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相続放棄を生前にすることはできない|代わりとなる3つの方法
2017年07月05日

相続放棄を生前にすることはできない|代わりとなる3つの方法

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相続放棄(そうぞくほうき)とは、被相続人の債務(負債)が多いときなどにマイナスの財産を相続してしまわないように相続人が相続を辞退することをいいます。高齢のご両親などが多額の借金を背負っているような場合に相続が発生すると相続放棄を行います。

 

それでは、多額の借金を背負った方がまだ生きている生前のうちから、今後発生するであろう相続を見据えて相続放棄はできるのでしょうか?

 

結論を言いますと、生前に相続放棄はできません。そこで今回は生前から相続放棄ができない理由と生前の相続放棄の代わりの方法をご説明していきます。

 

生前の相続放棄はできない|できない理由

 

相続放棄は生前にできない

冒頭ですでにお伝えしましたが、相続放棄を生前から行うことはできません。仮に生前から「相続を放棄します」といった内容を書いた契約書や念書を作成したとしても、それは無効になります。

 

生前から相続放棄ができない理由

それではなぜ生前に相続放棄ができないのでしょうか?

 

相続が開始していないから

そもそも被相続人が死亡していない間は『相続が開始していない』のです。相続が発生してもいないのにそれを放棄することができないですからね。

 

だからといって何の対策もできないというわけではありません。以下では生前の相続放棄の代わりとなる方法を3つご紹介していきます。

 

 

生前からできる相続放棄の3つの代替案

 

それでは、将来被相続人になるであろう人が多くの負債を持っていた場合、生前から何かしらの対策は取れないのでしょうか?実は生前の相続放棄の代わりに3つの方法がありますのでご紹介させていただきます。

 

遺留分の放棄 

まず第一の方法が『遺留分放棄』です。遺留分放棄とは、一定の法定相続人に認められる最低限の相続財産の取り分(遺留分)をあらかじめ放棄することです。

 

遺留分放棄は、被相続人の死後でも行うことができますが、被相続人が生きている間にも行うことが可能なのです。しかし、被相続人が生前の遺留分放棄には裁判所からの許可が必要になります。

 

遺留分放棄について詳しくは「遺留分放棄をしても遺留分は増えない|遺留分放棄の手引き」もご覧ください。遺留分放棄の方法については以下でご説明していきます。

 

遺留分放棄の方法

遺留分放棄をするにあたって裁判所への申立が必要になりますので、以下の準備をしていきましょう。

 

申立人

 遺留分請求の権利を持った相続人

申立ての時期

 被相続人が在名中の相続開始前ならいつでも可

申立先

 被相続人の住所地がある家庭裁判所

裁判所の管轄区域検索

必要書類

・申立書:1枚(家事審判申立書)(記入例)
 【土地財産目録
 【建物財産目録
 【現金・預貯金・株式等財産目録

・被相続人の戸籍謄本

・申立人の戸籍謄本

費用

・収入印紙:800円

・郵便切手:裁判所による

 

以上のものを集めて、申立先の裁判所に申請するだけです。あとは裁判所が認可・不認可を決定しますが、具体的にどれほどの期間で認められるかどうかは裁判所にもよりますので直接裁判所に問い合わせてみてもよいでしょう。

 

参考:遺留分放棄の許可|裁判所

 

また、一度遺留分放棄が認められるとその後の取り消しが原則的にできませんので、しっかり検討したうえで遺留分放棄を行いましょう。生前の遺留分放棄では裁判所への申請も必要になりますから、場合によっては弁護士や司法書士などの専門家に相談してみるのもいいでしょう。

 

遺言書の作成

もう一つの方法が、遺言書による相続分の指定です。当然ですが、遺言書は被相続人が残すものであって、相続人の立場である人物がどうこうできるものではありません。被相続人を脅して書かせたり、相続人が自ら遺言書を偽造しても当然遺言書として認められません。

 

場合によっては私文書偽造罪などの犯罪行為ともなりますので、遺言書を作成する場合は、被相続人と話し合って作成するようにしましょう。また、この場合、他の相続人には内緒で被相続人と相続財産について決めてしまうと後々のトラブルにもなりかねません。

 

生前のうちから被相続人と相続人が集まって、ある程度の取り決めをしておくことも大切なことだと思います。状況によっても具体的にどのような方法をとればいいのかも変わってきますので、一度弁護士などに相談して間に入ってもらうのもいいでしょう。

 

生前に債務整理をしておくもアリ

被相続人となる人の負債(債務)が多いようでしたら、生前から被相続人と話し合って債務整理をしてもらうことも一つの方法かと思います。債務整理とは、裁判所を介した手続きや債権者(借金をしている人・企業など)との交渉により借金を減額する方法です。

 

相続放棄をしたいということは、借金が原因であることが多いですからね。あらかじめその原因である借金を減らしておくということです。債務整理には主に4つの方法があります。

 

過払い金請求

 過去に払い過ぎた金利などを返還する手続き

任意整理

 債権者との交渉により利息カットや返済期間の見直し

個人再生

 裁判所を介した手続き。大幅に借金減額できる

自己破産

 裁判所を介した手続き。返済の義務を免れる

参考:「債務整理とは|債務整理の4つの方法とメリット・デメリット

 

しかし、あくまでも債務整理は債務がある人本人が行います。本人が拒否をしたり、余命わずかの状態で手続きができないようであれば、他の方法をとるしかないでしょう。こちちらもきちんと話し合ったうえで債務整理を行うかどうかの判断をしましょう。

 

 

相続が発生した時の相続放棄の流れ 

いかがでしょうか。相続放棄は生前にできないことと、生前にも相続放棄の代わりとなる方法はいくつかあるということがお分かりいただけましたでしょうか。生前からの対策はいくつかありますが、それでも負債などを残したまま被相続人の方がお亡くなりになることもあり得るかと思います。

 

最後に、今後相続が発生した時の相続放棄のやり方についてご紹介しますので、ぜひ頭の片隅に入れておきましょう。こちらではおおよその要点をご説明しますので、詳しくは以下のコラムをお時間あるときにご覧ください。

 

参考:「相続放棄の全て|申述手順と知っておくべき注意点まとめ

 

相続財産の額を把握する

まず、相続放棄をする前に被相続人の相続財産の額を把握しておきましょう。というのも、マイナスの財産ばかりが印象に残っており、実は不動産などのその他の財産でプラスとマイナスが相殺されるようなケースもあるからです。

 

そのようにプラスマイナスの財産がはっきりしていないようであれば、『限定承認』を選択すべきでしょう。明らかにマイナスの財産が多いような場合は相続放棄を選ぶと良いでしょう。

 

参考:「相続放棄を選択すべき時とは?

       「限定承認とは

 

相続放棄の申述期間は相続開始から3か月以内

第九百十五条  相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

引用:「民法第九百十五条

 

民法では、相続放棄の申述期間は相続開始から原則3か月以内と決められています。相続が始まってからの3か月というのはバタバタしていて意外に時間が経つことが速いので、相続放棄をするのであれば優先度を高めにして取り掛かるようにしましょう。

 

相続放棄申述書の作成

相続放棄を行うには『相続放棄申述書』を作成します。フォーマットは裁判所のホームページで手に入れることができます。記入する内容にはそこまで難しいものはありませんので、記入例を見ながら記入していきましょう。

 

  • 申述人が20歳以上の場合

ダウンロード:相続放棄申述書記入例

 

  • 申述人が20歳未満の場合

ダウンロード:相続放棄申述書記入例

 

相続放棄申述書と必要書類の提出

  • 相続放棄の申述書
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人の戸籍謄本

 

相続放棄の申述には上の3つの書類と、状況に応じて以下の書類を用意します。

 

申述人が配偶者の場合

  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本

 

申述人が子または孫の場合

  • 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
  • 被代襲者(配偶者または子)の死亡記載のある戸籍謄本

 

申述人が被相続人の親または祖父母の場合

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 配偶者(または子)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の親(父・母)の死亡記載のある戸籍謄本

 

申述人が兄弟姉妹または甥・姪の場合

  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 配偶者(または子)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の親(父・母)の死亡記載のある戸籍謄本
  • 兄弟姉妹の死亡の記載のある戸籍謄本(死亡している場合)

 

相続放棄に必要な費用

相続放棄に必要な費用は主に

 

  • 戸籍謄本(450円程度)
  • 収入印紙(800円)
  • 切手(80円を5枚程度)

 

があります。

 

申述先と申述の方法

これらの書類を申述先に送ります。申述先は被相続人最後の住居地にある家庭裁判です。全国にある裁判所は「各地の裁判所一覧」から探してください。

 

また、申述の方法は裁判所に直接出向く方法と、郵送で送付する2つの方法があります。書き方や必要書類など個別にわからない部分がありましたら、直接裁判所に尋ねてみてもいいでしょう。

 

相続放棄申述受理通知書を受け取る

相続放棄の申述が受理されると、裁判所から「照会書」が送付されます(約数日~2週間)。この照会書に申述人が回答と署名捺印をして裁判所に返送します。

 

特に問題がなければ「相続放棄申述受理通知書」が送られてきますので、この通知書を受け取って相続放棄は完了です。

 

まとめ

いかがでしょうか。今回の内容をまとめると

 

  • 相続放棄は生前にできません。
  • しかし、代わりとなる方法はあります。

 

生前から来るべき相続に備えることは賢いことですので、今のうちからできることを始めていきましょう。相続は人生でそう何度も起こるイベントではありませんから、多少費用がかかったとしても専門家の知恵を頼ってスムーズかつ確実に済ませてもいいでしょう。もちろん被相続人の生前から相談に乗ってくれる専門家(弁護士・司法書士・税理士など)も数多くいます。

 

相続トラブルに巻き込まれてしまった方へ

何かと相続トラブルに発展するのは遺産の割合に不満がある・納得いかないケースです。

例えば、下記などが該当します。

・思ったより相続される遺産が少なかった
・揉めたくないので、泣く泣く遺産の配分に納得した
・遺言書に他の兄弟姉妹に遺産を多く渡す旨が書かれていた

遺産相続では法定相続分といって、民法で定められている割合の通りに遺産を公平に分割しましょうという一応の定めがありますが、生前に被相続人(亡くなった人)の介護をしていた、被相続人の事業を手伝っていれば寄与分という制度で多くの財産をもらう権利があります。

また、他の相続人が生前に財産を多く受け取っていたのであれば、遺産分割協議の際に相続財産を減らすこともできます。ただ、こういったルールは相続人全員が知っているわけではありませんから、あなたが主張しても聞く耳をもたれない可能性もあります。

その場合、弁護士に相談することで法的な観点から主張をしてくれますし、トラブルになっている場合はその仲裁に一役買ってくれるでしょう。当サイトでは、相続トラブルを1人で解決できるか悩んでいる方へ無料電話・無料相談(一部)を行い、不安解消できるように努めています。

問題解決はもちろん、あなたの状況にあったアドバイスを提供することをお約束します。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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