どもが1人の場合

被相続人に孫がいない場合も、上記の例と同様に、第1順位の者がいなくなるため、第2順位以降の者が相続人となることになります。

子どもが2人の場合

上記の例と同様に、相続放棄をしなかった子が唯一の相続人となるため、全ての財産を相続することになります。

被相続人の父母が相続放棄をする場合

被相続人の父母が相続放棄をする場合

また、被相続人の父母が相続放棄をした場合も、いくつかのパターンが考えられます。

祖父母が相続人になる

第2順位は、直系尊属が相続人になるため、父母が相続放棄をした場合には、祖父母など、より親等の近い直系尊属が相続人となります。

祖父母が他界していたら兄弟姉妹が相続人

父母以外に直系尊属がいない場合には、第2順位の相続人がいないことになるため、第3順位である兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹に相続権が回ってきた場合

兄弟姉妹が相続放棄をする場合

兄弟姉妹に相続権が回ってきた場合で、兄弟姉妹が相続しない場合は、以下のパターンがあり得ます。

兄弟姉妹が相続放棄をしても姪甥は相続人にならない

兄弟姉妹が相続放棄をした場合には、兄弟姉妹が最初から相続人にならなかったものとみなされます。

そのため、その兄弟姉妹の子である姪や甥は代襲相続しないため、相続人になりません。

兄弟姉妹がすでに死亡していても代襲相続で甥姪が相続人

兄弟姉妹がすでに死亡していた場合には、姪や甥が代襲相続します(民法889条2項)。

甥や姪が相続放棄をすると相続人がいなくなる

姪や甥が相続放棄をした場合、誰も相続人がいなくなります。

このようなケースでは、家庭裁判所が相続財産の管理人を選任し、管理・清算します。

特別縁故者による請求がある場合には、相続財産の全部または一部を特別縁故者に渡します(民法958条の3)。

用語解説
特別縁故者
法定相続人がいない場合に、特別に特別に相続を受ける権利が発生した人のこと。

特別縁故者による請求もない場合には、残余財産は国庫に帰属します(民法959条)。

相続放棄はどこまで続くのか?

相続放棄はどこまで続く?

相続放棄は、相続人それぞれが各自でおこなうものです。

相続財産には株式や現金、預金口座といったプラスの財産だけではなく、借金といったマイナスの財産も含まれます。

そのため、たとえば第1順位の子の相続人が、多額の借金を相続しなければならないために相続を放棄した場合には、第2順位の直系尊属の者が相続人となります。

この直系尊属の者が相続放棄をした場合には、第3順位の兄弟姉妹が相続人になります。

また、この兄弟姉妹が死亡していた場合には、姪や甥まで相続放棄の手続が必要となります。

このように、相続放棄は各相続人でおこなう必要があり、また相続放棄には期限があるため、親戚間で連携をとっておこなうことが重要です(民法915条)。

相続放棄をする相続人に未成年者がいる場合の注意点

相続放棄をする相続人が未成年者の場合には、注意が必要です。

法定代理人が手続きをおこなう

未成年者の財産管理行為は、親権者が法定代理人としてその手続きをおこないます(民法824条)。

相続放棄も財産管理行為にあたり、法定代理人が手続きをおこないます。

利益相反を避けるために特別代理人の選任が必要

もっとも、親権者が法定代理権を濫用して、親権者自身の利益を図ることを防止するため、親権者と未成年者の利益が対立する場合には、特別代理人を選定する旨を家庭裁判所に請求しなければなりません(民法826条)。

この親権者と未成年者の利益が対立しているか否かは客観的・外形から判断されます。

さいごに

相続放棄ができる、または必要な場面は、ケースによって異なります。

また、相続放棄は、自分の相続分が放棄されるだけでなく、ほかの親族が相続人になるという意味で、自分以外の人も巻き込む重要な行為です。

相続放棄は期限が決まっているため、相続放棄をするかどうかは、弁護士などの専門家などに相談するなどして、慎重に考える必要があるでしょう。

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この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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