相続人とは、死亡した被相続人が所有していた財産や、その権利を承継できる人のことです。
相続人となれるのは被相続人と一定の身分関係がある人に限られるため、家族や身内がなくなり遺産相続が始まった場合、まずは相続人となれる人が誰なのかを知る必要があります。
一般的に相続人となれる人の範囲と、その相続分の優先順位は民法第900条の法定相続分で決められています。
相続人の組合せ |
法 定 相 続 分 |
---|---|
配偶者のみ |
相続財産の全部を受け継ぐ |
配偶者と子の場合 |
配偶者:1/2、子:1/2 |
配偶者と直系尊属の場合 |
配偶者:2/3、直系尊属:1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 |
配偶者:3/4 、兄弟姉妹 :1/4 |
子のみ |
相続財産の全部を頭割りで受け継ぐ |
直系尊属のみ |
同順位が複数いる場合は、頭割り。 |
兄弟姉妹のみの場合 |
異父兄弟や異母兄弟の法定相続分は、全血兄弟の1/2です。 |
しかし、一般的な相続人の範囲と優先順位ではわからない相続人がいた場合はどうなるのでしょうか?
今回は、上図のような基本的な相続人の範囲とその相続分、そして相続人かどうかわからない人を特定する方法をご紹介します。
あなたの相続本当に大丈夫ですか?
身内同士で遺産をめぐって対立するのは、資産家のときだけで、一般人である自分には関係ないと思っていませんか。
遺産分割事件の総数6934件の内、遺産の総額が,1000万円以下で2,279件(約33%)、1000万円以上5,000万円以下で3037件(約44%)となっています。(令和3年 司法統計年報 3 家事編)
つまり相続争いは一般的な家庭でも、充分に起こり得るのです。
相続について悩んでいる方は、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。
弁護士は相談する人の状況を聞き、それに適したアドバイスをすることができます。
またそのまま弁護士に依頼をすれば、相続手続きをすべて任せることも可能です。
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死亡した人(被相続人)の配偶者(夫・妻)は必ず法定相続人になります。
法定相続人とは、相続開始時点において存在している被相続人の「子」「直系尊属」「兄弟姉妹」「配偶者」で、これら以外の方は、親族であっても基本的には法定相続人とはなりません。
ここでいう配偶者とは、法律上婚姻届を出している正式な方に限られ、内縁の配偶者(愛人など)は含まれません。
もし「内縁者にも遺産を相続させたい」場合は「遺言書で相続分の指定をする」か「遺贈」をおこなう以外に方法はありません。
その際は「遺留分」の存在にも注意しないといけません。
遺留分に関する基礎知識 |
1:遺留分って何? |
被相続人である親と子が法律上の親子関係があれば、実子・養子、嫡出子・非嫡出子の区別なく、全て相続人となります。
もし子がすでに死亡していた場合、その子(被相続人にとっての孫)が代わりに相続人となります。
これを「代襲相続」といいます。
代襲相続とは、相続人となる予定であった「子」または「兄弟姉妹」が相続開始時に死亡・相続欠格・相続廃除を原因として相続権を失っていた場合に、本来相続人となる予定の者に代わって、「直系卑属である子」が相続分を承継する制度です。この時、相続人となる予定だった者を「被代襲者」、直系卑属の子を「代襲者」と呼びます。
親族に子(またはその代襲者)が一人もいないときは、直系尊属が相続人となります。
直系尊属とは血がつながっている人(血族)のうちで、先祖に当たる人のことをいいます。
まずは親等の一番近い父母が相続人となり、父母が死亡などでいない場合は祖父母が相続人になり、次に曾祖父母という順でさかのぼっていきます。
なお、直系尊属には養親だけでなく、実親も含まれることに注意が必要です。
ちなみに、第1順位の者がすべて、「相続欠格、相続人の廃除により相続権を失った場合」「相続放棄した場合」にも相続人となります。
子、孫、父母、祖父母がいなければ、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
兄弟姉妹の子についても代襲相続が認められています。
ただし、子の代襲相続と違い相続範囲は兄弟姉妹の子(被相続人の甥・姪)までとされています。
父母の直系尊属と同様に、「相続欠格、相続人の廃除により相続権を失った場合」「相続放棄した場合」も相続人となれます。
次に、法定相続人になれるのか判断が分かりにくい例を5つあげていきます。
養子縁組をおこなっているか、遺言書で「認知」をしていれば法定相続人となります。
ただし、特別養子縁組をしている場合は、養親だけの相続になります。
相続分は普通の実子と変わりません。
特別養子とは、実父母およびその血族との親族関係を終了させて、完全に養方の嫡出子として養親側との法律上の血縁関係を作る制度です。つまり、特別養子に行った子は、実の親に対する相続権、相互扶養義務等も有しないことになり、相続権は普通養子と違い養親のみとなります。
引用元:特別養子の相続
法定相続人にはなれず、亡くなった時点での配偶者 (妻または夫) のみが法定相続人となります。
亡くなった方の実の子供は法定相続人ですが、前妻または前夫の連れ子は法定相続人にはなれません。
しかし、連れ子であっても、養子縁組をしている場合は法定相続人として扱われます。
被相続人の子が被相続人よりも前に死亡した場合で子ども(被相続人から見て孫)がいた場合には、その子どもが相続人になります。(代襲相続)
行方不明だからといって法定相続人から外すことはできません。
生死が不明な場合は、戸籍を取り寄せるなどして生死を確かめましょう。
被相続人に親族となる法定相続人が1人もいない場合、相続財産は国のものになります(民法959条)。
【民法第951条】相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
その際は、利害関係人(被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者、特別縁故者など)が裁判所に「相続財産管理人の選任」を申し立てる必要があります。
遺産相続では思わぬところからトラブルに発展する可能性もあります。
相続人を特定することは相続においてはほんの入り口にすぎませんので、何かしらのトラブルに巻き込まれた、あるいは巻き込まれそうな場合は、専門家からのアドバイスをもらうことを強くおすすめします。
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